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MicrosoftがGraphRAGを発表:従来のRAGを超える、次世代の質問応答システム

この記事のポイント

  • この記事は、新しいデータ探索ツールGraphRAGの特長と利点について解説しています。
  • GraphRAGは、テキストから知識グラフを抽出し階層的な要約を行い、より深いデータ理解を実現するツールです。
  • GitHubで公開され、Azureを介した簡単なデプロイメントが可能であると紹介されています。
  • GraphRAGは、従来の質問応答システムに比べ、グローバル質問に対しても正確な回答が得られると評価されています。
  • 大規模なデータセットやプライベートな情報への応用に顕著な効果を発揮する可能性があります。

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

テキストから知識グラフを抽出し階層的な要約を可能にする新たなデータ探索ツール、GraphRAGがGitHubに公開されました。
大規模データの深い理解を支援するこのツールは、従来の質問応答システムを進化させ、++データセット全体にまたがる複雑な質問**に対しても正確な回答を提供します。

本記事では、そのメリットから展望まで、GraphRAGの特長や機能について詳しくご紹介します。
特に新しいデータセットやプライベート情報への応用に大きな可能性を秘めたGraphRAGは、情報探索の未来を形作る質問応答システムとして期待されています。

Azure上で簡単なデプロイが可能なことも特記されており、データサイエンティストや研究者をはじめ多くの専門家にとって価値あるツールとなるでしょう。

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GraphRAG:新しいデータ探索ツールの登場

2024年7月2日、新たなデータ探索ツールとしてGraphRAGが発表されました。
このツールは、テキストから「知識グラフ」を抽出し、これを階層的に要約することで、大規模なデータセットの理解を深めることができます。

GraphRAGは、従来の検索拡張生成(RAG)メソッドを進化させ、データ全体に対する質問(グローバル質問)に対しても正確な回答を提供することが可能です。

GitHubで公開されており、Azure上でホストされた使いやすいAPI体験が提供されています。コードなしで、数クリックで簡単にデプロイできるようになっています。

GraphRAGは特に、未知のデータセットやプライベートな情報に対する質問応答システムに革命をもたらす可能性を秘めています。

GraphRAGのメリットと評価結果

GraphRAGは包括的なデータ探索を可能にすることで、単純なRAGよりも優れた評価結果を得ています。
研究によると、GraphRAGは包括性、多様性、エンパワーメントといった指標で約70〜80%の勝率を示し、特に単純なRAGでは対応できない複雑なグローバル質問に対しても有効だとされています。

GraphRAGは、全ての入力テキストを考慮したグラフインデックスを基に、エンティティと関係のコミュニティ要約を作成し、これによってより正確なグローバル回答が可能となります。

このツールは、情報を豊かにしながら、検索に関するトークンコストを削減することにも成功しており、これによりデータ探索の効率が大幅に向上しています。

GraphRAGの展望と応用

GraphRAGの開発は、大規模言語モデルを用いた、非構造化テキストからの知識グラフの導出という初期の研究サイクルから始まりました。

このツールは、特定の使用事例に合わせて調整されたLLM抽出プロンプトを自動的に生成することで、展開の前提コストを削減するアプローチを取り入れています。

また、完全なインデックス作成プロセスによって生成されるナレッジグラフとコミュニティ要約を、NLP(自然言語処理)ベースの手法で近似することにより、コストを抑えつつGraphRAGの評価を可能にしています。

MicrosoftはGraphRAGを一般に公開することで、グローバルレベルでのデータ理解が重要なユーザーや使用事例に向けて、この新たなデータ探索ツールをよりアクセスしやすくすることを目指しています。

出典:Microsoft

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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