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AIと人間の違いとは?それぞれの強みと短所をわかりやすく解説

この記事のポイント

  • AIと人間の違いを生物的特性、学習方法、感情の有無から解説
  • AIは疲労知らずで活動可能、人間は疲労や睡眠が必要
  • 人間は感情と共感力を持つ、AIは客観的判断が可能
  • AIと人間の違いを理解し、適切な活用方法を提案
  • それぞれの長所を活かした協働の未来像を展望

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

AIという言葉をよく耳にしますが、人間との具体的な違いについてはあまり理解されていないかもしれません。

この記事では、AIと人間の根本的な違いを、生物的特性、学習方法、感情の有無という3つの観点からわかりやすく解説します。
それぞれの特性を明らかにしながら、AIと人間がお互いの長所を活かし、協働していくための方策を探ります。

AIと人間の違いを深く理解することで、より良い未来の社会の実現に向けた一歩を踏み出しましょう。

AIと人間の違いとは

AIと人間の違いを以下の3つのカテゴリに分けて解説します。

  • 生物的特徴の違い
  • 学習方法の違い
  • 感情と意識の有無


また、それぞれのカテゴリにおけるAIと人間の特性の違いが及ぼす影響も合わせて紹介します。

生物的特徴の違い

まず、AIと人間の1つ目の違いである生物的特徴について説明します。
AIは無生物である一方、人間は生物であるという点が大きな違いです。

人間

生物である人間は生命を持ち、成長、代謝、反応、適応、そして自己修復および疲労といった生命の特性を示します。
また、生物は遺伝子によって情報を伝達し、繁殖が可能です。

【長所】
自己修復能力があり免疫システムなどで体内の異物や病原体を排除し、自身で健康を維持できます。

人間の免疫システム
人間の免疫システムのしくみ (参考:特定非営利活動法人日本免疫学会


【短所】
人間は生物であり、疲労し睡眠をとる必要があるため四六時中の労働は不可能です。

日本政府によって発表された過労死等防止対策白書では、「睡眠時間が理想より2時間不足している人は3割がうつ病や不安障害の疑いがある」といった調査結果が公表されました。

睡眠不足によるうつ病の調査
*睡眠不足によるうつ病の調査記事 (参考:日本経済新聞

AI

一方AIは無生物です。AIはプログラムやアルゴリズムに従って動作します。自己修復や疲労といった生命の特徴はなく、繫殖することもできません。

【長所】
疲労という概念がないため、24時間365日活動できます。

例えば、三井住友銀行のChat受付サービスでは、ChatBotが三井住友銀行アプリの操作方法などの質問に24時間対応しています。

三井住友銀行Chat受付サービス
三井住友銀行Chat受付サービス (参考:三井住友銀行)

【短所】
一度故障してしまうと自己修復能力がないため人間による外部からの介入が必要。

例えば、話題のAIであるChatGPTにおいて2023年の3月20日に情報漏洩バグが生じました。
そのバグではアクティブユーザーの姓名、メールアドレス、支払い先住所、クレジットカードの種類、クレジットカード番号の下4桁およびクレジットカードの有効期限といった重要な個人情報が漏洩してしまいました。

そこでChatGPTを運営する米国のOpenAI社はサービスを数時間停止し、人間によって修復作業を行っています。
【関連記事】
➡️ChatGPTの情報漏洩事例とは?実際に起きた事例を交えて対策方法を解説


学習方法の違い

ここではAIと人間の2つ目の違いである学習と理解の方法について説明します。
AIと人間ではその学習方法に決定的な違いがあります。

人間

人間の学習は、知覚、認知、経験、そして社会的相互作用といった複雑な過程を経て促進されます。
また、人間は言語、記号、およびシンボルを使用して概念を表現し、他の人と共有することができます。

【長所】
柔軟性と適応性があり、これにより新しい情報や経験を統合し様々な状況に適応することが可能!
人間の柔軟性は非常に優れており、多くの研究がなされています。

思考の柔軟性と良好な人間関係との関連について-創造的発想のタイプ・グループによる検討, 秋田看護福祉大学地域総合研究所

【短所】
処理能力と記憶容量に限界がある。また、学習に時間を要します。

AI

人工知能の学習方法は、データセットからパターンを認識し、それを用いて新しいデータやタスクに対して予測を行うことが基本です。

ニューラルネットワークに大量のデータを供給し、抽象化を通じて複雑な問題解決への理解を深めます。

【長所】
AIは大量のデータを瞬時に処理し、膨大な情報からパターンを抽出できます。適切にトレーニングされたAIモデルは、人間よりも高速かつ正確にデータを処理し、予測できます。

例えば、人が時間をかけて書くコードをChatGPTに聞くと、瞬時に回答が得られます。

AIは瞬時に求めているコードを教えてくれる
AIは瞬時に求めているコードを教えてくれる


【短所】
AIの学習と理解は、大量のデータに依存しています。不適切なデータや偏ったデータが与えられた場合、AIのパフォーマンスが低下します。
また、過去の莫大なデータから学習するため、新しい問題や異なる環境に対応する能力には限界があります。

ChatGPTの正確性や誤情報(ハルシネーション)の問題は、多くのメディアでも報じられています。

読売新聞オンライン
参考:読売新聞オンライン

NHK
参考:NHK


感情と意識の有無

最後に、AIと人間の3つ目の違いである感情と意識の有無について説明します。

人間

人間は喜び、悲しみ、怒り、恐れなど、さまざまな感情を持ち、それらが行動や意思決定に影響を与えることがあります。
また感情や意識があるため倫理的な判断を行うことができます。

【長所】
他者の感情や立場を理解し、共感することができます。これにより、より深いコミュニケーションが可能になります。

【短所】
感情によって客観性を損なうことがあります。
また、感情的な偏りが意思決定に影響を与え、正確な判断を妨げることがある。感情によってストレスや情緒の影響を受ける場合も考えられます。

AI

AIはデータやアルゴリズムに基づいて動作し、感情を経験する能力がありません。そのためAIは感情を理解することも生成することもできません。

【長所】
感情を持たないため、客観的な判断を下すことができます。感情の影響を受けることなく、与えられたタスクや問題に対して一貫して合理的な行動を取ることができます。
また、疲れやストレスを感じることなく、長時間にわたって高いパフォーマンスを維持できます。

【短所】
感情がないため、人間関係やコミュニケーションの場面で他者の感情や立場を理解することが難しいです。また、倫理的な判断を下すことが困難です。

ロイターの記事によると、米アマゾン・ドット・コムのAIを活用した人材採用システムは、女性を差別するという機械学習面の欠陥が判明し、運用を取りやめる結果になりました。このような倫理観の欠如した判断は、AIと人間の大きな違いと言えます。

Amazonで採用AIが女性差別
Amazonで採用AIが女性差別 (参考:ロイター


AIと人間の共同の可能性

AIと人間の違いを理解することは重要ですが、それぞれの長所を活かした協働の可能性についても触れておきたいと思います。

AIは大量のデータを高速に処理し、複雑なパターンを認識することができます。一方、人間は創造性、柔軟性、倫理的判断力に優れています。この両者の強みを組み合わせることで、より効率的かつ革新的な問題解決が可能になります。

例えば、医療分野ではAIが画像診断や治療計画の提案を行い、医師がその情報を基に最終的な判断を下すといった協働が行われています。
また、自動運転車の開発においては、AIが膨大なデータから運転パターンを学習する一方、人間が倫理的なジレンマへの対処方法を決定するといった役割分担が考えられます。

このようなAIと人間の協働は、既に様々な分野で進められています。今後は、それぞれの特性を深く理解し、より効果的な協働のあり方を模索していくことが重要です。


AIの発展と社会的影響

AIの急速な発展は、社会に大きな影響を与えつつあります。
AIがもたらす利便性やイノベーションには目を見張るものがある一方で、倫理的な課題や雇用への影響など、懸念すべき点も存在します。

例えば、AIによる意思決定の透明性や説明責任の問題、AIによって生み出される偽情報への対策、AIに仕事を奪われるのではないかという不安など、様々な社会的な課題が浮上しています。

これらの課題に対応するためには、AIの特性を正しく理解し、適切な規制やガイドラインを設けていく必要があります。
同時に、AIがもたらす恩恵を最大限に活用しながら、負の影響を最小限に抑えるための方策を検討していくことが求められます。

教育の面でも、AIリテラシーの向上や、AIとの協働を見据えた人材育成が重要になってくるでしょう。

AIと人間が互いの長所を活かし、よりよい社会を構築していくための土台作りが急務と言えます。

【関連記事】
➡️AIの発展による問題は?その利点や社会に与える影響、なくなる仕事を解説


まとめ

ここまで、AIと人間の違いについて①生物と無生物、②学習と理解の方法、③感情と意識の有無の3つのカテゴリに分けて優れている点とマイナスポイントを紹介しました。

気が付いた方もいらっしゃると思いますが、AIと人間の違いではお互いの優れている点とマイナスポイントが相補的な関係になっています。AIは処理速度や正確性、耐久性において優位性がありますが、創造性や倫理的判断、感情の理解は人間が優れています。それぞれの特性を理解し、相互に補完することでより良い未来を創造していきましょう!

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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