この記事のポイント
- この記事はMicrosoft Azureの新技術であるホローコアファイバー技術について説明しています。
- 従来のガラスファイバーよりも47%高速なデータ転送を可能にする技術です。
- 低減衰と広帯域が特徴で、高速でレイテンシーが要求されるアプリケーションに適しています。
- AIアプリケーションや分散されたデータセンターの効率性を向上させる未来のインフラ技術です。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
マイクロソフトが進化させるクラウドコンピューティングの未来、その切り札となるのが「ホローコアファイバー」(HCF)技術です。
従来のガラスファイバーと異なり、空気を通じたデータ転送を実現することで、光通信の速度を47%向上させることに成功しました。
この記事では、HCFがAIアプリケーションや、高いパフォーマンスを要するデータセンターへどのような影響を及ぼし、ネットワークの未来をどう変革するのかを詳しくご紹介します。
Azureクラウドプラットフォームを支えるインフラが、HCF技術を通じて、新たな次元の速度と効率性を実現しようとしています。
Azureの高速化とは: ホローコアファイバー(HCF)技術の導入
Microsoft Azureのジェネラルマネージャーであるオマール・カーン氏が、Microsoft Igniteイベントで発表した新技術、「ホローコアファイバー(HCF)」による、Azureのクラウドインフラの高速化についてお伝えします。
HCFとは、空気を満たしたコアを持つ光ファイバーのことで、従来のガラスファイバーよりも47%速いデータ転送が可能です。
従来のファイバーとホローコアファイバーの比較
この技術により、AIの処理速度や重いデータの転送が飛躍的に向上し、これまでにないレベルのパフォーマンスが期待されています。
高速なネットワーク速度、低レイテンシー、そして安全なデータ転送が、Azureをさらに強力なクラウドプラットフォームへと進化させていくのです。
AzureにおけるHCFの利点: 低減衰と広帯域
HCF技術は2024年初の時点で、特に1550nm波長において最低損失を達成し、これが標準のファイバーよりも優れた性能を示しています。
低減衰(データ転送中の信号の減少)と広い帯域幅のおかげで、オンラインゲームやリアルタイムAIアプリケーションなどの、「高速でレイテンシーが要求されるアプリケーション」に欠かせない技術となっています。
HCFの導入によって、Azureはこれまで以上に多くのデータを高速かつ安定して処理することが可能になります。
HCF技術の応用: AIとデータセンターの未来
Microsoftは、HCF技術をAzureのインフラに展開することで、瞬時に反応するAI意思決定や高帯域幅の通信、そして長距離でもレイテンシーを妥協しないデータ伝送を実現します。
これにより、AIプロセスの加速はもちろんのこと、より分散したデータセンターの配置が可能となり、顧客にとっての利便性と効率が向上します。
また、HCF技術は「ND H100 v5 VM」や「Azure Maia 100 AIアクセラレータ」など、他のイノベーションと組み合わせることで、より効率的で反応の良いAIアプリケーションの実現に貢献しています。
Azureは最先端のクラウドプラットフォームとしての地位をさらに確固たるものにしていくことでしょう。
出典:Microsoft