この記事のポイント
この記事はChatGPTによる小説の執筆について説明しています。- ChatGPTは柔軟性と高度な文脈理解能力を持つAI技術を活用することで、創作活動に革命をもたらします。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域：自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
ChatGPTは従来のAIとは異なり、ストーリー展開のアイデア出しや文章表現のブラッシュアップなど、小説執筆の様々な場面で役立ちます。「小説執筆に興味はあるが難しそう」、「趣味で執筆しているけど時間がない・アイデアが浮かばない…」と感じていた方でも、誰でも簡単に小説を書くことができます。
この記事では、ChatGPTを使って小説を書く時のポイントやプロンプトの書き方や設定の工夫方法について解説していきます。 小説家を目指す人だけでなく、創作活動を楽しみたいすべての人におすすめのツールです。ぜひこの記事を参考に、あなただけのオリジナル小説を創造してみてください。
最新モデル、ChatGPT4o(GPT-4o)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください⬇️
ChatGPT-4o(GPT4 omni)とは？使い方、料金など詳細を徹底解説！
目次
ChatGPTは小説執筆に最適
AI技術の進化により、創作活動も画期的な変貌を遂げています。
OpenAI社が開発したChatGPTは、幅広いトピックに即座かつ自然な回答を提供するチャット型AIサービスで、高度な言語能力、膨大なテキストデータによる学習により自然な文章生成が可能です。
その柔軟性と高度な文脈理解能力により、小説家やコンテンツクリエーターは新たな執筆体験を享受できるようになりました。
ChatGPTに小説を書いてもらいました（すずめのコメント部分は自分が全て書きました）。社労士受験生の高志くんの合格を願っています！ pic.twitter.com/vR7XN3xPFA
— 学びのすずめ（旧資格のすずめ） (@suzume_shikaku) January 27, 2024
そのため、ChatGPTを活用して小説を作成することは、新たな文学の表現手法として注目され、作家たちが創造力を刺激し、革新的な作品を生み出すための有力なツールとして活用することもできます。
さらに、最近のニュースでは、今年の芥川賞の受賞者、九段理江氏が、受賞した後に注目すべき発言をしています。
なんと彼女は、受賞作を執筆する際にChatGPTを活用したことを明かしました。
このようなことから。小説家たちの間でAIの使用について議論が起きています。
芥川賞選考委員の平野啓一郎氏は、九段氏のAI使用について問題視しなかったと述べましたが、一部の人々はテクノロジーに頼らず作品を書いている他の作家に対し、失礼だとして批判しています。
このように、ChatGPTを利用した小説の作成に関する議論は今後も続くかと思われます。AIの技術が文学の世界にどのような影響を与えるか、注目していきたいところです。
ChatGPTで小説を書くことのメリット
ChatGPTによる小説執筆のメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 表現力の向上
- 効率的な執筆、
- アイデアの創出
それぞれ具体例を交えつつ紹介していきますが、その前に、「従来の執筆フロー」と「ChatGPTによる執筆フロー」を比較してみます。
従来の小説執筆とchatgptによる執筆の違い
| 観点 | 従来の小説執筆 | ChatGPTによる執筆 |
|---|---|---|
| 文章の質 | 作者の独自の文体を反映。 | 独自性に欠ける場合があるが豊富な知識。 |
| 時間と効率 | 全て手作業のため長時間を費やす。 | 高速に文章を生成。 |
| 表現の幅 | 作者が自由にストーリーを構築。 | 文章のアイデアやプロットを大量に生成可能。 |
このように、ChatGPTは従来の小説執筆プロセスを大きく加速し、作家に新たな創作の可能性をもたらします。
効率的な執筆
まず、前提としてChatGPTを利用すると効率的に小説執筆を行えます。
小説を書くためには、通常、アイデアの構築から実際の執筆まで全て人間の手で行う必要があり、通常数ヶ月から数年かかることが一般的です。
しかし、近年、ChatGPTの出現により、執筆プロセスが大幅に効率化されています。
これにより、ユーザーはより多くの時間をストーリーの構築やキャラクターの深掘りに費やすことができます。
独創的なアイデア
ChatGPTは小説執筆の工程において人間の想像を超えた展開や設定の提案を実現させます。
例えば、人間の想像力では限界があるような未来社会や異世界の設定、独創的なキャラクターのアイデア、意外性のあるプロットの展開など、ChatGPTはその豊富なデータから新しい視点や発想を提供してくれるでしょう。
このように、ChatGPTは小説執筆の際のアイデア出しのツールとして非常に有用です。
表現力の向上
ChatGPTの持つ豊富な語彙と文法知識による表現の幅を活用することであなたの小説をより魅力的にすることもできます。
表現力の向上は、小説執筆において重要な要素の一つです。
小説を執筆する際に同じ意味を持つ複数の言葉がある場合、ChatGPTを使って適切な語彙を選ぶことで文章の質を高めることができます。
例:
大きい"という言葉の代わりに"巨大な"や"広大な"といった言葉を使うことで、より具体的なイメージを読者に伝えることができます。
喜び"と"幸せ"は似たような意味を持ちますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
ChatGPTの膨大な学習データや言語理解能力を活用することで、より正確な表現を見つける事が可能です。
ChatGPTで小説を書く手順
ChatGPTは、小説執筆を効率化し、独創的なアイデアを生み出す革新的なツールですが、その力を最大限に活用するには、事前準備が必要です。
以下ではChatGPTを使って小説を書く際の主な工程を紹介します。
- ChatGPTにアクセスします。
- ChatGPTに与えるプロンプトを決定します。プロンプトは、文章の始まりや、特定のシーンや登場人物の設定、物語の方向性などを含みます。
実際に以下のプロンプトを使って、「短編ホラー推理小説」を生成してみます。
男女の友人グループでドライブに行って様々な不可解な出来事に出会うが最終的にはハッピーエンドの短編ホラー推理小説を生成して。
-
実際に生成された小説はこちらです。
実際に生成された小説
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生成された文章が小説のストーリーや設定に適合するかを確認し、フィードバックを与えながら修正を繰り返す。
以上の様な手順でChatGPTを使って小説を生成することが出来ます。一度で完璧な出力を得る事は難しいので、
より良い小説を執筆するためには必要に応じて修正箇所やポイントを伝えることが重要です。
ChatGPTで小説を書く時のコツ
ChatGPTを使って小説を書く時のポイントは以下の2点です。
- 小説のジャンル・構想を設定する
- プロンプトを具体的に設定する
それぞれ詳しく解説していきます。
小説の構想を設定する
小説を執筆する際には、あらすじや物語の展開、ジャンルについて明確な構想を練る必要があります。
ChatGPTを使って小説を書く場合も同様で、事前に小説の大枠を設定することで、より理想に近い文章を生成することができます。
ジャンルの選定:
小説のジャンルを選ぶことで、文章の雰囲気やストーリー展開が大きく変わります。例えば、SF、ファンタジー、ミステリーなど、自分が書きたいジャンルを選定しましょう。
以下のジャンル一覧を参考にChatGPTを使ってどのような小説を書き上げたいのか決めていきましょう。
小説のジャンル一覧
| ジャンル | 解説 |
|---|---|
| SF（Science Fiction） | 未来の科学技術や社会を描いたフィクション。 |
| ファンタジー（Fantasy） | 魔法や神話、異世界を舞台にした作品。 |
| ミステリー（Mystery） | 謎解きや事件の解決を中心に描かれる作品。 |
| ロマンス（Romance） | 恋愛を主題とした作品。 |
| ホラー（Horror） | 恐怖や不気味な要素を含む作品。 |
| 冒険（Adventure） | 主人公の冒険や探検を描いた作品。 |
| ヤングアダルト（Young Adult） | 若者を対象とした作品。 |
| 歴史（Historical） | 歴史的な時代や出来事を舞台にした作品。 |
| サスペンス（Suspense） | 緊張感や不安定な状況を描いた作品。 |
| コメディ（Comedy） | 笑いを提供する作品。 |
| ドラマ（Drama） | 人間の感情や生活を中心に描いた作品。 |
| 詩（Poetry） | 言葉の響きや意味を重視した詩的な作品。 |
| エッセイ（Essay） | 著者の思想や意見を述べた文章。 |
| ノンフィクション（Non-Fiction） | 事実に基づいた作品。 |
| 自伝（Autobiography） | 著者自身の人生や経験を記した作品。 |
テーマの設定
小説を書き始める上でテーマの設定は必要不可欠です。
テーマを設定することで、物語の核心やメッセージが明確になります。
魅力的なキャラクター作り
キャラクターは物語を盛り上げる重要な要素です。
魅力的なキャラクターを作り上げることで、読者の興味を引きつけることができます。
キャラクターの性格、背景、目標などを設定し、読者が共感できるキャラクターを作り上げましょう。
ストーリー展開の設計
物語の展開は読者を引き込むための重要な要素です。
ストーリー展開を設計する際には、登場人物の行動や出来事の繋がりを考え、物語が読者にとって魅力的で興味深いものになるよう工夫しましょう。
ChatGPTで小説を執筆する際は上記のポイントをしっかり伝えることで、より魅力的で読者を惹きつける作品を生み出せます
小説執筆に適したプロンプトを設計する
適切なプロンプトを設計することは、ChatGPTを使った小説の創作プロセスにおいて非常に重要です。
具体的な指示文の書き方や効果的な質問の例など、プロンプトを設計する際のポイントについて詳しく見ていきましょう。
- イメージを掻き立てるような質問
ChatGPTで小説を書く時は、一般的なアプローチと異なる質問の仕方をとることがポイントです。
以下はプロンプトの例です。
夕焼け空を背に、主人公は山頂に立ち、遠くを見渡す。彼は何を思うのか
このように、ChatGPT自身にイメージを掻き立てさせるようなプロンプトを与えることで、具体的でイメージしやすい情景や状況を提示することが重要です。
- 登場人物の設定や背景を与える
設定は、小説の背景や登場人物の設定を記述するものです。
プロンプトを設計する際には、 目的や必要な情報を明確にするために、質問を具体的に設定します。
以下は設定の例です。
時代: 西暦2045年 場所: 火星の都市 主人公: 記憶喪失の青
さらに、キャラクターの名前や特徴、シーンの状況など、細部にわたる指示を加えて質問を具体的にします。
設定を具体的に記述することで、読者やAIにとって想像しやすい世界が構築されます。
- 上記を組み合わせて最適なプロンプトを作成
実際に以下のプロンプトを作成しました。
以下の設定をもとに夕焼け空を背に、主人公は山頂に立ち、遠くを見渡す。彼は何を思うのか考えて。 設定 時代: 西暦2045年 場所: 火星の都市 主人公（健太、大学生、優しい性格）: 記憶喪失の青年
するとこのような出力結果となりました。
実際の回答例
AIとは思えないような、いかにも自然な言い回しで小説を書くことが出来ています。
ChatGPTは日常やビジネスに関する質問に対しての回答だけでなく、小説のような創作的な文章も高いクオリティで生成できることがわかります。
【関連記事】
➡️効果的なプロンプト設計の技術：ChatGPTのプロンプトエンジニアリング入門
【ジャンル別】ChatGPTで小説を書くプロンプト集
以下にChatGPTで小説を書くプロンプト例をいくつかご紹介していきます。
ファンタジー
古代の予言によれば、世界を救う選ばれし者が現れるという。しかし、彼らは全く想像していなかった条件を満たす者だった。その条件とは？
ロマンス
二人の恋人が遠く離れた場所で暮らす中、手紙や電子メールを通じて彼らの関係がどのように発展していくかを描いて。
歴史
第一次世界大戦中の塹壕で、敵対する兵士たちが人間らしさを取り戻す過程を描いて。
ChatGPTで小説を書く上での注意点
このセクションでは、Chatgptで小説を書く上での注意点(著作権・創造性の欠如など)について解説します。
著作権の問題
第一に、生成物の著作権の帰属、既存の著作物への権利侵害の可能性については慎重になるべきです。ChatGPTだけでなく多くの生成AIの利用の際の著作権の問題についてはっきりしない場合があります。
例えば、2024年1月8日（月）に発表された以下の記事では、
OpenAI社は、著作権で保護された作品にアクセスできなければ、同社のGPT-4モデル（ChatGPTを支える技術）のような大規模な言語モデルを訓練できないと述べています。
参考:‘Impossible’ to create AI tools like ChatGPT without copyrighted material, OpenAI says
このようにChatGPTは、既存の作品や小説を参考にして回答を生成するため、著作権侵害の問題に発展する可能性も否めません。
したがって、生成AIを利用する際には、著作権に対する適切な配慮と法的な規制を遵守することが重要です。
【関連記事】
➡️AIで生成した作品の著作権はどうなる？注意したいポイントを徹底解説
表現力の限界
ChatGPTを使って小説を執筆する際は人間では思いつかないような幅広いアイデアを得ることが出来ますが、良くも悪くも人間味に欠ける可能性があります。
例えば、人間の作家が描く感動的な心理描写は、その背景に実体験やAIで表せないような深い感情が関わっています。
しかし、ChatGPTが同様のシーンを生成する場合、それが本当に読者の心を打つかどうかは保証されません。そのため、ChatGPTを活用する際には、AIが提供するアイデアを慎重に検討し、必要に応じて人間の感性や経験を加える必要があります。
まとめ
この記事では、ChatGPTを使って小説を執筆する可能性について探求しました。
AI技術の進化により、創作活動に革新がもたらされ、その中でもChatGPTは高度な言語能力と柔軟性を備えたツールとして注目を集めています。
また、従来の小説執筆との比較を通じて、ChatGPTを利用することの効率的な執筆プロセス、独創的なアイデアの提供、そして表現力の向上などのメリットがあります。
今回ご紹介した小説を書く際の具体的な手順やポイント、そしてプロンプトの設計や注意すべき点を参考にChatGPTをあなたの創作活動の一環に取り入れてみてください。
