この記事のポイント
- Claude 3.5 Sonnetの新機能Artifactsとプロジェクト機能を詳細に解説
- 無料での利用方法、スマホアプリやAWS Bedrockでの使用方法を紹介
- GPT-4やGemini 1.5 Proとの性能比較と、各モデルの特徴を分析
- ゲーム作成、フローチャート生成、サイト構築など、実際の活用例を豊富に提示
- 日本語性能の高さと、様々な分野での革新的な応用可能性を強調
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
Anthropicが開発した最新AIモデル「Claude 3.5 Sonnet(クロード 3.5 ソネット)」が、AI技術に新たな基準をもたらしています。
処理速度が2倍、コストが5分の1という驚異的な性能向上に加え、強化されたマルチモーダル能力と高度な推論力を備えたこのモデルは、多くのベンチマークテストで競合を凌駕する結果を示しています。
特筆すべきは、新たに導入された「Artifacts」機能です。
この革新的な機能により、AIとの対話中にリアルタイムで視覚的なコンテンツを生成・編集することが可能になりました。
本記事では、Claude 3.5 Sonnetの利用方法や使い方、アプリや他のサービスでの利用方法、実際の活用例を網羅的に詳しく解説します。
AI技術の最前線を知りたい方、ビジネスでのAI活用を検討している方に、価値のある情報を提供いたしますのでぜひ最後までご覧ください!
Claude 3.5 Sonnet(クロード 3.5 ソネット)とは
Claude3.5生成とArtifactの実際の生成画面
Claude 3.5 Sonnetは、2024年6月に登場した最新のAIモデルであり、非常に注目を集めています。
注目すべきモデルはClaude 3シリーズの中位モデル「Sonnet」です。
今まで中立であったSonnetを進化させたこの3.5バージョンは、性能と効率性の両面で今までのモデルを凌駕しています。
Claude3.5 Sonnetの特徴と今までのモデルとの比較
最上位モデル「Claude 3 Opus」と比較すると、処理速度が2倍、コストが5分の1という驚異的な改善を実現しています。
Claude 3.5 Sonnetの料金
Claude 3.5 Sonnetは、ブラウザ・アプリ版共に無料で利用することが可能です。
有料版であるProプラン($20/月)へ加入すると、無料ユーザーの5倍の回数上限や、軽量モデルであるClaude 3 Haikuが利用できます。
Claude 3.5 SonnetのAPI料金
Claude 3.5 SonnetのAPI利用料金は以下の通りです。
入力と出力で異なる料金体系が適用されるのでご注意ください。
料金体系
モデル | 入力 $/百万トークン | 出力 $/百万トークン |
---|---|---|
Claude 3.5 Sonnet | $3 | $15 |
性能が大幅に向上しているにも関わらず、料金体系はレガシーモデルである「Claude 3 Sonnet」と同じ価格です。
【Claude3ファミリーとの料金比較】
モデル | 入力 $/百万トークン | 出力 $/百万トークン |
---|---|---|
Claude 3 Opus | $15 | $75 |
Claude 3 Sonnet | $3 | $15 |
Claude 3 Haiku | $0.25 | $1.25 |
さらに、3.5 Sonnet登場前の最上位モデル「Claude 3 Opus」と比較すると、入力料金は3分の1・出力料金は5分の1と、大幅にコストダウンされていることが分かります。
Claude 3.5 Sonnetの使い方
現在、Claude 3.5ファミリーは「Claude 3.5 Sonnet」のみが発表されており、Webブラウザとスマートフォンアプリの両方で使用できます。
Claude 3.5 Sonnet実際の画像
実際の使い方は非常にシンプルでチャット部分に自身の依頼文を打ち込むとClaudeが返答してくれます。
左側の画面がチャット部分、右側に出力される部分がArtifactと呼ばれる生成の成果を表示した部分になります。
Claude 3.5 Sonnet アプリ版の使い方
iosアプリでの利用はapple storeよりclaudeと検索することでアプリがサウンロード可能です。
ダウンロードすると画面上にこのようなアプリが追加されます。
アプリ画面
アプリを起動するとログイン画面が出てきますのでご自身のアカウントでログインします。
Claude起動画面
<r>これで利用が開始できます!
早速、使ってみましょう。今回は、「誕生日についてスライドを作成して」と依頼しました。
画像のように的確に返答してもらえます。Artifact機能は使えないようなので、Artifactが使いたい方はPCでの使用をお勧めします。
アプリの実際の利用画面
AWS Amazon Bedrockでの使い方
Amazon Bedrock画像
Amazon Bedrockは、AWS(Amazon Web Services)が提供するAIを利用できるサービスです。APIでclaudeを利用する場合の最も利用頻度の高いサービスになります。
まずAWSのBedrockに入るとこのような画面に遷移します。
Bedrock Top画面
ベースモデルのところでモデルを確認すると、3.5 Sonnetが確認できますがアクセス権がまだなかったので申請いたします。モデルアクセスの部分をクリックし、申請画面に移行します。
アカウント申請確認画面
最初は、リクエスト可能と出てくるのでその部分をクリック、申請後、進行中となり、完了するとアクセスが付与されましたと表示されます。
アクセス申請画面
この申請は時間かからずすぐ許可されるかと思います。
申請が許可されたらチャットのプレイグラウンドに移行します。
チャットのプレイグラウンド画像
画像の変更部分もしくはモデルを選択していないときはそこにモデルを選択の文字が出てきますのでその部分をクリックして使用したいモデルをクリックします。今回はClaude 3.5 Sonnetを選択します。
モデルの選択画像
これですぐに利用が可能です。
プロンプトを打ち込むことでスムーズに返答が返ってきています。ただこちらもArtifactの機能はないので試してみたい方はAnthropicのClaudeからの利用が良いかと思います。
実際のbedrock利用画像
Artifacts(アーティファクト機能)の使い方
この機能はLLMの業界に新たな風を巻き起こしたのではないでしょうか。
Claude 3.5 Sonnetに新たに導入されたArtifacts(アーティファクト)機能は、AIとの対話中に視覚的なコンテンツをリアルタイムで生成し、即座に表示・編集できる ユーザーエクスペリエンスを最大化する新たな機能です。
【Artifacts機能で作成可能なコンテンツ】
- マーメイド図(フローチャートやシーケンス図)
- ベクターグラフィック(SVG形式の画像)
- 簡単なゲーム(JavaScriptベースのミニゲームなど)
- Webサイトのプロトタイプ(HTML/CSSベースのUI)
- フローチャート(業務プロセスや意思決定フローなど)
生成されたコンテンツは、会話ウィンドウとは別の専用ウィンドウに即時表示されるため、直感的に内容を確認し、必要に応じて修正を加えることができます。
GPTでも可能なような、コード生成、文章生成は可能です。特にGPTと異なる点は日本語の自然さかと思います。
Claudeの滑らかな文章生成は日本語との相性も良いのでぜひ利用してみてください。
ゲームの作成とプレビュー
シューティングゲームの作成を依頼
こちらはただ、「シューティングゲームを作成して」と依頼すると出力された結果になります。実際にボタンを押して遊ぶことができてしまいます。
シューティングゲーム
Reactのコードも確認、コピペですぐ実装することが可能です。
そのため、エラーで動かない、一回本番環境で試して、エラーを解消するような繰り返し動作が0(ゼロ)になります。
コード確認画面
シューティングゲームでゲームオーバーになってしまうため、相手が倒れないことを伝えることで球を打ったら倒せるロジックも追加してくれました。
衝突ロジックの追加
フローチャートの作成
では、この衝突ロジックをどう作成されたのか、、わからないとブラックボックスになってしまいますのでフローチャートで説明してみてもらいましょう。
Mermaidといわれる記法で生成してくれており、実際のロジックをあっという間に生成してくれました。
フローチャートのコード部分
コードもしっかりと出力されています。
サイト構築
では、これをWebサイトにしてもらいましょう。
HTMLの生成
シンプルシューティングゲームという形でHtmlサイトがあっという間にできてしまいました。
スライド資料の作成
では、これまでの取り組みをスライドにまとめてもらいましょう。
「スライドにこれまでの取り組みをまとめて」と伝えてみました。
すると7枚のスライド資料が生成されます。
もちろんダウンロード可能、現在までの流れを完璧に把握した資料が生成されました。
スライド資料の作成
グラフの生成
次は、シューティングで私が何回ゲームオーバーになったかグラフにしてと依頼してみました。するとグラフが以下のように生成されています。
シューティングゲームのログが残っているわけではないので数値が仮の数値ですがグラフもあっという間に作成できますね。
グラフの生成
生成物がReactのコードなのでpythonに書き換えることも試しました。
Reactのコード
こちら書き換えは可能ですがグラフは表示されていません。
GPTはpythonコードで表示されることが多いのでここはClaudeとGPTの差分のようです。
Pythonコードへの書き換え
アニメーションの生成
作成したグラフをアニメーションに変換します。
ここでは、「Three.js によるアニメーションにして」と依頼をしました。
アニメーションの生成
すると立派にアニメーションにしてもらうことが可能です。
※gif等でのダウンロードができないのは注意してください。
漫画の作成
次にこれまでの流れを漫画にしてください。と指示すると四コマ漫画にしてくれました。
4コマ漫画の生成
流れもきちんとされていますね!
プロジェクト機能 (Projects)の使い方
プロジェクト機能は、いわゆる自身のチャットボットを作成できる便利な機能になります。
具体的には、「特定のテーマや目的に関連するナレッジベース(参照させたい資料)、チャット履歴、カスタム指示」の3つをプロジェクトごとに統合・管理できます。
プロジェクト機能利用画面
【主な機能と概要】
- 参考資料をアップロードするだけで、ナレッジベースを簡単に作成
- 構築したナレッジベースに基づいてClaudeが回答(一貫した知識コンテキストを維持できる)
- 「出力のニュアンス」や「回答形式の指定」(ChatGPTのカスタム指示のようなイメージ)
- 作成したプロジェクトをチーム内で簡単に共有(Teamプランのみ)
- 上の画像の星の部分を押すことでお気に入り登録のような形になり、サイドバーでの表示が可能
実際の手順
では早速Projects管理の画面に遷移してみましょう。
以下のような画面に移ります。ここでプロジェクトの作成と今まで作成したプロジェクトがわかります(プロジェクトの名前は後に編集も可能です)。
実際のプロジェクト管理画面
こちらは実際の作成画面です。
指示を覚えさせることができるカスタムインストラクション機能やナレッジDBの部分がありながらもチャットも使いやすい形になっています。
今回はAGIについて学習させてみました。
Projects作成画面
カスタムしたProjectsの利用画面になります。
実際にArtifactの利用もできるようになっています(もしArtifactを除きたい場合はProjects作成画面の三角フラスコのようなアイコンで操作できます)。
Projectsの利用画面
Claude 3.5 SonnetとGPT-4o・Geminiの比較
Claude 3.5 Sonnetはその性能の高さに注目されています。
では、GPT-4o、Gemini 1.5 Proと何がどのように違うのでしょうか。
Claudeで正式に公開されている能力の比較をグラフで示したものになります。
こちらを見るとVisual question answeringのみGPT-4oが能力値が高いですが、他はClaude 3.5 Sonnetが高い値を示しています。
各AIモデルの比較グラフ(赤いカッコが現状一位の箇所です)
視覚情報に基づく質問への回答能力以外はClaude 3.5 Sonnetが優秀であることがわかるかと思います。
それでも、Claude 3.5 Sonnetは、Claudeシリーズの中で最も視覚機能が良くなっています。
若干、GPTの方が優れているとも出ていますが、筆者が使った感じにおいてもとても優れた認識機能をしています。
特にグラフの解釈、図表の分析、不完全な画像からのテキスト転写などの能力が大幅に向上していますのでGPT一択だったものに新たな選択肢が増えたことになるでしょう
まとめ
本記事では、Anthropic社の最新AIモデル「Claude 3.5 Sonnet」について詳しく解説しました。高速な処理能力と優れたマルチモーダル機能を持つこのモデルは、多くのベンチマークで競合を凌駕する性能を示しています。
200Kトークンの大規模コンテキストウィンドウと革新的なArtifacts機能により、AIとのインタラクションは単なるチャットから共同作業環境へと進化しました。
無料で利用できるブラウザ・アプリ版と競争力のあるAPI料金設定により、幅広いユーザーが高度な機能を活用できます。Claude 3.5 Sonnetの登場は、AIの可能性を大きく広げ、様々な分野に革新をもたらす可能性を秘めています。