この記事のポイント
- 文字起こしツールの選び方や活用方法を具体的に紹介
- ChatGPTとWhisperを組み合わせた効率的な議事録作成方法を解説
- 業務効率化に役立つ議事録作成のコツも紹介
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
会議の議事録作成は多くの企業で必要不可欠なタスクですが、人手で行うには膨大な時間と労力がかかります。
そこで注目されているのが、OpenAIの自然言語処理ツールChatGPTを活用した議事録作成の自動化です。
本記事では、ChatGPTとWhisperなどの文字起こしツールを組み合わせた効率的な議事録作成の方法を具体的に解説します。議事録作成の自動化により、作業時間の大幅な短縮や社内負担の軽減など、様々なメリットが得られます。
一方で、セキュリティ対策や人間によるチェックの必要性など、適切な運用のための注意点も詳しく説明します。ChatGPTを議事録作成に活用することで、業務効率化を実現しましょう。
最新モデル、OpenAI o1(o1-preview)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください⬇️
OpenAI o1(ChatGPT o1)とは?その特徴や使い方、料金体系を徹底解説!
ChatGPTで議事録を作成する方法
会議の内容を効率的に記録し、生産性を高めるために、ChatGPTを活用した議事録作成が注目されています。
ここでは、ChatGPTと文字起こしツールを組み合わせて、効果的に議事録を作成する具体的な方法を解説します。
ステップ1.文字起こしツールを活用する
議事録を作成するには、まず会議の内容を文字に起こす必要があります。この作業を効率化するために、文字起こしツールを活用しましょう。
Microsoft TeamsやZoomの文字起こし機能
オンライン会議を行う際によく使われるMicrosoft TeamsやZoomには、文字起こし機能が搭載されています。
これらのツールを使えば、会議中の会話を自動的に文字起こしすることができます。
Microsoft Teamsで文字起こしをする方法
- Microsoft Teamsにサインイン。
- 会議中に、[その他のアクション] → [文字起こしの開始] をタップして文字起こしを開始。
- 文字起こしを停止するには、[ その他のアクション ] → [文字起こしの停止] をタップ。
Zoomで文字起こしをする方法
-
Zoomにサインイン
-
設定を開く
-
ミーティング欄からミーティング(詳細)を開く。
-
自動字幕と完全な文字起こしをオン。
実際の画面
Whisperを使った文字起こし
OpenAIのWhisperは、高度な機械学習モデルを使用して幅広い言語やアクセントの音声を正確にテキストに変換します。このツールは、特に多言語の文字起こしや、異なるアクセントを持つ音声の認識に強みを持ちます。
Whisperを使った文字起こしの方法には、以下の2つがあります。
【NotesGPTを使う方法】
- NotesGPTにアクセスし、Googleアカウントでログインまたはアカウントを作成
- 「Action Items」をクリックし、「Record your first voice note」をクリック
- 録音ボタンを押して会議の録音を開始・終了
- 自動的に文字起こしが行われ、TranscriptとSummaryを切り替えて確認可能
【Google Colaboratoryを使う方法】
- Google Colaboratoryを開き、ノートブックを新規作成
- 必要なライブラリをインストールし、音声ファイルをアップロード
- コードを実行して文字起こしを開始
- 結果を確認し、必要に応じて微調整
Whisperを使った文字起こしの方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
➡️ChatGPTで文字起こしする方法は?実際の手順やコツを徹底解説
他の文字起こしツールの紹介
- ObotSERVE: ビジネス会議や講演に特化した高速・高精度の文字起こしツール
- ACESMeet: 会議用ソフトウェアと統合された文字起こし機能を提供
- PLAUD NOTE: 録音した音声の文字起こしと要約を自動で行うAIボイスレコーダー
ステップ2: 議事録用のプロンプトを作成
文字起こしを終えた会議の会話内容と共に議事録を作成してという風にChatGPTに依頼しましょう。
より質の高い議事録の作成の為に以下の様な制約条件を付けてみるとよいでしょう。
【議事録作成用のプロンプト例】
#命令:
以下の制約条件と入力文をもとに、議事録を出力してください。
#制約条件:
・[1500字以内にまとめてください。]
・[英語と日本語の両方で議事録を生成してください。]
・[議事録に会議の開始時刻と終了時刻を含めてください。]
#入力文:
ここに文字起こしをした文章を添付。
プロンプトを工夫することで、ChatGPTにより適切な議事録を生成してもらえるようになります。
会議の目的や議題に合わせて、プロンプトをカスタマイズしてみてください。
ステップ3. 文字起こし結果をChatGPTで校正・要約する
文字起こしが完了したら、そのテキストをChatGPTに入力します。ChatGPTを使って以下のような調整を行うことで、より洗練された議事録を作成できます。
- 文法の誤りの修正や表現の調整
- 要点の要約や、重要な情報の強調
- 文脈に合わせた専門用語の説明の追加
このようにChatGPTを活用することで、誰もが読みやすく、内容が明確な議事録を効率的に作成することができます。
【関連記事】
➡️ChatGPTに要約を依頼する方法を解説!論文やPDFを読み込ませるコツ
ChatGPTで議事録を作成するメリット
ChatGPTを議事録の作成に利用することは、社内負担の軽減や業務の効率化の面に大きく寄与します。ここでは、主に4つのメリットについて解説します。
1. 時間の短縮
1つ目のメリットは議事録作成にかかる時間の短縮です。人間が手作業で議事録を作成する場合に比べて、ChatGPTは自動的にテキストを生成し、迅速に文書を提供します。
キャノンマーケティングジャパンの調査では、ビジネス関係者の議事録作成にかかる平均時間は、年間で換算すると319.6時間という結果が出ています。
参考:キャノン
このように時間のかかる議事録作成も、ChatGPTを取り入れることで、そのプロセスを効率化し、人件費などのコストを削減し、時間を有効に活用することができます。
2. 社内負担の軽減
2つ目のメリットは社内負担の軽減です。ChatGPTを活用して議事録の作成を自動化することは、社内の負担を軽減する効果的な方法です。
会議の音声やテキストの記録をChatGPTに入力することで、議事録のほとんどを自動生成することができます。その後、社内のスタッフが生成された議事録をレビューし、必要に応じて修正や補足を行います。
このアプローチにより、社内の従業員は議事録作成に費やす時間を大幅に削減できます。その結果、他の業務に集中し、効率的に業務を遂行することが可能となります。
実際に国会でもChatGPTの導入が検討されています。
> マイクロソフトがChatGPTの最新サービスを日本政府に提供へ。生成AIの拠点を日本に設置
— ちょまど@育休中エンジニア (@chomado) July 28, 2023
> まずは国会答弁の下書きや議事録作成などに
こうやってガンガン技術を使って改善していくの好き!
官僚の人たちが頑張ってる国会答弁づくりとか大変だもんね、1日平均7時間らしいhttps://t.co/S8GYYNt3NT
3. キャッチアップの容易さ
3つ目のメリットは容易なキャッチアップです。ChatGPTを利用して議事録を自動生成することで、キャッチアップの容易さが向上します。
ChatGPTの作成する議事録は、会議の要点や議論の内容を網羅しており、参加できなかった人や内容を忘れた人でも簡単にキャッチアップできます。
これにより、情報共有がスムーズになり、チーム内のコミュニケーションが円滑になります。
4. 業務効率化
4つ目のメリットは業務効率化です。ChatGPTは会議の要点や議論の内容を明確にした上で人間の感情や主観を排除し、客観的なビジネス文書を生成するため、議事録の品質が保たれます。
この導入により、ユーザーは時間を節約し、業務効率を向上させることができます。生産性が上がることで、より多くの仕事をこなせるようになり、ビジネスの成長にもつながるでしょう。
【関連記事】
➡️ChatGPTの活用事例50選!企業や自治体、教育現場での例を徹底解説!
ChatGPTで議事録を作成する時の注意点
ChatGPTを文字起こしに活用する際には、いくつかの課題や制限点が存在します。
これらを理解し、適切な対策を講じることで、より効果的にツールを活用することができます。
音声認識の正確性
音声認識の精度は、音声データの品質に大きく依存します。背景ノイズが多かったり、話者のアクセントが強かったりすると、文字起こしの精度が低下する可能性があります。
そのため、可能な限りクリアな音声を録音することが重要です。マイクの品質を確認し、静かな環境で録音を行うのが理想的です。
また、複数の話者が同時に話している場合は、文字起こしが困難になることがあるので注意が必要です。
文脈の理解
ChatGPTは膨大な量のテキストデータから学習していますが、特定の会話や専門用語の文脈を完全に理解することは難しい場合があります。
そのため、生成された議事録に不自然な表現や誤った情報(ハルシネーション)が含まれている可能性があります。
専門用語が多く使われる会議の場合は、事前にそれらの用語をChatGPTに明示しておくことで、より正確な議事録の生成が期待できます。
また、ChatGPTによって生成された議事録は、必ず人間が確認し、必要に応じて修正を加えることが重要です。
プライバシーとセキュリティ
議事録には、個人情報や機密情報が含まれている可能性があります。これらの情報を外部のサービスに送信することは、プライバシーの観点から問題がある場合があります。
機密情報を扱う際は、データの匿名化や、セキュリティ対策が施された信頼できるツールの使用を検討しましょう。また、サービスのプライバシーポリシーを確認し、データの取り扱いについて理解しておくことも重要です。
ChatGPTに入力したデータの取り扱いや、その対策方法に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】
➡️ChatGPTのセキュリティリスクとは?実際の事例を踏まえて対策を解説
これらの注意点を踏まえつつ、ChatGPTを効果的に活用することで、議事録作成の効率化と品質向上を実現できるでしょう。
まとめ
この記事では、AIの技術が進化する中で注目を集めるChatGPTを利用して議事録を作成する方法やそのメリット、デメリット、さらに注意点について詳しく解説しました。
ChatGPTを活用することで、議事録作成の効率化や時間の短縮、社内負担の軽減など多くのメリットがありますが、セキュリティ対策や人間によるチェックの必要性も忘れてはなりません。
是非この記事を参考に、ChatGPTを議事録作成に取り入れてみてください。業務の効率化や生産性の向上に役立つこと間違いなしです。ただし、ChatGPTはあくまでも補助ツールとして活用し、最終的には人間の判断と責任で議事録を完成させるようにしましょう。
ChatGPTを賢く使いこなして、会議の質を高め、ビジネスの成功につなげていきましょう!