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画像認識AIとは?活用事例や機械学習の仕組みをわかりやすく解説

この記事のポイント

  • この記事は、AIによる画像認識技術について広範に説明しています。
  • 画像認識技術の概要、技術的背景、活用法、導入ステップ、未来展望等が詳細に述べられています。
  • 画像認識の基本的な仕組みや、機械学習・ディープラーニングとの関係についてもわかりやすく解説しています。
  • 自動運転、医療、セキュリティなど、様々な分野での画像認識の応用例を紹介しています。
  • 画像認識技術の導入を検討する企業に向けて、実装のステップやポイントについても言及しています。

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

近年、AIとコンピュータビジョンの急速な進歩により、画像認識技術は私たちの生活やビジネスに大きな影響を与えています。
画像認識とは、コンピュータが画像データを分析し、特定の物体やパターンを識別するプロセスを指します。スマートフォンのカメラ機能、自動運転車のセンサーシステム、医療診断支援など、様々な分野で画像認識が活用され、革新的な変化をもたらしています。

本記事では、AIを活用した画像認識技術について包括的に解説します。基礎となる概念や技術的背景から始まり、機械学習やディープラーニングとの関係、具体的な活用シーン、企業が画像認識を導入する際のステップ、そして将来の展望まで、多岐にわたるトピックを取り上げます。

画像認識技術に関する知識を深め、日常生活やビジネスでの活用方法を見出していただくための情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。

画像認識AIとは

画像認識 (Image Recognition)技術とは、デジタル画像を分析して特定のパターン、オブジェクト、または情報を検知し理解するプロセスです。

画像認識は、日常のスマートフォンのカメラアプリから医療、自動運転車、セキュリティシステムに至るまで、様々な分野で革新的な変化をもたらしています。

画像認識AIの技術的背景

画像認識技術は、人間の視覚と類似した方法でコンピュータが画像を解釈することを可能にします。
この領域はコンピュータビジョンと呼ばれ、カメラなどの光学センサーから得られる画像データを解析し、それらを有用な情報に変換する技術です。

画像認識の基礎には、「パターン認識」と「機械学習」があります。伝統的な機械学習手法に加えて、近年ではより高度なディープラーニング(深層学習)の手法が広く採用されています。
ディープラーニングは、人工ニューラルネットワークを用いて、大量の画像データから自動的に特徴を学習することができます。

画像認識のプロセスでは、対象となる画像から以下のような特徴を抽出します。

  • エッジ(物体の境界線)
  • (色相、彩度、明度)
  • テクスチャ(表面の質感や模様)
  • 形状(物体の形や大きさ)


これらの特徴をもとに、画像認識AIは以下のようなタスクを行います。

  • 分類(画像が属するカテゴリを決定する)
  • 物体検出(画像内の特定の物体の位置を特定する)
  • セグメンテーション(画像を意味のある領域に分割する)


AIの進歩により、これらの処理はますます高度化しており、高い精度とスピードでリアルタイムに実行できるようになっています。


画像処理と画像認識の違い

「画像処理」がデータを前処理する段階であるのに対し、「画像認識」はその次のステップで、アルゴリズムが前処理された画像を使用して特定のタスクを実行します。

  • 画像処理 (Image Processing)
    画像の質を改善したり、特徴を抽出するための手法。これには、ノイズの除去、コントラストの調整、エッジの強調、色空間の変換などが含まれます。
    画像処理は、画像認識のパフォーマンスを向上させるために重要な役割を果たします。

  • 画像認識 (Image Recognition)
    画像から特定のパターンやオブジェクトを識別し、理解するための手法。画像処理によってクリーンで適切な形式に変換されたデータに基づいて、機械学習やディープラーニングのアルゴリズムが画像を解析します。
    画像認識のタスクには、分類、物体検出、セグメンテーションなどがあります。


画像処理は、画像認識のための基礎となるデータを準備する役割を担っており、両者を組み合わせることで、コンピュータが画像を理解し、有用な情報を引き出すことができるのです。

皆さんの身近にある例として、バーコードが挙げられます。バーコードは光学的な読み取り装置を用いて情報を取り出すことができ、画像認識技術の一例として広く利用されています。

画像認識におけるディープラーニングの役割

ディープラーニング(深層学習)は、多層のニューラルネットワークを用いて画像認識タスクを実行するAI技術のサブフィールドです。
多層のニューラルネットワークを用いて画像認識タスクを実行します。

  • ディープラーニングでは、複数の層を通じてデータが処理され、各層は入力データからより複雑な特徴を段階的に抽出する役割を担います。

  • 初期層はエッジやシンプルなテクスチャの識別に焦点を当て、より深い層ではこれらの初期特徴を組み合わせてより高度な表現を学習します。

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)

ディープラーニングアルゴリズムの代表的な例は例は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)です。

CNNは特に画像分析において強力であり、以下のような多様なアプリケーションで効果を発揮しています

  1. 自動運転車の障害物検出
  2. 医療画像分析 (がんの診断、脳腫瘍の分類など)
  3. 顔認識システム (セキュリティ、エンターテインメントなど)


ディープラーニングの導入により、以前は手作業で行われていた特徴のエンジニアリングが大幅に減少し、モデルが自動的に最適な特徴を見つけ出すことが可能になりました。

これにより、画像認識システムの性能と効率が大幅に向上しています。


画像認識の種類とその活用事例

画像認識技術は多岐にわたる種類があり、それぞれに特化したアプリケーションが存在します。
これらのテクノロジーは、オンラインの小売業から自動運転車、医療診断に至るまで幅広く活用されています。

ここでは、主要な画像認識の種類を紹介し、それぞれが実際にどのような形で使われているのかをご紹介していきます。

物体認識と検出

物体認識と検出は、画像の中から特定のオブジェクトを識別し、その位置情報を特定する技術です。
小売業での商品の自動チェックアウトシステム、交通管理システムでの車両の識別、屋外広告での視聴者メトリックの収集などに応用されています。

小売業

小売業界では、顧客が商品をレジに持っていくことなく、カメラと物体認識技術を使用して自動的に商品を識別し、購入手続きを完了するシステムが導入され始めています。

例えば、富士通株式会社は店舗内で商品を見歩きながら、その場でスマホアプリだけで、POSレジを介さずに買い物ができる「Brainforce ウォークスルーチェックアウト」と呼ばれるサービスを提供しています。

Brainforce ウォークスルーチェックアウト
Brainforce ウォークスルーチェックアウト (出典: 富士通株式会社)

これにより、待ち時間の削減や買い物のスピードアップが実現され、顧客体験の向上に繋がっています。

交通管理システム

交通管理システムでは、カメラと物体認識技術を組み合わせて、交通量の監視や違法駐車の検出などが行われています。特定の場所での車両の動きをリアルタイムでモニタリングし、必要に応じて適切な対応を行うことができます。

交通量調査は元々人間が一日中手動で一台一台数える手間も時間もかかる作業でした。しかし、物体認識技術の導入により、このプロセスが劇的に改善されました。
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交通量調査・通行量調査をAIでカウント 出典:SCORER Traffic Counter Cloud)

この技術を使用することで、カメラが道路上の車両を自動的に検出し、通過する車両の数を正確にカウントすることが可能になりました。さらに、物体認識技術は車両の種類や速度などの情報も提供し、交通パターンの分析や交通渋滞の予測にも役立ちます。

屋外広告

さらに、屋外広告では、カメラと物体認識技術を使用して、視聴者の属性や行動パターンを分析することが可能です。これにより、広告主はターゲット層に適した広告を配信し、広告の効果を最大化することができます。

駅構内のOOH広告に接触した人の属性をもっと正確に把握したい、効果的な広告運用を検討したい、などのニーズの高まりを受け、パナソニック コネクトは画像センシング技術を活用してこれらOOH広告特有の課題を解決する新サービスMilCount™(ミルカウント)を開発しました。

MilCount
MilCount™ (参考:Panasonic

このように物体認識と検出技術は、様々な産業や分野で革新的なソリューションを提供し、効率性やセキュリティの向上に貢献しています。


セグメンテーション技術

セグメンテーション技術は、画像内の各ピクセルを分類して、異なるオブジェクトや地域を区別する手法であり、自動運転システムでの障害物検知、医療画像での異常部位の同定などに有効な技術です。

自動運転システムでの障害物検知

自動運転システムにおける障害物検知は、AIの画像認識技術が不可欠です。

この技術は、車両に搭載されたカメラやセンサーから得られる映像データを解析し、周囲の状況を正確に把握することができます。

トヨタ自動車株式会社のプリクラッシュセーフティ機能は、AIの画像認識技術を活用し、より安全なドライビング環境を実現することを目指しています。

プリクラッシュセーフティ
プリクラッシュセーフティ (出典:トヨタ自動車株式会社)

医療画像での異常部位の同定

医療画像での異常部位の同定における画像認識技術は、医療診断において重要な役割を果たしています。

この技術は、患者のX線、CTスキャン、MRIなどの医療画像から異常部位を正確に検出し、医師が迅速かつ正確な診断を行うのを支援します。

医療画像での異常部位の同定
出典:Clarifying Image Recognition Vs. Classification in 2024


顔認証システム

顔認証技術は、個々の顔の特徴を検出し、その人物を識別する手法です。

現在では、スマートフォンのロック解除から空港のセキュリティチェックに至るまで、様々なセキュリティ関連のアプリケーションで広く利用されています。

Face ID
出典:Apple Support

この技術の進化により、個人情報の保護やアクセス制御の分野で革新的な解決策が提供される一方で、プライバシーや個人のデータセキュリティに関する懸念も浮上しています。

例えば、顔認証システムを回避して顔認証を突破するために、ディープフェイクによる顔交換技術が悪用されている事例もあります。

【関連記事】
➡️ディープフェイクとは?その脅威と有用性、法的な課題を徹底解説

身元確認会社iProov の報告書によると顔交換技術を利用してリモート本人確認を回避しようとするディープフェイク攻撃は、2023年に**704%**増加しました。

ディープフェイク攻撃
顔交換技術を利用したディープフェイク攻撃 出典:2024 Threat Intelligence Report

このような新たな脅威に対処するために、AI業界は常に新しいセキュリティ対策の開発と実装に取り組んでいます。


画像認識システムの導入ステップ

画像認識システムをビジネスプロセスに組み込むための導入は、計画的かつ段階的なアプローチを要求します。

このセクションでは、画像認識システムの実装に向けて必要なステップとして、データの収集と前処理、モデルの訓練、実装とテストという3つの基本的な段階を紹介し、それぞれの段階におけるベストプラクティスについて詳述します。

データ収集と前処理

データ収集は、画像認識システムの精度にとって最も重要な要素の一つです。豊富で多様なデータセットを用意し、それらを前処理することで、モデルがより一般化したパターンを学習できるようにします。

  • データの前処理には以下の手順が含まれます:
    • ノイズの除去
    • サイズの調整
    • 画像の正規化

医療画像の場合、さまざまな患者のX線写真やMRIスキャンを収集し、それらをノイズを除去し、正規化し、適切なサイズにリサイズします。

モデルの訓練

適切なデータセットを用意した後、画像認識モデルを訓練します。この段階では、ディープラーニング技術、特にCNNなどのアーキテクチャがよく用いられます。

  • モデルのトレーニングでは以下が重要です:
    • 過学習を避けるためのテクニック
    • ハイパーパラメータのチューニング
    • モデルのバリデーション

実装とテスト

最後に、訓練済みのモデルを実際の環境でテストし、システムが期待通りに機能するかを確認します。

  • テスト段階では以下が行われます:
    • モデルの性能評価
    • 必要に応じた微調整

システムの十分な機能を確保するには、本番環境での継続的なパフォーマンスモニタリングと適宜の更新が不可欠です。


画像認識の未来展望

今後予想される画像認識技術の進化としては、より高速で正確なアルゴリズムの開発や、少ないデータで高い性能を達成するための転移学習といった手法の洗練が挙げられます。

また、プライバシーへの配慮や倫理的な問題を前面に押し出した、安全で透明なAIシステムへの要求も高まっています。

拡張現実(AR)や仮想現実(VR)といった技術の成熟も、画像認識技術に新たな応用領域を提供し、エンターテイメントから教育、生産まで、日常生活のあらゆる側面に革命をもたらしています。

拡張現実(AR)

ARは、現実世界にコンピューター生成の情報や要素をオーバーレイする技術です。

  • スマートフォンやAR専用のヘッドセットなどのデバイスを使用して利用可能
  • 道案内や情報ポップアップなど。

仮想現実(VR)

VRは、ユーザーを仮想空間に没入させる技術です。

  • ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やヘッドセットを使用して体験。
  • ゲーム、シミュレーション、トレーニングなど。

クロスリアリティ(XR)

XRは、現実世界と仮想世界を包括する技術の総称。

  • AR(拡張現実)とVR(仮想現実)を含む。
  • スマートフォンやAR専用のヘッドセット、VRヘッドセットなどのデバイスを使用して利用可能。
  • 道案内や情報ポップアップから仮想空間への完全な没入体験まで、幅広い体験が可能。

最近では、Appleが2024年4月に、Apple Vision Pro向けに「空間ペルソナ」を導入しました。

Apple vision
参考:Apple


まとめ

この記事では、画像認識技術の基本から、その技術的背景、様々な画像認識の種類とその活用方法、導入ステップに至るまで、幅広く解説しました。

この技術の基本概念を理解し、実際のビジネスや日常生活における応用範囲を把握することで、それぞれの状況に最適なソリューションを選択し、効果的に活用することが可能になります。
また、未来展望を探ると、画像認識技術は今後も進化し続け、私たちの社会システムや日常生活においてさらに根付いていくと予想されます。

プライバシーとセキュリティの向上、そして倫理的な配慮を含む透明性の高い使用法の模索も、今後ますます重要になってくるでしょう。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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