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Azure 503エラー(Service Unavailable)の原因と対処法をわかりやすく解説

この記事のポイント

  • Azure 503エラーは一時的なサービス停止を示すエラー
  • 主な原因はアプリケーションの負荷、サーバー設定問題、インフラ障害
  • 解決策にはAzure App Serviceの自動スケール機能の活用がある
  • トラブルシューティングにはサービス正常性の追跡や診断ツールの使用が有効
  • アプリケーションの再起動やAutoHeal機能の活用も問題解決に効果的

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

ウェブサイトにアクセスしようとした際、"503 Service Unavailable"のエラーメッセージが表示されると、フラストレーションを感じるユーザーは多いでしょう。
このエラーは、一時的にサーバーがリクエストを処理できない状態であることを示します。

本記事では、Azure環境で503 Service Unavailable Errorが発生する原因と、それへの適切な対処方法を解説します。さらに、この種のエラーを未然に防ぎ、高い可用性を維持するためのベストプラクティスやAzure固有の機能活用方法についても詳しく説明します。
503エラーへの対策は、信頼性の高いクラウドサービスを提供するうえで欠かせません。この記事を読む事で、エラーの発生を最小限に抑え、お客様に安心して利用できるソリューションを提供するための知見が得られます。

Azureの基本知識や料金体系、利用方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
➡️Microsoft Azureとは?できることや各種サービスを徹底解説

Azureにおける503エラー(Service Unavailable Error)とは

Azureの503エラーは、ウェブサーバーが過負荷やメンテナンスなど、何らかの理由でリクエストの処理を一時的に受け付けられない状態をユーザーに通知するものです。
一般的には、ウェブページのロードが遅くなる、または全くアクセスできなくなるといった症状に表れます。

このエラーは、ブラウザで「503 Service Unavailable」というメッセージとともに表示されることが多いですが、時には追加の説明が付随することもあります。

状況によっては、API呼び出しやバックエンドサービスへのリクエストが失敗し、アプリケーション全体のパフォーマンスに影響を及ぼすことがあります。


Azure 503エラーが起きる原因と解決策

503エラーが発生する主な原因、解決策、および具体例を以下に説明します。503エラーの原因を理解し、適切な対処法を知ることが問題解決のカギとなります。

1. アプリケーションの負荷

状況:
Azureでホストされるアプリケーションが大量のトラフィックを受けた際に、リソースの限界を超えて503エラーが発生します。

解決策:

  • Azure App Serviceの自動スケール機能を活用し、トラフィックの増加に応じて動的にインスタンスを追加します。

  • Azure CDNを使用して静的ファイルをキャッシュし、全体の負荷を減少させます。


    【具体例】
    Azure上で運営される人気のオンラインゲームが、特定のイベント期間中にプレイヤー数が急増し、サーバーが突然の負荷増加に対応できず、多くのプレイヤーが503エラーに直面しました。イベントの開始時にアクセスを試みたユーザーは、ログインできない状況に遭遇しました。

2. サーバー設定の問題

状況: 不適切なAzureサービス設定や、リソース割り当ての問題が503エラーの原因となる場合があります。

解決策:

  • AzureポータルまたはAzure CLIを使用して、アプリケーションの設定を確認し、必要に応じて調整します。

  • リソースの割り当てを見直し、App Serviceプランのスケールアップやスケールアウトが適切に行われているか確認します。


    【具体例】
    ある企業がAzure App Serviceを使用して社内用のアプリケーションをデプロイした際、不正確な設定が原因で503エラーが発生しました。
    特にピークタイムに社内ユーザーからのアクセスが集中した時、不適切なリソース割り当てとタイムアウト設定が問題となりました。

3. インフラストラクチャの障害

状況: Azureのインフラストラクチャに発生した障害が503エラーを引き起こすことがあります。これには、ネットワークの問題やデータセンターの物理的な障害などが含まれます。

解決策:

  • Azureのサービスヘルスダッシュボードを定期的にチェックし、インフラストラクチャの問題に迅速に対応します。

  • アプリケーションの可用性を高めるために、異なるリージョンやアベイラビリティーゾーンにまたがるマルチリージョンデプロイメントを検討します。

  • Azure Traffic ManagerやAzure Front Doorを使用してトラフィックを分散させ、一箇所に障害が発生しても他のリージョンでサービスを継続できるようにします。

【具体例】 Azureの北ヨーロッパリージョンで広範囲にわたるネットワーク障害が発生し、同リージョン内でホストされている多くのビジネスクリティカルなアプリケーションに影響を与え、
503エラーを引き起こしました。依存するサービスやデータベースへのアクセスが一時的に不可能になり、影響を受けた企業は顧客サービスに支障をきたしました。


Azure 503エラーが起きる原因と解決策

次に、503エラーが起きる主な原因、解決策、加えて具体例を挙げ、それぞれについて説明します。503エラーが発生する原因を知ることは、問題解決への第一歩であり、それぞれに対する的確な対処法を知っておくことが重要です。

アプリケーションの負荷

状況: Azureでホストされるアプリケーションが大量のトラフィックを受けた際に、リソースの限界を超えて503エラーが発生します。

解決策: Azure App Serviceの自動スケール機能を活用して、トラフィックの増加に応じて動的にインスタンスを追加します。Azure CDNを使用して静的ファイルをキャッシュし、全体の負荷を減少させることも効果的です。

具体例: Azure上で運営される人気のオンラインゲームが、特定のイベント期間中にプレイヤー数が急増しました。この結果、サーバーが突然の負荷増加に対応できず、多くのプレイヤーが503エラーに直面しました。イベントの開始時にアクセスを試みたユーザーは、ログインできない状況に遭遇しました。

サーバー設定の問題

状況: 不適切なAzureサービス設定や、リソース割り当ての問題が503エラーの原因となる場合があります。

解決策: AzureポータルまたはAzure CLIを使用して、アプリケーションの設定を確認し、必要に応じて調整します。リソースの割り当てを見直し、App Serviceプランのスケールアップやスケールアウトが適切に行われているか確認します。

具体例: ある企業がAzure App Serviceを使用して社内用のアプリケーションをデプロイした際、不正確な設定が原因で503エラーが発生しました。特にピークタイムに社内ユーザーからのアクセスが集中した時、不適切なリソース割り当てとタイムアウト設定が問題となりました。

インフラストラクチャの障害

状況: Azureのインフラストラクチャに発生した障害が503エラーを引き起こすことがあります。これには、ネットワークの問題やデータセンターの物理的な障害などが含まれます。

解決策: Azureのサービスヘルスダッシュボードを定期的にチェックし、インフラストラクチャの問題に迅速に対応します。また、アプリケーションの可用性を高めるために、異なるリージョンやアベイラビリティーゾーンにまたがるマルチリージョンデプロイメントを検討します。Azure Traffic ManagerやAzure Front Doorを使用してトラフィックを分散させ、一箇所に障害が発生しても他のリージョンでサービスを継続できるようにします。

具体例: Azureの北ヨーロッパリージョンで広範囲にわたるネットワーク障害が発生しました。この障害は、同リージョン内でホストされている多くのビジネスクリティカルなアプリケーションに影響を与え、503エラーを引き起こしました。依存するサービスやデータベースへのアクセスが一時的に不可能になり、影響を受けた企業は顧客サービスに支障をきたしました。


トラブルシューティングの手順

遭遇した503エラーのトラブルシューティングには、段階的なアプローチが必要です。このセクションでは、503エラーが発生した場合の手順について7つに分けて説明します。

サービス正常性を追跡する

Azure portalにログインして左タブの「モニター」をクリックします。
モニター紹介
Azure portalのログイン後画面

次に、赤丸で囲んでいる「Service Health」をクリックします。
Service Health

すると、このような画面が表示されるので、サービスに異常がないかを確認してください。
サービス正常性

アプリを監視する

Webアプリケーションに何らかの問題が生じているかどうかを知るには、アプリケーションの監視が重要です。アプリケーションのダッシュボードで「リクエストとエラー」タイルをクリックすると、「メトリック」ダッシュボードが表示され、追加可能なすべてのメトリックが確認できます。

診断ツールを使用する

App Serviceは、アプリケーションの問題解決を支援するための、設定不要で直感的に操作できる高度なトラブルシューティング機能を提供しています。アプリケーションに何か問題が生じた際、この診断ツールが問題箇所を特定し、ユーザーが迅速かつ容易に問題を解決するための指示と情報を提供します。

App Serviceの診断機能にアクセスするためには、AzureポータルからApp ServiceアプリケーションやApp Service Environmentに移動し、左側のメニューから「問題の診断と解決」を選択します。

Kudu デバッグ コンソールを使用する

App Serviceは、ファイルのデバッグや調査、アップロードを支援するデバッグコンソールや、環境情報を提供するJSONエンドポイントを備えています。この機能は、アプリのKuduコンソールあるいはSCMダッシュボードとして知られています。

このダッシュボードを利用するには、ウェブブラウザで
https://<あなたのアプリ名>.scm.azurewebsites.net/
上記のURLにアクセスします。

アプリをスケーリングする

Azure App Serviceを使用すると、アプリケーションの実行スケールを調整してパフォーマンスと処理能力を向上させることが可能です。スケールアッププロセスには二つのステップがあります。最初に、App Serviceプランの価格レベルを上げ、次にその新しい価格レベルに合わせて特定の設定を行います。

さらに、アプリケーションを複数インスタンス上で稼働させることもできます。これにより、処理能力を増加させるだけでなく、一定の障害耐性も提供します。つまり、あるインスタンスで問題が発生しても、他のインスタンスがリクエストの処理を引き継ぎます。

AutoHealを使用する

AutoHeal機能は、アプリケーションのワーカープロセスを、設定された条件(構成の変更、要求の量、メモリ使用量の制限、要求処理時間など)に基づいて自動的に再起動します。通常、アプリケーションの問題を解決する最も直接的な方法はプロセスの再起動であり、Azureポータルからいつでも手動で再起動することは可能ですが、AutoHealはこれを自動で行い、ユーザーの操作を必要としません。設定するには、アプリのルートのweb.configファイルに特定のトリガーを設定するだけです。この機能は、アプリケーションが.NET以外であっても同様に機能します。

アプリを再起動する

一度きりの問題である場合、アプリを停止または再起動することが最もシンプルな解決策です。まずは、Azureポータルにログインした後に、赤丸の「App Service」をクリックします。
App Service

すると、画像のような表示が出てくるので、停止か再起動をしましょう。(App Serviceを1つでも使用していれば色が付いて表示されています)

再起動

参考:Microsoft Learn


まとめ

本記事では、Azure上で発生する可能性のある503 Service Unavailableエラーについて、その症状、原因、そして具体的なトラブルシューティングの手順を詳細に解説しました。
迅速な問題解決のためには、これらのトラブルシューティング手順を事前に整備しておくことが重要です。また、問題が発生した際には、落ち着いて対処し、状況に応じて適切なステップを踏んで対応することが求められます。

Azureの503エラーへの効果的な対応方法を理解しておくことで、、アプリケーションの可用性とパフォーマンスを維持し、結果として顧客の信頼を確固たるものにすることができることでしょう。

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坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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