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Azure OpenAI Serviceの料金体系をわかりやすく解説!

この記事のポイント

  • 本記事はAzure OpenAI Serviceの料金に関する情報を提供しています。
  • 使用するリージョンとモデルに応じた料金体系をわかりやすく解説しています。
  • 料金計算ツールの紹介や使用方法についても触れており、ユーザーが料金を予測しやすくなっています。
  • コスト削減のためのヒントや、効率的な利用方法についても言及しています。
  • Azure OpenAI Serviceを活用するための予算管理の重要性について説明しています。

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

Azure OpenAI Serviceは、クラウド経由で豊富なAI機能を提供し、インテリジェントなアプリケーション構築を可能にするサービスです。しかし、その利用料金の仕組みは複雑で、把握しづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、Azure OpenAI Serviceを運用する上で欠かせない料金体系について、初心者にもわかりやすく、詳細に解説します。使用するリージョンやモデルに応じた料金の違いを明確に示し、料金計算ツールの使い方やコスト削減のためのヒントも紹介します。

これから、AzureのクラウドAIサービスを活用しようと考えている方や、すでに利用中の方で料金面での最適化を目指している方にとって、この記事は非常に有益な情報源となるでしょう。
Azure OpenAI Serviceの料金についての疑問を解決し、効率的かつ予算に合ったサービス運用を実現するために、ぜひ参考にしてください。

Azureの基本知識や料金体系、利用方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
➡️Microsoft Azureとは?できることや各種サービスを徹底解説

Azure OpenAI Serviceとは

Azure OpenAI Service

Azure OpenAI Serviceは、Microsoft Azureが提供するクラウドベースのAIサービスです。Azure AIサービスに包含される一つのサービスです。

Azure OpenAI Serviceは、OpenAIの強力な自然言語処理モデルや生成モデルを、クラウドベースで活用することができるように設計されています。具体的には、GPT-3などの最先端の言語モデルを使用して、テキスト生成、要約、翻訳、質問応答など様々なタスクを行うことが可能です。

【関連記事】
➡️Azure AI Services解説記事


Azure OpenAI Serviceの料金体系

Azure OpenAI Serviceは、顧客が使用する具体的なサービスに基づいて料金が算出されるため、使用するリソースやモデルに応じてコストが異なります。このプラットフォームは従量課金制で、需要に応じて拡張可能な「ペイ・アズ・ユー・ゴー」形式を採用しています。定額制のプランは現在提供されていません。

また利用料金は利用する地域や、利用モデルによって異なります。利用できるモデルは頻繁に更新されるため公式ページからご確認ください。

本記事では主に東日本リージョンまたはアメリカ東部、(一部アメリカ中北部)でAzure OpenAI Serviceを利用した場合の試算を示します。


利用可能な言語モデル

Azure OpenAI Service内で提供されている言語モデルは、テキスト生成、翻訳、要約など多様な自然言語処理タスクに利用できる強力なツールです。これらの言語モデルの利用料金は、次の表のようになります。表の料金は一回モデルとやり取りした際にかかる料金になります。

東日本リージョン

モデル コンテキスト 入力(1000トークンあたり) 出力(1000トークンあたり)
GPT-3.5-Turbo-0125 16K 該当なし 該当なし
GPT-3.5-Turbo-Instruct 4K 該当なし 該当なし
GPT-4-Turbo 128K 該当なし 該当なし
GPT-4-Turbo-Vision 128K 該当なし 該当なし
GPT-4 8K ¥4.513 ¥9.026
GPT-4 32K ¥9.026 ¥18.052

アメリカ東部リージョン

モデル コンテキスト 入力(1000トークンあたり) 出力(1000トークンあたり)
GPT-3.5-Turbo-0125 16K $0.0005 $0.0015
GPT-3.5-Turbo-Instruct 4K $0.0015 $0.002
GPT-4-Turbo 128K 該当なし 該当なし
GPT-4-Turbo-Vision 128K 該当なし 該当なし
GPT-4 8K $0.03 $0.06
GPT-4 32K $0.06 $0.12

簡単な試算を示します。例えば、東日本リージョンでGPT-4の8Kを用いて、2000トークンの文字を入力し、500トークンの出力を得ることを想定します。
この時の利用料金の計算は以下のようになり、18.052円と計算できます。

4.513 * 2000 / 1000 + 9.026 * 500 / 1000 =18.052

ベース モデル

ベース モデルは、Azure OpenAI Serviceにおける基本的なモデルであり、言語理解やテキスト生成の基本的な処理に使用されます。これらのモデルは、初期設定されたパラメータを使って一般的な用途に対応し、追加のカスタマイズを必要としないシンプルなタスクに理想的です。

東日本リージョン

モデル 1,000 トークンあたりの使用量
バベッジ-002 ¥0.0602
ダヴィンチ-002 ¥0.3009

アメリカ東部リージョン

モデル 1,000 トークンあたりの使用量
バベッジ-002 $0.0004
ダヴィンチ-002 $0.002

微調整モデル

微調整モデルとは、Azure OpenAI Serviceにおいて、クライアント固有のニーズに合わせてカスタマイズ可能なモデルのことです。これらのモデルは、特定のドメイン、業界、あるいはアプリケーションにおいて最適なパフォーマンスを発揮するように調整することが出来ます。

これらのモデルは東日本リージョン、アメリカ東部リージョンともに利用できません。
利用できるリージョンであるアメリカ中北部での価格をお示します。

アメリカ中北部

微調整モデル コンピューティング時間あたりのトレーニング 1 時間あたりのホスティング 1,000 トークンあたりの入力使用量 1,000 トークンあたりの出力使用量
バベッジ-002 ¥5,114.451 ¥255.723 ¥0.0602 ¥0.0602
ダヴィンチ-002 ¥6,017.001 ¥300.851 ¥0.3009 ¥0.3009
GPT-3.5-Turbo (4K) ¥6,769.126 ¥451.276 ¥0.2257 ¥0.3009
GPT-3.5-Turbo (16K) ¥10,228.901 ¥451.276 ¥0.4513 ¥0.6018

自身のリージョンでの利用価格が知りたい方は、Microsoftの公式ドキュメントをご覧ください。

画像モデル

Azure OpenAI Serviceは、高度な画像認識と処理機能を提供する画像モデルもサポートしています。これらのモデルは、画像の分類、オブジェクト検出、画像生成などのタスクで効果を発揮し、様々なビジネスケースでの応用が可能です。

画像モデルは、東日本では利用できません。

アメリカ東部リージョン

モデル 画質 解像度 価格 (画像 100 件あたり)
Dall-E-3 標準 1024 * 1024 該当なし
1024 * 1792 該当なし
1792 * 1024 該当なし
Dall-E-3 HD 1024 * 1024 該当なし
1024 * 1792 該当なし
1792 * 1024 該当なし
Dall-E-2 標準 1024 * 1024 $2

モデルの埋め込み(Embedding)

AI技術における「埋め込み(embedding)」とは、テキスト、画像、音声などの複雑なデータを、機械学習モデルが扱いやすい形式、つまり低次元の実数値ベクトルに変換することを指します。このプロセスを通じて、元のデータの意味的、構造的特性がベクトルの形で保持されます。埋め込みベクトルは、データ間の関係性を数値化し、類似性や文脈を数学的に操作可能にします。

料金体系は次のようになります。

東日本リージョン

モデル 1,000 トークンあたり
Ada ¥0.015043
text-embedding-3-large 該当なし
text-embedding-3-small ¥0.003009

アメリカ東部リージョン

モデル 1,000 トークンあたり
Ada $0.0001
text-embedding-3-large $0.00013
text-embedding-3-small $0.00002

音声モデル

Azure OpenAI Serviceは、音声をテキストに変換する音声認識モデルや、テキストから音声を生成するテキスト・トゥ・スピーチ(TTS)モデルなど、多岐にわたる音声関連サービスを提供しています。これらのモデルはユーザーインターフェースの改善、アクセシビリティの強化、音声コンテンツの生成などに利用可能です。

これらのモデルは東日本リージョン、アメリカ東部リージョンともに利用できません(2024年3月現在)。
利用できるリージョンであるアメリカ中北部での価格をお示します。

アメリカ中北部

音声モデル 価格
Whisper ¥54.16/時間
TTS (テキスト読み上げ) 1,000,000 文字あたり ¥2,256.38
TTS HD 1,000,000 文字あたり ¥4,512.76

自身のリージョンでの利用価格が知りたい方は、Microsoftの公式ページもご覧ください。


Azure OpenAI Servicesの購入方法


Azure OpenAI Serviceを利用するには、以下のステップで購入手続きを行います。

  1. Azureアカウントの作成
    Microsoftアカウントを使用してAzureにサインアップします。
    必要な個人情報や支払い情報を入力し、アカウントを作成します。



2. Azure Portalへのログイン
作成したAzureアカウントを使用して、Azure Portalにログインします。
Azure Portalは、Azureサービスの管理とリソースの設定を行うための中央ハブです。

【関連記事】➡️Azure Portalとは?ログイン方法から操作方法、メリットまで徹底解説!


3. Azure OpenAI Serviceの選択
Azure Portalの左側のメニューから「Create a resource」を選択します。
検索バーに「Azure OpenAI」と入力し、結果から「Azure OpenAI Service」を選択します。

  1. サブスクリプションの作成
    Azure OpenAI Serviceの作成ページで、サブスクリプションの詳細を入力します。
    サブスクリプション名、リージョン、価格レベル、リソースグループなどを指定します。

  2. 支払いオプションの選択
    サブスクリプション作成時に、支払い方法を選択します。
    クレジットカード、銀行口座、または請求書支払いなどのオプションがあります。

  3. 購入の確認
    入力した情報を確認し、利用規約に同意します。
    「Create」ボタンをクリックして、購入手続きを完了します。

  4. リソースの管理
    Azure OpenAI Serviceの購入が完了したら、Azure Portalから作成したリソースを管理できます。
    APIキーの取得、使用量の監視、アクセス制御の設定などを行います。

    【関連記事】➡️Azure OpenAI APIキーの取得方法と利用手順をわかりやすく解説!


料金の見積もりを出す際は、使用するモデルのタイプ、リクエスト数、データ転送量などを考慮する必要があります。Azure Pricing Calculatorを使用すると、予想される費用を計算することができます。

購入後は、Azure Portalを通じてリソースを適切に管理し、セキュリティとコスト効率を維持することが重要です。定期的に使用状況をモニタリングし、必要に応じてスケールアップまたはスケールダウンを行います。

詳しい手順は、こちらの記事をご覧ください。
➡️Azure AI Studioとは?利用手順や料金、デプロイ方法を解説!


Azureの料金計算ツール

Azure OpenAI Serviceを利用する際の料金を計算し見積もるためには、Microsoftが提供する料金計算ツールを使用することが有効です。このツールを通じて、ユーザーは様々なサービスやリソースの組み合わせに基づいた予測料金を簡単に算出することができます。具体的には、API呼び出しの頻度、使用するモデルの種類、データの量などのパラメータをユーザーが入力し、それに基づいて料金が計算されるシステムです。

Azure OpenAI Service
Azure OpenAI Serviceの料金計算ツール

【関連記事】
➡️ Azureの料金計算ツールの利用方法!基本機能や円表示の手順を解説


まとめ

本記事ではAzure OpenAI Serviceの料金体系を、使用リージョンと使用モデルごとに説明しました。また料金を簡単に計算するための計算ツールについても説明しました。この記事をもとにAzure OpenAI Serviceを最もコスト効率の高い方法で使用し、新たな技術の実装において成功を収める助けとなることを期待しています。

Azure OpenAI Serviceの他の情報については、AI総合研究所の関連記事をご覧ください。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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