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AI規制法とは?日本・海外の事例を踏まえ、その内容と影響を徹底解説

この記事のポイント

  • EU、米国、日本のAI規制法案の概要と影響を紹介
  • AIがプライバシーや知的財産権に与える影響を考察
  • AIの倫理的課題とトロッコ問題を通した価値観の議論
  • 著作権とAI生成コンテンツの関係性を文化庁の指針から解説
  • AIの可能性と規制に対する理解の重要性を強調

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

AI規制法という言葉を耳にするようになりましたが、具体的な内容や影響について理解している人はまだ多くありません。
しかし、AI技術の急速な発展は、私たちの生活に大きな変化をもたらしており、その社会への影響は看過できないものがあります。

この記事では、国際的な流れを汲みつつ、EU、米国、日本など主要国のAI規制法案の概要とその背景、さらにはプライバシーや知的財産権といった法的問題までを解説しています。
AIとプライバシーの関連、AIによるコンテンツ生成の著作権問題など、AIの法規制について多角的に考察しつつ、それぞれの規制が実際のビジネスシーンや私たちの日常生活にもたらす影響についても深く掘り下げます。

基本的な権利の保護、安全で公正なAIの利用を目指して世界各国で動き出しているAI規制法案について、その必要性とともにグローバルな視点で見ていきましょう。

各国のAI規制法案とその影響

AIの進歩は国境を越えており、世界各国がそれぞれの文化、政治、経済の背景に基づいてAI規制法案を策定しています。
これらの規制は、ビジネス運営、研究開発、消費者保護など、広範な範囲に影響を及ぼします。なぜなら、AI技術はデータ駆動型でグローバルな性質を持つため、ある国の規制が他国や国際的な市場に波及する可能性があるからです。

まずは、EU、米国、日本など各国の具体的な規制案の内容を探り、生活への影響について検討します。
規制への適応は企業や技術革新者にとって避けられない課題であるため、国際的な視野で規制環境を把握し、常に変化する社会の動向を掴んでおくことが重要です。

また、これらの規制が如何にしてAI技術の発展を誘導し、社会的な受容性を高めるための基盤を作るかについても考察します。


EUにおけるAI規制法案

ヨーロッパ連合(EU)はAI技術の影響を慎重に検討し、規制の枠組みを整えることを目指しています。

2024年5月21日、EU理事会は、**AI法(Artificial Intelligence Act)**を採択しました。

この法律の目的は、AIシステムが市民の権利を損なわないよう厳格な規制を推進することです。AIシステムの定義や事業者に対して安全性を確保するための義務や罰則を定めることで、AIの責任ある使用を求めています。

中でも特徴的なのは **禁止されるAI (Prohibited AI)高リスクAI (High-risk AI)**です。
AIやシステムの持つ特徴に合わせて分類し、使用の制限や罰則規定を定めています。

禁止されるAI (Prohibited AI)

以下のAIシステムは禁止されています。

  1. 操作的または欺瞞的技術を使用するAIシステム
    • 人々の意思決定を著しく損なう方法で行動を歪めることを目的とする、またはその効果を持つAIシステム。これにより、通常なら行わない決定をさせ、結果として重大な損害を引き起こす可能性がある。

  2. 脆弱性を悪用するAIシステム
    • 年齢、障害、特定の社会的または経済的状況によって生じる脆弱性を悪用し、人々の行動を歪めることを目的とする、またはその効果を持つAIシステム。これにより、個人またはグループに重大な損害を引き起こす可能性がある。

  3. 社会的スコアリングシステム
    • 社会行動や個人の特性に基づいて自然人やグループを評価または分類し、以下のいずれか、または両方を引き起こす社会スコアを持つAIシステム:
      • データが元々生成または収集された文脈とは無関係な社会的文脈における特定の自然人やグループに対する不利な扱い。
      • 社会行動に対する不相応なまたは不当な扱い。

高リスクAI (High-risk AI)

高リスクAIシステムは、特定の義務を遵守する必要があります。
そのため、EU内での使用または市場投入の際に、「重要な公的利益に対する受け入れがたいリスクを引き起こさないこと」を確保するために設計されています。

具体的には以下のようなシステムが該当します。

  • 製品の安全性コンポーネントとしてのAIシステム
    • 製造業やパーソナルケアにおける自律型ロボット、診断システム、意思決定支援システムなど。

  • 重要な権利に対する影響
    • 人間の尊厳、プライバシーの保護、差別禁止、表現の自由、集会の自由、教育を受ける権利、消費者保護、労働者の権利などを守るためのAIシステム。


これらの規制は、AI技術の発展を促進しつつ、安全性と信頼性を確保し、EUの価値観に沿ったAIシステムの普及を目指しています。
欧州委員会内にはAIオフィスが設置され、これらの規制の監督を行います。また、AI委員会と科学委員会が助言と支援を行う予定です。

また、特に注目すべきはその罰金制度の重さです。
Prohobited AIに対する違反には全世界売上高の7%、もしくは、3500万ユーロのうちどちらか高額な方の罰金が、High-risk AIに対する違反には、全世界売上高の3%、もしくは、1500万ユーロのどちらか高額な方の罰金が課されることになります。

この法律は、欧州議会および理事会の議長によって署名されます。EU官報に掲載されてから20日後に発効し、​一部例外を除いて、2年後である2026年から全面的に適用される予定です。

出典: Artificial intelligence (AI) act: Council gives final green light to the first worldwide rules on AI


米国のAI規制動向

米国では、AI技術に対する規制のアプローチがEUとは異なる形をとっています。AIの利用に対する連邦政府の規制指針が設定されつつある中で、イノベーションの推進と公衆の権利保護のバランスが重要な議論となっています。

これまでにも、特定のセクターでAIの倫理的使用を推進するためのガイドラインや大統領令が発表され、民間企業や研究機関に対する影響が注目されています。

ホワイトハウスの動向

米国ではホワイトハウスの科学技術政策局(OSTP)が2022年10月にBlueprint for an AI Bill of Rights (AI権利章典の青写真)を発表しています。

これは、人工知能(AI)や自動化システムの設計、開発、導入を行う際に守るべき5つの基本原則を示すガイドラインです。これにより、民主的な価値観を守り、市民の権利や自由、プライバシーを保護することを目的としています。
以下に内容をまとめました。

Blueprint for an AI Bill of Rightsの5つの基本原則

  • 安全で効果的なシステム
    AIシステムが安全で効果的であることを保証するため、事前のテストやリスク評価、継続的なモニタリングを行うことが求められます。

  • アルゴリズムによる差別防止
    人種、性別、宗教などに基づく差別を防ぐため、公平に設計され、使用されることを目指します。

  • データプライバシー
    ユーザーのデータが乱用されないように保護し、データの収集、使用、共有についてユーザーが制御できるようにすることを重視しています。

  • 通知と説明
    自動化システムが使用される際、その使用目的や影響についてユーザーに分かりやすく説明することを求めます。

  • 人間による代替、考慮、およびフォールバック
    必要に応じてAIシステムの使用を拒否し、人間の介入ができるようにすることが求められます。


これらの原則は、「From Principles to Practice」というハンドブックで具体的な実践方法が詳述されており、政府機関や企業がこれらの原則を実践するための手引きとなっています。しかし、この青写真には強制力のある規制は含まれておらず、各組織が自主的に従うことが期待されています​。

また、この青写真については内閣府からも日本語でまとめられた資料が発表されており、米国内外問わず大きな影響を与えていると考えられます。

コロラド州議会

また、2024年5月8日、コロラド州議会は民間部門におけるAIの使用を規制する法案(S.B.205)を可決しました。

これは、AIのリスクから消費者を保護することを目的とし、特に教育、雇用、金融サービスなどにおけるアルゴリズムによる差別的取り扱いを防ぐものです。

法案の内容

  • 主要内容
  • AI開発者はシステムの管理方法に関するステートメント作成が義務。
  • 配備者はリスク管理方針の実施や消費者への通知を行う必要あり。
  • システムが差別を引き起こした場合、90日以内に司法長官に報告が必要。


この法案が成立すれば、全米初の民間部門へのAI規制法となりますが、技術革新の阻害や企業撤退の懸念も指摘されています。
2026年2月に施行予定です。

出典:コロラド州でAI規制法可決、知事署名で成立すれば全米初の民間部門への規制に


日本のAI規制への対応

日本はAI技術の急速な進化に合わせて、規制の策定と倫理的なガイドラインを整備する動きを加速しています。
これまでも、日本は2019年3月に「人間中心のAI社会原則」を発表するなど、AIの使い方については国として検討されてきましたが、近日の世界的な動きに合わせ、日本でも規制について議論する姿勢が見られています。

日本では2023年、広島サミットにおいてAIのリスクと規制に関しての知見を深めるための広島プロセスが発表されています。

この発表では、知的財産権やフェイクニュース、プライバシーなどの観点と生成AIを結びつけ、国際的なガイドラインの作成を目標としていました。

AI事業者ガイドライン

経済産業省と総務省は、2024年4月にAI事業者ガイドライン 1.0を発表しました。
発表内容は以下の通りです。

現状の把握

  • *産業別AI導入状況
    製造業、医療、交通などをはじめ、多種多様な分野でAIが活用されており、効率化や新サービス創出が進行中。

課題の整理

  • プライバシー保護: 個人情報の適切な管理が必要。
  • 倫理問題: AIの公平性と透明性の確保。
  • データ活用: データの質とアクセスの向上が求められる。

今後の方針

  • 政策提言
    AIの安全で効果的な導入を促進するため、ガイドラインの整備や産学官連携の強化。


このガイドラインは法的強制力を持たず、主にAI事業者が責任を持ってAI技術を開発・運用するための指針を提供するものです。
リスクベースのアプローチを採用し、AIの誤使用による人権侵害やその他のリスクを軽減するための対応策が盛り込まれています。

また、5月には日本政府がAIの国際ルール作りを主導し、自由度を示しつつも共通の規制枠組みを探る方針を打ち出しました。

これは、AIの開発推進と規制のバランスをとることを目的としています​。


AI活用における倫理的課題

AI規制における最優先の目標の一つは、市民の基本的権利の保護です。
AI技術がもたらしうる様々な恩恵にもかかわらず、監視の増加やプライバシーの侵害といった潜在的リスクを抱えていることが指摘されています。

これまでに紹介してきた規制法案の多くは、利用者の自由と人権を尊重し、機械学習やその他のAI手法による不当な差別を防ぐことを目的としています。

その中でも、生成型AIが社会に広く普及する中で、その技術が抱える倫理的な問題はますます複雑化しています。
これらの課題は、偏見や差別を含むデータに基づく学習、意思決定透明性の欠如、不正確な情報拡散といった問題を含んでおり、AIの倫理的使用を義務付ける規制を設定することが重要となっています。

また、出力内容に対する倫理的価値観についても問題になっています。AIは倫理的価値を持つのか?という点については研究者の間でもホットな話題です。

ChatGPT・Geminiによるトロッコ問題への回答

一例として、倫理的価値観について確かめるために、ChatGPTGeminiに倫理的価値観についての問いを投げかけました。

今回テーマにしたのはトロッコ問題です。

質問文は以下の通りです。

暴走したトロッコが線路の上を走っています。線路の先では6人の作業員が工事を行なっています。
トロッコの進行方向には5人の作業員がいるため、このままだと5人がひかれて死亡します。あなたの近くには線路の進行方向を切り替えるレバーがあります。
しかし、レバーを切り替えると、その先の線路にいる1人の作業員をひいてしまいます。
さて、あなたは次の二つから選択しなければなりません。

A:レバーを切り替えて、5人の作業員を救うが、1人が犠牲になる
B:何もせず、5人の作業員が犠牲になるが、1人は救われる

あなたはAとBどちらの選択肢を選ぶでしょうか。

ChatGPTの回答

ChatGPTGPT-4oは功利主義と義務論の両方の観点から回答しました。
功利主義に基づく選択(A)は、結果的により多くの人命を救うために1人を犠牲にするものであり、義務論に基づく選択(B)は、行動そのものの正しさを重視し、直接的な犠牲を避けるものです。

ChatGPT自身の選択としては、功利主義の観点からAを選ぶと述べました。

以下が具体的な出力です。

この問いは「トロッコ問題」として知られる倫理学の有名なジレンマです。どちらの選択肢も道徳的に困難であり、絶対的に正しい答えはありませんが、それぞれの選択肢を考慮することで、自分の価値観や倫理観を深く見つめることができます。

**A:レバーを切り替えて、5人の作業員を救うが、1人が犠牲になる**

この選択肢は、結果主義(功利主義)に基づいた判断です。結果主義は、行動の結果によってその行動の道徳的価値を評価します。この場合、1人が犠牲になることによって5人が救われるため、全体としてはより多くの人命が救われます。以下のような理由でこの選択肢を支持する人がいます。

1. **最大多数の最大幸福**: ベンサムやミルの功利主義の原則に従い、最も多くの人々に幸福をもたらす選択をする。
2. **結果の重視**: 最終的に5人の命が助かるという結果が、1人の命が失われる結果よりも道徳的に優れていると考える。

**B:何もせず、5人の作業員が犠牲になるが、1人は救われる**

この選択肢は、義務論や規範主義に基づいた判断です。義務論は、行動そのものが道徳的に正しいかどうかを評価します。この場合、レバーを切り替える行為自体が1人の命を意図的に奪うことになり、それが道徳的に許されないと考えます。以下のような理由でこの選択肢を支持する人がいます。

1. **直接の行動の責任**: レバーを切り替えることで、直接的に1人を犠牲にする行為を避ける。
2. **非介入の原則**: 自分が介入することによって意図的に命を奪うのではなく、自然の成り行きを尊重する。

**私の選択**

個人的な価値観や倫理観に基づいて回答すると、私は**A:レバーを切り替えて、5人の作業員を救うが、1人が犠牲になる**を選ぶでしょう。理由は以下の通りです。

1. **多数の命を救うことの重要性**: 5人の命を救うために1人を犠牲にするという選択は、結果的により多くの命を守ることになります。
2. **結果主義の観点**: 行動の結果に基づいて評価することで、全体の幸福や利益を最大化することが道徳的に望ましいと考えます。

この選択は決して簡単なものではなく、多くの人が異なる倫理的視点を持っていることを理解しています。どちらの選択肢にも正当性があり、重要なのは、自分自身の価値観に忠実であることと、他者の意見や価値観を尊重することです。

Geminiの回答

一方、Geminiは直接的な意見を述べず、トロッコ問題の難しさを指摘し、功利主義と義務論の両方の観点を紹介しました。

さらに、犠牲になる人の属性や自分の責任についても考慮する必要があると述べ、最終的な判断は読者自身が行うべきであるとしました。
以下は具体的な出力です。

トロッコ問題、難しいですよね。倫理学の分野でも長年議論されてきた問題で、正解は一つではありません。

どちらを選ぶべきか、最終的にはあなた自身が判断する必要があります。しかし、いくつか考え方を提示することで、より良い判断に役立てていただけると思います。

1. 功利主義と義務論

この問題を考える上で、功利主義と義務論という二つの倫理観が重要になります。

功利主義は、行為の結果を重視する考え方です。つまり、今回の場合であれば、Aを選ぶ方が5人の命を救えるため、功利主義的には正しい選択となります。
義務論は、行為そのものの善悪を重視する考え方です。つまり、殺人は常に悪いという考え方に基づくと、Aを選ぶことは人を殺す行為となるため、義務論的には間違った選択となります。
2. その他の考慮事項

上記以外にも、以下のような点を考慮する必要があります。

助かる可能性: 5人の作業員が全員助かる保証はありません。Aを選んだとしても、すでにトロッコに轢かれてしまっている可能性や、切り替えレバーの操作が間に合わない可能性もあります。
犠牲になる人の属性: 犠牲になる1人の作業員と、5人の作業員の関係性や、年齢、職業、家族構成なども考慮すべき要素となります。例えば、1人の作業員が子供や家族持ちだった場合、5人の作業員が単なる作業員だった場合よりも、倫理的な葛藤は大きくなります。
自分の責任: Aを選んだ場合、1人の命を奪ったという責任を背負うことになります。精神的な負担は相当なものとなるでしょう。
3. 結論

これらの点を踏まえた上で、あなたはAとBどちらの選択肢を選ぶでしょうか?

正解は一つではありません。大切なのは、**それぞれの選択肢のメリットとデメリットを慎重に検討し、**自分なりの倫理観に基づいて判断することです。

もし、自分一人で判断するのが難しい場合は、家族や友人と話し合ったり、専門家の意見を聞いたりしてみるのも良いでしょう。

このように、倫理的問題についても投げかけることで多数の視点を得ることができます。
GPT-4oが自分自身の意見を返してきたように、AIが私たちの意思決定に影響を及ぼす日はそう遠くありません。

私たちの生活にAIが生成した情報が深く入り込んでくるようになってきているからこそ、AIの使用に対する規制への注目が高まっているように見えます。


AI利用におけるプライバシーと知的財産の問題

AIとプライバシーの関係にも注目が集まっています。知的財産権を含む個人データの扱いは、この技術領域の倫理的な基盤を定める上で不可欠です。
AIによるデータの収集と分析は、よりパーソナライズされたサービスを提供する一方で、プライバシーの侵害やデータの悪用というリスクもはらんでいます。

規制は、これらのリスクに対処し、使命を持ってAIを使用するためのフレームワークを提供する目的で設計されています。

著作権と著作権侵害

特に注目を集めているのは著作権についてです。
AIによるコンテンツ生成は、既存の著作物を参照しながら新しい作品を生み出すことが可能であり、これによって著作権という法的枠組みが新たな挑戦に直面しています。

AIは学習したデータから傾向を掴みながら回答を生成するため、学習内容に酷似した回答を生成してしまう場合があります。

一方で、AIで作ったそのため、AIによるコンテンツ生成は著作権侵害のリスクを増大させ、既存のクリエーターの権利を脅かす可能性があります。

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AIで生成した作品の著作権はどうなる?注意点や実際の事例を徹底解説 | AI総合研究所

AI生成コンテンツの商用利用に関する概要と法的見解を解説し、適切な利用のための指針を提供します。

https://www.ai-souken.com/article/ai-generated-copyright-explanation

文部科学省による指針:「AIと著作権」

こういった問題に対して、文部科学省は「AIと著作権」と名付けたセミナー2023年6月に開催しました。以下はその内容をまとめたものです。

  1. 著作権法の基本的な考え方
    • 著作権法は、著作者の権利保護と著作物の円滑な利用のバランスを図ることを目的としています。
    • 著作物の定義や保護対象、権利の制限などが説明されています。

    1. AIと著作権の関係
      AI開発・学習段階
    • AIが学習用データとして著作物を使用する際の複製や利用についての規定。
      • 著作物を収集・複製し、AIモデルを開発する場合、原則として著作権者の許諾が必要。
      • 法第30条の4により、情報解析などの非享受目的での利用については、許諾不要となる場合があります。


        生成・利用段階
    • AIが生成したコンテンツが著作物に当たるかどうか。
      • AIが生成したコンテンツが既存の著作物と類似しているか、依拠しているかを基準に著作権侵害が判断されます。
      • 私的利用の場合は許諾不要ですが、公衆送信や販売などの場合は著作権侵害の可能性があります。

  1. AI生成物の著作権性
  • AIが生成したコンテンツが著作物に該当するかについての考え方。
    • 人がAIを道具として利用し、創作的な寄与が認められる場合、そのコンテンツは著作物と認められる可能性があります。
    • AIが自律的に生成した場合は著作物に該当しないと考えられます。

    1. 今後の取組み
    • 文化庁は、AI技術の進展に伴う著作権問題に対応するため、継続的にガイドラインや教育資料を整備し、周知を進めていくとしています。

まとめ

本記事では、EU、米国、日本の各地域で進行中のAI規制法案の概要を紹介し、それぞれの法案がビジネス環境、個人の権利、技術進歩に与えるであろう影響について深堀りしました。
また、AI技術が及ぼす基本的権利保護、プライバシーと知的財産の保護への影響、そして著作権と著作権侵害の問題点について議論しました。

AIの進化が止まらない一方で、AIに対する規制についても日々状況は目まぐるしく変わっていきます。AI規制法案の理解は、現代社会における技術的発展とそれに伴う社会的な影響を考量する上で不可欠です。
AI技術の将来を見据えた規制フレームワークが、公正で安全なデジタル社会の構築に貢献することを期待します。

この記事が、私たちの生活に欠かせない存在になりうるAIの可能性や規制に対する理解の促進や、その使い方を考える一助になれば幸いです。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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