この記事のポイント
AI関連資格は、リテラシー系・エンジニア系・ビジネスリーダー系の3層に分化し、生成AI対応が最新のトレンドとなっている
情報処理技術者試験(国家資格)は、AIプロジェクトを支えるIT基礎体力と、PMやストラテジストとしてのマネジメント力の証明に不可欠
G検定やE資格、生成AIパスポートなどの民間資格は、AI特有の理論・実装スキルやガバナンス知識を専門的に補完する
AWS・Azure・Google Cloudの認定資格は、特定のクラウド環境におけるAI実装・運用能力を客観的に証明する手段となる
職種や目的に応じた適切な取得順序(ロードマップ)を理解し、学習コミュニティや生成AIを活用した効率的な学習法の実践が重要

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
生成AIの普及に伴い、AI関連資格はエンジニアだけのものから、全ビジネスパーソンの必須スキル証明へと役割を広げています。2025年現在、国家資格に加え、生成AIパスポートや各クラウドベンダーの認定試験など、選択肢は多岐にわたります。
本記事では、AI分野で活躍するためにおすすめの国家資格と民間資格を厳選し、職種別のロードマップや学習方法とともに体系的に解説します。
目次
生成AI時代の資格トレンド(2025年版)

2023〜2025年のわずか数年で、AI資格のトレンドは「従来型の機械学習」から「生成AI+ガバナンス」へと大きくシフトしました。
代表的な動きとしては、例えば次のようなものが挙げられます。
- JDLAによる Generative AI Test(生成AI活用の基礎・リスク・ガイドラインを問う試験)の開始
- GUGAの生成AIパスポートシラバス改訂(RAG・AIエージェント・AI新法対応など)
- AWS「AWS Certified AI Practitioner(AIF-C01)」や、Google Cloud「Generative AI Leader」のような、生成AIに特化したベンダー資格の登場
これらを整理すると、生成AI時代の資格は大きく次の3タイプに分けられます。
1. リテラシー系(全社展開の土台づくり)
生成AI時代のリテラシー系資格としては、例えば次のようなものが挙げられます。
- 生成AIパスポート
- JDLA G検定
- JDLA Generative AI Test
これらは、「AIを安全かつ適切に使う最低ライン」を可視化する資格です。
社内研修や昇格要件に組み込み、「このレベルまでは全員持っている状態」を作る企業も増えています。
2. 実装エンジニア系(モデル開発・運用担当)
実装エンジニア系の資格としては、次のようなものがあります。
- JDLA E資格
- Python 3 エンジニア認定データ分析試験
- クラウドベンダーのML系資格(AWS MLA、Azure Data Scientist、GCP Professional ML Engineerなど)
現場でモデルを設計・実装・運用するエンジニア職向けの資格群です。
MLOpsやクラウドネイティブなML基盤構築までカバーする資格も増えています。
3. ビジネス・リーダー系(企画・マネジメント担当)
ビジネス・リーダー系の資格の例としては次のものが挙げられます。
- AWS Certified AI Practitioner
- Microsoft Azure AI Fundamentals(AI-900)
- Google Cloud Generative AI Leader
- Cloud Digital Leader など
生成AIを活用した事業企画・業務改革をリードする立場を想定した資格です。
非エンジニアでも受験できるものが多く、「AIをどうビジネスに組み込むか」を言語化できる人材の育成につながります。
AI関連のおすすめ国家資格

AIやデータ活用に強い人材を目指すうえで、まず土台として押さえておきたいのが、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施する国家試験「情報処理技術者試験」の各区分です。
いわゆる「AI専用資格」ではありませんが、AI・データ分野の実務で必要になるIT基礎・設計力・プロジェクト推進力を、体系的に証明できる枠組みになっています。
ここでは、この情報処理技術者試験の中から、AI・データ分野と特に相性が良く、キャリアの段階に合わせてステップアップしやすい4つの試験区分をピックアップします。
| 資格名 | 想定レベル・役割 | AI・データ分野での位置づけ |
|---|---|---|
| 基本情報技術者試験 | 初級エンジニア・実務入門者 | AI実装に必要なIT基礎・アルゴリズム力の証明 |
| 応用情報技術者試験 | 中堅エンジニア・リーダー | AIシステムを含む全体設計・要件定義力の証明 |
| ITストラテジスト試験 | 経営×IT戦略担当 | AI投資・データ戦略を含む上流意思決定力の証明 |
| プロジェクトマネージャ試験 | PM・プロジェクトリーダー | AI・DXプロジェクト推進に必要なマネジメント力の証明 |
基本情報技術者試験
位置づけ:ITエンジニアの「登竜門」的資格
プログラミング、アルゴリズム、データベース、ネットワーク、セキュリティなど、ITの基礎となる幅広い知識が問われます。
試験要綱を見ると、多くの項目に「上位者の指導の下に」という文言が含まれており、基礎レベルのIT知識を備えた実務入門者としてのスキルが想定されています。
AI・データ分野との相性
AI分野を目指す場合でも、次のような要素は欠かせません。
- Pythonなどで機械学習を実装する際のアルゴリズム理解
- モデルを動かすためのネットワーク・OS・クラウドの基礎
- セキュリティやガバナンスへの最低限の理解
基本情報は、これらの共通基盤を一通りカバーできる資格として、AIエンジニア志望にとっても有効です。
こんな人におすすめ
- IT未経験〜初級レベルからAI・データ分野に入っていきたい人
- まずは「ITの基礎体力」があることを証明したい学生・若手社会人
- 企業の情報システム部門・開発部門に新しく配属されたメンバー
【公式ホームページ】:基本情報技術者試験
応用情報技術者試験
位置づけ:IT全体を俯瞰できる中堅エンジニア・リーダー向け
基本情報より一段高いレベルで、システム設計、要件定義、プロジェクト管理、セキュリティ戦略など、より実務寄りの応用力が問われます。
試験では、業務要件を踏まえてシステム全体をどう設計し、どのような技術を組み合わせるかといった、アーキテクチャ設計の観点が重視されます。
AI・データ分野との相性
AIプロジェクトでは、例えば次のような判断が求められます。
- どの業務にAIを適用すべきか
- 既存システムとの連携をどう設計するか
- セキュリティ・ガバナンスをどう担保するか
応用情報は、こうした「全体設計力」の基盤となる試験であり、AIを単独のツールではなく業務システムの一部として組み込む視点を鍛えるのに役立ちます。
こんな人におすすめ
- 既に開発経験があり、今後は設計やリーダーを任されたいエンジニア
- AIを含むDX案件の要件定義・設計フェーズに関わりたい人
- 情シス・ITコンサルとして、IT全体を見渡せるスキルを示したい人
【公式ホームページ】:応用情報技術者試験
ITストラテジスト試験
位置づけ:経営とITをつなぐ「戦略人材」向けの最上位レベル
ITストラテジストは、企業の経営戦略とIT戦略を結びつける役割を担う人材を対象にした試験です。
試験ではITだけでなく、経営戦略・会計・マーケティングなどの知識も問われ、事業全体を俯瞰した上でのIT活用戦略の立案力が求められます。
AI・データ分野との相性
AI・データ活用の文脈では、次のような意思決定が中心テーマになります。
- どの事業領域にAI投資すべきか
- どのようなAIサービス・プロダクトを企画するか
- 法規制や倫理を踏まえて、どのレベルまで自動化するか
AIを「単なる効率化ツール」ではなく、新規事業やビジネスモデル変革のドライバーとして位置づけたい場合、ITストラテジストレベルの視点が不可欠です。
こんな人におすすめ
- 経営企画・事業企画とIT部門の橋渡し役を担っている人
- コンサルタントとしてAI・データ活用の提案をリードしたい人
- 将来的にCDO(Chief Data Officer)やCIO候補を目指している人
【公式ホームページ】:ITストラテジスト試験
プロジェクトマネージャ試験
試験の概要
位置づけ:大規模AI・DXプロジェクトを率いるPM向け
プロジェクトマネージャ試験は、要件定義〜計画〜実行〜監視・コントロール〜終結まで、プロジェクト全体のマネジメント能力を評価する試験です。

プロジェクトマネージャ試験で求められている技術水準
AI・データ分野との相性
AIプロジェクトは、データ収集・アノテーション・モデル開発・評価・運用・改善と工程が多く、多職種が関わります。そのため、次のようなスキルが成果を大きく左右します。
- スケジュール・コスト管理
- ステークホルダーとの調整
- リスク・課題管理
- PoC止まりにせず、本番運用までやり切る推進力
PM試験で問われるのは、こうしたプロジェクト全体をマネージする力であり、AI・DX案件を統括する立場には非常に相性の良い資格です。
こんな人におすすめ
- AI・データ案件のプロジェクトリーダー/PMを任されている人
- 既にPM経験があり、国家資格としての裏付けを持ちたい人
- 今後、より大規模なDXや全社横断プロジェクトを担当したい人
AI関連のおすすめ民間資格

AI技術の進化とともに、民間団体や業界団体が提供する資格も充実してきました。
ここでは、AI人材育成の文脈で特に知名度が高く、転職・評価にも結びつきやすい資格を、役割ごとに整理します。
まずは全体像をざっくり比較します。
| 資格名 | 想定レベル・ロール | 主な強み |
|---|---|---|
| JDLA G検定 | ビジネス〜技術の共通基礎 | AI全般の基礎知識と利活用の俯瞰 |
| JDLA E資格 | 実装エンジニア | 深層学習モデルの数理・実装スキル |
| 生成AIパスポート(GUGA) | 全社リテラシー〜現場リーダー | 生成AIリテラシーと法・ガバナンス対応 |
| データサイエンス検定(DS検定) | ビジネス×データ活用人材 | 統計・ML・ビジネスの3領域をバランス良くカバー |
| 統計検定 | データサイエンス基礎〜上級 | 統計学の理論と実務応用力 |
| Python 3 エンジニア認定データ分析試験 | Python実務入門〜中級 | Pythonと代表的ライブラリによるデータ分析基礎 |
JDLA G検定(ジェネラリスト検定)

G検定 (参考:一般社団法人 日本ディープラーニング協会(JDLA))
G検定は、ディープラーニングを中心としたAIの基礎〜応用までの幅広い知識を問う検定です。
- AIの歴史・基本用語
- 機械学習・ディープラーニングの代表的なアルゴリズム
- ビジネスへの活用事例
- 倫理・ガバナンス・法律面の基礎
といった内容が出題範囲に含まれており、AIを企画・活用するビジネスパーソン向けの入門〜中級レベル資格として広く認知されています。
AI・データ分野との相性
エンジニアに限らず、企画・マーケティング・管理部門など、「AI活用の共通言語」を身につけたい人に向いています。
数学の負荷は比較的控えめで、「AIの全体像と応用事例、リスク」を広く押さえるイメージです。
こんな人におすすめ
- 社内でAI活用プロジェクトを推進したいビジネス職
- エンジニアではないが、AIの基礎をきちんと固めたい人
- これからE資格やクラウドのML資格を目指す前段階として、広くAIを学びたい人
【関連記事】
G検定とは?その難易度や取得メリット、おすすめの勉強方法を解説 | AI総合研究所
G検定はAI・ディープラーニングの基礎知識とビジネス活用力を問う試験。AI時代の必須スキルとして注目。本記事では難易度、メリット、勉強法、合格後の活用まで解説。
https://www.ai-souken.com/article/g-exam-overview

JDLA E資格(AIエンジニア向け)

E資格 (参考:一般社団法人 日本ディープラーニング協会(JDLA))
E資格は、同じくJDLAが提供するエンジニア向けの上位資格です。
- ニューラルネットワークの数式レベルでの理解
- 学習・最適化手法
- CNN/RNN/Attentionなどのディープラーニングアーキテクチャ
- 実装・学習・評価のプロセス
など、実装レベルのスキル・知識が問われます。
AI・データ分野との相性
Python・深層学習フレームワーク(PyTorchやTensorFlowなど)を用いた実装経験があるエンジニアが、自分のスキルを対外的に証明する資格として人気です。
現場でモデル開発に関わる場合、E資格レベルの知識があるとアルゴリズム選択やハイパーパラメータ設計の判断の質が大きく変わります。
こんな人におすすめ
- 既に機械学習・深層学習の実装経験があるエンジニア
- 「AIエンジニア」を名乗るうえで客観的な裏付けが欲しい人
- 将来的にリサーチエンジニア寄りのキャリアも視野に入れている人
生成AIパスポート(GUGA)

生成AIパスポート (参考:一般社団法人 生成AI活用普及協会(GUGA))
「生成AIパスポート」は、テキスト・画像・音声などの生成AIを安全かつ効果的に活用するためのリテラシーを証明する資格です。シラバスには、次のようなトピックが含まれます。
- AI・生成AIの基礎
- 最新の生成AIサービスや活用事例
- AI新法・AI事業者ガイドラインなど、法・倫理・ガバナンス
- プロンプト設計やRAG(検索拡張生成)、AIエージェントなどの実務的トピック
2025年時点では、生成AIパスポートは毎年シラバスを改訂し、最新の生成AIサービスやリスク、ガバナンス動向に対応する方針が公式に示されています。
2026年2月試験以降に向けては「第4版シラバス」が公開されており、生成AIの活用事例に加えて、情報漏洩や権利侵害などのリスク対策、国内外のAI関連ガイドラインなどが出題範囲に含まれます。
AI・データ分野との相性
「生成AIをどう使うか」「どこまでがOKで、どこからがNGか」という現場の判断ラインを整理するのに最適です。
技術寄りというより、リテラシー・ガバナンス・実務利用のバランスが取れた内容になっており、AI活用プロジェクトに関わる全ての職種に価値があります。
こんな人におすすめ
- 生成AIを日常業務で多用しているビジネスパーソン
- 社内の生成AIガイドライン策定・教育を担当している人
- 「最低限このレベルまでは全員押さえておきたい」という基準を作りたい企業
データサイエンス検定(DS検定)

- データサイエンス検定参考:一般社団法人 データサイエンス協会)*
データサイエンス検定(DS検定)は、データサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力の3つの力を総合的に問う試験です。
- データサイエンス力(統計・機械学習・分析手法)
- データエンジニアリング力(データ基盤・ETLなど)
- ビジネス力(課題設定・施策立案)
AI・データ分野との相性
AIそのものの実装というより、データ分析から意思決定までを一気通貫で担う役割を目指す人に向いています。
BIツールやダッシュボードを使いながら、ビジネス課題をデータで解決していくスタイルの人にとって、実務と直結しやすい資格です。
こんな人におすすめ
- データアナリスト/ビジネスアナリスト志望の人
- 「データを読んで、施策まで落とし込む力」を証明したい人
- 統計検定と組み合わせて、データサイエンス基礎を固めたい人
統計検定(4級〜1級)

統計検定 (参考:一般財団法人 統計質保証推進協会)
統計検定は、統計に関する知識と活用力を評価する検定試験です。レベル構成は次のとおりです。
- 4級〜1級
- 統計調査士・専門統計調査士
- データサイエンス(基礎・発展・エキスパート)
AIや機械学習モデルの構築・評価・データ分析において、統計学はほぼ必須スキルと言ってよいでしょう。
AI・データ分野との相性
AI分野との関連が特に高いのは、2級以上やデータサイエンス区分です。統計検定を通じて、次のような力が身につきます。
- データの分布やばらつきの理解
- 仮説検定・信頼区間などの推測統計
- モデルの評価指標の意味
これらを押さえておくと、AIモデルの結果を正しく読み解き、説明する力が大きく向上します。
こんな人におすすめ
- データサイエンティスト/アナリスト志望で、統計の基礎を固めたい人
- 「なんとなくPythonで回している」状態から卒業したいエンジニア
- 大学院進学や研究職も視野に入れている人
Python 3 エンジニア認定データ分析試験
運営団体:一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会
Pythonを使ったデータ分析の基礎を問う試験で、代表的なライブラリや手法が対象になります。出題の中心となるのは、次のような内容です。
- NumPy / pandas / Matplotlib / scikit-learn などの代表的ライブラリ
- データの前処理・可視化・基本的な機械学習手法
- Jupyter Notebookを使った分析プロセス
AI・データ分野との相性
Pythonは現在もAI・機械学習実装の事実上の標準言語であり、この資格は
- 「Pythonでデータ分析の入り口は一通りできる」
- 「実務での学習コストをあらかじめクリアしている」
ことを示すシグナルとして機能します。
将来的にE資格やクラウドベンダーのML資格を目指す場合のステップとしても相性の良い資格です。
こんな人におすすめ
- すでにPythonに触れており、スキルの棚卸しをしたいエンジニア
- 「Excelから一歩進んだデータ分析」を身につけたいビジネス職
- Kaggleや社内分析コンペに挑戦してみたい人
大手ベンダーが提供するAI資格

次に、クラウドベンダーが提供するAI関連資格を紹介します。
これらの資格は、特定クラウド上でAIを実装・運用する実務スキルを証明するものとして、企業からの評価も高いのが特徴です。
まずは代表的な資格を、クラウド横断で一覧にします。
| 資格名 | ベンダー | レベル | 主な位置づけ |
|---|---|---|---|
| Azure AI Fundamentals(AI-900) | Microsoft Azure | Fundamentals | AzureにおけるAI・ML・生成AIサービスの概要理解 |
| Azure Data Scientist Associate(DP-100) | Microsoft Azure | Associate | Azure Machine Learningでのモデル開発・運用 |
| Azure Data Engineer Associate(DP-203) | Microsoft Azure | Associate | データパイプライン・データ基盤の設計・実装 |
| AWS Certified Cloud Practitioner(CLF-C02) | AWS | Foundational | AWS全体のサービス・料金・セキュリティの基礎 |
| AWS Certified AI Practitioner(AIF-C01) | AWS | Foundational | AI / ML / 生成AIとAWS AIサービスの基礎 |
| AWS Certified Machine Learning Engineer – Associate(MLA-C01) | AWS | Associate | AWS上でのMLパイプライン構築・運用 |
| Google Cloud Digital Leader | Google Cloud | Foundational | クラウドとAIのビジネス価値の理解 |
| Google Cloud Generative AI Leader | Google Cloud | Foundational | 生成AI活用のリーダー向けリテラシー |
| Professional Machine Learning Engineer | Google Cloud | Professional | Vertex AI等を用いたMLソリューション設計・運用 |
Microsoftの認定資格(Azure)
Azure AI Fundamentals(Exam AI-900)
試験の概要
AI-900は、AIワークロードと機械学習・コンピュータビジョン・自然言語処理・生成AIなどの基本概念、およびAzureにおける関連サービスの概要を問う入門資格です。
AI・データ分野との相性
AIそのものの実装よりも、「Azure上でどのサービスを使えばどんなAIが実現できるか」といったカタログ的な理解が中心です。非エンジニアでも取り組みやすく、クラウドAIの全体像を掴むのに向いています。
こんな人におすすめ
- Azureを使ったAIプロジェクトに関わる企画・営業・PM
- Azure OpenAI ServiceやCognitive Servicesの概要を押さえたい人
- まずはクラウド×AIのリテラシーから固めたい全職種
Azure Data Scientist Associate(Exam DP-100)
試験の概要
Azure Machine Learningを活用して、機械学習モデルを設計・トレーニング・デプロイするデータサイエンティスト向け資格です。
AI・データ分野との相性
Azure MLのワークスペース・実験・パイプライン・MLOpsなど、クラウド上での一連のMLライフサイクルを扱うため、実務に直結しやすい内容です。
こんな人におすすめ
- Azure環境でMLモデルを本番運用したいデータサイエンティスト
- 既にオンプレやローカルでMLをやっており、クラウドへの載せ替えを検討している人
- AzureベースのMLOps体制を構築したいエンジニア
Azure Data Engineer Associate(Exam DP-203)
試験の概要
膨大なデータを分析・AI活用可能な形に整えるデータエンジニア向け資格です。
データパイプライン設計、ストレージ選定、パフォーマンス・セキュリティ設計などが出題されます。
AI・データ分野との相性
AIプロジェクトのボトルネックになりがちな「データ基盤」部分を担うポジションに直結します。
「モデルより前」の工程を強化したい人にとって、有力な選択肢です。
こんな人におすすめ
- Azure上でデータレイク/DWH/ETL基盤を構築しているエンジニア
- データサイエンティストと協業しながらパイプラインを整備する役割の人
- 将来的にデータアーキテクトを目指したい人
AWSの認定資格
AWS Certified Cloud Practitioner(CLF-C02)
試験の概要
AWSクラウド全体の概念・主要サービス・料金・セキュリティなどを問うクラウド入門資格です。
AI・データ分野との相性
AI専用ではありませんが、S3やEC2、IAMなどの基礎を押さえておくことで、後続のAI / ML資格の理解がスムーズになります。
こんな人におすすめ
- AWSをこれから本格的に使い始める全職種
- 社内で「AWSって何ができるの?」と聞かれたときに説明できる立場になりたい人
- 上位のAI / ML資格(AIF / MLAなど)を目指す前段階として基礎を固めたい人
AWS Certified AI Practitioner(AIF-C01)
試験の概要
AI / ML / 生成AIの基本概念とユースケース、およびAWSのAIサービス(SageMaker、Bedrockなど)の役割を問う新しい基礎レベル資格です。
AI・データ分野との相性
生成AIを含むAI全般について、「何ができて、どのサービスをどう組み合わせるか」をビジネス視点で整理する内容になっており、クラウドネイティブなAI活用のリテラシーとして最適です。
こんな人におすすめ
- AWS上でのAI活用を検討している企画・PM・プリセールス
- BedrockやSageMaker、Amazon Qなどの位置づけを整理したい人
- AWSを軸に生成AIサービスを設計・提案したいビジネス職
AWS Certified Machine Learning Engineer – Associate(MLA-C01)
試験の概要
AWS上で機械学習ソリューションとパイプラインを構築・運用・デプロイ・保守する能力を証明する実務エンジニア向け資格です。
AI・データ分野との相性
- データの取り込み・前処理・検証
- モデル選択・学習・評価・ハイパーパラメータ調整
- デプロイインフラの選択、自動スケーリング、CI/CDによるMLOps
- モデル・データ・インフラの監視とトラブルシューティング
といった内容を通じて、「クラウド上でMLを本番運用するスキル」を幅広くカバーします。
こんな人におすすめ
- AWS上でMLパイプラインの設計〜運用までを担当しているエンジニア
- 既存のオンプレML環境からAWSへの移行をリードしたい人
- MLOpsやMLプラットフォーム構築を専門領域にしたい人
Google Cloudの認定資格
Google Cloud Digital Leader
試験の概要
Google Cloudの基本サービスが、ビジネスにもたらす価値を理解していることを証明するビジネス寄りの入門資格です。
AI・データ分野との相性
BigQueryやVertex AIなど、Google Cloudが得意とするデータ・AIサービスの位置づけを、ビジネス観点から整理する内容になっています。
「GCPでどこまで何ができるか」を掴むうえでの足がかりになります。
こんな人におすすめ
- Google Cloudを使ったデータ・AI案件に関わるビジネス職
- まずはクラウド全体像から押さえたい経営層・管理職
- Generative AI Leaderなど上位のAI資格につなげたい人
Google Cloud Generative AI Leader
試験の概要
2025年に新設された、生成AIに特化したFoundationalレベルのリーダー向け資格です。
- 生成AIの基礎概念と用語
- Google Cloud / Google Workspace における生成AIサービス
- 生成AIを活用した業務・ビジネス変革のユースケース
- 責任あるAIとガバナンスの観点
といった内容が中心です。
AI・データ分野との相性
技術詳細よりも、「どうビジネスに落とし込むか」にフォーカスしているのが特徴です。プロダクトマネージャーや事業責任者が、生成AIを武器に新しいサービスや業務プロセスを設計する際に役立つ資格です。
こんな人におすすめ
- 生成AIを活用した新規事業・サービス企画をリードする人
- Google WorkspaceやVertex AIを活用した全社DXを検討しているマネージャー
- AIガバナンスも含めた「攻めと守り」の両面を押さえたいリーダー層
Google Cloud Certified: Professional Machine Learning Engineer
試験の概要
Vertex AIなどを活用して、MLモデルの設計・構築・本番運用までをリードするエンジニア向け資格です。
AI・データ分野との相性
- 大規模データの前処理・特徴量設計
- モデル選択・評価・チューニング
- MLOpsパイプラインの構築・自動化
- 公平性・バイアス・説明可能性
といったトピックを通じて、Google Cloud上でのMLソリューション構築に必要なスキルを網羅的にカバーします。
こんな人におすすめ
- GCP環境でML基盤を構築・運用しているエンジニア
- Vertex AIを中心にエンタープライズ向けAIソリューションを提供したい人
- 「クラウド×ML」の専門家としてキャリアを築きたいデータサイエンティスト
AI資格の選び方ロードマップ(職種・レベル別)
ここまでで、代表的な資格の一覧とトレンドを俯瞰してきました。
ただ、多くの方が最初に感じるのは「結局、自分はどれから受ければいいのか」という疑問だと思います。
ここでは、職種・レベル・目的の3つの観点から、AI資格の選び方を整理します。
1. 現在の職種・立場から考える

まずは「今どこにいるか」を整理すると、選ぶべき資格がぐっと絞りやすくなります。
-
非エンジニア(企画・営業・マーケ・バックオフィスなど)
- 最初の一歩:生成AIパスポート、G検定、Azure AI-900、AWS AI Practitioner
- 余裕があれば:Cloud Digital Leader / Generative AI Leader などビジネス寄りベンダー資格
-
アプリケーションエンジニア / Webエンジニア
- 最初の一歩:基本情報技術者 + G検定 or 生成AIパスポート
- 次のステップ:E資格、Pythonデータ分析、クラウドのML系資格(Azure / AWS / GCP)
-
データアナリスト / データサイエンティスト志望
- 最初の一歩:統計検定2級、データサイエンス検定(リテラシー)、Pythonデータ分析
- 次のステップ:DS検定の上位、Azure Data Scientist、GCP ML Engineer など
-
情報システム部門 / インフラエンジニア
- 最初の一歩:基本情報 / 応用情報、Cloud Practitioner / Azure Fundamentals
- 次のステップ:Azure Data Engineer、AWS MLAなど基盤寄りのML資格
-
マネジメント層 / プロジェクトリーダー / 経営層
- 最初の一歩:生成AIパスポート、G検定、Cloud Digital Leader
- 次のステップ:ITストラテジスト、PM試験、Generative AI Leader など
2. 目的別のおすすめパス

同じ職種でも、「何のために資格を取るのか」によって選択肢は変わります。
-
社内評価・昇進を狙いたい場合
- 自社の主力クラウド(Azure / AWS / GCP)が決まっているなら、そのベンダー資格を優先
- 情報システム部門や技術職なら、IPAの国家資格(基本・応用・PM・ST)も評価されやすい
-
転職・ジョブチェンジをしたい場合
- 応募先がよく使っている技術スタック/クラウドに合わせてベンダー資格を選ぶ
- 「G検定 + Pythonデータ分析 + ベンダーML資格」など、組み合わせでの説得力を意識する
-
副業・フリーランスとして武器を増やしたい場合
- 「生成AIパスポート + G検定」でリテラシーの証明
- その上で、特定領域(マーケ/データ分析/クラウド)に寄せた資格を1〜2つ追加
3. モデルケース別のおすすめルート
最後に、よくあるパターンをいくつか例示しておきます。
-
ケース1:非エンジニア・30代・バックオフィス職でAIリテラシーをつけたい
- 生成AIパスポート → G検定 → Cloud Digital Leader
- 生成AIパスポート → G検定 → Cloud Digital Leader
-
ケース2:Webエンジニア・20代後半・AI機能を実装できるようになりたい
- 基本情報 → G検定 → Pythonデータ分析 → E資格 → ベンダーML資格(Azure / AWS / GCP)
- 基本情報 → G検定 → Pythonデータ分析 → E資格 → ベンダーML資格(Azure / AWS / GCP)
-
ケース3:マーケティング職・20代後半・「AIマーケ人材」を目指したい
- 生成AIパスポート → G検定 → 統計検定 or DS検定 → ベンダーのAIリテラシー系資格
- 生成AIパスポート → G検定 → 統計検定 or DS検定 → ベンダーのAIリテラシー系資格
-
ケース4:情シス・40代・社内のAI導入プロジェクトを任されている
- 応用情報 → PM試験 or ITストラテジスト → ベンダーのAI/データ系資格(Azure AI-900 / AWS AIF / Generative AI Leader など)
必ずしもこの通りに進める必要はありませんが、**「自分に近いケース」**を一つ選んで、最初の1〜2個だけでも決めてしまうと動きやすくなります。
主なAI資格の難易度・勉強時間・費用の目安
ここでは、本記事で取り上げた代表的な資格について、難易度・勉強時間・費用のオーダー感をざっくり整理しておきます。
| 資格名 | 想定レベル | 難易度(目安) | 勉強時間(目安) | 受験料のオーダー感 | コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| 生成AIパスポート | 社内リテラシー向け | ★〜★☆ | 20〜40時間 | 約11,000円(税込・一般受験) | 生成AI全般の基礎とガバナンスを押さえる入門資格 |
| JDLA G検定 | ビジネス〜技術の共通基礎 | ★★ | 40〜80時間 | 1〜2万円前後 | 数学はそこまで重くないが、範囲が広いので計画的なインプットが必要 |
| JDLA E資格 | 実装エンジニア向け | ★★★ | 150〜300時間以上 | 数万円台 | 事前講座も含めると学習コストは高いが、技術アピール度も高い |
| データサイエンス検定(DS検定・リテラシーレベル) | データ活用入門〜中級 | ★★ | 50〜100時間 | 1〜2万円前後 | ビジネス・データ・技術の3領域をバランスよく学べる |
| 統計検定2級 | 統計学の基礎固め | ★★☆ | 80〜150時間 | 1万円前後 | 数学アレルギーがあるとややハードだが、AI・データ分野では非常に有用 |
| Python 3 エンジニア認定データ分析試験 | Python実務入門 | ★★ | 40〜80時間 | 1万円前後 | すでにPythonに触れていれば、復習+αで狙いやすい |
| Azure AI Fundamentals(AI-900) | クラウドAIリテラシー | ★〜★☆ | 20〜40時間 | 1〜2万円前後 | 非エンジニアでも比較的取りやすい入門資格 |
| AWS Certified AI Practitioner(AIF-C01) | 生成AI×AWSリテラシー | ★〜★☆ | 20〜50時間 | 1〜2万円前後 | AWSのAIサービスをビジネス文脈で理解したい人向け |
| Google Cloud Generative AI Leader | 生成AIリーダー向け | ★★ | 40〜80時間 | 1〜2万円前後 | ビジネス視点で生成AI活用をリードするポジション向け |
AI資格の学習方法

AI資格の取得を目指す際、どのように学ぶかで合格率とその後の実務力が大きく変わります。
ここでは、代表的な学習手段と選び方のポイントを整理します。
参考書選びのポイント
参考書は、資格学習の「軸」となる教材です。選ぶ際は次のポイントを押さえましょう。
- 試験の公式シラバスをカバーしているか
- AI新法や生成AIなど、最新トピックに対応しているか
- 図表や具体例が多く、概念を直感的に理解しやすいか
- 理論だけでなく、演習問題・模擬試験が充実しているか
- 合格者のレビューや、発行年月(版数)が新しいか
特に、生成AIパスポートやJDLA試験などはシラバスの改訂が頻繁なので、「2026年試験対応版」など最新表記を確認することが重要です。
通信講座・オンラインコース選定の注意点
通信講座やオンライン学習プラットフォームを活用すると、体系的に学べるカリキュラムを短時間でなぞることができます。
選ぶときは以下の点を確認しましょう。
- カリキュラムが公式シラバス準拠になっているか
- インプットだけでなく、演習・小テスト・模試が含まれているか
- 質問フォーラムや添削など、サポート体制があるか
- ベンダー公式や認定パートナーが提供しているコースかどうか
JDLA・GUGA・クラウドベンダー(AWS / Microsoft / Google)などは、それぞれ公式トレーニングやラーニングパスを提供しているので、まずは公式ルートを確認するのがおすすめです。
学習コミュニティへの参加
一人で勉強していると、どうしてもモチベーションの維持が難しくなります。
そこで有効なのが、X(旧Twitter)、Discord、Slack、connpassなどを通じた学習コミュニティへの参加です。コミュニティに参加することで、次のようなことがしやすくなります。
- 同じ資格を目指す仲間と進捗報告し合う
- 合格者に「実際に何をどの順番で勉強したか」を聞く
- 模試の結果や過去問で詰まったポイントを共有する
このようなやり取りを通じて、独学よりも効率的に「つまずきポイント」を解消できます。
生成AIを「勉強のために」使う
せっかくAI資格を目指すのであれば、生成AIそのものを勉強に活用するのがおすすめです。学習を効率化するための使い方として、例えば次のようなパターンがあります。
- 過去問やシラバスを読み込ませて「出題範囲の要約」を作る
- 苦手な概念を、図解や具体例付きで説明させる
- 自分で解いた問題の解答をチェックし、解説や別解を出してもらう
- 模擬面接風に、「この資格をどうキャリアに活かすか」を言語化してもらう
もちろん、試験問題そのものの共有や流用はNGですが、「理解を深めるための対話相手」としては非常に優秀なツールです。
AI資格を取る前に押さえておきたい注意点
最後に、AI資格取得でありがちな「落とし穴」を簡単に整理しておきます。
資格は強力な武器になりますが、取り方を間違えると時間もお金もムダになりやすい点には注意が必要です。

-
資格コレクターになってしまう
目的やキャリアとの結びつきを考えずに資格を量産しても、評価されないケースがあります。
「この資格で、どの職種や役割で何をしたいのか」を必ずセットで言語化しておきましょう。
-
古い教材・古いシラバスで勉強してしまう
生成AIや法規制の変化が激しい分野では、1〜2年前の教材がすでに古くなっていることもあります。
テキストや講座を選ぶときは、発行年・対応試験年度・改訂履歴を必ず確認しましょう。
-
実務を想定しない「座学だけ」の勉強になっている
特に技術系資格では、「資格は取れたが、コードを書けない・設計できない」という状態になりがちです。
小さな個人プロジェクトや社内PoCでも構わないので、必ず手を動かす機会をセットで確保するのがおすすめです。
-
会社の方針・技術スタックとずれている
自社がAzure中心なのに、AWS系資格だけを集中して取る……といったケースはもったいないパターンです。
上司や採用担当とも相談しながら、「自社で評価されやすい資格」「今後導入予定の技術」にも目を向けましょう。
-
英語・バージョン表記を見落としている
ベンダー資格は英語試験のみの場合や、試験コードの変更が頻繁に起こります。
受験申込の前に、試験言語・試験コード・終了予定日などの条件を公式サイトで確認しておくと安心です。
これらのポイントを事前に押さえておくと、「取ったけれど活かせない資格」を減らし、キャリアに直結する資格ポートフォリオを組みやすくなります。
まとめ
本記事では、AI時代を生き抜くために役立つ国家資格・民間資格・クラウドベンダー資格を整理し、それぞれの特徴や向いている人、学習方法について解説しました。
- 国家資格(基本情報・応用情報・ITストラテジスト・PM試験)は、IT・ビジネスの土台や上流設計力を証明するのに有効
- 民間資格(G検定/E資格/生成AIパスポート/DS検定/統計検定/Pythonデータ分析など)は、AI・データ分野の専門性をピンポイントにアピールできる
- ベンダー資格(Azure / AWS / Google Cloud)は、特定クラウド上での実装・運用スキルや、生成AIリーダーシップを証明できる
- 「職種・目的別のロードマップ」や「難易度・時間・費用感」を押さえておくと、自分に合った資格が選びやすくなる
資格はあくまでスタートラインであり、本当の価値は、
- 学習を通じて知識・スキルを体系的に整理できること
- その知識を使って、実際の業務でAI活用の成果を出すこと
にあります。
まずは自分のキャリアプラン(ビジネス寄り/エンジニア寄り/データ寄り/マネジメント寄り)と照らし合わせ、以下のステップで進めていくと、ムダの少ない資格戦略が描けます。
- まずはリテラシー系資格で共通基盤を作る
- 興味のある分野で専門資格やベンダー資格を追加する
- 実務でのプロジェクト経験とセットでスキルを深める
AI時代のキャリアを主体的にデザインするために、本記事をきっかけとして、気になった資格の公式サイトやシラバスもぜひチェックしてみてください。
あなたの「次の一歩」を後押しする資格が、きっと見つかるはずです。






