この記事のポイント
- この記事はAzure Container AppsとLangChainの統合についてご紹介しています。
- 安全にPythonコードを迅速に実行するための新しい機能が実現されています。
- セッションはHyper-Vサンドボックスで隔離され保護されているため、セキュリティが強化されています。
- LangChainの統合手順がシンプルで、データアナリストエージェントが容易に構築できます。
- 今後のデータ分析やソフトウェアエンジニアリング分野での大規模言語モデルの活用が進展することが期待されます。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
Azure Container AppsとLangChainが統合し、Pythonコードの安全かつ迅速な実行を実現する新たな機能が確立されました。
本記事では、マイクロソフトが提供するAzureのダイナミックセッションにLangChainが活用されることによって、どのようにして数学的計算タスクを強化し、大規模言語モデル(LLM)の限界を超えるかをご紹介します。
セキュリティ強化された実行環境の構築から、効率的なデータ分析ツール利用まで、シームレスな統合手順とそのメリットを解説し、今後の応用可能性についても展望を述べてまいります。
データアナリスト、開発者の皆様が生産性とパフォーマンス向上のために活用できるこの連携のポテンシャルについて、詳細に見ていきましょう。
目次
LangChainとAzureの新連携:Python REPL APIの革新
Azure Container Appsの強化されたセキュリティと機能
LangChainとAzureの新連携:Python REPL APIの革新
LangChainとAzure Container Appsが新たに連携を開始しました。
この連携により、Azureのダイナミックセッションを利用して、LangChainのチェーンやエージェントが生成したPythonコードを、安全かつ迅速に実行することが可能になります。
ダイナミックセッションは、安全で低遅延なPython REPL APIを提供し、特に数学的な計算タスクにおいて、大規模言語モデル(LLM)の限界を補う役割を果たします。
これにより、ユーザーはアルゴリズムやプログラムロジックの作成に集中でき、コンピュータが計算処理を担うことで、生産性とパフォーマンスが向上するでしょう。
Azure Container Appsの強化されたセキュリティと機能
Azure Container Appsのダイナミックセッションは、いくつかの魅力的な特性を持っています。
まず、セキュリティ面では、セッションはHyper-Vサンドボックス内で隔離されており、ネットワーク分離をオプションで有効にすることも可能です。
また、セッションは完全に管理され、使用されなくなったものは自動的にクリーンアップされます。
起動速度は約100msと非常に高速であり、スケーラブルな設計により、数百から数千のセッションを同時に実行することができます。
さらに、セッションには多くの人気のあるパッケージが事前にインストールされており、必要に応じて追加のパッケージをインストールすることもできます。
LangChain統合の使い方とデータアナリストエージェント
LangChainとの統合を利用する手順はとてもシンプルです。
Azure Container Appsサービスを設定し、セッションプール管理エンドポイントを取得した後、必要な依存関係をインストールします。
その後、インポートして実行することで、JSON文字列や辞書形式の出力を得ることができます。
LangChainのドキュメントでは、セッションへのファイルアップロード方法やモデルが生成したコードをツールに渡す方法、エージェントでツールを使用する方法などが詳しく説明されています。
また、LangGraphを使用して、大規模なデータセットを分析するデータアナリストエージェントを構築するチュートリアルが提供されており、実際のアプリケーションの開発に役立ちます。
安全で低遅延のコード実行と今後の展望
この新しい連携により、安全で低遅延の環境でPythonコードを記述し、実行することができるようになりました。
データ分析やソフトウェアエンジニアリングの分野での大規模言語モデルの応用がさらに進むことが期待されます。
興味を持った方は、LangChainのドキュメントを参照して始めることができ、LangChainチームとコミュニティからのアップデートを受け取るためにニュースレターに参加することもできます。
出典:Langchain