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中小企業におけるAIの活用事例!導入メリットや課題をわかりやすく解説

この記事のポイント

  • AIによる業務自動化で人手不足を解消
  • データ分析でコスト削減と売上向上を実現
  • 画像検査システムで製品検査効率が大幅向上
  • AIマーケティングでECサイトの顧客体験を改善
  • クラウドAIサービスで初期投資とコストを抑制

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

日本経済にとって重要な役割を果たしている中小企業ですが、人手不足や資金調達の難しさなどの課題を抱えています。
一方で、AI技術の進展と共に、使いやすくなったAIサービスが多く登場している現在では、中小企業でも手が届きやすくなっており、解決策への道が開かれつつあります。

本記事では、中小企業におけるAIの活用事例を紹介し、どのような可能性があるのかを探ります。
また、AI導入のメリットと共に、現実の課題にも触れつつ、なぜ中小企業においてAI導入が遅れがちなのか、その理由も考察します。


この記事が、中小企業におけるAI利用の一助となれば幸いです。

中小企業の抱える課題

一方、そんな中小企業には様々な課題があることも事実です。AIを導入することで、それらの中小企業の課題がどのように解決されていくのかを見ていきましょう。

資金調達の難しさ

資金調達

中小企業は大企業に比べて資金調達が困難です。銀行からの融資条件が厳しく、自己資金や親族・友人からの借り入れに頼ることが多くなります。このため、成長や新規事業展開のための資金が不足しがちです。

人手不足

人手不足

日本商工会議所が全国の中小企業を対象に実施した「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」によると、「人手が不足している」との回答が68.0%になっています。

これは2015年以来、最大値となっており、業界全体の人手不足の傾向が続いています。

また、中小企業などにおいては、大企業が提供する高い給与や福利厚生に対抗することが難しく、特に専門スキルを持つ人材の採用が課題となっています。

市場競争の激化

市場競争

市場競争の激化により、中小企業は国内外の企業との厳しい競争にさらされています。
グローバル化の進展とインターネットの普及により、消費者は世界中の製品やサービスにアクセスできるようになり、選択肢が増えています。

このため、中小企業は価格競争や品質競争に直面し、大手企業と比較してブランド力や規模で劣るために、同じ価格帯での競争が困難です。
さらに、技術革新や新しいビジネスモデルの導入が遅れると、競争相手に遅れを取るリスクが高まります。

このような状況で、中小企業は独自の価値提供や差別化を図ることが求められますが、限られたリソースの中でこれを実現するのは容易ではありません。

また、顧客のニーズや市場の変化に迅速に対応する柔軟性も必要となり、持続可能なビジネスモデルの構築に大きな課題が伴います。


中小企業がAIを導入するメリット

労働力不足の解消

AIを活用した自動化技術により、人手不足を補うことができます。
例えば、製造業ではロボットによる生産ラインの自動化、サービス業ではチャットボットによる顧客対応が可能です。

また、業務プロセスの効率化により、少ない労働力でより多くの業務をこなすことができます。AIによるスケジュール管理や在庫管理などがその例です。

資金調達の改善

AIを用いたデータ分析により、企業の財務状況や将来の見通しを正確に評価し、信用力を向上させることができます。これにより、金融機関からの融資を受けやすくなります。

また、AIを活用して業務プロセスを自動化することで、コスト削減が可能になります。

経費の削減により、浮いた資金を事業拡大や新規プロジェクトに投入することができ、結果的に資金調達の必要性を減少させることができます。

業務効率化への貢献

AIは、データ分析や自動化を通じて業務効率化に大いに貢献します。
データ分析では、大量のデータを迅速に分析し、業務改善点や市場トレンドを発見することで、迅速な意思決定をサポートします。

また、自動化により、ルーチンワークや定型業務をAIが処理するため、従業員はよりクリエイティブな業務に集中できます。

例えば、チャットボットによるカスタマーサポートの自動化などが具体例として挙げられます。

コスト削減と売上向上

AIの導入は、コスト削減や売上向上にも寄与します。
例えば、自動化による人件費の削減が可能です。特に繰り返し作業や夜間対応など、人手がかかる業務をAIに任せることで、コストを大幅に抑えられます。

また、顧客データの分析を通じて、効果的なマーケティング戦略を立案し、売上向上を実現します。
顧客の購買履歴を基にしたパーソナライズされたキャンペーンの実施が一例です。


中小企業におけるAI導入・活用事例

株式会社ヨシズミプレスの取り組み

株式会社ヨシズミプレスは、AIを活用した画像検査システムを導入し、製品の検査効率を大幅に向上させました。
従来は目視検査に大変な時間と労力を要していましたが、AI導入により、検査時間が40%削減され、利益率も向上しました。

導入費用はコンサルティング会社の支援や経済産業省の補助を活用して抑えられました。

ヨシズミプレス
参考:株式会社ヨシズミプレス公式HP

株式会社山本金属製作所の取り組み

株式会社山本金属製作所は、加工現象を見える化する技術を自社で開発し、データ分析とAIを活用して製造プロセスを最適化しました。
この取り組みが評価され、「DXセレクション2022」でグランプリを獲得。AI導入により、加工精度の向上や生産性の改善を実現し、取引先を50社から600社に増やしました。

また、ロボットシステムインテグレーション事業を展開し、さらなる効率化を目指しています。

株式会社山本金属製作所
参考:株式会社山本金属製作所公式HP

ピーチ・ジョンの取り組み

ワコールグループの下着販売企業である株式会社ピーチ・ジョンは、台湾発のスタートアップawoo Japan(アウージャパン)の衝動買いをデジタル化するAIマーケティングプラットフォーム「awoo AI」を導入しています。
従来のECサイトでのショッピング経験は、特定の商品を検索し、その商品を購入検討することに体験が集中していました。

ECサイトというオンラインショッピングの体験としては、それでいいのかもしれませんが、実際にお店に訪れることで偶然的に出会えたはずの類似商品や、欲しい商品の横に飾ってある別の商品と出会えなくなってしまっていることも事実です。

そこで、AIが活躍します。AIが商品購入ページ内に、関連商品ページに遷移するためのキーワード集が用意されており、偶然性を担保しようという設計が施されています。

ピーチ・ジョン
参考:ピーチ・ジョン公式HP


中小企業においてAIの導入が遅れている理由

コストと資源の制約

中小企業は限られた予算で運営されているため、高額なAI導入が難しいと言われます。また、初期投資だけでなく、運用やメンテナンスのコストもかかってきます。

そのため、比較的低価格で導入でき、サポートも充実したクラウドベースのAIソリューション(AWS、Google Cloud、Microsoft Azure etc..)を利用することが現実的だと言えます。
クラウドベースのAIサービスは初期投資を抑え、必要なときに必要なリソースだけを利用できるため、コストを効果的に管理できます。

また、政府や地方自治体の補助金や助成金を利用することで、初期投資を軽減できるでしょう。

専門知識の不足

AI技術を理解し活用するためには専門的な知識が必要ですが、中小企業ではそのような人材が不足しています。これにより、AIの選定、導入、運用が難しくなり、外部のコンサルタントに頼らざるを得ない状況が生じます。

一方で、インターネット上ではAIを学ぶための教材が増えており、誰でもアクセスできるような環境が整ってきていることも見逃せません。そのため、オンライン学習プラットフォームを利用して、社員のAIに関するスキルを向上させることで、この問題に対応できる可能性があります。

データの質と量の問題

AIは大量かつ高品質のデータを必要としますが、中小企業はそのようなデータを持っていないことが多いです。データの収集、整理、クリーニングに多大な労力と時間がかかり、AIの効果的な活用が阻まれます。

例えば、潤沢なデータをすでに保有している他企業とパートナーシップを結ぶという方法もあります。実際に、いくつかの企業では、データ提供者や他の企業とパートナーシップを構築し、必要なデータを共有することでデータの質と量を確保する傾向もあります。

導入後の運用とメンテナンス

AIシステムは導入後の運用やメンテナンスが重要です。中小企業ではこれに必要な専門知識やリソースが不足していることが多く、導入後に効果を最大化するための対応が困難です。これにより、期待した成果が得られないことがあります。

そのため。導入後のサポートが充実しているベンダーを選ぶことも重要になります。そうすることで運用やメンテナンスの負担を軽減できます。

期待値の管理

AI技術に対する過度な期待があり、中小企業は現実的な成果を得るために適切な期待値の設定が重要です。過大な期待は失望や無駄な投資を招く可能性があり、AIの効果を正確に評価し、現実的な目標を設定することが求められます。

例えば、小規模なプロジェクトから始めて、成功体験を積み重ねることで、期待値を適切に管理します。また、適切なKPIを設定し、段階的な目標達成を目指すことも重要です。そして、この記事にあるような事例に精通することで、自分たちの課題にとっての優良な先行事例を見つけ、ベンチマークにすることなども重要でしょう。


まとめ

中小企業は、日本の全企業に対して大きな割合を占めています。そのため、産業全体にとって重要な立ち位置にいます。そんな中小企業において、人手不足や資金調達の難しさなど、幾つもの課題があります。AIの導入は、コストがかかったり、専門的なスキルが必要だったりと参入障壁が高いようにも思われていますが、初心者でも十分に使いこなせるようなAIサービスが、ここ数年で数多く登場しています。そのため、自社の課題分析を通して、適切なAIサービスを活用することで、今までの課題を解決できる可能性が大きく広がります。この記事でもいくつかの事例を紹介してきましたが、中小企業のAI導入事例は、その重要性と比較して、まだまだ少ないと言えます。この記事が、AI導入に踏み切るきっかけになれれば幸いです。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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