この記事のポイント
- NVIDIAはAWSとの提携を発表し、医療分野でのAIマイクロサービスをAWS経由で利用できるようになりました。
- NVIDIAのAI技術は、薬の発見、医療イメージング、ゲノミクスなどの分野で活用でき、バイオテクノロジーや医療イメージングにおける研究効率の向上に寄与しています。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
医療分野におけるトップクラスの技術革新を目指して、NVIDIAは日頃からAIマイクロサービスの開発を進めています。
このたび、NVIDIAはその成果の一端をAmazon Web Services(AWS)との提携により、さらに広範囲に展開することに成功しました。NVIDIAのAIマイクロサービスがAWSに統合されることにより、特にヘルスケア産業向けの生成AI開発が大きく加速されることが期待されています。
本記事では、この提携がどのようなインパクトを医療AIにもたらすのか、また、どのように企業がNVIDIAのAI技術を利用して研究開発や臨床現場で革新的な変化を生み出す可能性があるのかを詳細に解説していきます。
NVIDIAとAWSの提携による医療AIの進化
2024年5月2日、NVIDIAはAmazon Web Services(AWS)との提携を発表しました。この提携により、医療およびライフサイエンス分野の企業がNVIDIAのAIマイクロサービス(NIM)をAWSのクラウドサービスを介して利用できるようになります。
NIMは、薬の発見や医療イメージング、ゲノミクスといった分野で活用できるAIモデルのライブラリを提供し、これらのモデルは高度なセキュリティとサポートが保証されています。
AWSマーケットプレイスで利用可能になるNVIDIA AIエンタープライズソフトウェアプラットフォームの一部として、多くの企業がAIモデルの開発やデプロイを簡単かつ迅速に行えるようになります。
AWS上で動作する高性能コンピューティングクラスターを管理するツール、AWS ParallelClusterや、生物学データ解析サービスAWS HealthOmicsとの連携も可能です。
これにより、異なる種類のデータモダリティを横断するAIモデルを組み合わせたワークフローの構築が容易になります。
NVIDIAのAI技術が医療分野にもたらす革新的な可能性
この提携により、NVIDIAのソフトウェアやサービスがAWS上でさらに広範に提供されるようになります。
例えば、薬の発見のためのNVIDIA BioNeMoは、AIモデルのトレーニングとファインチューニングをサポートする生成AIプラットフォームであり、世界中の100以上の組織によって使用されています。
また、医療イメージングワークフローのためのNVIDIA MONAIや、加速ゲノミクスのためのNVIDIA Parabricksなどがあります。
これらの技術は、バイオテクノロジー企業によって採用されており、たとえばアムジェンはタンパク質デザインのための生成モデルをトレーニングするためにBioNeMoフレームワークを使用しています。
A-Alpha Bioのような企業は、NVIDIAが最適化したAIモデルを使用して、研究効率を大きく向上させています。これらのモデルは、NVIDIA GPUやGPUクラスター上で実行され、AI加速薬物発見ワークフローをサポートします。
デジタルヘルス分野におけるNVIDIAとAWSのインパクト
デジタルヘルス分野では、NVIDIAのAI技術が患者の質問に答えたり、臨床医の物流をサポートするAI駆動のデジタルアシスタントとしての役割を果たすことができます。
会話型AIや視覚生成AIモデルを利用し、ヘルスケア組織は自社のデータでトレーニングされたAIを使用して、研究の合成や洞察の抽出、生産性の向上を図ることが可能です。
例えば、Hippocratic AIはウェルネスコーチングや術前アウトリーチ、退院後フォローアップなどのタスクに焦点を当てたAI駆動のヘルスケアエージェントの開発にNVIDIAのAIを使用しています。
NVIDIAのAudio2Face顔アニメーションテクノロジーやRiva自動音声認識などが、これらのアシスタントの会話をサポートしています。NVIDIAは、ヘルスケア分野でのAI革新を推進し、関連するニュースの購読を提供しています。
出典:NVIDEA