この記事のポイント
- この記事は銀行業界におけるAIの活用事例を幅広く紹介しています。
- 銀行内でのFAQ応答や文書作成の効率化など、業務の自動化にAIが利用されています。
- 金融業界においては、特にデータプライバシーの確保やAIモデルの継続的な評価が重要です。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
金融業界において、AI技術の効果的な活用が急速に進んでいます。
しかし、具体的に銀行業界でどのようにAIが利用されているのか、その詳細は案外知られていないのではないでしょうか。
本記事では、顧客サービスの向上からリスク管理の強化、業務効率化まで、多岐にわたる銀行業界でのAIの活用事例を28選紹介いたします。
さまざまな事例を通じて、AI利用のメリットやデメリット、成功への要点についても徹底解説。皆さんが銀行業界でのAI活用の現状とその可能性を深く理解する手助けになる内容をお届けします。
AI技術による革新がもたらす金融業界の未来について、合わせて考察していきましょう。
目次
銀行・金融業界におけるAIの導入事例28選
1.宮崎銀行
Gaixerの画像
宮崎銀行は、人手不足といった課題を克服し業務効率を向上させるため、FAQ応答・文書作成の時間削済を目的とした「Gaixer」の実証実験を開始しました。
この実験を通して、内部業務のスピードと精度を改善し、これからの金融業務におけるDX推進への期待を高めています。
【関連記事】
宮崎銀行とFIXERのAI効率化実験
2. 北陸銀行/北海道銀行
株式会社ほくほくフィナンシャルグループの報道資料
北陸銀行と北海道銀行は富士通株式会社と共同で銀行内の問い合わせ対応や業務書類の作成、プログラムの作成に対話型生成AIコアエンジン「Fujitsu AI Platform」を活用する実証実験を開始しました。
従来、銀行業務は煩雑な問い合わせ対応や各種業務書類の作成、システム開発に関するプログラム作成など、多岐にわたる作業が発生し、スタッフの手作業に依存する局面が多くあり、これらの改善が期待されています。
【関連記事】
富士通と地銀の共同AI実証実験開始
3.共栄火災海上保険
共栄火災海上保険の事例
共栄火災海上保険ではAIチャットボット「WisTalk」を導入しました。
その結果、定型的な問い合わせへの自動化や、即時的な回答提供が可能になるなど、具体的な効果として月間平均9100件の利用という数字が示されています。
また、Azure OpenAIでセキュリティを確保している点も特徴です。
【関連記事】
共栄火災AIチャットボット効率化事例
4.三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)
SMBC-GAIの画像
三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)では2023年4月より、独自開発のSMBC-GAIと名付けられたAIアシスタントツールの実証実験を行っています。
こちらは従業員専用のAIアシスタントツールで、文章作成、要約、翻訳などの業務自動化による生産性向上が目的です。
開発からルールづくりまで、わずか4カ月で実用化に至った点も注目を浴びています。
【関連記事】
SMBCグループAIアシスタント導入実験
5.三井住友カード
三井住友カードの生成AI利用
三井住友カードでは運営下のコンタクトセンターにおいて検索拡張生成(RAG)技術を用いた生成AIの本番利用を開始しています。
月間50万を超える問い合わせに対応するために、回答の草案を社内データから自動で生成し、オペレーターの業務負担解消を図っています。
また、今後は生成AIチャットでの問い合わせやメール回答業務での利用も見込まれており、最大60%の時間短縮が期待されています。
【参考記事】
三井住友カードとELYZA、お客さまサポートにおける生成AIの本番利用を開始
6.三井住友信託銀行
IGSと三井住友信託銀行
三井住友信託銀行ではAIを活用した360度評価ツール「GROW360(グロー・サンロクマル)」を利用しています。
これは、人的資本である「能力」を、企業間を超えて横比較可能な評価基準に基づいて測定できる、AIを活用した360度評価ツールです。評価者の甘辛傾向や忖度等、上司や採用面接官等、評価者固有の「評価の偏り(バイアス)」をAIが分析・補正することによって、より正確な評価結果が得られます。
これにより従業員一人一人の適性を見極め、キャリアの自律を促進することが期待されています。
【参考記事】
IGSが三井住友信託銀行と業務提携契約を締結。人的資本の測定・開示に向けたソリューションとしてGROW360を展開
7.七十七銀行①
七十七銀行によるAIの導入
七十七銀行は、融資先の業況判断やリテール分野での効率的な商品提案の推進に生成AIを導入しています。
これにより、チャネル別の販売状況の分析・可視化、プログラミングコードの自動生成、分析結果の文書化を実現しています。
非構造データの構造化と自動転記システムの構築により業務効率化が図られました。今後はさらに広範な業務へのAI導入が検討されています。
【関連記事】
AI技術を活用した七十七銀行の挑戦を解説_データ分析の自動化
### 8.七十七銀行②
AI審査のスキーム概要
七十七銀行では三菱総合研究所が提供する「審査AIサービス」を導入することを発表しました。
導入予定時期は2025年1月で、住宅ローン審査業務の効率化や審査時間の短縮による、顧客の利便性向上ならびに銀行の生産性向上が期待されています。
【参考記事】
住宅ローン審査業務における「審査AIサービス」の導入決定について
3.9 セブン銀行
セブン銀行のATM予測モデルの画像
セブン銀行ではAI技術を用いてATM運用の効率化を行いました。
独自の入出金差額予測モデルを構築したことで、入金・回収作業の効率化が見込まれています。また、ATMが使えないリスクというリスクを最小限にとどめています。
本プロジェクト自体が、データ活用人材を育成することにも繋がり、社内でのAI技術の理解が深まったことも報告されています。
【関連記事】
セブン銀行の革新的DX推進とATM予測モデル
10.三菱UFJ銀行 ①
MUFG版「ChatGPT」の開発秘話
三菱UFJ銀行では従業員向けにMUFG版「ChatGPT」を提供しています。
導入済みのAzureの基盤上に、Azure OpenAI Serviceと連携したアプリを構築することでスピード感のある導入を実現しました。
また、稟議書の作成アシストや金融レポートの要約、行内手続き照会など、すでに110以上の業務で使用されています。今後は全行員が利用できる環境を整え、更なる業務効率化が期待されています。
【参考記事】
MUFG版「ChatGPT」の開発秘話:DX化を加速させる新たなオープンイノベーション
11.三菱UFJ銀行②
協働が期待される分野
三菱UFJ銀行は、AIと量子技術の活用に強みを持つソフトウェア企業であるグルーヴノーツとの資本・業務提携を締結し、グルーヴノーツの発行済株式の約18%を取得しました。
この提携により、DX推進やデジタル人材育成の強化、リスク管理の高度化、事務・オペレーションの効率化など、多様な領域での協業が期待されます。
【参考記事】
AIと量子技術で未来を切り拓く!グルーヴノーツの革新的DX支援と三菱UFJ銀行との協業事例
12. 三菱UFJ信託銀行
学習型AI ネガティブニュースラベリングシステムのイメージ
三菱UFJ信託銀行では、株式会社MILIZEと共同で、ニュースベンダー等、複数の情報ソースから配信される様々なビジネスニュースからネガティブニュースを抽出し、AIを活用して特定の情報の抽出および優先順位付けを行う、学習型AIネガティブニュースラベリングシステムを開発しました。
こちらは、市場運用業務におけるニュース分析、デューデリジェンス(評価)業務において活用されています。
【参考記事】
学習型AI ネガティブニュースラベリングシステム「NAIS」の実用化に向けた取り組みについて
13.横浜銀行 ①
AIヘルプデスク for Microsoft Teamsの画像
横浜銀行は、深層学習と自然言語処理(NLP)を活用した「AIヘルプデスク for Microsoft Teams」の運用を開始しました。
このサービスは、AI対話エンジン、FAQ自動生成、有人連携、問い合わせ管理などの機能がシームレスに連携し、Microsoft Teams上で社内ヘルプデスクを自動化します。
このシステムの導入により、問い合わせを行う行員と回答を行う行員の両方が本来の業務に専念できる環境が整い、AIを活用した効率的なナレッジマネジメントが実現することが期待されています。
【参考記事】
横浜銀行が「AI ヘルプデスク for Microsoft Teams」を導入:大手地銀にて、AIと人のハイブリッドで問合せ工数削減とナレッジマネジメントを同時実現
14.横浜銀行②
横浜銀行の事例
横浜銀行は事務サービス部融資業務センターにて、2023年2月からAI電話自動応答(ボイスボット)「MOBI VOICE」を導入しています。
AIでの受付を導入することでユーザーが電話した際にオペレーターに繋がる前に電話を切ってしまう「放棄呼」を防ぐ効果があり、結果として、電話口でお客さまを待たせせずに対応できるようになったことや、24時間受付が可能になったことなど様々な成果が挙げられます。
また、一時受付をAIに担当させることで、行員の時間を月間で67時間を削減しています。これにより、不正利用対策施策に時間を使うことや対応効率の向上が見られています。
【参考記事】
株式会社横浜銀行|電話からボイスボットへ。自動化によるデジタルチャネルの促進で放棄呼ゼロを実現
15.ゆうちょ銀行①
AI画像分析を活用した特殊詐欺被害防止対策
ゆうちょ銀行では警察庁と協力して AI画像分析を活用した特殊詐欺被害防止対策を行なっています。特にATM前での携帯電話での通話を検知することで、被害防止の実効性を向上しています。
実証実験野結果を踏まえ、今後は全国展開していく方針です。
【参考記事】
AI画像分析を活用した特殊詐欺被害防止対策の全国展開について
16.ゆうちょ銀行②
ゆうちょ銀行のAIアシスタント(出典)PRタイムズ
ゆうちょ銀行は従業員からの質問に対して的確に回答できるようにする「AIアシスタント」を導入しています。
まずは労務に関する照会業務や文書作成などで活用し、今後も、生成AI等を活用した業務効率化が図られていくでしょう。
【参考記事】
ゆうちょ銀行、東大発新興の生成AI導入 内部業務効率化
17.東京海上日動火災保険①
東京海上日動火災保険の画像
東京海上日動火災保険株式会社は、社員一人ひとりが利用可能な生成 AI "One-AI for Tokio Marine"を導入しました。
これは、専用システム内のセキュアな環境下で利用可能なChatGPTで、社員の日々の業務をサポートします。
文章・資料作成や情報検索、議事録・レポートの要約などの業務効率化を進めて社員一人ひとりの生産性を高めることが期待されています。
【参考記事】
全社員向け生成 AI “One-AI for Tokio Marine”の活用開始~ChatGPT による業務効率化を実現~
18.東京海上日動火災保険②
東京海上日動火災保険のお客様応対業務
東京海上日動火災保険では「お客様応対業務」で言語生成AI活用の実証実験を実施しました。
結果としては顧客への応対文面の作成業務において約50%の省力化に成功しており、同時にオペレーターの応対品質の均質化・向上にもつながったと報告されています。
この結果を踏まえ東京海上日動は、実業務への言語生成AIの実装に向け、本格検討を開始することが発表されています。
【参考記事】
ELYZA、東京海上日動の事故対応におけるお客様応対業務で言語生成AIの活用に成功
19.東京海上日動火災保険③
東京海上日動火災保険では日本マイクロソフト株式会社・PKSHA Technologyと共同で保険領域に特化した対話型 AI を開発しており、保険業務における試験活用を2023年6月から開始しています。
保険の補償内容・手続き方法といった社内における各種照会に対して、対話型AIが回答案を自動生成するツールを開発し、2023 年6月より社内における照会応答のサポートツールとして活用していることが発表されています。
【参考記事】
20.みずほフィナンシャルグループ①
WizChatの導入過程
みずほフィナンシャルグループは、事務手続照会や与信稟議作成の時間短縮と高品質化を実現するため社内向けテキスト生成AIを導入しました。
業務の高品質化と速度向上が達成され、稟議作成にかかる時間は10分へと削減されました。これにより、より高度な業務に人間の時間を割くことが可能になり、顧客サービスの向上につながっています。
【関連記事】
みずほのAI活用で変わる業務効率化
21.みずほフィナンシャルグループ②
ネット住宅ローンのAI事前診断の画像
みずほ銀行ではネット住宅ローンの手続きに「AI事前診断」を導入しています。
これにより事前に借入の可能性を即座に診断できるほか、高い診断精度のもと借入計画を再検討することが可能です。
また、物件が決まっていなくても、みずほ銀行の口座を持っていなくても使用できる点も大きな特徴です。
【参考記事】
みずほ銀行:住宅ローン AI事前診断
22.みずほフィナンシャルグループ③
みずほフィナンシャルグループでは日本IBMのIBM watsonx基盤モデルを活用し、システム運用における品質向上と効率化を目指す実証実験を、2023年8月から3ヵ月間、共同で実施しました。
この結果、イベント検知におけるエラーメッセージの監視と対応において98%の精度を実現しています。
今後は、対象となるシステムを拡張して検証を進め、最終的には運用の自動化を目指すことが発表されています。
【参考記事】
みずほと日本IBM、システム運用に生成AIを活用する実証実験を通じて運用の高度化を実現
23.みずほフィナンシャルグループ④
みずほの音声ボット
みずほ証券のコールセンターでは人工知能(AI)を実装した音声対話エンジンを実装しています。
事前に用意した音声での回答とは違って、受けた質問に対して柔軟に応えるので、自然な会話をしているような応対が特徴です。
徹底した顧客視点とシニアの方にも使いやすい設計が評価され、「コンタクトセンター・アワード2022」にて最優秀賞を受賞しています。
【参考記事】
コンタクトセンターの利用満足度向上と業務効率アップをめざして。シニア層も活用する電話のDX「AI音声ボット」。
24.名古屋銀行
名古屋銀行の事例
名古屋銀行では、AI-OCRを活用し、事務作業の効率化を図りました。
導入したDX Suite は高精度文字認識 AI を搭載しており、これまで困難であった手書きの書類を読み取ることが可能です。それらの書類をRPAと連携させることで、一層の業務効率化が促進されています。
効果としては年間1000h程度の業務時間を削減する見込みで、今後も対象業務が拡大される予定です。
【参考記事】
年1,000時間以上の削減見込み。AI-OCR活用がデジタル化の鍵
25.ふくおかフィナンシャルグループ①
ふくおかフィナンシャルグループの画像
ふくおかフィナンシャルグループでは、「AI戦略グループ」を2024年4月1日に新設し、生成AIの活用についてよりスピーディに検討しています。
今後の既存業務の効率化・営業高度化が期待されるだけではなく、将来的にはAIを起点としたビジネスプロセスの再構築を目標とし、先端テクノロジーに関する知見を有するベンチャー企業等、外部パートナーとの協業も検討されてます。
【参考記事】
AIの戦略的活用に向けた専門部署の新設について~ お客さま向けサービス強化と社員の生産性向上を目指す取り組み~
26.ふくおかフィナンシャルグループ②
融資稟議書作成AIの画像
ふくおかフィナンシャルグループでは「融資稟議書作成AI」の実証実験をIBMとともに進めています。
実証実験ではAIにより高い品質と網羅性の稟議書生成を実現しており、作業時間も35%削減を達成しています。
今後はAIの社内活用に加え、顧客向けサービスに生成AIを組み込み、サービス向上や業務効率化を進めていく見通しです。
【参考記事】
基幹の融資業務で生成AIを活用|ふくおかフィナンシャルグループのDX最前線 第一弾
27.楽天証券
楽天証券では、NVIDIA ACEを採用したアバターと会話ができる、投資相談AIアバターを開発しました。
「NVIDIA ACE」を活用した会話型相互コミュニケーションがおこなえるAIアバターサービスを個人向けに開発・提供するのは、日本で初めての試みとなっています。
今後正式提供が予定されており、顧客のお金や投資に対する不安やハードルを軽減することが期待されています。
【参考記事】
楽天証券、「NVIDIA ACE」を採用した日本初の「投資相談AIアバター」を開発
28.大和証券
大和証券の画像
大和証券では全社員約9,000人を対象にChatGPTの利用を開始しています。
英語等での情報収集のサポート・資料作成の外部委託にかかる時間の短縮や費用の軽減・各種書類や企画書等の文章・プログラミングの素案作成
等に用いることで、顧客と接する時間や企画立案等、本来業務に充てる時間の創出が期待されています。
【参考記事】
大和証券、対話型AIの「ChatGPT」を導入し全社員約9,000人を対象に利用を開始
銀行・金融業界でAIを活用するメリット
業務効率化
AIは、多くのプロセスを自動化するため、業務効率を大幅に向上させます。
例えば、顧客情報の入力や更新処理、レポートの作成などの反復作業を迅速かつ正確に行うことができます。
コスト削減
AIの導入により、人件費や運用コストを削減することが可能です。例えば、チャットボットを導入することで、顧客対応のコストを削減できます。
また、不正取引の監視やクレジットリスクの評価などにAIを活用することで、コスト効率の高い運用が可能になります。
顧客サービスの向上
AIは、顧客の行動や取引履歴を分析し、個々のニーズに応じたパーソナライズされたサービスを提供することができます。
例えば、AIを活用することで、顧客の金融取引を管理し、最適な投資アドバイスや節約の提案を行うことが可能です。
リスク管理の強化
AIは、大量のデータをリアルタイムで分析し、潜在的なリスクを早期に検出する能力を持っています。例えば、AIを活用して異常な取引パターンを検出し、即座に不正取引に対して対処することができます。
また、クレジットリスクの評価にAIを用いることで、貸し倒れリスクを低減することも可能です。
銀行・金融業界でAIを活用するリスク
データプライバシーとセキュリティ
AIシステムは大量のデータを扱うため、常にデータプライバシーとセキュリティのリスクが伴います。
顧客の個人情報や取引データに対して、適切なセキュリティ対策やデータ保護の仕組みが求められています。
AIシステムの誤判定リスク
AIはデータに基づいて予測や判断を行いますが、必ずしも正確な結果を出すとは限りません。
特に、不正取引の検出やクレジットリスクの評価において、正当な取引が不正とみなされたり、信用のある顧客が不適切にリスクと評価されたりする可能性もあります。
規制遵守の課題
銀行・金融業界は厳しい規制の下で運営されており、AIの導入にはこれらの規制を遵守する必要があります。
AIの透明性や説明可能性に関する規制が不十分な場合、AIの判断過程が不明瞭となり、規制当局からの信頼を失うリスクがあります。
技術的依存とシステム障害の影響
AIシステムに過度に依存することは、技術的なリスクを伴います。
AIシステムの障害やバグが発生した場合、業務が停止し、顧客に対するサービスが中断する可能性を最小限に留める必要があります。
銀行・金融業界でAI導入を成功するためのポイント
適切なデータ管理とクオリティ
銀行・金融業界では、顧客情報、取引データ、財務データなど、さまざまなデータが存在します。
これらのデータを適切に収集、整理、管理し、正確で信頼性のあるデータをAIシステムに提供することが重要です。
継続的なAIモデルの評価と改善
AIモデルは初期の構築だけでなく、継続的な評価と改善が求められます。
定期的にモデルのパフォーマンスを評価し、新しいデータを取り入れてモデルを更新することで、AIシステムの精度と有効性を維持することができます。
専門家のスキルアップと教育
AI技術は急速に進化しており、これに対応するためには専門家のスキルアップと教育が欠かせません。
スタッフ全員が、AIの基本原理や応用方法を理解し、最新の技術トレンドに対応できるようにする必要があります。
透明性と倫理の確保
AIシステムの透明性と倫理性を確保することは、顧客の信頼を維持し、規制遵守を達成するために重要です。
社内での倫理委員会の設置や第三者による評価を導入することも有効でしょう。
まとめ
この記事では最新の事例を踏まえ、銀行・金融業界でのAIの導入・活用事例を28つ紹介しました。
生成AIの利用は社内利用にとどまらず、顧客サービスにも利用されています。
生成AIの利用については留意点をしっかり抑え、業務改善と効率化につながるような利用を進めていきましょう。
この記事が、皆さんの銀行業界でのAI利用に関する理解が深まる一助となれば幸いです。