この記事のポイント
- Azure無料アカウントで$200クレジットと12か月無料サービスを提供、多くのサービスを試用可能
- 従量課金制サブスクリプションで利用量に応じた柔軟な料金体系を実現
- Virtual Machines、Kubernetes Service、Functionsなど多様なコンピューティングサービスを提供
- AI・機械学習サービスでデータ分析や予測モデル作成をサポート
- Azure MigrateやDatabase Migration Serviceでスムーズなクラウド移行を実現
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
クラウドコンピューティングの世界への入門として、この記事ではMicrosoftが提供するクラウドプラットフォーム「Azure」の使い始め方について丁寧に解説していきます。
Azureの基本から主要サービスの紹介、アカウント作成手順、サブスクリション選択のコツまで、初心者にもわかりやすく解説します。
さらに、オンプレミスからクラウドへの移行ガイドやAzure Virtual Desktopの導入前提条件も紹介。Azureを活用したビジネス変革への第一歩を踏み出すための情報が満載です。
目次
Azureを始める
Microsoft Azureは、クラウドベースのサービスを提供する強力なプラットフォームで、企業のニーズに応じた幅広いサービスを提供しています。
この記事ではAzureの基本的な概要と、利用を開始するための具体的なステップについて説明します。
Azureについて知る
まず、Azureについて始める前に知っておきたいポイント3つをご紹介します。
-
Azureでできること
Azureは、さまざまなサービスを提供しています。具体的には…
- 仮想マシンを作成して、クラウド上でアプリケーションを実行する - データベースを管理して、データを安全に保存・操作する - AIや機械学習を使って、データの分析や予測を行う - ネットワークを構築して、クラウド内外での通信を管理する
などです。
あなたに必要なサービスはありそうですか?
Azureでできることについて、さらに詳細を知りたい場合はこちらを参考にしてみてください。
【関連記事】
➡️Microsoft Azureとは?入門者向けにできること、凄い点、使い方を徹底解説(事例付き)!
-
Azure無料アカウントについて
Azureを使い始める最も簡単な方法は、無料アカウントを作成することです。
無料アカウントでは、最初の30日間で$200のクレジットが付与され、Azureの多くのサービスを試すことができます。また、12か月間無料で利用できるサービスもいくつかあります。Azure無料アカウントについてもっと知りたい方は、こちらもご覧ください。
【関連記事】
➡️Azureの無料アカウントとは?作成方法やできることを徹底解説! -
Azureポータルについて
Azureのサービスを利用するためには、Webブラウザを通じてAzureポータルにアクセスする必要があります。
Azureポータルにはさまざまなサービスが一目でわかるダッシュボードが用意されているので、どのリソースがどのような用途で使えるかを簡単に探索できます。
Azureポータル画面
Azure Portalについて、さらに情報が必要な方はこちらも参考にしてみてください。
【関連記事】
➡️Azure Portalとは?ログイン方法や使い方、料金を徹底解説!
Azure アカウントとサブスクリプション
では、次にAzureアカウントの作成とサブスクリプションの種類について説明します。
Azureアカウントの作成
まず、Azureアカウントの作成が必要となります。ここでは、個人ユーザーが新しいAzureアカウントを作成し、無料で提供されるサブスクリプションを利用する手順を解説します。
- Azureの無料アカウント作成ページにアクセスし、「Azureを無料で試す」をクリックします。
無料アカウント作成画面
- Microsoftアカウントでサインインします。アカウントがない場合は、新規登録を行います。
アカウント選択画面
- Azure無料アカウント作成画面が出てくるので、必要事項を入力します。
入力画面
- 入力が終わったら、一番下の「サインアップ」ボタンをクリックしてアカウント作成が完了します。
サインアップボタン
これで、Azureポータルにアクセスし、サービスの利用を開始する準備が整いました。
サブスクリプションの種類と選び方
サブスクリプションとは、Azureでサービスやリソース(仮想マシン、データベース、ストレージなど)を使うための契約です。どのサブスクリプションを選ぶかによって、どのくらいのリソース(仮想マシン、データベース、ストレージなど)を利用するか、どのように支払いをするかが決まります。
Azureのサブスクリプションの基本的な特徴については、以下のとおりです。
-
従量課金制サブスクリプション:
Azureの多くのサービスは、実際に使用した分だけ料金が発生する従量課金制です。リソースの利用量に応じて課金されるため、利用が少ない月はコストを抑えられます。 -
無料でも利用可能:
上記でもご紹介した、新規ユーザー向けに提供される無料サブスクリプションプランがあります。Azureを初めて利用する場合、まずこのプランから始めるのがおすすめです。
Azure料金体系についてさらに知りたい方は、こちらもご覧ください。
【関連記事】
➡️ Azureの料金体系を解説!サービスごとの料金例や確認方法も紹介
Azureの主要サービス概要
次に、Azureで提供されている主要なサービスについて紹介します。Azureは100以上のサービスを提供し、企業が必要とするほぼあらゆるITニーズに対応しています。
Azureのコンピューティングサービス
Azureのコンピューティングサービスは、クラウド上でさまざまなアプリケーションやシステムを動かすための基盤となるものです。主に、以下のようなサービスがあります。
- Azure Virtual Machines (VM):
Azure Virtual Machinesは、Azureが提供するクラウドベースの仮想マシンサービスです。仮想マシンとは、物理的なコンピュータと同じように動作するソフトウェアで、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションを実行できます。Azure VMを使うと、物理的なハードウェアを持たなくても、インターネット上でコンピュータを利用できるようになります。
例えば:
- 自分のPCやサーバーを持たずにアプリを動かしたいとき
- 必要に応じてリソースを増やしたいとき
に大変便利です。
VMについてさらに知りたい方は、こちらもご覧ください。
【関連記事】
➡️ Azure Virtual Machines(VM)とは?料金体系やシリーズ毎の特徴を解説
- Azure Kubernetes Service (AKS):
AKSは、たくさんのアプリケーションをまとめて動かすための「コンテナ」を管理するサービスです。コンテナとは、アプリを軽く、効率よく動かすためのパッケージのようなものです。
AKSを使うと、アプリケーションにアクセスが集中した場合にもコンテナの数を簡単に増やしたり(スケールアップ)、システム障害に備えてシステムが常に動いている状態を保つ(高可用性)ことができます。
例えば:
- 大規模なアプリケーション
- 複数のコンポーネントが連携するシステムを効率よく管理したいとき
におすすめです。
- Azure Functions
Azure Functionsは、特定のイベントが発生したときに自動でコードを実行できるサービスです。サーバーの設定や管理はAzureが自動で行ってくれるので、ユーザーはコードの作成に集中することができます。
例えば:
- 定期的に行う処理(毎日決まった時間に、ウェブサイトのアクセスログを分析してレポートを作成)
- 特定の出来事(イベント)が発生したときに自動で処理を行う(ユーザーが新しい注文をしたら、注文内容をメールで送信)
場合にとても効果的です。
AI + Machine Learning
AIと機械学習はAzureが大きな力を入れているサービスになります。以下にそのサービスの一部を紹介します。
- Azure Machine Learning
Azure Machine Learningは、データサイエンティストや開発者が、機械学習モデルを作成し、訓練し、実際に使えるようにするためのプラットフォームです。データから未来を予測するモデルを作り、それをアプリケーションやサービスに組み込むことができます。
例えば:
売上予測、顧客の行動予測、異常検知など、データに基づいて何かを予測したいとき
に使います。
- Azure AI サービス (旧Azure Cognitive Services)
Azure AI サービス は、AIの機能をアプリケーションに組み込んで、人間のような理解や判断をさせるサービスです。視覚(画像認識)、音声(音声認識)、言語(翻訳やテキスト解析)、意思決定(推奨システムや異常検知)などのサービスがあります。
例えば:
- 写真の内容を自動で判別(画像認識)
- 誰かが話した内容をリアルタイムで文字に起こす(音声認識)
- 翻訳・要約、チャットボットに自然な会話をさせる(自然言語処理)
- 顧客におすすめの商品を提案、異常なデータを検知してアラートを出す(意思決定)
など様々な機能を利用できます。
詳細は、こちらの記事もご覧ください。
【関連記事】
➡️Azure AI services(旧Azure Cognitive Services)とは?その概要や料金を徹底解説
リソースとツール
Azureを効果的に使いこなすため、ここでは、特に役立つ情報とツールについて簡単にご紹介します。
Azure情報
以下の情報は、Azure初心者から上級者までどんな方にとっても非常に役立ちます。
-
Azure公式ドキュメント:
Azureのサービスについて詳しく説明している公式ガイドです。初めて使うときの手順や、技術的な詳細、APIの使い方まで、Azureにまつわる情報がすべてここに載っています。 -
Azure Updates:
新機能やアップデート、メンテナンスの予定など、最新の情報をチェックできるサイトですが、英語での記載になります。
Azureの公式ドキュメントや製品ページには、日本語を含む複数の言語で情報が提供されているため、詳細が必要な場合は日本語のドキュメントを参照することをお勧めします。
学習
Azureは常に進化していて、その変化に対応するためには学び続けることが大切です。最新の技術を習得し続けるには次の方法がおすすめです。
-
Microsoft Learn:
無料で学べるオンライン学習プラットフォームです。学習単位毎に分かれたコースになっており、Azureの基礎から、セキュリティやデータ分析といった専門的な内容まで、自分のペースで学べます。詳しくは、こちらの記事もご覧ください。
【関連記事】
➡️Microsoft Learnとは?AzureやAIの基礎が無料で学べる方法を解説! -
Microsoft Azure 認定:
Azureの知識とスキルを証明するための数多くの試験が用意されています。これに合格すると、公式に認定され、専門家としての証明になります。キャリアアップにも役立ちます。詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【関連記事】
➡️Azure認定資格完全ガイド!一覧やロードマップ、価格体系を徹底解説
Azureクラウドへの移行
多くの企業が、従来のオンプレミス(社内にあるサーバーやシステム)からクラウド環境へ移行しています。Azureは、この移行をスムーズに進めるためのサポート機能を提供しています。
移行サポート機能
主なサポート機能は以下のとおりです。
-
Azure Migrate:
Azure Migrateは、オンプレミス(社内のサーバーやデータセンター)で稼働しているシステムやアプリケーションをAzureクラウドに移行するための総合的なサービスです。Azure Migrateを用いることで、移行プロセスの計画や実行が効率的に行えます。例えば:
移行の可否: Azure Migrateを使って、移行したいアプリケーションがどのように動いているかをディスカバー(発見)し、 アプリケーションのサーバー、使用しているデータベース、ネットワーク設定などを自動的にスキャンして、移行が可能かどうかを評価します。 さらに、コストの見積もりも行えます。 移行の実行: Azure Migrateの自動化ツールを使って、オンプレミスのWebサーバーを移行します。 移行中の進捗はAzureポータルでリアルタイムに確認できます。
に役立ちます。
このようにAzure Migrateは、移行対象の調査、互換性の評価、移行の実行までを包括的にサポートしてくれます。
-
データベース移行サービス (Azure Database Migration Service):
データベース移行サービスは、特にデータベースの移行に特化したツールで、オンプレミスのデータベースをAzureのデータベースサービスにスムーズに移行します。移行プロセスを自動化し、安全かつ効率的にデータを新しいクラウド環境に移すために使用されます。
Azure Virtual Desktop
リモートワークやハイブリッドワークが増える中で、多くの企業が仮想デスクトップの導入を考えています。
Azure Virtual Desktopは、Azure上で安全で信頼性の高い仮想デスクトップ環境を提供するサービスです。ここからはAzure Virtual Desktop (AVD) の利用のための前提条件についてご紹介します。
Azure Virtual Desktop の前提条件
AVDを利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
-
Azure アカウントとサブスクリプション
AVD を利用するためには、アクティブ(有効)なサブスクリプションを含む Azure アカウントが必要です。 -
ID プロバイダー
AVD の認証には Microsoft Entra ID (以前の Azure AD) が必要です。 -
ライセンシング
Windows OS を使用し、必要な Microsoft 365 または Windows のライセンスが必要です。 -
ネットワーク接続
AVD を利用するためには、安定したネットワーク接続が不可欠です。 -
リモートデスクトップクライアント
ユーザーは、Windows、macOS、iOS、Android などで利用できるリモートデスクトップクライアント(ユーザーが別のコンピュータ(例えば、仮想デスクトップやリモートサーバー)にリモートでアクセスするために使用するソフトウェア)を使用して AVD に接続します。
参考:Microsoft
また、Azure Virtual Desktop の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
【関連記事】
➡️Azure Virtual Desktopとは?その機能やメリットを徹底解説
まとめ
この記事ではAzureの基礎から、各主要サービスの利用方法、移行ガイド、さらにはVirtual Desktopまで、Azureを始めるための情報を幅広くご説明しました。Azureを利用したプロジェクトの第一歩として、この記事を活用し、クラウドコンピューティングのパワーを最大限に引き出しましょう。