この記事のポイント
- この記事はAI技術を活用した競馬予測サービスについて詳しく紹介しています。
- AIによる競馬予測は、大量のデータから複雑なパターンを学び精度の高い予想を可能にしています。
- 競馬AIの具体的なサービス例として、オッズパーク、netkeiba AI、JRA-VANなどが紹介されています。
- 競馬AIを利用するメリットとして、大量データの処理能力と客観的な意思決定の補助が挙げられますが、過去データの質と量に依存するなどデメリットも存在します。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
競馬ファンなら誰もが夢見る高精度のレース予測を実現するために、人工知能(AI)技術が注目を集めています。
本記事では、AIを活用した競馬予測サービスに焦点を当て、その歴史から仕組み、実際の的中率やメリット・デメリットまで、幅広く解説していきます。
競馬予想の新たな可能性を切り拓くこれらのサービスは、大量のデータを活用し、創意工夫を凝らしたアルゴリズムによって精度の高い予測を提供しています。
実際に運用されている競馬AIの種類も紹介し、競馬ファンや投資家にとって有益な情報を提供することを目指します。AIが変える競馬の世界について、詳しく見ていきましょう。
目次
競馬AIとは
競馬AIの歴史は、データ分析技術の進化と密接に関係しています。
初期の競馬予測システムは、統計学や経済学の手法を用いたものでした。1980年代後半から2000年代初頭にかけて、コンピュータの性能向上とともにデータベース技術が発展し、初めての競馬AIシステムが登場しました。その代表的なもの「NeuroBayes」というシステムです。
NeuroBayesとは
「NeuroBayes」は、機械学習の一種でありニューロンネットワークとベイズ統計を組み合わせたもので、過去のレースデータを分析し、未来のレース結果を予測するために開発されました。
これにより、競馬予測の精度が飛躍的に向上し、多くの競馬ファンや業界関係者に注目されるようになりました。
以下の論文でニューロンネットワークによる競馬予想について論じられています。興味のある方は読んでみてください!
N. M. Allinson and D. Merritt, "Successful prediction of horse racing results using a neural network," IEE Colloquium on Neural Networks: Design Techniques and Tools, London, UK, 1991, pp. 4/1-4/7.
さらに2000年代初頭には、機械学習技術が進化し、ディープラーニングが登場しました。
これにより、過去の勝敗結果に加えて騎手、天候、競馬場といったより複雑なパターン認識が可能となり、競馬AIの予測精度がさらに向上しました。
近年では、AIのアルゴリズムや計算能力が飛躍的に向上し、予測の精度も大幅に高まっています。
競馬AIの仕組み
競馬AIの予測モデルは、大量のデータを基にしています。これには、過去のレース結果、馬のコンディション、騎手のスキル、天候、コースの状態などが含まれます。
これらのデータを収集・整理し、機械学習アルゴリズムに入力することで、未来のレース結果を予測します。具体的には以下のようなステップが含まれます。
- データ収集:JRA(日本中央競馬会)による公的な競馬データベースや独自のデータソースから、過去のレース結果や馬のパフォーマンスデータを収集します。
- データ前処理:収集したデータをクレンジングし、欠損値の補完や異常値の処理を行います。また、必要に応じてデータを標準化・正規化します。
- 特徴量エンジニアリング:予測に有効な特徴量を選定し、新たな特徴量を生成します。例えば、馬の過去のレースでの勝率や、騎手と馬の組み合わせ、馬場の状態によるパフォーマンスなどが挙げられます。
- モデル構築:機械学習アルゴリズム(ディープラーニング、サポートベクターマシン、ランダムフォレストなど)を用いて予測モデルを構築します。
- モデル評価と調整:構築したモデルをテストデータで評価し、予測精度を確認します。必要に応じてハイパーパラメータの調整やモデルの再学習を行います。
- 予測:最終的なモデルを用いて、未来のレース結果を予測します。
競馬AIの種類
ここでは、いくつかの競馬AIの種類を紹介します。この種類によってモデル構築の方法に違いが生まれます。
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データ分析型AI
データ分析型AIは初期の競馬予想AIと同様に統計学や機械学習の手法を用いて、過去のデータから未来のレース結果を予測する。
アルゴリズムの例としては、回帰分析、決定木、ランダムフォレストなどが挙げられます。これらのモデルは比較的シンプルで、特徴量の選定やモデルの解釈が容易なことが特徴です。
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ディープラーニング型AI
ニューラルネットワークを使用して、大量のデータからより複雑なパターンを学習し、予測精度を向上させることが可能です。
アルゴリズム例としては畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、トランスフォーマーモデルなどが挙げられます。これらのモデルは、膨大なデータから非線形なパターンを学習することが可能でありより高い予測精度の実現が可能です。
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ハイブリッド型AI
複数のアルゴリズムを組み合わせて、より高い予測精度を目指す予想AIです。例としては統計モデルとディープラーニングモデルの組み合わせ、異なる機械学習アルゴリズムのアンサンブル学習などが挙げられます。これにより、各モデルの強みを生かしつつ、弱みを補完することが可能です。
競馬AIのメリット・デメリット
実際に競馬をAIで予測するとどのようなメリットでメリットがあるのでしょうか。
AIを活用した競馬予想のメリットおよびデメリットについて紹介します。
競馬AIのメリット
- 大量のデータ処理能力
競馬AIを用いることで過去数十年におよぶ人間には不可能な量のデータを分析することが可能である。
- データ駆動型の意思決定
競馬AIによる分析は主観的な判断を排し、データに基づいた客観的な予測を提供します。
これにより、より根拠のある馬券の選択が可能になります。また、人間の予測者が無意識のうちに持つバイアスを、機械学習アルゴリズムはある程度排除することが可能です。
- 時間節約
手作業によるデータ分析は時間がかかりますが、競馬AIを用いることで迅速に膨大なデータを処理できます。
- 潜在的なリターンの発見
競馬AIは過去のデータから予測不可能だと考えられたパターンを発見し、投資戦略に新たな可能性を開くことができます。
競馬AIのデメリット
- データの質と量に依存
競馬AIの予測精度は入力データの質と量に大きく影響されるため過去のデータ量の不足や外れ値のデータが存在するとその予測精度は低下してしまいます。 - 不可測な要因
予測モデルには反映されない偶発的な出来事や馬の体調変化といった予測が困難な要因が存在する。 - コスト
高度なAIシステムの開発と運用には高いコストがかかってしまいます。ChatGPTができたことがある程度改善できるかもしれませんね。
実際の競馬AIの例
この章では実際にサービスを展開している競馬AIをその的中率を含めて紹介します。
競馬AIの的中率は、システムやアルゴリズム、データの質に大きく依存します。一般的に、競馬AIは人間の予測者よりも高い的中率を示すことが多いですが、100%の的中率を保証するものではありません。
いくつかの実例では、60%から70%の的中率を達成している競馬AIもありますが、これは使用するモデルやデータセットの質によって変動します。具体的には、以下のようなサービスが高い的中率を示しています。
オッズパーク
オッズパークAI予想
オッズパークAI予想は、高精度なデータ分析と最新のAI技術を駆使した予測を提供しています。多様なデータを活用し、リアルタイムでの予測更新や視覚的な表示方法によりユーザーの利便性を追求しています。ユーザーの望む堅実、一発逆転、直前情報の3つのAI予想を提供していることも特徴です。
URL:[オッズパーク]
netkeiba AI
netkeiba AI予想
netkeiba AIは日本最大級の競馬情報サイト「netkeiba.com」が提供するAI予測サービスです。豊富なデータベースと高度なAIアルゴリズムを組み合わせて高精度な予測を行います。65%の的中率を達成したこともあります。
利用料金:課金あり(160円~)
URL:netkeiba AI
JRA-VAN
JRA-VAN AI予想
JRA-VAN AI予想は、JRAが提供する公式データを活用し、高度な機械学習アルゴリズムによる高精度な予測を行う競馬予測サービスです。リアルタイムの情報更新や視覚的なインターフェース、多様な予測モデルにより、競馬ファンにとって非常に有用なツールとなっています。
また、JRA-VANは有料コンテンツも提供しており月額880円(税込み)となっています。競走馬の成績・血統、騎手データ、調教師データ、レース結果やコース条件といったあらゆる情報を、人工知能が総合的に判断してレースの結果予想を導きます
有料版JRA-VANネクスト
URL:JRA-VAN
実際の競馬AIの使用率
競馬AIの使用率は、年々増加しています。特にオンラインベッティングプラットフォームや競馬情報サイトでの導入が進んでおり、ユーザーも増加傾向にあります。例
えば、日本の競馬予測サイト「UMAJIN」では、毎月数万人のユーザーがAI予測を利用しています。
また、他の競馬情報サイトでも、AIを利用した予測サービスの導入が進んできています。
今後も着実に使われることが増えていきそうですね!
まとめ
競馬AIは、競馬予測において新たな可能性を切り拓いています。大量のデータを効率的に処理し、高い予測精度を実現することで、多くの競馬ファンや投資家にとって有益なツールとなっています。しかし、完全な予測精度を保証するものではなく、データの質や不可測な要因も考慮する必要があります。競馬AIの進化により、今後さらに高精度な予測が可能になることが期待されます。
競馬AIの利用を機会にAIやディープラーニングについて一度学習してみるのもいいかもしれません。うまくこれらの競馬AIを活用し競馬予測を楽しみましょう!