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ChatGPTを契約書チェックに活用!プロンプト例や注意点を徹底解説

この記事のポイント

  • この記事はChatGPTを用いた契約書チェックの方法について解説しています。
  • ChatGPTの高度な自然言語処理能力を活かすことで、契約書内の不利な条件や潜在的なリスクを迅速に特定できます。
  • AIによる契約書チェックの利点と注意点について言及し、効果的な活用方法を提案しています。
  • 専門家との協働の重要性についても触れ、AIを補助ツールとして活用することの意義を説明しています。
  • 最新のAI技術がビジネスでのリスク管理にどのように貢献できるかを、具体例を交えて解説しています。

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

契約書の確認作業は緻密さが求められるため、多大な時間と労力が必要とされます。しかし、AI技術の進化により、特にChatGPTのようなツールを使用することで、こうした作業を効率的かつ効果的に行うことが可能になりました。

本記事では、ChatGPTを用いた契約書チェックの方法について、その活用法やリスク管理、さらには専門家との協働の重要性について解説します。

最新のAI技術が如何にしてビジネスでのリスク低減に貢献し得るのか、具体例と共に実践的なアドバイスを提供し、契約書チェックプロセスの新たな一幕を開きます。

最新モデル、OpenAI o1(o1-preview)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください⬇️
OpenAI o1(ChatGPT o1)とは?その特徴や使い方、料金体系を徹底解説!

【重要】ChatGPTを契約書チェックに利用する上での事前知識

ChatGPTを契約書チェックに利用する前に、法的文書の扱いに関する基本的な知識を身につけることが重要です。

  • 契約法の基本原則
    契約法の基礎、契約の成立要件(オファー、受諾、対価)・契約違反時の救済措置・および契約が法的に有効であるために満たすべき条件など。

  • 法的用語の理解
    「免責条項」・「解除権」「保証」・「約束」など、契約書に頻出する特定の法的意味を持つ用語の正確な理解。

  • 契約書の構造
    契約書の典型的な構造(プレアンブル・定義条項・本文・終了条項・署名欄など)と、それらが契約全体の文脈の中でどのように機能するかの理解。

  • ChatGPTの利用範囲と限界の認識
    ChatGPTを含むAI技術が持つ能力と限界を理解し、その範囲内で適切に利用すること。ChatGPTは初歩的な分析や要約、条項の解釈を助けることができますが、複雑な法的問題や最新の法律変更に対応する能力には限界があります。


これらの基礎知識を有することで、ChatGPTを契約書チェックに利用する際に、より効率的で有効な結果を得るための基盤が整います。AIの分析結果は参考情報として活用し、最終的な法的判断は専門家に依頼することが重要です。

ChatGPTで契約書チェックを行う際の法的根拠

法務省は企業間で交わす契約書を人工知能(AI)で審査するサービスの指針を公表した。法的に争いのない取引契約などを「適法」としています。

AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について
AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について (参考:法務省)


ただし、弁護士ではない事業者が係争案件についてこのような提案をし報酬を受け取れば弁護士法違反となるため注意が必要です。
法務省の容認を受け、リーガルテック各社は、商機拡大へサービスを展開しています。

企業名 機能説明
弁護士ドットコム 電子契約サービス「クラウドサイン」にAI契約書審査機能を追加
GVA TECH AI契約書レビュー支援クラウドGVA assist(ジーヴァアシスト)にChatGPTを使った新機能を追加
LegalOn Technologies 小規模事業者向けに機能を絞って価格を抑えたAI契約書審査サービス「LFチェッカー」の提供
Sansan 契約書管理サービス「Contract One」に生成AIを活用した新機能の追加

AI使用時の法的懸念とその回避策

AI使用時の法的懸念とその回避策
AI使用時の法的懸念とその回避策

AI技術、特にChatGPTのような高度な自然言語処理ツールを利用する際、法的な懸念が生じる可能性があります。これらには、データのプライバシーや機密性の保持、AIによる解析の正確性や信頼性、さらには解析結果に基づく法的責任の所在などが含まれます。これらの懸念を回避するためには、以下の対策を講じることが推奨されます:

  • データ保護とプライバシーの確保
    契約書などの機密文書をAIツールに入力する前に、データが適切に保護され、プライバシーが確保されていることを確認してください。また、利用するAIサービスがデータ保護に関する規制や基準を遵守しているかも検討する必要があります。

  • AI解析の補助的利用
    AIによる契約書のチェックは、あくまで人間の専門家によるレビューを補助するものとして位置づけるべきです。AIの解析結果は有用な洞察を提供することができますが、最終的な法的判断は専門家が行うべきです。

  • 技術的な制限の理解
    どのAIツールにも技術的な限界があります。ChatGPTを含む自然言語処理ツールが特定の法的ニュアンスや最新の法律変更を完全に把握しているとは限りません。したがって、AIの解析結果を鵜呑みにせず、常に専門的な検証を行うことが重要です。

  • 最新の法律知識の維持
    法律は常に進化しています。AIツールを契約書チェックに利用する場合、ツールが最新の法律情報を反映しているか、また、自身が最新の法的変更について知識を更新しているかを確認することが重要です。

ChatGPTで契約書チェックを行う手順

ChatGPTを契約書チェックのために使用する際は以下の手順で行います。

💡最適なGPTモデルの選び方

ChatGPTにはいくつかのバージョンがリリースされており、それぞれに性能と特徴の違いがあります。GPT-4は、前モデルであるGPT-3.5よりも高度な能力を有していますが、契約書チェックにおける具体的な優位性は明らかではありません。

GPT-3.5とGPT-4の主な違いは以下の通りです。

機能・特性 GPT-3.5 GPT-4
マルチモーダル対応 テキストのみ テキストに加え、画像の入力にも対応
言語処理能力 高度な言語処理が可能 GPT-3.5よりもさらに高度な言語処理が可能
対話の一貫性 一定の対話の一貫性を維持 より長い対話においても一貫性を維持
事実の正確性 時として事実と異なる情報を生成する可能性がある 事実の正確性が向上しているが、完全ではない

どちらのモデルを利用する場合でも、その特性を理解し、適切な質問を行うことが重要です。また、ChatGPTによる出力は参考情報として扱い、必ず人間が内容を確認・検証する必要があります。

【関連記事】
➡️ChatGPTの無料版と有料版の違いは?各モデルの特徴と活用例を解説!

また、契約書のチェックにChatGPTを利用することで、時間とコストの節約に貢献する可能性がありますが、法的拘束力のある契約書のレビューには弁護士などの専門家の助言が不可欠です。


  1. 契約書のデジタルコピーを準備する:
    契約書をデジタル形式で用意し、必要な部分をChatGPTに入力できるようにします。機密情報を保護するため、特定の個人や企業を識別する情報は匿名化または削除してください。

  2. ChatGPTにアクセスする:
    OpenAIのChatGPTへのアクセス方法を選び、利用規約に同意した上でサービスを開始します。ウェブインターフェース、API経由など、利用可能な方法を選択できます。

  3. 契約書チェック用プロンプトを入力する:
    契約書の確認、特定条項の解釈、潜在的リスクの特定など、解析したい内容に応じたプロンプトをChatGPTに入力します。

  4. ChatGPTの回答を検証する:
    ChatGPTから得られた回答を注意深く検証し、その情報を基に更なる分析を行うか、必要に応じて専門家の助言を求めます。

  5. フィードバックを活用する:
    ChatGPTの解析結果に基づき、契約書の内容を修正または補強することで、契約の公平性や保護を強化します。

  6. 専門家に最終レビューを依頼する:
    ChatGPTの分析結果をもとに契約書の改善を行った後、最終的な確認のために法律専門家にレビューを依頼します。

実践ガイド:ChatGPTで契約書チェックを始める
実践ガイド:ChatGPTで契約書チェックを始める

実際の使用例

ChatGPTを契約書チェックに活用することで、時間と労力を節約し、契約書の潜在的な問題点を早期に特定することができます。

例えば、このような契約書を準備します。今回は土地建物売買契約書のサンプルを使用しました。

ChatGPTを使った契約書の確認方法1
ChatGPTを使った契約書の確認方法1


今回は「潜在的なリスクをすべて挙げ、それらを回避または軽減するための提案をしてください。」と入力しました。

ChatGPTを使った契約書の確認方法2
ChatGPTを使った契約書の確認方法2


すると上記のように出力します。このようなChatGPTによる提案を通じて、契約の透明性を高め、予期せぬリスクやトラブルから自身を保護することができます。

【すぐに使える】契約書チェック用プロンプト

これらのプロンプトは、契約書の深い理解を促すために有効です。
しかし、ChatGPTの分析や解答もあくまで一つの参考情報として利用し、実際の契約書の解釈や法的判断には、専門家の助言を求めることが重要です。

カテゴリ 具体例
不利な条項の識別 ・この契約書に含まれる可能性のある不利な条項を特定してください。
・業界標準と比較して、この契約書に含まれる特に不利な条件は何ですか?
・この契約書に含まれる条件が将来的に私たちに不利に働く可能性のある条項を分析してください。
契約書の要約 ・この契約書の主要なポイントと任意のリスクを簡潔に要約してください。
・この契約書の主要な条項をそれぞれ簡潔に要約してください。
・この契約書から特に注意すべきポイントを挙げ、簡潔に説明してください。
特定の条項の解釈 ・第X条(具体的な条文を挿入)の意味と、それが私たちにどのような影響を与えるかを説明してください。
・もし(特定の状況)が発生した場合、第X条「(条文のテキスト)」はどのように解釈されますか?
・第X条「(条文のテキスト)」を複数の部分に分けて、各部分が持つ意味と重要性を説明してください。
・第X条「(条文の具体的なテキスト)」が契約の当事者に与える具体的な影響は何ですか?
・第X条「(条文のテキスト)」は、(特定の法域または国)の現行法において有効ですか?
契約の公平性の評価 ・この契約が双方にとって公平かどうか、そしてどの部分が改善されるべきかを分析してください。
・この契約書におけるリスク分担が公平に行われているかどうか評価してください。
・この契約書における改定や修正の手続きが双方に公平な条件であるかどうか分析してください。
終了条項の分析 ・この契約を終了するための条件とプロセスを明確にしてください。
・契約の終了条件が不利であるか、または終了が困難である条項があれば指摘してください。
・この終了条項が法的に有効かつ強制可能であるかどうか評価してください。
・契約終了時に必要な手続きとステップを詳しく説明してください。
潜在的なリスクの特定 ・この契約書から読み取れる潜在的なリスクをすべて挙げ、それらを回避または軽減するための提案をしてください。
・契約書の表現や条件の中に隠れたリスクや不利な点があれば、それを指摘してください。
・この契約における違約金や罰則が厳しい、または不公平な条件である部分を特定してください。
・契約の経済的条件が未来に及ぼす潜在的な負の影響を分析してください。
・この契約によって発生する法的義務から生じる可能性のあるリスクを教えてください。
適用法と紛争解決の条項の確認 ・契約書で指定されている適用法と紛争解決のメカニズムを特定し、その影響を分析してください。
・契約期間中に適用法が変更される可能性はありますか?その場合、契約にどのような影響が生じる可能性がありますか?
・この契約書に指定されている適用法は何ですか?
・適用法と紛争解決条項が互いにどのように作用するか、その関係性を分析してください。
・紛争が発生した場合の解決プロセスをステップバイステップで説明してください。

ChatGPTプラグイン「Browse with Bing」

近年のアップデートにより、ChatGPTは「Browse with Bing」機能を用いてインターネット上の情報を参照できるようになりました。

この機能を使って、契約書の条項が一般的な市場慣行に沿っているか、または法律に適合しているか確認が可能です。専門的な法律データベースや信頼性の高いソースにアクセスすることで、ChatGPTがより正確な分析を行う助けになります。

「Browse with Bing」で契約書チェック
「Browse with Bing」で契約書チェック


リーガルチェックにおけるChatGPTの活用事例

株式会社スマサポの事例
株式会社スマサポは、AIサービスの導入によりリーガルチェックおよび契約書ドラフトを最大で75%の時間短縮させています。
また、契約にかかる時間の短縮により、売上計上にも貢献がみられました。

GVA assist導入によりリーガルチェック業務が最大75%短縮
参考:GVA assist

セイノーロジックスの事例
セイノーロジックスはAIサービスを活用して契約情報を精査することで、輸送ルートを見直し輸送原価を17%削減したほか、契約期限アラート機能を活用して新たな商談機会を創出しています。さらに顧客情報と契約情報をひも付けることで、営業の業務効率化を実現しています。

Contract Oneが関連する契約を自動的に体系化し、事業に貢献する「契約データベース」へ進化
参考:PRtimes


上記で紹介した事例以外にも、ビジネスはもちろん、医療、金融、クリエイティブ産業など、様々な分野でChatGPTの活用が広がっています。
詳しくは以下の記事で50の活用事例を紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

➡️ChatGPTの活用事例50選!企業や自治体、教育現場での例を徹底解説!


まとめ

AI技術、特にChatGPTの活用により、契約書チェックは新たな段階に入りました。
この技術を利用することで、企業は法的リスクを効率的に回避し、ビジネスの成長と発展を加速させることができます。ChatGPTを活用することの長期的メリットは計り知れず、今こそこの革新的なツールを試す絶好の機会です。

AIによる契約書チェックの新時代が、あなたのビジネスにも革命をもたらすことでしょう。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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