この記事のポイント
- この記事は、日立製作所とマイクロソフトが数十億ドル規模のAI戦略パートナーシップを締結したことについて説明しています。
- エネルギーとモビリティの革新を目指し、AIやメタバースを活用した新たなビジネスチャンスの創出を目標としています。
- 日立はAIプロフェッショナルの育成にも力を入れており、社内外のコミュニケーションと業務の効率化に寄与します。
- 持続可能な社会実現のための共同取り組みとして、環境への配慮したエネルギー移行支援等のソリューションを共同で創出します。
- このパートナーシップは、テクノロジーが社会進歩にどう貢献するかを世界に示す試金石となります。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
世界をリードする企業同士が新たな協定を結びました。
日立製作所とマイクロソフトが数十億ドルにも及ぶAI戦略パートナーシップを発表したのです。
2024年度に向けたこの動きは、社会革新と持続可能な世界を目指す大規模な取り組みであり、エネルギーとモビリティという二つの分野で革新的なソリューションを創出することを目標としています。
日立は社内の人材育成にも力を入れ、AIプロフェッショナルの育成に投資。AIとメタバースの可能性を活かし、新たなビジネスチャンスを探ります。
さらに、持続可能な社会実現のための共同取り組みも盛り込まれており、両社のパートナーシップは、テクノロジーが社会進歩にどう貢献するかを世界に示す試金石となっています。
日立とマイクロソフトの巨額AI連携で目指す未来
日立製作所は、AI技術の進化と普及を加速するため、マイクロソフトとの間で大規模な戦略的パートナーシップを結びました。
この提携は数十億ドル規模にも及び、3年間の長期にわたるものです。
彼らの目標は、日立のルマーダソリューションにマイクロソフトのクラウドやAIサービスを統合することで、2024年度までに約2.65兆円の収益を生み出すことです。
この壮大な計画は、特にエネルギーとモビリティの分野において、新たなソリューションを生み出すことにフォーカスされています。
また、日立は自社の社員27万人の生産性を向上させるための取り組みも進めており、その一環として50,000人のジェネレーティブAIプロフェッショナルを育成する計画があります。
日立の生成AI活用基盤の概要図。開発から保守までAI活用を支援し、品質と効率アップを目指す。 (参考:HITACHI
AIとメタバースが生み出す新たなビジネスチャンス
日立とマイクロソフトの連携では、AIとメタバースを活用した新しいビジネスモデルの創出を目指しています。
マイクロソフトのチャットベースのコラボレーションツール「Microsoft Teams」を基盤としたメタバース空間の開発が計画されています。
このメタバースは、製造業や物流業界でのプロジェクトを推進するためのものであり、これによって効率性の向上や新たな価値創造が期待されます。
このようなデジタル技術を活用することで、日立は社内外のコミュニケーションや業務の効率化を図り、業界全体の変革をリードすることを狙っています。
持続可能な社会の実現に向けた共同取り組み
日立とマイクロソフトは、地球環境に配慮した持続可能な社会の実現にも力を入れています。
そのために、エネルギー移行を支援する資産パフォーマンス管理やエネルギー取引のためのデジタルソリューションの共同創出に取り組んでいます。
加えて、両社はAI技術の環境への影響を削減するための投資も行っており、特にヨーロッパのゼロカーボンデータセンターの構築から始めています。
これらの動きは、より緑豊かな未来への責任あるステップとして位置づけられており、テクノロジーが持続可能な開発目標(SDGs)にどう貢献できるかを模索しています。
日立とマイクロソフトのパートナーシップが象徴するもの
この日立とマイクロソフトのパートナーシップは、AI技術を社会進歩のために利用し、それを責任ある方法で普及させるという大きなビジョンを象徴しています。
日立は2023年度に8兆5643億円の収益を上げ、全世界で573の子会社を運営しており、その規模と影響力をマイクロソフトと組み合わせることで、社会全体の利益になる革新を生み出す可能性があります。
両社の協力により、AIとデジタル技術が人々の生活をどのように変え、ビジネスの世界をどのように進化させるか、その一端を見ることができるでしょう。
出典:Microsoft