この記事のポイント
- この記事は、通信業界におけるAzure OpenAI Serviceの活用例について紹介しています。
- Windstream、AT&T、Vodafoneをはじめとする産業大手が、顧客サポートの向上と業務効率化にAIを利用していることが説明されています。
- それぞれの企業は、Azure OpenAI Serviceによって言語や操作の障壁を減らし、顧客体験をパーソナライズしています。
- また、マイクロソフトはAzure OpenAI Serviceを通じて責任あるAIの使用を推進し、公正性やプライバシー、セキュリティを重視しています。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
クラウド技術が進化を遂げる現代において、マイクロソフトが提供する「Azure OpenAI Service」は、グローバルな通信業界に劇的な変革をもたらし始めています。
この記事では、Windstream、AudioCodes、AT&T、Vodafoneなどの通信業界大手がいかにしてAzure OpenAI Serviceを活用し、顧客エンゲージメントの向上や運用の効率化を実現しているかに焦点を当てています。
Azure OpenAI Serviceを用いた通信業界の最前線と、その背景にあるテクノロジーの詳細に迫りましょう。
目次
Azure OpenAIがもたらす通信業界の変革
2024年4月25日に公開された記事「AI駆動型ダイアログ:Azure OpenAI Serviceを活用したグローバル通信」では、MicrosoftのAzure OpenAI Serviceの通信業界における革新的な取り組みが紹介されています。
このサービスを利用することで、Windstream、AudioCodes、AT&T、Vodafoneといった通信業界のリーダーたちが、顧客エンゲージメントの向上と運用の効率化を図っています。
彼らの目指すのは、デジタルと人間のやり取りがシームレスに融合する未来です。
Azure OpenAI Serviceを用いることで、企業は自社の製品やサービスにAIを組み込むことが可能になり、顧客や従業員とのコミュニケーションをよりダイナミックで個別に合わせたものへと進化させています。
WindstreamのAI活用によるオペレーション改革
Windstreamは、AI駆動型アナリティクスを通じて顧客の通話ややり取りを分析し、顧客の感情やニーズに関する深い洞察を得ることで、ワークフローの効率化とサービス品質の向上を実現しました。
これにより、技術データをわかりやすい停電通知に変換し、透明性を高めることで顧客の信頼を得ています。
また、社内では、Microsoft Azure Kubernetes Service (AKS)内で構築されたAIを活用して、膨大なドキュメントリポジトリを索引化し、会社全体の意思決定と運用効率を高めています。
これにより迅速かつ自立したオンボーディングプロセスが可能となり、AIによるリアルタイムのトラブルシューティング支援の提供も計画されています。
AT&TのAIとAzureの融合
AT&TはAzure OpenAI Serviceを活用して、生産性の向上、作業環境の改善、運用コストの削減を図り、より良い顧客体験を提供するための取り組みを進めています。
ITタスクの効率化や人事問い合わせへの迅速な対応能力の向上を実現し、アメリカで最高のブロードバンドプロバイダーを目指すという使命を果たしています。
Azure OpenAI Serviceは、IT専門家のリソース管理の支援や、開発者の生産性を促進するためのレガシーコードの現代化、従業員が人事タスクを容易に完了するための支援など、様々なアプリケーションで活用されています。
VodafoneとAIアシスタントTOBiの進化
Vodafoneは、Azureのサービスを使用して開発したデジタルアシスタント「TOBi」を中心にデジタルトランスフォーメーションを進めています。
TOBiは15の言語でマルチマーケット対応し、素早く魅力的なカスタマーサポートを提供するよう設計されているため、新市場への進出を加速すると同時に顧客満足度を向上させています。
Azure AI Services(旧:Azure Cognitive Services)の支援により、自然言語処理が可能となり、よりスムーズで直感的なやり取りを実現しています。
また、新しい会話言語理解機能を活用することで、TOBiはズールー語を含む複数言語をサポートし、顧客体験をよりパーソナライズします。
AudioCodesのAzure活用と通信強化
AudioCodesは、Azureのクラウド技術を活用して電話ワークフローを合理化し、サービスレベル協定(SLA)の改善と可視性の高めるための取り組みを行っています。
Azure Marketplaceに存在することで可視性を高め、Microsoft TeamsネイティブのコンタクトセンターソリューションであるVocaなどの高度なアプリケーションの開発を実現しています。
Vocaはインテリジェントな通話ルーティングやCRMの統合などの機能を提供し、AudioCodesは将来的にAzure OpenAI Serviceを活用して、そのソリューションに生成型AI機能を取り入れる計画を進めています。
責任あるAIのコミットメント
Microsoftは、組織が安全かつ責任を持って次世代のAIアプリケーションを構築することを支援しています。Azure AIコンテンツセーフティの一般提供を通じて、スタートアップからエンタープライズまでの顧客が社会メディア、教育、従業員エンゲージメントシナリオなどに応用しています。
これにより、公正性、プライバシー、セキュリティなどの責任あるAIの原則を実践できるようになります。
また、Azure OpenAI Serviceを始めるための手段や、新しいChat Completions API(プレビュー中)とAzure OpenAI ServiceのChatGPTおよびGPT-4モデルの使用方法など、最新の拡張機能について学ぶ機会も提供されています。
出典:Microsoft