この記事のポイント
- この記事はNVIDIAが東南アジア向けに最適化したAIモデル「SeaLLM」と「SEA-LION」に関して説明しています。
- これらのAIモデルは翻訳、カスタマーサービス、コンテンツモデレーションなど、多様な用途で利用できます。
- NVIDIAは開発者がモデルを簡単にテストできるよう、クレジットを通じた無料試用を提供しています。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
NVIDIAが東南アジアの多様な言語と文化にフォーカスを当てたAIモデル「SeaLLM」と「SEA-LION」を最適化し、提供を開始しました。
これらのモデルは地域に特化したニーズに応えるため、AlibabaやAI Singaporeによって開発され、11の主要言語に対応。
これにより、翻訳やカスタマーサービス、コンテンツモデレーションなど様々なサービスが可能になり、ビジネスや政府のコミュニケーションに貢献します。
NVIDIAはエンタープライズアプリケーション開発者向けに、無料クラウドクレジットを提供し、モデルの試用テストや接続実証への参加が容易になっています。
NVIDIA、東南アジア言語のAI強化
2024年5月13日、NVIDIAのCEOであるジェンセン・ファンは、ドバイで開催されたワールド・ガバメント・サミットで、国家が独自の文化や言語を反映させたAI技術を開発し、展開することの重要性を強調しました。
これを受けて、NVIDIAは東南アジア地域特化型のAIモデルである「SeaLLM」と「SEA-LION」を最適化し、NVIDIAのAPIカタログを通じて提供を開始しました。
SeaLLMはアリババによって開発され、地域の多様な言語や文化のニュアンスに合わせて特別に調整されています。
一方、SEA-LIONはAIシンガポールによって開発され、インドネシア語やタイ語、ベトナム語など11の主要な東南アジア言語に対応しています。
SeaLLMの対話画面
地域特化型AIで文化を反映
NVIDIAが提供するSeaLLMとSEA-LIONは、東南アジア地域の言語と文化の多様性を代表するように設計されています。
これらのモデルは、翻訳サービスやカスタマーサービスのチャットボット、ソーシャルメディアプラットフォームでのコンテンツモデレーションなど、幅広い用途に対応しており、地域のビジネスや政府が様々な言語グループをまたいで効果的にコミュニケーションを取るのに特に価値があります。
NVIDIAはこれらのモデルをNVIDIA TensorRT-LLMを用いて最適化し、遅延やスループットの面でも高いパフォーマンスを実現しています。
これにより、エンタープライズアプリケーションの開発者がAI変革に貢献することが容易になります。
無料クレジットでモデル試用可能
NVIDIAは開発者が簡単にAIモデルを試すことができるよう、無料のクラウドクレジットを提供しています。
このクレジットを使用して、NVIDIAがホストするAPIエンドポイント上でSeaLLMやSEA-LIONなどのモデルをスケールでテストし、自分のアプリケーションと接続するプルーフ・オブ・コンセプト(POC)を構築することが可能です。
これらのモデルは、NVIDIAの加速スタック上で動作し、NVIDIAのウェブサイトbuild.nvidia.comからアクセスして体験、カスタマイズ、そしてデプロイすることができます。
また、NVIDIAのシニアプロダクトマネージャーであるチンタン・パテル氏は、LLMのパフォーマンス向上に関するブログ投稿でこれらの進展について語っています。
出典:NVIDEA