この記事のポイント
- この記事は、自動運転の新技術「AV 2.0」とGenerative AIの統合について説明しています。
- ロンドンのWayveが、NVIDIAの技術を用いて自動運転車の大規模AIモデル開発を進行中です。
- エンボディAIにより、人間のように反応し学習する自動運転車を目指しています。
- Wayveは経験を基に新しい自動運転シナリオの生成が可能なGenerative AIモデルを開発しています。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
自動運転技術の新たな領域「AV 2.0」がどのように進化を遂げるのか、その最前線を読み解く記事をお届けします。
AV 1.0と異なり、AV 2.0では車両の知覚、計画、制御を一つのAIモデルで統合することが特色とされており、NVIDIAの先端技術を駆使することで実現されています。
本キイzでは、Wayveが目指すエンボディAIを用いた将来の自動運転車のビジョンと、生成AIと組み合わされた新しい運転シナリオの創出についても触れていきます。
Wayveが推進する自動運転AV 2.0の到来
2024年5月29日、ロンドンを拠点とするスタートアップ企業Wayveが、自動運転の新時代とも言えるAV 2.0技術の開発を進めていることが報じられました。
AV 2.0は、Generative AIを中心に据え、車両の知覚、計画、制御のような機能を一つの大規模AIモデルで統一的に管理することを特徴とします。
これは、従来の自動運転技術AV 1.0が複数のディープニューラルネットワークを活用して車両の知覚能力を向上させていたのに対し、AV 2.0では実世界の複雑な環境での即時的な意思決定を可能にするための包括的な車内インテリジェンスが求められます。
Wayveは、この分野での先進的な取り組みにより、車両が環境から学習し相互作用する「ロボットの脳」を開発しており、その基盤となるのはNVIDIAの最新ハードウェアとソフトウェアエコシステムです。
WayveとNVIDIAのコラボレーション
Wayveは、自動運転車のAI基盤モデルを開発することに特化しており、そのためにNVIDIAの技術を活用しています。
Wayveの共同創業者でCEOのAlex Kendall氏は、NVIDIAが提供するGPUとソフトウェアエコシステムが、ペタバイトのデータで訓練された数十億パラメータモデル構築を可能にしたと述べています。
Generative AIはWayveの開発プロセスでも重要な役割を果たしており、合成データ生成を可能にすることで、自動車メーカーは以前の経験を活用して新しい運転シナリオを作成しシミュレーションすることができます。
NVIDIA InceptionプログラムのメンバーであるWayveは、NVIDIA DRIVE Orinおよびその後継となるNVIDIA DRIVE Thorを使用して自動運転技術の開発を進めています。
エンボディAIと自動運転の未来
WayveはエンボディAIと呼ばれる技術を構築しており、これは車両やロボットに統合された高度なAIによって、人間の行動に対する反応と学習方法を変革するものです。
これにより、自動運転車の安全性が向上します。
WayveはシリーズCの投資ラウンドでNVIDIAからの資金を得ており、量産車向けのエンボディAI製品の開発と発売を支援しています。
WayveのコアAIモデルが進化するにつれ、L2+のアシスト運転からL4の完全自動運転まで、車両を効率的にアップグレードすることが可能になります。
また、自動運転のためのGenerative AIモデルGAIA-1と、運転行動を説明し決定するモデルLINGO-2を発表しており、これらは自動運転車の運転ビデオ作成や運転行動分析に用いられます。
Kendall氏は、「Generative AIが異なる種類のデータを組み合わせ、運転における一般的な目的の推論と能力を応用することが、真の一般化された自動運転に到達するための有望な方法である」と述べています。
出典:NVIDIA