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チャットボットの分析方法とは?その手順やポイントを徹底解説

この記事のポイント

  • チャットボットの効果測定に必要な主要指標と分析方法を解説
  • データ駆動の継続的な改善サイクルの重要性を強調
  • ユーザー体験の向上とチャットボットのパフォーマンス向上につながる分析ポイントを提示
  • 分析後の具体的な改善プロセスとアクションについて説明
  • チャットボットの運用改善に役立つ実践的なノウハウを提供

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

チャットボットは企業のカスタマーサービスや営業支援において、重要な役割を果たしています。
しかし、チャットボットを最大限に有効活用するには、適切な分析手法が必要です。

この記事では、チャットボットの効果的な分析方法について解説し、どのようなデータを収集し、それをどう分析すればよいのかを詳しく説明します。
また、分析後のアクションとして、データに基づく改善プロセスを進める方法も提供しています。

チャットボットをより効力を発揮させ、企業の顧客対応を最適化するための具体的な方法を身につけましょう。

チャットボットにおいて分析すべきデータ

チャットボットの効果を明確に評価するためには、さまざまなデータを収集し分析する必要があります。これらのデータはチャットボットのパフォーマンスを理解し、顧客体験の向上に役立てるための重要な洞察を提供します。

分析すべき主要なデータポイントには以下のものがあります。

指標 説明
回答数 チャットボットが処理した問い合わせの総数
解決数 チャットボットが自動的に解決した問い合わせの数
起動数 チャットボットを利用開始した回数
利用開始率 チャットボットの起動がページビューやセッションに占める割合
有人対応へのエスカレーション数 チャットボットから人間のオペレーターに問い合わせが引き継がれた件数
有人対応までの平均時間 ユーザーがチャットボットから人間のオペレーターへのエスカレーションを要求するまでの平均時間
チャットボットの利用者満足度 利用者が提供するフィードバックや評価を通じて測定される満足度の指標
コンバージョン率(CV率) チャットボットの対話が問い合わせ、登録、購入などの目的達成へと結びついた率

回答数と解決数

チャットボットによる回答数と解決数を分析することは、チャットボットの効果を把握する上で非常に重要です。
これらはチャットボットがどれだけ多くの問い合わせに対応できているか、そしてそれが最終的な問い合わせ解決にどれだけ貢献しているかを示します。

高い解決数は通常、顧客満足度の向上に直結し、同時にカスタマーサポートチームへの負荷を軽減します。

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起動数・利用開始率

起動数と利用開始率は、ユーザーエンゲージメントとチャットボットの目立ち具合を示す指標です。
多くのユーザーがチャットボットを使い始めている場合、その可視性が高く、ユーザーにとって有益だと感じられている可能性があります。

一方で、起動数が多いにもかかわらず利用開始率が低い場合、チャットボットの導入やインターフェースに問題があることが考えられます。

有人対応の件数・時間

有人対応へのエスカレーション件数ならびに対応時間を分析することで、チャットボットがどれほどうまく問い合わせを処理できているか、そしてエージェントがどれだけの時間を費やしているかがわかります。

理想は、チャットボットが多くの問い合わせを解決し、エスカレーションの必要性を最小限に抑えるべきです。

チャットボットの満足度

ユーザーがチャットボットへ提供するフィードバックや評価は、全体的な顧客体験を反映しています。

満足度の高い評価はチャットボットの有効性の兆しですが、悪い評価は、対話の質、理解度、または使用感に問題があることを示唆している場合があります。

CV(コンバージョン)率

チャットボットのコンバージョン率は、ビジネス成果に寄与しているかどうかの指標です。チャットボットが目的とするアクション(販売、リードの獲得など)に対してどれだけ効果的であるかを測定します。

高いCV率は、チャットボットが目標達成に果たしている役割の重要性を示し、ビジネス価値のあるインサイトを提供します。

これらのデータを定期的に分析することで、チャットボットのパフォーマンスを評価し、改善へのアクションを決定する基礎となります。
データの数字だけでなく、背景にあるユーザーの行動や意図を理解することが、チャットボットの質の高い改善へと繋がります。

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分析データのイメージ図


チャットボットの分析方法

チャットボットから収集したデータを分析するには、様々な手法があります。ここでは、5つの主要な分析方法を紹介します。

1. データの可視化

チャットボットから収集したデータを視覚化することで、データの傾向や異常を迅速に把握します。以下のようなグラフが有効です。

項目 内容
時系列グラフ 回答数や解決数、起動数などの時間経過による変化を追跡する。
棒グラフ 利用開始率やコンバージョン率など、異なる期間やカテゴリで比較する。
散布図 利用者満足度と解決数の関係を分析し、満足度が解決率にどう影響しているかを見る。

2. セグメンテーション分析

ユーザーをセグメント別に分析し、それぞれのセグメントがチャットボットをどう利用しているかを把握します。
セグメントは例えば、年齢層、地域、興味のあるトピックなどに基づいて分けることができます。

3. 相関分析

異なるデータポイント間の関連性を調べるために相関分析を行います。

例えば、起動数と利用開始率の関係性を探ることで、チャットボットの導入やインターフェースの問題点を特定できます。

4. コンバージョンパス分析

ユーザーがチャットボットを通じて目的のアクション(例: 購入、登録)に至るまでのステップを追跡します。

どのタイミングでユーザーが離脱しているか、どのような会話がコンバージョンに結びついているかを把握します。

5. A/Bテスト

新しい応答スタイルや機能をテストする際には、A/Bテストを活用します。
異なるバージョンのチャットボットをランダムにユーザーに提供し、どちらがより良いパフォーマンスを示すかを比較します。

実際の分析しているイメージ


チャットボットの分析後の改善ポイント

チャットボットの分析を行った後、得られた情報を基に改善プロセスを進めることが重要です。
データ駆動型のアプローチを取ることで、目に見える問題だけでなく、より深い洞察に基づいた改善を行うことが可能となります。

以下は改善プロセスを実施する上でのガイドです。

目標値(KPI)を設定する

良いパフォーマンスの指標(KPI)は、改善プロジェクトの道筋を指し、進捗を測定する重要なツールです。
目標値を設定する際は、SMART基準(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)に沿った具体的で現実的な目標を立てる点が肝要です。

たとえば、「3ヶ月後までにチャットボットによる問い合わせ解決率を現在の40%から60%へ向上させる」のように設定します。

改善点と改善方法を決める

各データポイントから得られた洞察を分析し、具体的な改善領域を特定します。

例えば、エスカレーションが多い場合、ナレッジベースを拡充する、対話シナリオを洗練させる、あるいはチャットボットの理解度を高めるために自然言語処理能力を改善する等のアクションが必要かもしれません。

改善する

改善計画を立てた後は、その計画に従って具体的な改善アクションを実行します。

これには、技術的なアップデート、チャットボットのデータベースへの新しい情報の追加、ユーザーインターフェースの改善などが含まれます。改善アクションは、ユーザーの体験を中心に考慮し実施することが非常に重要です。

結果を分析する

改善実施後は、再びデータを収集し分析を行い、設定した目標値(KPI)への影響を確認します。

結果が目標に応じているか、どの程度改善されたのかを評価することができます。また、継続的な改善のために新たな改善ポイントが見つかるかもしれません。

ポイント紹介のイメージ図


まとめ

この記事では、チャットボットの分析方法に関して知っておくべき事柄を解説しました。

チャットボットの技術は進化し続けており、企業の顧客サービス戦略に革命をもたらしています。AIと自然言語処理の進歴により、チャットボットはより人間らしい対話が可能となり、顧客からの問い合わせに対しても即座にかつ適切に応答することができるようになっています。

チャットボットの正しい分析と改善手順により、チャットボットはその真の価値を発揮し、企業の長期的な成功を支える存在となることは間違いありません。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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