この記事のポイント
- 多彩な用途と高い性能を持つAI「Claude3」を解説。
- 各モデル(Opus、Sonnet、Haiku)の特徴や料金体系を比較。
- ChatGPTとの比較も交えながら、Claudeの強みや効果的な活用方法について紹介。
- 最新アップデート:Claude 3.5 Sonnetについても解説
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
AIの急速な進化に伴い、会話型AIアシスタントの分野でも革新的なモデルが次々と登場しています。
中でもAnthropicの「Claude」は、高度な言語能力と幅広い適用可能性を兼ね備え、大きな注目を集めています。
本記事では、Claudeの3つのモデル(Opus、Sonnet、Haiku)について、それぞれの特徴や性能、料金体系を詳しく解説します。
また、ChatGPTとの比較を通じて、Claudeの強みと効果的な活用方法についても探っていきます。
ビジネスにおけるAI活用を検討している方や、最新のAIトレンドを把握したい方にとって、必見の内容となっています。ぜひ最後までお読みください。
目次
Claude(クロード)とは
Claude(クロード)は、Anthropic社によって開発された最先端の対話型AIです。
最新モデルであるClaude3シリーズは日本語に対応しており、ベンチマークにおいてChatGPTや、後述するGeminiにも上回る結果を出していたりと、非常に注目を集めているAIです。
Claudeは、洗練された言語能力と豊富な知識を備えており、会話や文章作成、プログラミングなど幅広いタスクに対応可能です。
また、Anthropic社独自の価値整合手法により、より倫理的かつ安全な応答を提供することが期待されています。
ベンチマーク結果 (参考:Anthropic)
Claude 3.5 Sonnetとは
Claude 3.5 Sonnetは、2024年6月に発表された最新のAIモデルで、Claude 3シリーズの中位モデル「Sonnet」のアップグレード版です。
最上位モデルである「Claude 3 Opus」の2倍のスピードと5分の1のコストを実現し、主要なベンチマーク評価において競合モデルを凌駕しています。
Introducing Claude 3.5 Sonnet—our most intelligent model yet.
— Anthropic (@AnthropicAI) June 20, 2024
This is the first release in our 3.5 model family.
Sonnet now outperforms competitor models on key evaluations, at twice the speed of Claude 3 Opus and one-fifth the cost.
Try it for free: https://t.co/uLbS2JMEK9 pic.twitter.com/qz569rES18
Claude 3.5 Sonnetとは?使い方や料金、Artifacts機能を徹底解説! | AI総合研究所
Claude 3.5 Sonnet(クロード 3.5 ソネット)について、Artifactsの使い方や料金体系、実際の活用例を解説。最新AI技術の全容を解明し、効果的な活用法を提案します。
https://www.ai-souken.com/article/what-is-claude35-sonnet
Claudeのモデル一覧
Claudeには、「Opus」、「Sonnet」、「Haiku」の3つのモデルがあります。
主な特徴は以下の通りです。
Opus
- コンテキストウィンドウ: 200K
- 主な用途
- タスク自動化: APIやデータベースを横断して複雑なアクションを計画・実行
- 研究開発: 研究のレビュー、ブレインストーミング、仮説生成、薬の発見
- 戦略: チャート・グラフ、財務・市場トレンドの高度な分析、予測
- 特徴
市場で利用可能な他の言語モデルよりも高い知能
Sonnet
- コンテキストウィンドウ: 200K
- 主な用途
- データ処理: 広範囲の知識にわたる検索および検索
- 営業: 製品推薦、予測、ターゲットマーケティング
- 時間節約タスク: コード生成、品質管理、画像からテキストを解析
- 特徴
同等の知能を持つ他のモデルよりもコストパフォーマンスが高く、大規模なAI展開に適している
Haiku
- コンテキストウィンドウ: 200K
- 主な用途
- 顧客インタラクション: ライブでの迅速かつ正確なサポート、翻訳
- コンテンツモデレーション: リスク行為や顧客リクエストの特定
- コスト削減タスク: 物流の最適化、在庫管理、非構造データからの知識抽出
- 特徴
他の類似知能カテゴリのモデルよりもスマートで高速かつコスト効率が高い
Claudeの料金体系
Claudeの利用料金は、モデルや利用環境によって異なります。
Webブラウザで利用する場合
Webブラウザで利用する場合、Sonnetモデル(最新のClaude 3.5 Sonnetを含む)は無料で利用可能です。
Claude3 OpusとClaude3 Haikuモデルは、有料のClaude Proプラン($20/月)への加入が必要です。
モデル | 料金 |
---|---|
Claude Opus、 Haiku | $20 / 月 (Proプラン) |
Claude Sonnet | 無料 |
Claude 3.5 Sonnet | 無料 |
Claude APIの料金
一方、APIを利用する場合は、入力と出力のトークン数に応じて課金されます。
利用用途や予算に合わせて、適切なモデルとプランを選択することが重要です。
モデル | 入力 $/百万トークン | 出力 $/百万トークン |
---|---|---|
Claude 3.5 Sonnet | $3 | $15 |
Claude 3 Opus | $15 | $75 |
Claue 3 Sonnet | $3 | $15 |
Claude 3 Haiku | $0.25 | $1.25 |
Claude APIの料金表
Claudeの各モデルの性能比較
利用者の視点から、量子力学に関する質問を例にClaudeの各モデルの性能を比較してみました。
各モデルに対して、以下の質問を投げかけました。
量子力学について詳しく教えて下さい。
まず、応答が完了するまでにかかった時間は以下の通りです。
モデル | かかった時間 |
---|---|
Opus | 35.7 秒 |
Sonnet | 14.2 秒 |
Haiku | 8.2 秒 |
次に、実際の出力例を比較してみましょう。
【Opusの応答】
Opusの回答
【Sonnetの応答】
Sonnetの回答
【Haiku】
Haikuの回答
OpusとHaikuは、項目の説明の際に「:」や「-」を用いて、「統一感のある見易い文章」になっているのに対し、Sonnetは「記号の使い方にばらつきがあり、読みづらい印象」を受けました。
内容の分かりやすさという点では、Opus、Haiku、Sonnetの順になると感じました。Opusは最上位モデルとして期待通りの詳細で明快な説明を提供していました。
一方で、特筆すべきはHaikuのパフォーマンスです。応答時間がOpusの4分の1以下の8.2秒でありながら、これほど情報量の多い回答が生成できることは非常に優れていると言えるでしょう。
以上の結果から、文章の見易さと内容の質の両面で、OpusとHaikuが優位であることが分かりました。
特にHaikuは、高速応答と情報量の豊富さを兼ね備えており、コストパフォーマンスに優れたモデルだと言えます。一方、Sonnetは他の2モデルと比べると、現時点では課題が残る印象です。
ClaudeとChatGPTの比較
実際にClaudeを触って、ChatGPT4と性能を比較してみます。
検証には、「Opusモデル」を利用しています。
まず、Claudeのユーザーインターフェースは以下のようになっています。
Claudeの画面
【比較1】 文章生成
「SEOについて教えて下さい。」というプロンプトを与えた場合、Claudeは以下のような応答を返しました。
Claudeによる文章生成結果
一方、ChatGPTの応答は以下の通りです。
ChatGPTよる文章生成結果
内容的には両者とも似ていますが、ChatGPTの方が太字や空白を用いて読みやすくフォーマットされていると感じました。
【比較2】 ファイル読み込み
マッキンゼー・アンド・カンパニーの資料を用いて、「このPDFは、生成AIがもたらす経済への影響について解説したものです。重要な点を抽出し、教えて下さい。」というプロンプトを与えました。
Claudeの応答は以下の通りです。
Claudeによるファイル読み込み結果
ChatGPTの応答は以下の通りです。
ChatGPTによるファイル読み込み結果
文章生成の比較と同様に、見やすさではChatGPTに軍配が上がりますが、内容面ではClaudeの方が資料の概要をよりよく捉えていると感じました。
【比較3】 コーディング
「Pythonを使って、数当てゲームを作成して下さい。」というプロンプトを与えて、コーディング能力を比較しました。
Claudeの応答は以下の通りです。
Claudeによるコーディング結果
このコードをGoogle Colaboratoryで実行したところ、期待通りに動作しました。
Claudeによるコーディングの動作
ChatGPTの応答は以下の通りです。
ChatGPTによるコーディング結果
こちらのコードも、Google Colaboratoryで問題なく実行されました。
ChatGPTによるコーディングの動作
Claudeはコード全体を提示した後にアルゴリズムを説明しているのに対し、ChatGPTはコード中にコメントを多用して各部分の説明を行っています。
「コード全体の流れを理解するならClaude」、「実際にコードを書く際の参考にするならChatGPT」が適していると考えられます。
ただし、今回の比較は単一のプロンプトに対する一回の応答に基づくものです。
プロンプトを変更したり複数回のやり取りを行うことで、両者ともにより満足のいく結果が得られる可能性はあります。
まとめ
本記事では、ChatGPTのライバルともいえる最先端のAIモデル、特にAnthropicのClaudeについて詳しく解説しました。Claudeは多彩な用途と高い性能を誇り、各モデルの特徴や料金体系を理解することで、効果的な活用が可能です。
利用者は、これらのツールを状況に応じて使い分けることで、より効率的で革新的な作業が期待できるでしょう。
AIの進化は目覚ましく、今後もさまざまな場面でのAI活用が加速していくと予想されます。本記事が、読者の皆様にとって、最適なAIアシスタントを選択する一助となれば幸いです。