AI総合研究所

SHARE

X(twiiter)にポストFacebookに投稿はてなブックマークに登録URLをコピー

Azure Marketplaceとは?その概要や利用メリット、購入手順を解説

この記事のポイント

  • Azure Marketplaceは、Microsoft Azure上のアプリやサービスを簡単に検索・導入できるオンラインストア
  • 仮想マシンイメージ、アプリケーション、APIサービス、データサービス、コンテナイメージなど多様なソリューションを提供
  • 無料、従量課金、月額料金、BYOLなど様々な価格モデルに対応
  • ユーザーにとっては簡単な検索・購入・デプロイ、パートナーにとっては信頼性と認知度向上のメリットがある
  • ソリューション公開から購入、請求までの一連のプロセスを詳細に説明

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

クラウドプラットフォームAzureをより活用したい、効率的なITソリューション導入を望む企業や開発者におすすめなのが「Azure Marketplace」です。

本記事では、マイクロソフトが提供するこのオンラインストアについて、利用可能な様々なアプリやサービスから価格モデル、さらにはメリット、ソリューションの公開手順まで、詳しく解説いたします。

また、購入から請求に至る一連のプロセスにも触れ、Azure Marketplaceを通じた効果的なビジネスとソリューションの成長を実現するためのヒントをご紹介します。
Azure Marketplaceを駆使して、ビジネス展開をさらに推進しましょう。

Azure Marketplaceとは

Azure Marketplaceは、Microsoft Azure上で使えるアプリやサービスを探して導入できるオンラインストアのようなものです。企業や開発者が必要なツールやサービス(ソリューション)を簡単に見つけ、使えるようになっています。

Azure Marketplaceイメージ
Azure Marketplaceイメージ

以下、必要なITソリューションの導入を効率的に行うのに便利なAzure Marketplaceについて解説していきます。

Azure Marketplaceで提供されるソリューション

まず初めに、Azure Marketplace で提供されている製品やサービスの種類と価格モデルについて具体的に説明していきます。

主なソリューション

Azure Marketplaceでは、ユーザーは自分に必要なソリューションを簡単に見つけて利用できます。主なソリューションは次のとおりです。

  1. 仮想マシンイメージ:
    事前に設定されたOSやアプリケーションがインストールされた仮想マシンのテンプレートです。

例:

UbuntuやWindows Server、データベース用のSQL Serverなど。
  1. アプリケーション:
    クラウド上で提供されるSaaS(Software as a Service)アプリケーションです。

例:

Office 365、Dynamics 365、Salesforce
  1. APIサービス:
    開発者向けに提供されるAPIで、アプリケーションに新しい機能を簡単に追加できます。

例:

AI ServicesやMaps APIなど。
  1. データサービス:
    業界データや特定の分析ツールがセットになったサービスです。

例:

Bloombergの市場データや、Dun & Bradstreetの業界データなど。
  1. コンテナイメージ:
    Dockerコンテナとして提供されるアプリケーションで、開発者がすぐに使える環境を構築できるようにしてくれます。

例:

NGINX、MongoDB、WordPressなど

価格モデル

Azure Marketplaceの価格体系は、利用するサービスやソリューションの種類に応じて異なっています。主なものをあげてみましょう。

  1. 無料

    • コスト不要で利用可能なソリューションです。
    • 例:基本的なモニタリングツール、オープンソースソフトウェアなど
  2. 無料試用版

    • 一定期間無料で利用可能な後、有料プランに移行します。
  3. 従量課金(Pay-as-you-go)

    • 帯域幅やメール送信量など、使用したリソースやサービスの量に応じた追加料金が発生する仕組みです。
  4. 月額料金

    • 固定の料金を支払い、一定期間(例: 月単位や年単位)サービスを利用できるモデルです。
  5. BYOL(Bring Your Own License)

    • ユーザーが既に所有しているライセンスを使用できるモデルです。
    • 例:ユーザーがすでに持っているOracle Databaseのライセンスを使って、追加コストを抑えながらAzureでデプロイできる仕組み など

詳細は、こちらもご確認ください。

こうした多様な種類の価格モデルの中から、ユーザーは自身のニーズと予算に最適なソリューションを選択することができます。

Azure Marketplaceのメリット

では、Azure Marketplace を利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
ユーザーとパートナーから見たメリットを以下ご紹介します。

パートナーとは、Microsoftと提携し、Azureプラットフォーム上でアプリケーションやサービスを提供する企業や開発者のことです。

簡単に検索、購入、デプロイ可能

ユーザー目線からは、数クリックでアプリやサービスの検索、購入、デプロイができるので、非常に迅速です。

  1. 検索時:
  • 検索時には、カテゴリ、業種、価格モデルなどで絞り込みが可能です。
  • ユーザーレビューや評価を参考にできます。
  1. スムーズな購入プロセス:
  • Azureアカウントと連携しており、購入手続きはとても簡単です。
  • 既存のAzureサブスクリプションに統合されて請求がされます。
  1. 迅速なデプロイ:
  • Azure Resource Manager のテンプレートを使用して、自動でアプリケーションやサービスをデプロイできます。
  • ワンクリックで迅速に、アプリケーションがAzure環境にインストールされます。

Microsoft パートナーとしての信頼性と認知度の向上

パートナー目線では、次のようなメリットがあります。

  1. Microsoft認定:
  • Microsoftが提供する厳格な審査プロセスを通じた認定ソリューションとして、高く評価されます。
  • Microsoftというグローバル企業のブランド力と提携することで、パートナーとしての信頼性が大きく向上します。
  1. 世界的な認知度向上:
  • Azure Marketplaceや他のMicrosoftプラットフォームでソリューションを提供することで、世界中のMicrosoft Azureユーザーから簡単に検索されやすくなります。結果、新規顧客を獲得するチャンスが増加します。
  1. マーケティングサポート:
  • Microsoftは、パートナー企業の製品やサービスのプロモーションを支援してくれます。
  • Microsoftと共同でマーケティングキャンペーンを実施する機会もありえます。

Go-To-Market Services によるパートナー間の連携促進

Azure MarketplaceにはGo-To-Market ServicesというMicrosoftがAzureパートナー向けに提供する支援プログラムがあります。これはパートナーにとって次のような大きなメリットがあります。

  1. パートナーエコシステムへのアクセス

パートナーエコシステム とは、Microsoft Azure Marketplaceにおいて、Microsoftとそのパートナー企業が協力し合い、互いに利益を生むビジネスのネットワークです。

Azureパートナーエコシステムを通じて、パートナーは互いに連携し、補完的なソリューションを提供できる環境が整っています。

  1. ビジネス成長支援
  • Microsoftが、マーケティングリソースやベストプラクティス(成功事例など)を提供してくれます。
  • 営業に役立つトレーニングやサポートも受けることができます。
  1. テクニカルサポート
  • Azureプラットフォームと製品の統合に必要な技術サポートを受けられます。
  • 販売スキルや技術に関するトレーニングも提供され、パートナーが自社製品の市場展開を効率化できるようサポートしてくれます。

このようにAzure Marketplaceは、単にソリューションを提供するだけでなく、パートナー企業のビジネス成長を加速する重要なプラットフォームとして機能しているのです。

Azure Marketplaceへのソリューション公開手順

ではここで、パートナーがソリューションを Azure Marketplace に公開するための手順を、AppSource との使い分けにも触れながら解説していきます。

AppSource と Azure Marketplace の使い分け

ソリューションを公開する場はAzure Marketplaceだけではなく、AppSourceも存在しています。では、どちらに公開するのがよいのでしょうか。以下のポイントを参考にしてみてください。

  1. AppSource:
  • 対象ユーザー: 主にビジネスユーザー向けです。
  • 提供するソリューション: SaaS(Software as a Service)アプリケーションやサービスで、Microsoft 365、Dynamics 365、Power Platform との統合が容易なソリューションです。
  • : プロジェクト管理ツールやCRM(顧客関係管理)アプリケーションなど。
  1. Azure Marketplace:
  • 対象ユーザー: IT専門家や開発者向けです。
  • 提供するソリューション: Azure上で動作する技術的なソリューションを提供しています。
  • : インフラストラクチャ管理ツール、データベース、セキュリティサービスなど。

パートナーセンターでのオファー作成と公開プロセス

Azure Marketplaceにソリューションを公開することを決めたら、さっそく以下の手順で進めていきましょう。

パートナーセンターへの登録
↓
オファーの作成
↓
テクニカル構成
↓
認証と検証
↓
公開
↓
更新と管理

という流れになります。

ステップ1 パートナーセンターへの登録

最初にMicrosoftパートナーとして登録し、パートナーセンターアカウントを作成します。

  1. 公式ページにアクセスし、「パートナーになる」というボタンを選択します。

パートナーになるボタン
パートナーになるボタン

  1. アカウントの作成を始めます。必要に応じてMicrosoftアカウントを使用してログインします。
    アカウント作成画面
    アカウント作成画面

  2. 登録内容が正しければ、Microsoftからパートナーシップが承認され、アクセスが許可されます。こうして、Microsoftのパートナー専用のリソースや特典を活用できるようになります。
    パートナーセンター画面
    パートナーセンター画面

ステップ2 オファーの作成

オファーの作成は、Azure MarketplaceやAppSourceに自分のソリューションを公開するプロセスです。

  1. パートナー センターにサインインし、[Marketplace offers]を選択します。

Marketplace offersクリック
Marketplace offersクリック

  1. 「+ New Offer(新しいプラン)」をクリックし、「Azure Application」を選択します。

新しいプラン選択画面
新しいプラン選択画面

  1. プランIDの設定
    「ID」と「alias(エイリアス)」を入力します。

エイリアス(別名)はパートナーセンター内でのみ表示され、顧客向けの名称とは異なります。(後で変更することはできます。)

設定画面
設定画面

  1. パブリッシャーの選択
    オファーをパブリッシャー(発行元)に関連付けます。
    パブリッシャーの選択
    パブリッシャーの選択

  2. 「作成」ボタンをクリックしてオファーを生成します。

これで、オファーがMarketplaceに登録される準備が完了します。

ステップ3. テクニカル構成

ソリューションがAzureプラットフォーム上で正常に動作するように技術的な統合を実施します。APIや必要なコネクタの実装もこの段階で行います。

ステップ4. 認証と検証

提出されたソリューションは、Microsoftの技術チームによって検証されます。ここで、ソリューションが適切に動作し、セキュリティ要件やコンプライアンス基準を満たしているかが確認されます。

ステップ5. 公開

Marketplaceへの公開: Microsoftによる承認が完了すると、ソリューションがAzure Marketplaceに公開されます。この際、公開方法(全ユーザー向け、プライベート、プレビュー版)を選択できます。

ステップ6. 更新と管理

公開後も、定期的にソリューションを更新し、新しい機能を追加したり、バグ修正を行います。顧客からのフィードバックを受けて改善することも重要です。

Azure Marketplaceでの購入と請求

では最後に、ユーザーが ソリューションを購入する方法と、請求の仕組みについてご説明します。

Azure portal または Azure Marketplace オンラインストアからの購入

Azure portal または Azure Marketplace オンラインストアから購入することができます。

1.Azure Portal経由

まずAzureポータルにサインインします。検索画面でMarketplaceを選択します。
検索画面
検索画面

Marketplaceの画面から利用したいソリューションを探すことができます。
ソリューション画面
ソリューション画面

2.Azure Marketplace オンラインストア経由

Webブラウザから Azure Marketplace に直接アクセスし、商品やサービスを検索できます。
Azure Marketplace オンラインストア
Azure Marketplace オンラインストア

購入手順は次のとおりになります。

  1. 必要なソリューションを検索画面から検索します。
     ソリューションの検索
    ソリューションの検索

  2. ソリューションをクリックします。(ここでは、Azure Kubernetes Service(AKS)を選択します。)
    ソリューション選択
    ソリューション選択

  3. 詳細ページから概要を確認し、「今すぐ入手」をクリックします。
     今すぐ入手ボタン
    今すぐ入手ボタン

  4. この後の画面で必要な設定を入力し、確認画面で購入を完了させます。
     設定入力画面
    [設定入力画面

Azure サブスクリプションへの統合請求

Azure Marketplaceで購入したソリューションは、統合請求システムにより大変便利に支払いができます。

  1. 統合請求システム
    Marketplaceで購入したものは、Azureサブスクリプションにまとめられ、Azureの他のサービスと一緒に請求されます。そのため、複数の請求書に分かれることなく、簡単に費用管理が可能です。

  2. 課金サイクル
    通常、月ごとに後払いの形で請求されますが、一部の製品やサービスでは前払いオプションも選択可能です。

  3. 詳細な使用状況レポート
    Azure Cost Management + Billingを使うことで、使用状況や費用の詳細なレポートが確認できます。

リソースグループやサービスごとに費用を確認できるため、どのサービスにどれくらい費用がかかっているか把握しやすくなります。

Azure Cost Management + Billingイメージ
Azure Cost Management + Billingイメージ

課金プロファイルやEA 課金管理による購入制御オプション

Azure Marketplaceの課金プロファイルEnterprise Agreement(EA)課金管理による購入制御オプションを使うことで、組織全体でのコスト管理が効率的に行えます。

  1. 課金プロファイル

部門やチームごとに予算を設定して、購入権限を管理する仕組みです。例えば、AチームとBチームで異なる予算や購入のルールを設定できます。

  1. Enterprise Agreement(EA)課金管理
    組織全体のAzureやMarketplaceの購入を一括で管理します。部門ごとに使える予算を決めたり、どれくらい使ったか追跡できます。

詳細はこちらをご覧ください。


まとめ

本記事では、Azure Marketplaceの概要、提供されるソリューションの種類と価格モデル、利用のメリット、パートナーによるソリューション公開手順、そして購入と請求の仕組みについて解説しました。

Azure Marketplaceは、多様なソリューションを簡単に検索、購入、デプロイできるプラットフォームとして、Azureユーザーに大きな価値を提供しています。同時に、ソリューションプロバイダーにとっても、グローバルな顧客基盤にリーチする重要な販路となっています。

ぜひAzure Marketplaceを適切に活用して、組織のIT環境を効率的に拡張していってください。この記事が、皆様のお役に立てたら幸いです。

AI活用のノウハウ集「AI総合研究所」サービスご紹介資料

「AI総合研究所 サービス紹介資料」は、AI導入のノウハウがないというお客様にも使いやすい最先端のAI導入ノウハウを知れる資料です。

資料ダウンロード
監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

関連記事

AI導入の最初の窓口。

お悩み・課題に合わせて活用方法をご案内いたします。
お気軽にお問合せください。

AI総合研究所 Bottom banner

ご相談
お問い合わせは
こちら!