飲食・食品分野に活用できるAIおよびDX導入事例をご紹介します。飲食・食品の分野では、自社サービスに生成AIを活用する事例、画像動画生成AIを用いてマーケティングに活用する事例が多く報告されています。AIの導入の活用法は、業界ごとに異なり、採用されるシステムも多様です。
この記事を通して 「導入アイデア・あなたに使えるサービス・導入のポイント」 の参考になれば幸いです。弊社ではAI導入の最初の窓口としてAI総合研究所を運営しています。導入のお悩みはご気軽に弊社にご相談ください。
【導入事例の概要】
総合米卸売業の株式会社KAWACHO RICEと、青森を拠点にテクノロジーによる事業開発・支援を行う株式会社ヘプタゴンは、2社共同で進めた食用米の銘柄判定を行うAI搭載アプリケーション「RiceTag」で、米の銘柄を判定する方法および銘柄判定プログラムに関する特許を取得しました。
RiceTag
【導入の背景と課題】
米の銘柄検査は、法律により農産物検査員資格を持つ検査員の目視で行うことが定められています。この工程は、米の流通過程で異品種混入を防止するのに必要不可欠ですが、秋の収穫時期になると大量の米を短期間で判定しなくてはならず、検査員の大きな負担となっていました。
加えて高齢化と人材不足の深刻化も避けられないため、現場では検査員の経験年数やスキルを問わず、米の銘柄判定を補助するソリューションが求められていました。
【解決策】
KAWACHO RICEとヘプタゴンは2019年に「RiceTag」開発プロジェクトを立ち上げ、約2年に渡るAIの開発および実証実験を経て、検査対象からサンプリングで無作為に抽出した複数の米粒をスマートフォンのアプリで撮影するだけで銘柄を判定することに成功しました。
スマートフォンのカメラから撮影された画像データおよび人工知能を用いて、米の銘柄判定を行う方法および銘柄判定プログラムにおいて特許を取得しました。
【効果】
「RiceTag」は、青森県産米4銘柄および秋田県産米4銘柄に対して性能評価を行い、資格を有する検査員と同等以上の正解率を記録しています。
本特許を使用したアプリケーションは、現在KAWACHO RICE社内で使用され、実作業を想定した試験を繰り返しています。将来的には、同社の事業として全国展開すべく、自動判定できる銘柄の拡大や、より正確な銘柄判定ができるよう改良を進めることを構想中です。
「RiceTag」を通じて、消費者に安全・安心かつ銘柄が保証されたお米を届ける未来を実現するとともに、地域課題にテクノロジーを導入する意義とその可能性について発信していきます。