この記事のポイント
- Azure Data StudioはWindows、macOS、Linuxに対応したクロスプラットフォームのデータベース管理ツール
- SQL Server、Azure SQL Database、PostgreSQL、MySQLなど多様なデータベースに対応
- IntelliSenseやコードスニペットを備えた最新のエディター機能を提供
- 統合ターミナルでのコマンドライン操作や拡張機能によるカスタマイズが可能
- SQL Server Management Studio (SSMS)と比較して軽量で高速、用途に応じた使い分けが効果的
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
データベース管理の効率化と高度な分析が求められる現代のビジネス環境において、適切なツールの選択は重要です。
Microsoftが提供するAzure Data Studioは、この需要に応える革新的なソリューションです。
本記事では、Azure Data Studio の特徴、主要機能、対応データベース、そして具体的な使用方法について詳しく解説します。
クロスプラットフォーム対応、最新のエディター機能、拡張性など、Azure Data Studio が提供する利点を多角的に分析します。
さらに、従来のSQL Server Management Studio (SSMS) との比較を通じて、Azure Data Studio の位置づけと効果的な使い分けについても提案します。
データベース管理者、開発者、データサイエンティストの方々に、Azure Data Studio の可能性と活用方法をお伝えし、より効率的なデータ管理と分析の実現に向けた具体的な指針を提供します。
目次
最新のエディターエクスペリエンス(IntelliSense、コードスニペットなど)
Azure Data Studioの対応データベースと接続方法
SQL Server、Azure SQL Database、PostgreSQL、MySQLなどに対応
Azure Data Studioとは
Azure Data Studioは、Microsoftが開発したデータベースの管理や操作のためのツールです。このツールには、次のような特徴があります。
- クロスプラットフォーム対応
Windows、macOS、Linuxで動作するので、どんなパソコンでも使えます。
- 対応するデータベース
SQL Server、Azure SQL Database、PostgreSQL、MySQLなど、さまざまなデータベースを管理・操作できます。
Azure Data Studioの機能
Azure Data Studioの主要な機能は、以下の3つとなっています。
最新のエディターエクスペリエンス(IntelliSense、コードスニペットなど)
Azure Data Studioには、プログラムを書くための便利な機能がたくさんあります。
VScode(Visual Studio Code)に似た見た目と使いやすさが特徴で、特にSQLを書くときに役立つでしょう。
- コード補完機能 (IntelliSense): SQLのコードを書くときに、自動で次に書くべきコードを予測して提案してくれます。
- スニペット機能: よく使うコードのパターンを保存しておき、必要なときにすぐに呼び出して使えます。
- シンタックスハイライト: SQLのコードが色分けされるので、コードの構造が見やすくなり、間違いを見つけやすくなります。
- コード折りたたみ機能: 長いSQLコードの一部を折りたたんで隠せるので、長いSQLスクリプトの編集も快適に行えます。
統合ターミナルでのコマンドライン操作
Azure Data Studioには「統合ターミナル」という便利な機能があります。
これを使うと、すべての操作を一つの画面で行えるため、いろいろなツールを行ったり来たりする必要がなく、作業の効率がぐんと上がります。
統合ターミナル
- コマンドライン操作が簡単
Azure Data Studioの中で、直接コマンドを入力して実行できます。
例えば、SQLCMDやPowerShellといったツールを直接使って、データベースの管理やスクリプトの実行ができます。
- Git等操作も可能
ソースコード管理のためのGit操作やその他のCLIベースのタスクも同じ場所でできるので、コードの管理が楽になります。
拡張機能によるカスタマイズ
Azure Data Studioには、「拡張機能」が備わっています。必要な機能を後から追加できるので、自分にぴったりのツールにカスタマイズすることが可能です。
Microsoftが提供する公式の拡張機能だけでなく、他の開発者が作った拡張機能も利用できますし、データベース管理をさらに便利にするツールや、クエリの結果を見やすくするツール、データをインポート・エクスポートするツールなど、さまざまな拡張機能を選んで追加できます。
Azure Data Studioの対応データベースと接続方法
では、さっそくAzure Data Studioが対応するデータベースと接続方法についてご紹介します。各種データベースへの幅広い対応が可能です。
SQL Server、Azure SQL Database、PostgreSQL、MySQLなどに対応
Azure Data Studioは、幅広いデータベースシステムに対応しています。主な対応データベースは次のとおりです:
- SQL Server(自分たちのサーバーで運用するもの(オンプレミス))
- Azure SQL Database(クラウド上のデータベース)
- Azure SQL Managed Instance(クラウド上で管理されたSQL Server)
- PostgreSQL
- MySQL
- Big Data Clusters(大規模データ処理のためのクラスター)
サーバー情報の入力による簡単な接続
Azure Data Studioでの、データベースサーバーへの接続は非常に簡単です。
-
Azure Data Studioを起動
まず、Azure Data Studioを起動します。(先にAzure Data Studioのインストールが必要となります。まだインストールしていない場合は、こちらからインストールしてください。)
[welcome]ページが開きます。
welcomeページ
welcomeページの外観はこのようになっています。
①. トップメニュー
画面上部のメニューバーからファイル操作、ビューの切り替え、設定の変更、ヘルプの参照などの操作が行えます。
②. 左側のサイドバー
左側にはアイコンが並んでいるサイドバーがあります。ここからConnections(接続)・Explorer(エクスプローラー)・Extensions(拡張機能)・Settings(設定)などの機能が利用できます。
③. メインビュー
④. Resources(リソース)セクション
画面下部には、過去に開いたファイルやフォルダの履歴(History)が表示される領域があります。
-
接続ダイアログボックスを開く
①画面左の[New Connection]をクリックすると、右に② [Connection] ウィンドウが開き、入力画面が表示されます。
connection画面
-
入力
Connection Details(入力詳細)を入力します。
入力画面入力項目は以下のとおりです。
- Connection type: 接続タイプ
- Input type: 入力タイプ
- Server: サーバー
- Authentication type: 認証タイプ
- Database: データベース
- Encrypt: 暗号化
- Trust server certificate: サーバー証明書を信頼
- Server group: サーバーグループ
- Name (optional): 名前(任意)
-
接続ボタンをクリック
すべての情報を入力したら、下の「Connect」ボタンをクリックします。
-
接続確認
接続が成功すると、ご利用のサーバーが [サーバー] サイドバーに表示されます。
詳細は マイクロソフト公式をご覧ください。
サーバーグループによる接続情報の整理
Azure Data Studioにはサーバーグループという便利な機能があります。
サーバーグループとは、複数のデータベースサーバーを「グループ」に分けて整理できる機能です。
以下、手順を簡単にご紹介します。
-
Azure Data Studioを起動
まず、Azure Data Studioを起動します。
-
サーバーウィンドウを開く
画面左側にある「Servers」ウィンドウを見つけます。このウィンドウの上部にある「New Server Group」ボタン(通常はフォルダのアイコン)をクリックします。
サーバーウインドウ
-
グループの設定を行う
新しいウィンドウ(Add server group)が開きます。
サーバーグループ設定画面
以下の項目を設定します
- グループ名 (Server group name): グループの名前を入力します。例えば、「開発環境」や「本番環境」など。
- 説明 (Group description): 任意の項目です。グループの説明を入力することで、グループの目的を明確にしておくことができます。
- 色の選択 (Group color): グループを色分けして視覚的に整理できます。
-
作成を完了
設定が完了したら、下の「OK」ボタンをクリックします。
入力後画面これで、新しいサーバーグループが作成され、サーバーウィンドウに表示されます。
参考:マイクロソフト公式
SQL Server Management Studio (SSMS) との比較
Microsoftが提供するデータベース管理ツールには、SQL Server Management Studio (SSMS)もあります。
では、Azure Data StudioとSSMSの違いはどのようなものでしょうか。主に以下の3つの点があげられます。
SSMSよりも軽量で高速
Azure Data Studioは、SSMSと比べて、必要な機能だけを厳選しているため、プログラム自体が軽く、パソコンに負担がかかりにくいです。そのため起動がとても速く、すぐに使い始めることができます。
クロスプラットフォーム対応
SSMSはWindowsでしか動かないのに対して、Azure Data StudioはmacOSやLinuxでも動作します。特に、macOSやLinuxを使っている人にとって、Azure Data Studioは非常に便利なツールとなるでしょう。
用途に応じたSSMSとの使い分け
このように便利な面が多いAzure Data Studioですが、Azure Data StudioとSSMSは、それぞれ得意な分野が異なるため、用途に応じて使い分けるのが効果的です。
たとえば、
- Azure Data Studio:普段のクエリ作成やデータの確認、簡単なデータベースの管理
- SMSより複雑な作業、データベースの細かい設定や、SQL Serverの自動処理の管理
つまり、簡単な作業にはAzure Data Studioを、難しい作業にはSSMSを使うことで効率よくデータベースの管理や開発ができるようになるでしょう。
まとめ
ここまで、Azure Data Studioについて特徴、対応データベース、SSMSとの比較、インストール方法などをご紹介しました。
Azure Data Studioは、軽量で高速であり、クロスプラットフォーム対応という大きな利点があります。しかしSSMSの完全な代替ではなく、用途に応じた使い分けをするのが望ましいでしょう。
データに基づいた意思決定がますます重要になる中で、Azure Data Studioはデータベース管理者や開発者、データサイエンティストの仕事を大幅に効率化し、データを効果的に活用するための強力なツールとなることは間違いありません。