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Azure Logic Appsとは?主要機能や料金、設定手順をわかりやすく解説

この記事のポイント

  • Azure Logic Appsは、ビジュアルデザイナーを使って直感的にワークフローを作成できるクラウドサービス
  • 200以上のコネクタを提供し、様々なサービスとの連携が可能で、複雑なビジネスプロセスの自動化に適している
  • 設定は、ロジックアプリの作成、トリガーの追加、アクションの追加、テストの4ステップで行える
  • 業務プロセスの自動化、SaaSアプリケーション間のデータ統合、IoTデバイスからのデータ収集と処理など、幅広い活用シナリオがある
  • StandardプランとCosumption(従量課金)プランの2つの料金モデルがあり、使用状況に応じて選択可能

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

ビジネスプロセスの自動化とシステム統合の重要性が増す中、Azure Logic Appsは効率的なワークフロー構築を可能にする強力なツールとして注目を集めています。

本記事では、Azure Logic Appsの基本概念から高度な利用方法まで、包括的に解説します。ビジュアルデザイナーを使った直感的なワークフロー作成、200以上のコネクタによる各種サービスとの連携、オンプレミスとクラウド間のシームレスな統合など、Logic Appsの主要機能を詳しく紹介します。

また、具体的な設定手順をステップバイステップで解説し、RSSフィードの監視と電子メール通知の自動化を例に、実践的な使い方を提示します。

さらに、業務プロセスの自動化、SaaSアプリケーション間のデータ統合、IoTデバイスからのデータ収集と処理など、具体的な活用シナリオについても触れ、Logic Appsの可能性を探ります。

Azure Logic Appsとは

Azure Logic Appsは、Microsoftが提供するクラウドサービスで、ほぼコードを書かずに自動化されたワークフローを簡単に作成・実行できるプラットフォームです。

このサービスの大きな魅力の一つは、ビジュアルデザイナーを使ってドラッグ&ドロップで直感的にワークフローを構築できる点です。

さらに、Azure Logic Appsは、Office 365Dynamics CRMSalesforceSharePointなど、幅広いサービスとシームレスに連携できる豊富なコネクタを備えているため、複数のシステムやサービスを容易に接続し、複雑なビジネスプロセスを自動化することが可能です。

Azure Logic Appsイメージ
Azure Logic Appsイメージ

このように便利なAzure Logic Appsについて以下、ご紹介します。

Azure Logic Appsの主な機能

まず初めに、Azure Logic Appsの主要な機能について知っておきましょう。

ビジュアルデザイナーを使った直感的なワークフロー作成

Azure Logic Appsの中心機能は、ドラッグ&ドロップ操作で使えるビジュアルデザイナーです。このツールを使うと、複雑な作業の流れ(ワークフロー)を視覚的に簡単に作成できます。

たとえば、

・作業を分岐させたり(条件分岐)
・繰り返したり(ループ)
・同時に実行させたり(並列処理)

することができます。

また、ビジュアルデザイナーはブラウザで使えるので、特別なソフトをインストールせずに利用可能です。

豊富なコネクタによる各種サービスとの連携

Logic Appsは、200以上の事前に作られたコネクタを提供しています。このコネクタを使うことで、さまざまなクラウドサービスやSaaSアプリケーション、オンプレミスシステムとの連携がとても簡単に行えます。

たとえば、

Office 365でメールを受け取ったときに自動でSalesforceの顧客情報を更新し、その結果をSlackに通知する

といった複雑な作業の流れを、プログラムを書かずに設定できます。

さらに、カスタムコネクタを作成することもできるので、独自のAPIやサービスとも連携できます。

オンプレミスとクラウド間のシームレスな統合

Logic Appsは、オンプレミスデータゲートウェイを使うことで、オンプレミス環境とクラウド環境をつなぐこともできます。

オンプレミスデータゲートウェイ: オンプレミス環境とクラウド環境を安全につなぐためのツール

つまり、会社のファイアウォール内にあるデータベースやファイルなどの昔から使っているシステム(レガシーシステム)とクラウドサービスを組み合わせてハイブリッドソリューションを作ることができるのです。

たとえば、

会社内にあるSQLサーバーのデータを定期的にAzure Blobストレージにバックアップする

といった作業も簡単に自動化できます。


Azure Logic Appsの設定手順

さて、ここからはAzure Logic Appsを利用するための設定手順を、流れに沿って具体的に説明します。

今回のAzure Logic Appsのワークフローは、以下の要件で作成します。

定期的に特定のウェブサイトのRSSフィードをチェックして、
新しい記事が投稿されていれば、その記事ごとに電子メールで通知を送る仕組み


「ニュースサイトやブログのRSSフィードを監視して、更新があった際に通知を受け取る自動化されたシステム」のようなもの考えてもらったらわかりやすいでしょう。

ステップ1:ロジックアプリの作成

  1. Azureポータルにサインイン
    Azureポータルにアクセスし、Azureアカウントでサインインします。

Azureポータル画面
Azureポータル画面


  1. Logic Appリソースの作成
    「リソースの作成」をクリックします。

リソースの作成ボタン
リソースの作成ボタン

  1. 検索バーに「ロジックアプリ」と入力し、出てきた候補から ロジックアプリを選択します。
    その後、下の「作成」をクリックし、ロジックアプリ作成画面に移動します。

検索画面
検索画面

  1. 「ホスティングオプションプランの選択画面」が開きますので、従量課金プランかStandardプランを選択します。

ホスティングオプションの選択画面
ホスティングオプションの選択画面

プラン 説明
従量課金プラン マルチテナント Azure Logic Apps で実行され、課金に従量課金モデルを使用するワークフローを 1 つだけサポートするロジック アプリ リソースを作成します。
Standard 複数のワークフローをサポートするロジック アプリ リソースを作成します。 次のオプションがあります。
- ワークフロー サービス プラン: ワークフローはシングルテナントの Azure Logic Apps で実行され、課金に Standard モデルを使用します。
- App Service Environment V3: ワークフローはシングルテナントの Azure Logic Apps で実行され、課金に App Service Environment プランを使用します。


※ ここでは従量課金プランを選択しました。

  1. 基本情報タブで、次の事項を入力します:

入力画面
入力画面

  • サブスクリプション
  • リソース グループ
  • ロジック アプリ名
  • 地域
  • ログ分析を有効化

  1. 全てのフィールドを入力したら、下の「確認および作成」をクリックし、確認後、作成を押してLogic Appを作成します。

Logic Appsリソースの概要ページ説明

この後、Logic Appsリソースの概要ページが表示されます。ここでは、作成したLogic Appのステータスや履歴を確認することができます。
各項目について以下説明します。

概要ページ
概要ページ

画面上部のメニュー
実行、最新の情報に更新、編集などのボタンがあります。Logic Appの操作を行うメインのアクションボタンです。

Logic Appのメタデータ
Logic Appのメタデータ情報です。リソースグループや場所、サブスクリプションなどの情報が載っています。

4つのタブ
作業の開始、実行の履歴、トリガーの履歴、メトリックタブがあります。Logic Appの実行履歴やトリガーが正しく動作しているか、実行結果の詳細を確認することができます。

メニュー項目
Logic Appリソースの全体的なステータス、メタデータ、実行履歴などを確認できる「ダッシュボード」のような役割を果たしています。

ステップ2:トリガーの追加

さて、では次にさっそくトリガーを追加してみましょう。

  1. ロジックアプリの画面の、①ロジックデザイナーをクリック、②真ん中の画面の「トリガーの追加」をクリックすると、トリガーの追加画面が現れます。

トリガーの追加画面
トリガーの追加画面

  1. ③の検索画面に「RSS」と入力し、④「フィード項目が発行されたときに」という名前のRSSトリガーを選択します。

トリガーの検索画面
トリガーの検索画面

  1. ①以下の入力事項を記載し、②保存をクリックします。

RSS入力画面
RSS入力画面

- RSS フィードの URL
- 選択されたプロパティを使用して、新しいアイテムを判断する
- 間隔
- 頻度
- タイム ゾーン
- 開始時間

ステップ3:アクションの追加

  1. トリガーが設定された後、メール送信を行うアクションを追加します。

メイン画面にある「+」ボタンをクリックすると「アクションの追加」と表示されるので、クリックします。

アクションの追加ボタン
アクションの追加ボタン

  1. 右側にアクションの追加画面が表示されます。

アクションの追加画面
アクションの追加画面

  1. ①検索画面に「メールの送信」と入力すると、候補が出てきます。
    Office365以外にGmaiIなども選択できます。ここでは、②Office 365 Outlookの下にある「メールの送信(V2)」を選びます。

アクション検索画面
アクション検索画面

  1. サインインを求められるので、サインインします。

サインイン画面
サインイン画面

  1. ①メールの送信ボックスに必要事項を記載し、②入力したら保存をクリックします。

メールの送信入力画面
メールの送信入力画面

ステップ4:ワークフローのテスト

ワークフローが正しく実行されていることを確認するには、指定したスケジュールに基づいてトリガーが起動するのを待つか、ワークフローを手動で実行します。

手動で実行するには、①左側のメニューバーからロジックアプリデザイナーを選択し、②実行をクリックします。

テスト画面
テスト画面

この流れを通じて、Azure Logic Appsを使って自動化されたワークフローを簡単に作成することができました。


Azure Logic Appsの活用シナリオ

さて、ここからはAzure Logic Appsの具体的な活用場面をご紹介します。以下のように幅広い用途で利用することができます。

業務プロセスの自動化

一つ目は、業務プロセスの自動化です。
Logic Appsは、日常的な業務プロセスの自動化に適しています。

例えば、

・新規顧客登録プロセスを自動化し、フォーム入力からCRMへのデータ登録、承認ワークフロー、歓迎メールの送信までを一連の流れとして実装
・定期的なレポート生成や配信、請求書処理、在庫管理など


このように、様々な業務タスクを自動化することで、業務効率を大幅に向上させることができます。

SaaSアプリケーション間のデータ統合

Logic Appsは、異なるSaaSアプリケーション(インターネット経由でソフトウェアを提供するサービス)間でのデータ連携を簡単に行えるツールです。

たとえば、

Salesforceで新しいリード(見込み顧客)が作成されたときに、
自動でMailchimpのメーリングリストに追加し、
そのことをSlackチャンネルに通知する


といった一連の流れ(ワークフロー)を設定できます。

異なるシステム間でのデータの整合性を保ちながら、情報をスムーズに共有でき、手作業を減らして業務の効率を上げることが可能になります。

IoTデバイスからのデータ収集と処理

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を用いる場面でも、Logic Appsは非常に役立つツールです。

IoTデバイスからのデータ(センサーや機器から送られる情報)をAzure IoT Hubで受信し、それをLogic Appsでリアルタイムに処理や分析が可能です。

例えば、

センサーデータが特定の値を超えたら自動でアラート(警告)を送信したり、そのデータをまとめてダッシュボードに表示する

といった流れをLogic Appsで簡単に設定できます。


IoTソリューション(IoTを活用したシステム)の開発や運用がスムーズになり、効率よく管理できるようになります。


Azure Logic Appsの料金体系

では、次にAzure Logic Appsの料金体系について説明しましょう。

従量課金制の料金モデル

料金体系には、Standardプランと従量課金プランがありますが、以下の違いがあります。

  • Standardプラン
    ローカルやオンプレミスでの開発、コンテナ化されたランタイムの利用、複雑なワークフローのサポートが可能。

  • 従量課金プラン
    使った分だけ支払い、アクションやコネクタの利用に応じて料金が発生するシンプルな料金体系。

Standardプラン(シングルテナント)

Standardプランの料金は、いくつかの要素に基づいて計算されます。以下にそのポイントを説明します。

  1. vCPUとメモリの利用時間
    • vCPUとメモリは、実際にLogic Appsを実行するために使われる計算リソースです。
    • 料金は、Logic Appsが動作している時間に対して課金されます。
リソース 価格
vCPU利用時間 ¥31.215241 / 時間
メモリ利用時間 ¥2.225532 / GB / 時間


  1. コネクタの使用
    • Standardコネクタやエンタープライズコネクタの使用に応じて課金されます。
コネクタ 価格
Standard コネクタ ¥0.019510 / アクション実行
エンタープライズ コネクタ ¥0.144516 / アクション実行

従量課金プラン(マルチテナント)

従量課金プランは使用した分だけ料金を支払うプランです。

項目 価格
アクション実行 最初の 4,000 回のアクションは無料
¥0.004336 / アクション実行
Standard コネクタ使用 ¥0.019510 / コネクタ使用
エンタープライズ コネクタ使用 ¥0.144516 / コネクタ使用

料金の詳細は、こちらをご参照ください。


Azure Logic Appsと他のサービスの比較

ここで、Azure Logic Appsと似た機能を持つ他のサービスとの比較を行ってみましょう。

Power Automate との違い

Azure Logic AppsとMicrosoft Power Automateは、どちらも業務プロセスの自動化を目的としたサービスですが、いくつかの重要な違いがあります。

Power Automateイメージ
Power Automateイメージ

Azure Logic Appsは、高度な統合シナリオや大規模な自動化に適しており、開発者向けの機能が豊富です。クラウドサービスの統合に特化しています。

一方、Microsoft Power Automateは、個人やチーム向けで、Office 365との統合が強化されています。さらに、デスクトップアプリケーションの自動化機能(UIフロー)(パソコン上で手動で行っている操作を自動化するツール)も備え付けられています。

Azure Functionsとの使い分け

Azure Logic AppsとAzure Functionsは、どちらもサーバーレスコンピューティングを実現するサービスですが、用途が異なります。

Azure Functionsイメージ
Azure Functionsイメージ

Azure Logic Appsは、ビジュアルデザイナーで業務プロセスを自動化するのに適しており、コーディング不要です。

一方、Azure Functionsはカスタムコードを実行するためのサービスで、複雑な処理が必要な場合に適しています。

両社のサービスは、一緒に使われることが多く、
たとえば、

Logic Appsで自動化された作業の中で、より複雑な処理が必要なときに、Azure Functionsを呼び出してその処理を行う

という連携が可能です。


つまり、Logic Appsが簡単な作業を自動化し、必要に応じてAzure Functionsで専門的な処理を追加できるという仕組みです。

まとめ

以上、Azure Logic Appsの概要、主な機能、活用シナリオ、料金体系、他サービスとの比較についてご紹介しました。

Azure Logic Appsは、ノーコード/ローコードでシステム統合や業務自動化を実現する強力なクラウドサービスです。デジタルトランスフォーメーションが加速する現代のビジネス環境において、Azure Logic Appsは業務効率化とイノベーション創出の鍵となるツールとして、今後さらに重要性を増していくでしょう。

ぜひ、Azure Logic Appsを導入して、働きやすい職場づくりに役立ててください。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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