この記事のポイント
この記事では「Microsoft 365 Copilot」についてわかりやすく解説しています。
Microsoft 365の製品にAI技術を統合し、AIエージェントの作成および業務効率を大幅に向上させることが可能です。
データの安全性を確保しつつ、業務に合わせたコンテンツ生成などの支援が利用できます。
Copilotを活用することで、単純作業の自動化や創造的なタスクへの集中が可能になります。
利用料金や注意点についても触れ、Copilotを導入する際の判断材料を提供しています。

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。
AI技術をビジネスツールに融合させるMicrosoft 365 Copilotは、日常業務の効率化を実現する先進的な生成AIサービスです。
本記事では、Microsoftが提供する「Copilot for Microsoft 365」の特徴や使い方、各機能の具体例についてわかりやすく解説します。
WordやExcel、PowerPoint、Outlookといったお馴染みのソフトウェアをはじめ、TeamsやLoopなどの製品にCopilotがどのように統合され、日々の業務に革命をもたらすのか、そしてその利用料金や注意点についてもご紹介します。
Copilotを活用して業務の回転を速め、仕事の質を高めたいと考えるビジネスパーソン必見の内容です。
Microsoft 365 Copilotとは?
Microsoft 365 Copilotイメージ画像
Microsoft 365 Copilotは、Microsoftのビジネス向け製品であり、従来のMicrosoft Office製品にAIアシスタント機能を組み込んだサービスです。Copilotは、コミュニケーションツールやビジネスアプリケーションにAI機能を追加し、チャット、データ分析、画像生成、要約などの多彩な機能で効率的な業務をサポートする生成AIです。
Microsoft 365 Copilotは、Microsoft Teams、Excel、Outlook、Loop、Word、PowerPoint、Viva、OneNoteなどの製品にAI機能を拡張 し、さまざまな業務における生産性を向上させます。これにより、従来のMicrosoft 365製品を使用する場合と比べて作業効率が向上します。
Copilot製品の概要図
Copilotには様々な製品がありますが、本記事ではCopilot for Microsoft 365の使い方に焦点を当てて解説します。
他のCopilot製品についても知りたい方は以下の記事をご覧ください。
【関連記事】
➡️Copilot製品を徹底的に解説!Copilot紹介記事
Microsoft 365 Copilotの特徴
Microsoft 365 Copilotは、生成AIを活用してMicrosoft 365製品全体にわたる業務の生産性を高める革新的なAIアシスタントです。以下に、主な特徴を紹介します。
1. 高度なAIエージェントによる業務自動化
Copiloでご自身の業務に特化したAIエージェントを作成することができます。
【追加予定機能】
AIエージェントの中でも以下の機能は、2025年4月より一部ユーザーに先行提供(Frontierプログラム)予定です。楽しみですね!
- Researcher:OpenAIの技術を活用し、SalesforceやServiceNowなどの業務アプリと連携して複雑なリサーチタスクを実行。
- Analyst:Pythonベースの推論エンジンを搭載し、データの要約、分析、コード生成まで対応。高度なデータ処理もAIで支援。
2. Microsoft 365全体への深い統合
Copilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams、OneNote、Loopなど主要なMicrosoft 365製品と連携。以下のようなAI支援が可能です:
- 会議の要約やスケジュール調整(Outlook / Teams)
- 長文の要約や自動レポート生成(Word)
- グラフの自動作成やデータの要因分析(Excel)
- スライドの要約・リライト(PowerPoint)
3. モバイルでもCopilotを活用
- Copilot Pagesのモバイル対応:外出先でもドキュメントの表示・編集・共有が可能に。モバイルアプリからページの新規作成も近日中に対応予定。
4. 大規模ファイル・長文データにも対応
- PowerPointで最大40,000語・150スライドまでのプレゼン資料を要約可能に。
- Copilot Chatで大容量ドキュメントのアップロード・操作が可能となり、Webタブ上でもスムーズなやりとりが実現。
5. データクレンジングもExcelで支援
- Copilot in Excelが不整合なデータの検出・修正を自動化。煩雑な手作業を省き、よりスマートな意思決定を可能に。
効果的に業務に取り入れ、生産性を向上させましょう。
Microsoft 365 Copilotの活用効果
Copilot活用効果の声 (参考:Microsoft)
Microsoftの他のデータでは、 Copilot for Microsoft 365を使用したユーザーの77%が、一度使い始めたら手放せなくなった と回答しており、また、70%のユーザーが生産性の向上を実感 しており、68%のユーザーが仕事の質の向上 したと感じています。
Microsoft 365 Copilotを使ってみた
Microsoft 365 Copilotは、様々なMicrosoft製品で利用できます。
以下は、各製品ごとにCopilotが提供する機能の詳細です。
エージェントの作成
自身のエージェント作成
Microsoft 365 Copilotでは、Copilot Studioを使ってAIエージェントを作成できます。
このエージェントに社内データを接続することで、RAG(検索拡張生成)のような動作が可能になります。
具体的には、質問に対して情報を検索し、生成AIが自然な回答を返します。
ナレッジソースにはSharePointやOneDriveなどが利用可能です。
Copilot Studioについて知りたい方は以下の記事をご確認ください。
【関連記事】
Microsoft Copilot Studioとは?できることや使い方、料金体系を解説!
WordのCopilot機能
WordのCopilotは、テキストドキュメントの作成、編集、状況の確認、質問への回答など、さまざまな機能を提供します。下書きの作成からドキュメントの要約まで、Copilot を活用することで、作業効率を向上させることができます。
例えば、テキストをテーブルに変換したり、質問に答えることで、ドキュメントの品質向上や裏付け情報の入手が容易になります。
また、Copilotを使って必要な情報を追加できるだけでなく、ドキュメントの要約も簡単に生成できます。さらに、さまざまなプロンプトを利用して、必要な情報をすばやく取得することも可能です。
Copilotでドキュメントの下書きの作成 (参考:WordでのCopilot)
このように、Copilotを使用することでWordでの作業を効率化し、生産性を向上させることが可能です。
Wordでの使用例
- ホームページから情報を取得します。
- Wordに情報を貼り付け、Copilotボタンで書き換え、要約されます。
Copilotボタンの押下画面
- すぐに結果が出力完了となります。
ExcelのCopilot機能
ExcelのCopilotは、データの詳細な確認や分析情報の特定、既存のデータに基づいたピボットテーブルの提案など、さまざまな機能を提供します。
さらに、データの強調表示やフィルタリング、数式列の提案など、重要な作業に集中するための支援も行います。ExcelのCopilotを利用することで、データ分析作業を効率化できます。
Copilotでデータの強調表示 (参考:ExcelでのCopilot)
Excelでの使用例
- ExcelのリボンからCopilotボタンを押下し、チャットを開きます
Copilotボタンの押下画面 (参考:ExcelでのCopilot)
- プロンプトを入力し、Copilotの操作を開始します。
例では、最も多く出荷されたアイテムを強調表示するよう指示しており、それに伴ってB列の上位5項目が色付きセルに変更されています。
プロンプト 参考:ExcelでのCopilot
実行結果 参考:ExcelでのCopilot
また、ExcelでCopilotを使用する際には、事前にワークシートにデータを含むExcelテーブルを作成しておく必要があります。以下でExcelテーブルの作成方法を説明します。
- データ内のセル、もしくは範囲を選択します
範囲選択
- [ホーム] > [テーブルとしての書式設定]の順に選択します
テーブルとしての書式設定の位置
テーブルとしての書式設定
ここで、最初の行をヘッダーにしたい場合は、[テーブルとしての書式設定]ダイアログボックスで、[先頭行をテーブルの見出しとして使用する]チェックボックスをオンにします
ダイアログボックス
3. [OK]を選択します
Excelテーブルが完成
PowerPointのCopilot機能
PowerPointのCopilotは、トピックを与えるだけでプレゼンテーションの下書きを作成することも、長いプレゼンテーションを要約することも可能です。
さらに、スライドの再構築やブランドの使用をはじめ、さまざまなプロンプトを利用することでスライドの追加や情報の抽出などが可能です。
Copilotでスライド作成 (参考:PowerPointでのCopilot)
PowerPointのCopilotを活用することで、プレゼンテーションの作成から整理、そしてブランディングまで、あなたのプロジェクトを効果的に支援します。
OutlookのCopilot機能
OutlookのCopilotは、メールの作成や会話の要約をサポートし、効率的なコミュニケーションを実現します。
Outlookでの使用例
Copilotを使うことで、メールの下書きの作成や、長いメール会話に対する簡潔な要約の生成などが可能です。
さらに、イベントの計画やフォローアップもスムーズに行えます。
Copilotでメールの下書きを作成 (参考:OutlookでのCopilot)
TeamsのCopilot機能
TeamsのCopilotは、会議やチャットでのコミュニケーションを効率化します。重要な会議のポイントを要約し、チームでのタスクを提案することで、会話のスピードを上げることができます。
また、会議の主な内容やタスク、意思決定などの確認をしたり、ドキュメント、プレゼンテーション、メール、予定表などの情報を見つけ、使用したりすることも可能です。
会議の議事録作成
さらに、会議内容に基づいて表を作成したり、会議で特に知りたいポイントについてチャットで質問し、必要な情報を回答することも可能です。
LoopのCopilot機能
LoopのCopilotは、プロジェクトの計画や実行を支援し、ブレインストーミングから共同作業に至るまでを手軽に行うことが可能です。
また、LoopのCopilotを活用することで、必要な結果を取得することも可能です。
Copilotでスケジュール表を作成 (参考:LoopでのCopilot)
Copilotとチャットを通して、マーケティングキャンペーンのアウトラインを作成したり、新しい製品を顧客に紹介するための方法をブレインストーミングしたりできます。
Copilot for Microsoft 365の料金
Microsoft Copilotは、個人ユーザーから大企業まで、様々な規模の組織に適したプランを提供しています。
これらのプランは、利用者の目的や組織の要件に合わせて設計されており、それぞれ異なる特典と価格設定が用意されています。
Microsoft Copilot 【個人向けプラン】
Microsoft Copilotは個人利用も可能です(2025年3月確認時点)。
プラン名 | 月額料金(税込) | 利用可能人数 | クラウドストレージ | 主な機能 |
---|---|---|---|---|
Microsoft 365 Personal | ¥2,130/月 | 1人 | 1TB(OneDrive) | - Microsoft Copilot搭載のOfficeアプリ(Word, Excel, PowerPoint など) - Microsoft Designer(AI画像作成) - 個人情報とデバイスのセキュリティ対策 |
Microsoft 365 Family | ¥2,740/月 | 最大6人 | 最大6TB(1人あたり1TB) | - 上記Personalのすべての機能を含む - 最大6人まで共有可能 - 各メンバーに個別のOneDriveストレージが付与される |
-
1人で使うなら:Microsoft 365 Personal
→ ソロワーク、学生、フリーランスに最適。Word・Excel・PowerPointでのCopilot活用や、1TBのクラウドストレージが魅力。 -
家族や複数人で使うなら:Microsoft 365 Family
→ 家族、共同生活、パートナーとのシェアにおすすめ。各自に1TBのストレージとアプリ環境を提供できるので、コスパも◎。
Microsoft 365 Copilot【法人向けプラン】
料金プラン
法人向けのプランの特徴は以下の通りです(2025年3月確認時点)。
プラン名 | 価格(税込抜) | 対象 | 主な機能・特徴 |
---|---|---|---|
Microsoft 365 Copilot Chat | 無料(Microsoft 365契約者向け) | Entra IDユーザー全員 | - GPT-4o搭載のAIチャット機能を無料提供 - ビジネスデータと連携したやりとりが可能 - Azureサブスクリプションでエージェント作成・利用可 - IT部門によるデータ保護・管理機能あり |
Microsoft 365 Copilot | 年払い:¥4,497/ユーザー・月 月払い:¥4,722/ユーザー・月 |
法人ライセンス契約者 | - Outlook、Teams、Excel、Word、PowerPointなどの主要Microsoft 365アプリにCopilot機能を統合 - Copilot Studioと連携し、独自のエージェント作成・活用が可能 - エンタープライズ向けの高度なセキュリティとコンプライアンスに対応 |
Copilot ChatとCopilotの違い
両者のプランの違いは以下の通りです。
比較項目 | Microsoft 365 Copilot Chat | Microsoft 365 Copilot |
---|---|---|
利用料金 | 無料(Microsoft 365契約が必要) | 有料(¥4,497/月〜) |
利用条件 | Entra ID保有ユーザー | 条件を満たす法人向けMicrosoft 365契約 |
利用アプリ | Copilot Chat(Web/Edgeなど) | Outlook、Teams、Word、Excelなど各種アプリ内 |
エージェント利用 | Azureサブスクリプション経由で可能 | Copilot Studioを通じて直接作成・活用可能 |
データ統合 | 一部データ連携可 | 業務データ(メール・予定表・ドキュメント)と緊密に連携 |
Microsoft 365 Copilot利用時の注意点
以上の章でCopilotの便利さや、特徴、料金などについて述べてきましたが、Copilotを活用する際にはいくつかの注意点があります。
本章では、Microsoft 365 Copilot利用時の注意点を解説します。
主な制限事項の把握
Copilotは商用データ保護機能を備え、機密情報を保護しながらチャットベースのコミュニケーションを可能にします。
ただし、商用データ保護機能を利用するには、「特定のMicrosoft 365ライセンスが必要」です。
プライバシーとセキュリティ
全てのチャットデータは、Microsoftによって処理されますが、商用データ保護機能を備えたCopilot(Copilot Enterprise)はチャットデータを保持せず、大規模言語モデルの訓練には使用されません。
そのため、重要なデータは商用データ保護機能を使用して管理するように注意してください。
データアクセスの違い
通常のCopilotは、商用データ保護が有効になっている場合でも、Microsoft 365 Graph内のコンテンツ(OneDrive内のドキュメント、電子メールなど)にはアクセスできないことに注意してください。
一方、Microsoft 365 CopilotではMicrosoft 365 Graph内のデータへのアクセスが可能となります。
リスクと限界の認識
CopilotはAIに基づいた生成ツールであり、すべての回答が完全に正確で適切であるとは限りません。
外部ソースからの情報を利用するため、情報の信頼性や正確性に関する問題が発生する可能性があることに注意してください。
以上の点を踏まえて、Copilotを利用する際には十分な注意が必要です。特に、機密情報の取り扱いや生成された情報の検証については慎重に行う必要があります。
Microsoft365 Copilot 導入・構築サポート
Microsoft 365 Copilotは、独自の業務に最適化されたAIアシスタントを構築できる強力なツールです。しかし、初期導入には「何から始めればよいか分からない」「社内システムとどう連携させるのか」「ガバナンスやセキュリティの観点は大丈夫か」といったお悩みも多く寄せられています。
当社では、Microsoft365 導入から業務シナリオの設計、カスタムプラグイン・API連携、社内展開支援まで、トータルでサポートを提供しています。Microsoft製品に精通した技術チームが、貴社の業務に合わせたCopilotの活用を丁寧にご提案します。
「社内にどのように展開するのがベストか」「Power Platformとの連携でどこまで業務を自動化できるのか」といったご相談も歓迎です。まずはお気軽にお問い合わせください。
まとめ
Microsoft 365 Copilotは、Microsoftが提供するビジネス向けのサービスであり、生成AIであるCopilotの機能を従来のMicrosoft Office製品に統合したものです。
コミュニケーションツールやビジネスアプリケーションにAI機能を組み込むことで、業務の効率化と生産性の向上を支援します。
ただし、Copilotを利用する際には、いくつかの注意点があります。まず、商用データ保護機能を利用するには、特定のライセンスが必要となります。また、ライセンスによってデータへのアクセス権限が異なるため、注意が必要です。
これらの点を踏まえた上で、Copilotを適切に活用することで、業務の効率化と生産性の向上を実現できます。Copilotは、ビジネスパーソンにとって頼れるパートナーとなり、仕事の質を高めるためのサポートを提供してくれるでしょう。
Microsoft 365 Copilotは、AIの力を借りてビジネスを革新するための強力なツールです。適切な利用方法を理解し、注意点に留意しながら活用することで、その真価を発揮できるはずです。