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介護・福祉業界におけるAIの活用事例!現状の課題や導入メリットも紹介

この記事のポイント

  • 人手不足や生産性向上など、介護福祉業界の課題解決にAIが貢献
  • ベネッセスタイルケアやLIFULLなど、多様な企業がAIを活用し業務効率化を実現
  • 見守りシステムや睡眠モニタリング、介護記録の自動化などでAIが活躍
  • 個別化されたケアの提供や業務効率化、データ分析など、AI活用のメリットは多岐にわたる
  • プライバシー保護や倫理的配慮など、AI導入には課題も存在

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

介護福祉の現場で、AIの活用が進んでいます。
人手不足の解消、ケアの質の向上、業務効率化――。これらの課題に、AIがどのように貢献しているのでしょうか。

本記事では、介護福祉業界におけるAI活用の最新事例を紹介します。ベネッセスタイルケアの認知症ケア支援AI、パラマウントベッドの睡眠モニタリングシステム、自治体による要介護リスク予測など、様々な取り組みを取り上げます。

AIがもたらすメリットと、導入時の課題についても解説。現場の声を交えながら、介護福祉×AIの現在と未来を探ります。

介護業界の現状の課題

2024年度政府経済財政白書を元に、介護・福祉業界の現状と課題について説明します。

少子高齢化と人口減少

日本では少子高齢化が進行しており、労働力人口の減少が顕著です。これにより、医療・福祉・介護の分野では人材不足が深刻化しています。
高齢者の増加に伴い、需要は拡大しているものの、労働力の供給が追いつかない状況にあります。

企業の人手不足感は、非製造業(介護・福祉含)でバブル期並み
企業の人手不足感は、非製造業(介護・福祉含)でバブル期並み(参考:令和6年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告))

労働市場のミスマッチ

介護・福祉分野では、特定の職種や地域において、需要と供給のミスマッチが発生しています。特に地方での介護職の供給不足が顕著です。

労働移動が十分に進んでおらず、同一職種内での移動が多く、職種をまたぐ労働移動が限定的であることが、ミスマッチを一層悪化させています。

介護等を含むサービスは東京圏を除き全国的に供給が過少となっている
介護等を含むサービスは東京圏を除き全国的に供給が過少となっている (参考:令和6年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告))

賃金水準と生産性の課題

介護職などの労働集約的な分野では、賃金水準が低く、労働力の確保が困難です。
賃金引き上げによる人材確保が必要ですが、生産性の向上が追いつかず、課題となっています。

保健衛生・社会事業分野では、労働生産性の上昇率にマイナスの影響
保健衛生・社会事業分野では、労働生産性の上昇率にマイナスの影響がみられる(参考:令和6年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告))

【その他の課題】

課題 内容
人材確保と賃金引き上げ 医療・福祉・介護分野での労働力不足解消、生産性向上
リスキリング(再教育) 供給過剰職種から不足職種への労働移動促進、職業訓練充実
地域間格差の是正 都市部と地方の需給格差解消、デジタル化・地方創生推進
省力化・省人化投資の促進 AIやロボットを活用した人手不足分野の効率化
産業間労働移動の促進 成長分野への労働移動円滑化、介護分野への人材流入支援


これらの課題に対して、政府や企業がどのように対応していくかが、今後の介護・福祉分野における持続可能な発展に大きな影響を与えると考えられます。

AI✖️介護福祉で実現できること

介護福祉業界でAIが活用された際、以下6点の実現が期待されます。

実現できること 詳細
1. ケアの効率化と質の向上 - 自動化と支援: AIで介護職員の作業を自動化し、業務効率を向上。対人ケアや専門業務に集中可能。
- ケアプランの最適化: 過去データを基にAIで個別最適なケアプランを作成。
2. 健康状態の予測と早期対応 - 健康データのモニタリング: センサーやウェアラブルデバイスのデータをAIが分析し、リアルタイムで健康状態をモニタリング。
- 予測分析: AIで疾病リスクや健康悪化を予測、予防ケアを提供。
3. 介護ロボットの活用 - 身体的支援: AI搭載ロボットが移動や持ち上げなどの身体支援を行い、介護職員の負担を軽減。
4. 業務管理と運営の効率化 - シフト管理とリソース配分: AIが職員のシフトや業務を最適にスケジュール、リソースを最適配分。
5. 個別化されたケアの提供 - パーソナライズされたサービス: AIが個別のニーズや嗜好を学習し、最適なケアやサービスを提供。
6. リスク管理と安全確保 - リスク検知: AIが異常行動や危険状況を早期に検知し、事故や怪我を未然に防止。
- セキュリティ向上: AIが施設内のセキュリティを監視し、不正侵入や安全リスクを自動検知・対応。

介護・福祉業界におけるAI活用事例

介護福祉業界では、人手不足や業務効率化の課題に対応するため、AIの活用が急速に広がっています。

以下では、先進的な事例を紹介し、AIがどのように介護現場を変革しているかを具体的に見ていきます。

ベネッセスタイルケア

ベネッセスタイルケアは、認知症ケアの質を向上させるためにAI技術を導入しています。
このシステムは、入居者の行動や健康状態をリアルタイムで監視し、異常を早期に検出してスタッフに通知するものです。

介護福祉業界活用事例_ベネッセスタイルケアによるマジ神AIの概要
出典:ベネッセスタイルケアがAzureを基盤に、腕利き介護士のスキル実践を可能にする「マジ神AI」を構築! 目指すは科学的介護によるQOL向上より マジ神AIの概要

AIが入居者の行動パターンを学習し、異常な動きや状態変化を自動で認識することで、スタッフは迅速に対応でき、適切なケアを提供できます。
これにより、ケアの質が向上し、スタッフの負担も軽減されました。

従来の認知症ケアでは、入居者の状態変化を迅速に把握することが難しく、AI技術の導入が求められていました。
新たなAIシステムは、入居者の動作や日常生活のパターンを学習し、異常が発生した際には即座にスタッフにアラートを送信します。
たとえば、転倒のリスクが高まった場合や異常な夜間活動が見られた場合などに、スタッフが迅速に介入できる体制を構築しています。

介護福祉業界活用事例_ベネッセスタイルケアによるシステム内部の様子
出典:ベネッセスタイルケアがAzureを基盤に、腕利き介護士のスキル実践を可能にする「マジ神AI」を構築! 目指すは科学的介護によるQOL向上より システム内部の様子

AI技術の導入により、入居者の安全性が高まり、スタッフの負担が軽減され、ケアプランの最適化が進みました。
ベネッセスタイルケアは今後もAI技術の活用を進め、認知症ケアの質をさらに向上させるとともに、スタッフの労働環境の改善にも努めていく予定です。

【関連記事】ベネッセスタイルケアのAI認知症ケア進化事例


社会福祉法人藤島会 藤島園

福井県福井市の特別養護老人ホーム藤島園は、コニカミノルタの「HitomeQコネクト」を導入し、業務効率化と家族とのコミュニケーション改善を実現しました。
このシステムにより、職員への一斉連絡や家族とのオンライン面会、写真・動画共有が可能となり、施設内の様子をリアルタイムで家族に伝えることができます。また、家族の安心感が向上し、郵送コストや作業時間の削減にも寄与しています。

介護福祉業界活用事例_社会福祉法人藤島会 藤島園によるHitomeQコネクトイメージ画像
出典:HitomeQ、コニカミノルタ公式サイトより HitomeQコネクトイメージ画像

新型コロナウイルス感染症の影響で面会が制限される中、オンライン面会や写真・動画を活用した情報提供が高く評価されています。
このシステムを導入したことをきっかけに、施設内の様子を手軽に共有できるようになり、家族の安心感を高めました。また、職員への一斉連絡機能により、緊急時の情報伝達が迅速化し、業務効率が大幅に向上しました。

藤島園では、従来のコミュニケーション手段が限られており、特に緊急時や重要な連絡事項の伝達が課題となっていました。
HitomeQコネクトの導入により、職員への一斉連絡や家族とのオンライン面会、写真・動画の共有が可能となりました。施設内の様子をリアルタイムで家族に伝えることができるため、家族の安心感が向上し、郵送コストや作業時間の削減にも寄与しています。

藤島園は、今後もこのシステムを活用し、さらなる業務効率化とサービス品質の向上を目指しています。また、家族とのコミュニケーションを一層強化し、入居者のQOL(Quality of Life)向上に努めていく予定です。

【関連記事】特別養護老人ホームでの家族連絡・オンライン面会システム導入
【参考記事】社会福祉法人藤島会 藤島園の事例、コニカミノルタより


医療法人豊岡会 元町グループホーム

愛知県豊橋市の医療法人豊岡会 元町グループホームは、コニカミノルタの「HitomeQコネクト」を導入し、家族とのコミュニケーションを強化しています。
このシステムにより、介護記録を家族に共有し、施設での生活状況をリアルタイムで伝えることが可能となったことから、家族の安心感がさらに向上し、施設への信頼が深まりました。
また、職員の負担を増やさない工夫も取り入れられており、スキャンした介護記録を自動的に家族へ送信する機能もあります。

導入当初は、介護記録を開示することへの懸念もありましたが、日々の記録を家族に見せることで職員の意識が向上し、記録の質も改善されました。
現在、18名の入居者のうち11名の家族がこのシステムを利用しており、イベント情報の共有や日々の介護記録の閲覧を楽しみにしています。

家族からの信頼を得ることで、職員のモチベーションも向上し、より良いケアを提供することができています。

【関連記事】医療法人豊岡会元町グループホームの先進的介護:家族連携と記録管理の事例紹介
【参考記事】医療法人豊岡会 元町グループホームの事例、コニカミノルタより


社会福祉法人 陽光福祉会

宮城県の社会福祉法人 陽光福祉会が運営する特別養護老人ホーム エコーが丘では、パラマウントベッド株式会社の見守り支援システム「眠りSCAN」を導入しました。
このシステムは、ベッドに設置されたセンサーを利用して利用者の睡眠データを収集し、リアルタイムで分析するものです。
これにより、スタッフは利用者の状態を正確に把握し、最適なタイミングでの訪室が可能になります。夜間の巡回が減り、スタッフの負担が軽減される一方で、利用者の睡眠の質も向上しました。

介護福祉業界活用事例_社会福祉法人 陽光福祉会による眠りSCANの様子
出典:特別養護老人ホーム エコーが丘の事例、宮城県よりより 眠りSCANの様子

これまで、介護施設では夜間の見守り業務が大きな課題となっていました。
従来はスタッフが定期的に巡回して利用者の状態を確認していましたが、この方法では利用者の睡眠を妨げることがありました。また、スタッフの労働負担も大きく、夜間業務の効率化も求められています。

「眠りSCAN」の導入により、スタッフは利用者の状態をモニターで確認し、必要な時だけ訪室することで、利用者の安眠を確保しつつ、スタッフの労働負担を軽減することができました。
導入後の効果として、利用者の睡眠の質が向上し、スタッフの夜間業務が効率化されたことが報告されています。

このシステムの導入には、ICT導入支援事業の補助金が活用され、高額な導入費用をまかなうことができました。今後も施設は、ICTを活用した業務効率化とサービスの質向上を目指し、継続的な改善に努めていく予定です。
【関連記事】革新的な記録システムから見守り支援「眠りSCAN」へ:施設のICT導入旅路
【参考記事】特別養護老人ホーム エコーが丘の事例、宮城県より


特別養護老人ホーム「のぞみの杜」

特別養護老人ホーム「のぞみの杜」は、入居者の睡眠状態を把握するためにパラマウントベッド株式会社の「眠りSCAN」を導入しました。

介護福祉業界活用事例_特別養護老人ホーム「のぞみの杜」による眠りSCANの説明画像
出典:介護ロボット・ICT導入プロセス・効果検証マニュアル、長崎県長寿社会課よりより 眠りSCANの説明画像

このシステムは、マットレスの下に設置されたセンサーで利用者の睡眠データをリアルタイムで収集し、パソコンや携帯端末で確認・通知を行います。
これにより、スタッフは夜間の訪室タイミングを最適化でき、ケアの質が向上し、スタッフの負担も軽減されました。

当施設では、夜勤時のスタッフの負担軽減と入居者の生活リズムを把握するために「眠りSCAN」の導入を決定。
これにより、訪室回数の減少、休憩時間の確保、重大事故の減少が実現し、スタッフの離職率も低下しました。また、入居者の睡眠の質が向上し、日中の活動量も増加しました。

この成功事例は、ICT・介護ロボットプロジェクトチームによる綿密な検討と試用段階を経て実現されました。プロジェクトチームは、現場のニーズに応えるために「眠りSCAN」を選定し、本格運用を開始しました。

【関連記事】先進的な睡眠モニタリングシステム眠りSCANの導入事例:のぞみの杜


特別養護老人ホームささづ苑

特別養護老人ホームささづ苑では、ICTを駆使した先進技術を導入し、職員の働きやすさと高品質なケアを実現しています。
ささづ苑は福祉現場の人材不足や非効率なシステムを早期に認識し、以下のような技術を取り入れました。

  • NASシステムでのデータ共有
  • iPhoneやiPadを活用したモバイルワークの促進
  • グループセッションによる施設内情報の効率的な共有
  • **パラマウントベッドの「眠りスキャン」**での睡眠状態の把握
  • **骨伝導インカムを使用した音声入力システム「ハナスト」**の導入
  • 快決シフト君によるスマートなシフト管理
  • DocuWorksでの文書管理

これにより、ペーパーレス運用が促進され、コスト削減が実現しました。
また、業務効率が飛躍的に向上し、職員は入居者と向き合う時間を増やすことができ、高品質なケアを提供できています。
効率化されたシフト管理システムにより、職員の勤務計画がスムーズに行われるようになりました。

ささづ苑は、今後もICT技術を活用して効率的な運営と高品質なケアサービスを目指し続けます。

【関連記事】ささづ苑のICT革新: 先進技術で実現する働きやすさと高品質なケア


深セン養護院

中国広東省深セン市にある「深セン養護院」では、スマート介護ソリューションの一環として、テンセントの先進技術を活用したインテリジェントモニタリングシステムを導入しています。
このシステムはクラウドとAI技術を組み合わせ、転倒や徘徊などのリスクをリアルタイムで監視するものです。

介護福祉業界活用事例_深セン養護院によるサーモセンサーを活用した転倒検出AI
出典:テンセント直営の老人ホームで活用される高齢者見守りAIより サーモセンサーを活用した転倒検出AI

サーモセンサーや行動監視カメラを使用し、異常を検知すると即座にスタッフに通知が行われる仕組みになっています。
これにより、スタッフの負担が軽減され、入居者の安全性と生活の質が向上しました。今後もテクノロジーを活用した介護サービスの更なる発展が期待されます。

【関連記事】テンセントが切り開く未来の介護:養護院で実現するスマート介護ソリューション


さくらコミュニティサービス

さくらコミュニティサービスは、介護記録の自動化ソフト「CareViewer」を導入し、記録業務の時間の大幅削減に成功しました。

介護福祉業界活用事例_さくらコミュニティサービスによるスマートフォン上での使用イメージ画像
出典:記録の自動化からハンズフリーまで。AI・介護記録ソフトが実現する未来の介護(さくらコミュニティサービス)より スマートフォン上での使用イメージ画像

このシステムにより、介護職員はスマートフォンアプリを通じて情報を入力し、医療デバイスからのデータも自動で取り込むことができます。
記録にかかる時間の85%が削減され、介護職員が利用者と過ごす時間が増えました。また、紙の書類が不要になり、年間約300万円のコストカットにも成功しています。

従来の手書き記録方法は、介護職員にとって大きな負担となっていましたが、「CareViewer」の導入により、記録業務が効率化され、介護職員の負担が軽減されました。

介護福祉業界活用事例_さくらコミュニティサービスによるアラームやタスク表示の機能
出典:記録の自動化からハンズフリーまで。AI・介護記録ソフトが実現する未来の介護(さくらコミュニティサービス)より アラームやタスク表示の機能

Chatworkなどの外部サービスとも連携しているため、職員にとっての利便性も兼ね備えています。
特に、夜勤時には1人の職員が多くの利用者のケース記録を作成する必要がありましたが、このシステムにより記録作成の時間が大幅に短縮されました。

さくらコミュニティサービスは、今後もICT技術を活用して効率的な運営と高品質なケアを提供し続けることを目指しています。
【関連記事】革新的AI介護記録で大幅時短!「さくらコミュニティサービス」の挑戦


AI(人工知能)を活用した保健・介護政策づくり(兵庫県神戸市)

 AI(人工知能)を活用した保健・介護政策づくり
AI(人工知能)を活用した保健・介護政策づくり
神戸市では、AIを活用した要介護リスク予測モデルの開発が進められています。

このプロジェクトは、神戸大学と日立製作所が協力し、2015年から2024年にわたる神戸市民38万人の医療・介護・健診データを使用して、個々の要介護リスクを高精度で予測するものです。
日立の「XAI=説明可能なAI」を用いることで、予測結果の根拠を明示できることが特徴です。

これにより、神戸市の保健・介護政策がデータに基づいた効率的なものとなり、高齢者に適切なサービスが提供されることが期待されます。
また、このモデルは他の市町村でも応用可能であり、地域の健康寿命延伸に貢献するとされています。

政府のデータヘルス政策にも寄与し、全国的な介護サービスの質向上に向けた重要な取り組みとなるでしょう。

【参考記事】

要介護リスク低減をめざしたフレイル推定AI(NTTドコモ)

フレイル推定AIの概要
フレイル推定AIの概要

NTTドコモは、スマートフォンログを活用してフレイルリスクを推定するAIを開発しました。
フレイル(=加齢とともに心身の働きが弱くなった要介護の前段階)は、早期発見が重要ですが、従来の対面診断では広範な調査が困難でした。

NTTドコモは、スマートフォンログから得られる生活習慣データを活用し、フレイルリスクを推定するAIを開発し、個人ごとに改善すべき生活習慣を提示することで行動変容を促します。

実証実験では、AIの高いリスク推定性能と行動変容効果が確認され、フレイルリスクが平均10%低減しました。2022年9月からは、自治体向けサービスとして商用提供を開始し、今後はさらなるエビデンスの蓄積とサービス展開を推進する予定です。

【参考記事】


ヘルスケアAI(一般社団法人あいち福祉振興会)

https://youtu.be/xrcQWPTSVdQ?si=gtHcZTernqrnMrVb

一般社団法人あいち福祉振興会は、精神障がいを抱える方の就労支援を行う中で、AI技術を活用した新たな支援方法を導入しました。

アドダイスのヘルスケアAI「ResQ AI」を活用し、**利用者のバイタルデータ(皮膚温、心拍数など)をウェアラブルデバイスで常時測定し、リアルタイムで健康状態やストレスレベルを「見える化」**する実証実験を開始。これにより、従来は担当者の主観に頼りがちだった支援が、客観的なデータに基づいて行えるようになり、より手厚くきめ細かなサポートが可能となりました。

実証実験の結果、仕事の適性や対人関係のストレスを可視化し、適切な就労環境の提供や生活リズムの改善を通じて、利用者の社会復帰を効果的に支援する成果が見られました。今後も、AI技術の活用を通じて、心の健康支援をさらに進化させていくことが期待されています。

【参考記事】


介護・福祉業界でのAI活用メリット

介護・福祉業界でのAI活用メリット
介護・福祉業界でのAI活用メリット

介護業界におけるAI活用は、サービスの質向上や業務効率の改善に大きく貢献することが期待されています。
以下で5点そのメリットを解説していきます。

  1. 個別化されたケアの提供
    AIは個々の利用者のニーズや状況に応じたケアプランを作成し、パーソナライズされたサービスを提供することができます。
    これにより、利用者一人ひとりに最適なケアが提供され、介護福祉業界全体での状況改善が見込まれます。

  2. 人材・業務・設備の最適配分
    AIによるリソース管理の最適化により、介護施設の運営効率が向上します。
    限られたリソースを効果的に活用することで、コスト削減にも繋がります。

  3. 業務効率化と負担軽減
    AIは介護職員の単純作業を自動化することで、業務の効率化を図り、職員の負担を軽減します。
    これにより介護職員が対人ケアに集中できる環境の整備が期待できます。

  4. 精度の高いデータ分析と予測
    AIは膨大なデータを迅速かつ正確に分析し、高齢者の健康状態やリスクを予測することが可能なため、予防的や健康悪化の早期発見が期待されます。

  5. 人手不足の解消
    AI技術を活用することで、人手不足の問題を軽減し、介護サービスの質を維持・向上が期待されます。

介護業界におけるAI活用の課題

介護業界におけるAI活用の課題
介護業界におけるAI活用の課題

最後に介護福祉業界においてAIを活用する際の課題を解説します。

これらの課題に対処することで、現場でのAI活用を加速させることが期待できます。

  1. プライバシーとデータセキュリティの確保
  • AIが扱うデータには個人情報が含まれるため、プライバシー保護が最優先事項となります。
  • データの収集・保管・利用におけるリスク管理の徹底が求められます。特に、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクを最小化する体制の構築が必要です。

  1. AIの信頼性と透明性の確保
  • AIの判断・分析の正確性を確保することで利用者や職員の安心感を高めることができます。
  • AIアルゴリズムの透明性の確保により、利用者や職員の安心感を高めることができます。

  1. 倫理的配慮と社会的受容性
  • AIが介護にどのように介入するかについて、人間の役割分担を明確にし、AIの介入範囲を適切に設定する必要があります。
  • AI技術の導入が社会的に受け入れられるよう、倫理的なガイドラインや利用者との対話を通じて、社会的な合意を形成することが求められます。

  1. 職員の教育とスキルアップの推進
  • 介護職員がAI技術を理解し、効果的に利用できるようにするための教育が必要です。
  • 職員が常に最新の知識とスキルを身につけられるよう、継続的なトレーニングが必要です。

  1. 利用者とのコミュニケーションの維持
  • AI導入が利用者に与える不安を軽減するため、利用者とAIの役割を明確に説明し、AIがどのように支援するかを理解してもらうことが重要です。
  • AIはあくまで支援ツールであり、利用者との直接的なコミュニケーションを大切にし、AIがその補助として機能することが理想です。

まとめ

この記事では、介護福祉業界におけるAI活用の事例についてご紹介しました。

AI技術を活用することで、介護記録の自動化や利用者の状態監視など、業務効率化とケアの質向上につながります。
しかし、AI導入にはデータの正確性やプライバシー保護など、課題も残っています。個人を相手にするからこそ安心して使うことができる状態でなくてはいけないでしょう。

今後、これらの課題に対処しながら、AIをさらに活用した介護福祉業界の発展が期待されます。AIと人間の生活はますます切り離せないものとなっていくはずです。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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