この記事のポイント
- GitHub Copilot Xは、コード自動生成、音声コーディング、AIを活用したプルリクエスト管理を行うツール群の総称です。
- GitHub Copilot:AI駆動のコーディングアシスタント。開発者の生産性を向上させます。
- GitHub Copilot Voice:音声コマンドでのコーディングを可能にし、プログラミングのアクセシビリティを改善。
- GitHub Pull Requests:AIを活用してコードレビューを自動化し、バグやパフォーマンスの問題を検出。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
GitHub Copilot Xは、GitHub社が2023年5月に発表した革新的なサービス群です。
AIを活用してコード自動生成、音声コーディング、効率的なプルリクエスト管理を行うことで、開発者の生産性向上とコードの品質改善を目指します。
この記事では、GitHub Copilot Xの概要と各コンポーネントについて詳しく解説します。
目次
Github Copilot Xとは
GitHub Copilot Xは、GitHub社が2023年5月に発表した革新的なサービス群の総称です。
以下の三つのコンポーネントから構成されています。
- GitHub Copilot
GPT-4モデルをベースにしたサービスです。これはコードの自動生成を助け、プログラマーの生産性を飛躍的に向上させます。 - GitHub Copilot Voice
音声コマンドを使ってコードを書けるようにすることで、アクセシビリティを大幅に改善します。 - GitHub Pull Requests
プルリクエストの管理とレビュープロセスを自動化し、効率化します。
これらのプラットフォームは、プログラミングのアプローチを根本から変える可能性を秘めており、コーディングの速度と品質の両方を改善することを目指しています。
Github Copilot X発表のツイート
Github Copilot Xの各サービスと機能
Github Copilot Xの中の上記の3つのサービスについて、概要やVSCodeにおける導入方法、使い方を解説していきます。
Github Copilot
Github Copilotインストール画面
GitHub Copilotは、OpenAIのGPT-4を利用してコードの自動生成を行うツールです。開発者がコメントや簡単なコードスニペットを入力すると、関連するコードを提案し、実装を助けます。
VS Codeなどの主要なIDEに統合可能で、多言語に対応しているため、幅広いプログラミング言語で利用できます。
また、APIの使用例やベストプラクティスを提案してくれるため、開発者のスキルアップにも役立ちます。特に、新しい言語やフレームワークを学ぶ際に、GitHub Copilotは強力なサポートツールとなります。
GitHub Copilotを使うことで、定型的なコードの記述に費やす時間を大幅に削減できます。
導入方法
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無料トライアルの開始
GitHub Copilotを試すには、GitHub Copilotのページから無料トライアルを開始します。何かしらのCopilot Planに加入してください。
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拡張機能のインストール
お使いのIDE(統合開発環境)にGitHub Copilotの拡張機能をインストールします。VSCodeなどがあります。
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ログインと設定
GitHubのアカウント情報を使用してログインし、必要に応じて追加の設定を行います。
使い方
- コードを入力する際に、自動的に関連するコードの提案がポップアップされます。
- 提案されたコードはタブキーで簡単に挿入できます。
- 特定の関数やAPIの使用例を知りたい場合は、コメントで質問することで、適切なコードが提案されます。
詳しい導入方法・使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
➡️Github Copilotとは?その使い方や料金、VScodeへの導入方法を解説
サポートされている言語
GitHub Copilotは、Java, PHP, Python, JavaScript, Ruby, Go, C#, C++ など、ほとんどの人気言語やフレームワークで動作します。
公開リポジトリでトレーニングされたモデルを使用しているため、多くの言語やライブラリで効果的に機能します。
Github Copilot Voice
Github Copilot Voiceインストール画面
GitHub Copilot Voiceは、声によるコーディングを可能にする拡張機能です。このツールを使うことで、手を使わずに声だけでコードを書くことが可能になります。
特に障害を持つ開発者やマルチタスクをこなす際に便利で、プログラミングのアクセシビリティを大きく向上させます。
GitHub Copilot Voiceを使えば、コーディング中に手を離すことなく、音声コマンドでIDEの操作やコード生成を行えます。
例えば、「toggle sidebar」でサイドバーの開閉、「goto line 56」で特定の行へのジャンプ、「write code to print the gcd of 2 numbers」で2つの数の最大公約数を出力するコードの生成など、多様な操作が音声で可能です。
前提条件
- GitHubアカウントにログインして、GitHub Copilotへのアクセスを確保する必要があります。
- Java 11以上をインストールしておく必要があります。Javaのダウンロードページからインストールできます。
- デフォルトのシステムマイクが使用されます。
- Linuxユーザーの場合は、soxをインストールしておく必要があります。
- 既にGitHub Copilot拡張機能をインストールしている場合は、GitHub Copilot Voiceを使用する間は無効にしてください。
導入方法
- 拡張機能のインストール
VS Codeで、拡張機能タブを開き「GitHub Copilot Voice」を検索してインストールします。
- 拡張機能の設定と認証
拡張機能を有効にした後、GitHubでの認証を求められます。指示に従ってログインし、必要な権限を付与します。
- 基本的な使用方法
VS Codeを開いて、「Copilot」と言うことで音声コマンドが有効になります。「Copilot, toggle sidebar」のように具体的なコマンドを話すことで、サイドバーを開閉するなどの操作が可能です。
- アクティブモードの利用
「Copilot, start active mode」と言うことでアクティブモードを開始し、繰り返し「Copilot」と言う必要なくコマンドが使用できるようになります。アクティブモードを停止するには、「stop active mode」と言います。
使い方 (主な音声コマンドの例)
IDEの操作
- 「toggle sidebar」: サイドバーの開閉
- 「goto line 56」: 56行目へカーソル移動
- 「save all」: すべてのファイルを保存
- 「zoom out」: ズームアウト
コード生成・編集
- 「write code to print the gcd of 2 numbers」
2つの数の最大公約数を出力するコードを生成 - 「change the return type of the function to a boolean」
関数の戻り値をboolean型に変更
Github Pull Requests
Github Pull Requestsインストール画面
GitHub Pull Requestsは、Pull Requestの管理とレビュープロセスを自動化する機能です。AIがコードの質を分析し、バグやパフォーマンスの問題を指摘することで、より効率的なコードレビューを実現します。
また、コードのスタイルや設計に関する自動提案により、開発者間の一貫性も保たれます。
導入方法
- 拡張機能のインストール
Visual Studio Codeを開きます。拡張機能タブをクリックし、「GitHub Pull Requests」を検索します。拡張機能を見つけたら、「インストール」ボタンをクリックします。
VSCodeまたはVisual Studio Marketplaceからダウンロードしてインストールすることも可能です。
- GitHubリポジトリの開設
VSCodeで、操作したいGitHubリポジトリを開きます。
- 新しいビューレットの表示
アクティビティバーに新しいビューレットが表示され、プルリクエストとイシューのリストが確認できます。
- GitHubへのサインイン
ビューレット上のサインインボタンを使用してGitHubにログインします。
- リモート設定の構成
githubPullRequests.remotes 設定を用いて、どのリモートリポジトリのプルリクエストをフェッチするか指定します。
デフォルトでは origin と upstream が設定されていますが、他のリモートがある場合は追加が必要です。
使い方
- プルリクエストのリストとブラウズ
インストール後、VSCodeのアクティビティバーにあるGitHub Pull Requestsアイコンをクリックすると、プルリクエストとイシューのリストが表示されます。
ここからプルリクエストを選択し、詳細を見たり、レビューを開始したりすることができます。
- プルリクエストのレビュー
プルリクエストを開くと、エディタ内で直接コメントを追加したり、変更をレビューしたりすることが可能です。プルリクエストをチェックアウトして、ローカルで変更を試すこともできます。
- イシューの管理
イシューをブラウズし、新しいブランチを作成して作業を開始するアクションを利用することができます。todoコメントから直接イシューを作成するコードアクションも利用可能です。
- アットメンションとイシューのホバーカード
コード上で@ユーザー名やイシュー番号にカーソルを合わせると、詳細情報がポップアップ表示されます。
- 補完と提案
ユーザーやイシューに関する補完提案がエディタに表示されます。
今後の動向
GitHub Copilot Xの導入により、開発の自動化と効率化が進むと予想されます。特に、大規模なプロジェクトや複雑なアプリケーションの開発において、その影響は顕著になるでしょう。
AIの進化に伴い、さらに高度な機能が追加される可能性もあり、開発者コミュニティにとって必須のツールになるかもしれません。
例えば、将来的にはGitHub Copilot Xが自動的にコードのリファクタリングを提案したり、プロジェクトの構成を最適化したりすることも考えられます。
また、音声によるコーディングがより高度になり、自然言語に近い形でプログラミングができるようになるかもしれません。
まとめ
GitHub Copilot Xは、AIを活用してソフトウェア開発を革新する強力なツール群です。コード自動生成を行うGitHub Copilot、音声コマンドでのコーディングを可能にするGitHub Copilot Voice、AIを活用して効率的なプルリクエスト管理を実現するGitHub Pull Requestsなど、各コンポーネントが開発者の生産性向上とコードの品質改善に寄与します。
これらのツールを効果的に活用することで、開発者は高品質なコードをより迅速に書くことができ、創造的な作業により多くの時間を割くことができるようになるでしょう。
ただし、AIによるコード生成の限界やセキュリティ面での懸念にも留意が必要です。
今後もGitHub Copilot Xの進化に注目し、AIと人間の協働によるソフトウェア開発の新たな可能性を探ることが重要です。GitHub Copilot Xは、開発者にとって必須のツールになる可能性を秘めています。