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AIが切り拓く量子コンピューティングの未来

この記事のポイント

  • この記事ではAIを活用して量子コンピューティング技術を向上させる試みについて説明しています。
  • AIは量子プロセッサの改善、量子エラー修正、効率的な量子アルゴリズム開発に貢献しています。

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

量子コンピュータの計算能力は、その特異な性質によって、将来の科学技術進化に大きな影響を及ぼす可能性を秘めています。
しかし、依然として大きな挑戦であるのが、繊細なキュービットと向き合い、強力な量子コンピュータを構築する作業です。

今回の記事では、AIが量子コンピュータの開発にどのように貢献しているのか、AIによる量子プロセッサの改善、量子エラー修正、効率的な量子アルゴリズムの開発など、具体的な進捗とその役割について解説していきます。
また、NVIDIAがこれらの技術を支えるハードウェアとソフトウェアの開発に注力していること、そしてこの領域での研究を促進するための教育リソースを提供していることも紹介します。

AIと量子コンピューティングの未来の可能性は広がりつつあり、それを切り拓く取り組みをご紹介するこの記事をお見逃しなく。

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AIによる量子プロセッサの改善

量子コンピューティングは、その計算能力によって多くの科学技術分野に革命をもたらす可能性を秘めていますが、実際に役立つ量子コンピュータを構築することは非常に難しい課題です。

量子ビット(キュービット)と呼ばれる、量子コンピュータの基本単位は非常に繊細で、わずかなノイズでも計算を誤らせる可能性があります。

AIは、量子プロセッサの操作に必要な最適な制御シーケンスを決定するための重要なツールとして位置付けられています。
AIを使って、ノイズを最小限に抑えながらキュービットに必要な操作を行うことで、量子コンピュータの性能を高めることができます。

また、AIは量子デバイスの校正やキュービットの読み取りなど、運用中に発生する様々なノイズ源を同時に減少させるのにも役立つとされています。

AI 対応タスクを使用した量子コンピューティングワークフロー
AI対応タスクを使用した、量子コンピューティングのワークフロー

量子エラー修正におけるAIの役割

量子コンピュータは、実用レベルでの計算を実行するためには、キュービットのノイズを低減する必要があります。
量子エラー修正という手法が理論的な解決策として提案されており、量子計算からエラーを系統的に取り除き、信頼性のある結果を保証します。

量子エラー修正の手順は複雑で、効率的に実行される必要があります。AIは、その高速性、拡張性、複雑なパターン認識能力により、量子エラー修正のワークフローを可能にするための優れたツールとされています。

例えばGoogleは、「表面コード」と呼ばれる標準的な量子エラー修正コードのデコーディングに、再帰型及びトランスフォーマーベースのニューラルネットワークを使用する研究を行っています。

効率的な量子アルゴリズムの開発

量子アルゴリズムは、必要とするリソースが最小限で済むように効率化することが重要です。
回路削減は、このプロセスの重要な部分であり、特に量子回路を特定の物理デバイスの制約に合わせてコンパイルする際には複雑な最適化問題を解決する必要があります。

Google DeepMindやQuantinuum、アムステルダム大学などが、量子アルゴリズムの効率化のためにAIを活用しています。

また、分子の量子状態を準備することは、化学においてはエネルギーを計算する前に行う必要があります。これもまたAIを用いた方法が開発されています。

GPTを活用した分子シミュレーション用の回路
GPTを活用した分子シミュレーション用の回路(Generative Quantum Eigensolver法)

AIと量子コンピューティングの融合とNVIDIAの取り組み

AIと量子専門家の間での協力が強化され、AIを用いた量子開発のための新しいツールが必要とされています。
これらのツールは多分野の協力を促進し、各量子コンピューティングタスクに最適化されている必要があります。

NVIDIAは、実用的な量子加速スーパーコンピューティングを実現するために必要なスケールでAIを量子コンピューティングに適用するためのハードウェアとソフトウェアツールを開発しています。

また、教育リソースを提供し、量子テクノロジーを通じて研究を加速する方法について情報を共有しています。

出典:NVIDEA

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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