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AIの勉強方法ロードマップ!学習方法から環境構築までわかりやすく解説

この記事のポイント

  • この記事はAIの勉強方法について具体的なアプローチを紹介しております。
  • 日本においてはAI人材の不足が予測され、AI学習が求められている状況です。

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

AI技術がすべての産業に変革をもたらし、私達の日常生活に深く浸透している今、AIの学習は急務となっています。
日本ではAI人材の不足が指摘されており、これは一つの危機であると同時に新たな可能性を切り開く大きなチャンスでもあります。

この記事では、AIを学ぶ上での基本的な知識や学習方法、さらには実務スキル向上のためのオンラインコースや書籍の紹介、具体的なプロジェクトの例を通じて、初心者から中級者まで幅広く対応した学習プランを提案します。

また、AIの倫理的な側面や社会への影響を考慮した学習の重要性にも触れ、バランスの取れた知識構築を目指します。
これからAI学習を始めたい方、更に専門的な知見を深めたい方にとって、この解説記事が一助となることを願っています。

AI人材の不足の現状と勉強する意義

人工知能(AI)という言葉を聞かない日はありません。自動運転車がテスト走行し、医師の診断を支援するAIが登場し、外国語の同時通訳も可能になっています。
AIは、もはや映画やアニメの中の話ではなく、私たち日本人の日常に深く入り込んでいます。

一方で課題も浮き彫りになっています。経済産業省の2023年報告書によると、日本のAI人材が2030年に約79万人不足すると予測されています。

IT人材の供給動向の予測:経済産業省の2023年報告書
IT人材の供給動向の予測:経済産業省の2023年報告書

つまり、AIを理解し活用できる人材が圧倒的に足りないのです。

一人当たりの教育研修費
一人当たりの教育研修費:経済産業省の2023年報告書

一方で、各調査でまとめられている結果いずれも日本の雇用者に対する教育研修費のコストは諸外国に比べて低いことがわかっています。

これは危機であると同時に、私たち一人一人にとって大きなチャンスでもあります。

AIを学ぶことで、未来の日本をリードする存在 になれるかもしれません。では、なぜAIを学ぶべきなのか、その具体的なメリットと基礎知識を見ていきましょう。


なぜAIを学ぶべきか

AIを学ぶことのメリットは多岐にわたります。
AI破これからより優秀になることはあっても悪くなることはありません。

企業の多くはAIドリブンで業務構築をしていくことになるでしょう。そのため、AIを知っている人材は求められる人材ということになります。

・求められる機会が増える

  • キャリアの機会拡大:高需要のAIスキルを習得することで、より高給与の求人へのアクセスが可能。

・AIを使った新たな価値を届けられる

  • 社会的課題への貢献:健康管理、環境保護、交通改善など、多岐にわたる分野で社会的影響を与える。
  • イノベーションと創造性の促進:新しい技術的解決策を開発し、創造性を刺激。

・仕事ができるようになる(国際的にも活躍しやすい)

  • 問題解決能力の強化:データから洞察を得て効果的な意思決定をサポート。
  • グローバルな視点と協働:世界中の専門家との協力を通じて国際的な視点を養成。
  • スキルセットの拡張:プログラミング、統計学、批判的思考などの重要なスキルを身につける。

つまり、AIを学ぶ事で、個人のキャリアの幅を広げるだけでなく、個人としての成長やスキルも期待できるという事です💡


AIの基礎知識

では、AIとはなんなのでしょうか。

AI、機械学習、ディープラーニングの概念
AI、機械学習、ディープラーニングの概念

AIとは多くの技術を包含した概念になります。
機械学習と深層学習はどちらもAI(人工知能)の分野に属していますが、そのアプローチと技術にはいくつかの重要な違いがあります。まずは機械学習から見ていきましょう。

機械学習

  • 機械学習は、データからパターンを学習し、予測や意思決定を自動化するAIの一分野です。
  • 例: Netflixの「あなたへのおすすめ」過去に見た映画のデータを分析し、好きそうな新しい映画を推薦します。

学習の方法には大きく3つあります。これらを組み合わせて最適な予測を行なっていきます。

- **教師あり学習**: ラベル付きデータを使用してモデルが予測を学習します。
- 例:事前に「これは犬です」と教えておいた画像を元に、新しい画像が犬かどうかを判断🐶



- 教師なし学習: ラベルのないデータからパターンや関係性を発見します。
- 例:顧客の購買データから、似た購買傾向を持つ顧客グループを自動的に識別


- 強化学習: 正解を直接教えるのではなく、行動に対する報酬を与えることで、最良の行動を学習させる方法です。
- ロボットが障害物を避けながら目的地に到達するように、成功すれば報酬を、失敗すれば何も得られないように設定🤖

ディープラーニング:

- 脳のニューロンのネットワークを模したディープニューラルネットワークを使用。
- 大量のデータと計算能力を必要とし、画像認識、自然言語処理など複雑なタスクに有効です。
- 例:人の顔を認証するセキュリティシステム

【関連記事】
ディープラーニングとは?その仕組みや種類、機械学習との違いを解説


【初心者向け】AIの学習方法

では実際にどのように学習していくと良いのでしょうか。
これは目的や好みによってその手法は様々ですがAIの専門家としてエンジニアを10年以上行なっている私がエンジニアの友人や同僚からの経験などを踏まえておすすめの学習方法をお伝えしたいと思います。

まず大事なのは目標設定となぜいつまでに何をやるか

まず大切なのは「どこに向かって走るかのか」を決めることです。
AIを勉強するといっても

  • AIの基礎技術を研究する人
  • AIのサービスを作る人
  • AIを使って業務効率をあげる人
  • AIを使ってデータ分析を行う人

など多くの方向性があります。

そのため、自分はどの方向性でいくのか、まだ決まってないけど興味がありそうな分野はどこなのかよく考えることをお勧めします。


学ぶべきプログラミング言語とその選定理由

AIを学ぶ上で、プログラミング言語として選定されるのはPythonが最も主流ではないでしょうか。
比較的、解読しやすくとっつきやすい言語としてよく利用されます。

Pythonを選ぶ理由

  1. ライブラリが豊富
    AI開発でよく使われるNumPy、Pandas、scikit-learn、TensorFlow、PyTorchといったライブラリが充実しています。
  2. 読みやすさと初心者向けの学習環境
    文法がシンプルで、初心者にも扱いやすい言語です。
  3. 業界標準
    多くの企業や研究機関でPythonが主流となっており、習得しておくと活躍の場が広がります。

最初はPythonに集中し、必要に応じて他の言語を学ぶのが効率的です。

他の言語

また大学や研究機関ではRという言語を指定されることも少なくありません。
自身の環境に合うものを選択してください。

  • R: 統計解析やデータ可視化に強みがあり、大学や研究機関でよく使われます。
  • Julia: 高速な処理が必要なシミュレーションや研究向け。

【関連記事】
AI開発におすすめのプログラミング言語5選!フレームワークも紹介


AI学習環境のセットアップ

AI学習を効率的に進めるためには、開発環境を整えることが重要です。初心者におすすめの方法を紹介します。

Google Colab

Googleが提供するクラウドベースのJupyter Notebook環境です。

  • 利点:
    1. インストール不要: ブラウザ上で動作するため、手元のPCにPythonやライブラリをインストールする必要がありません。
    2. 無料のGPU/TPU: 機械学習モデルの学習速度を大幅に向上させることが可能です。
    3. 共有が簡単: 他の人とノートブックを共有して共同作業ができます。

セットアップ手順:

  1. GoogleアカウントでGoogle Colabにアクセス。
  2. 新しいノートブックを作成。
  3. ノートブック内でPythonコードを実行。

以下のコードを入力して動作確認を行いましょう。

import tensorflow as tf
print("TensorFlow Version:", tf.__version__)

ローカル環境

Pythonをローカル環境で実行したい場合、Anacondaやminicondaの活用もおすすめです。

  • 利点: パッケージ管理や仮想環境の作成が簡単。Jupyter Notebookも付属しています。

セットアップ手順:

  1. Anaconda公式サイトからインストーラーをダウンロード。
  2. インストール後、conda createコマンドで仮想環境を作成。
  3. Jupyter Notebookを起動してPythonコードを実行。

AI学習を進めるためのポイント

  1. 小さな目標から始める
    最初は簡単なモデルを作るところから始めましょう(例: 手書き数字認識のMNISTデータセットを扱う)。

  2. プロジェクト型学習
    実際にプロジェクトを立ち上げることで、手を動かしながら知識を深められます。
    例: 画像分類モデルの作成、チャットボットの構築など。

  3. コミュニティの活用
    KaggleやReddit、DiscordのAI関連コミュニティに参加し、情報交換を行いましょう。

  4. 反復学習
    一度学んだ内容を繰り返し復習することで、理解を深められます。

推奨される学び方

学ぶときにおすすめの方法は、私はChatGPTを活用しながら実践形式で学ぶことをお勧めします。

ChatGPTはPythonコードの実行をすることもできるため初学者でもわかりやすく学習を進めることができるでしょう。

簡単なプロジェクトを自分で立ててまずはやってみるのもおすすめです。
プロジェクト例:

  • 手書き数字認識(MNISTデータセットを使用): 機械学習の初心者にとって非常に一般的な入門プロジェクトで、画像データから数字を識別するモデルを作成します。
  • 株価予測モデル: 時系列データを使用して株価の動きを予測するモデルを作る。PythonのPandasやNumPyを活用し、実際の金融データで機械学習アルゴリズムを試すことができます。
  • 感情分析プロジェクト: ソーシャルメディアの投稿から感情を読み取るモデルを構築。自然言語処理(NLP)の基本を学ぶ絶好の機会です。

オンラインコース

  1. Coursera:Machine Learning by Andrew Ng

    • 機械学習の基本を学べる定番コース。PythonではなくOctaveを使用するが、概念理解に最適。

  2. Udemy: Python for Data Science and Machine Learning Bootcamp

    • Pythonを用いた機械学習やデータ分析を一通り学べる初心者向けコース。

  3. Kaggle: Learn

    • データ分析や機械学習を実践的に学べる無料コースが充実。

書籍

  1. ゼロから作るDeep Learning(オライリー)

    • Pythonでディープラーニングの基礎を学べる実践的な一冊。

  2. Pythonではじめる機械学習(オライリー)

    • scikit-learnを使った機械学習の基礎が学べる。

中級者向けAIの勉強方法

最終的には、AIシステムの設計と運用に必要なスキルを習得し、ビジネスにおいて直接的な価値を創出する能力を身につけることが目標です。

ここではスキルアップに役立つ情報を解説していきます。

クラウドサービスの活用(AWS、Azure、GCP)

  • AWS (Amazon Web Services)
    広範なマシンラーニングサービスとツールを提供。特にAmazon SageMakerは、データサイエンティストと開発者が迅速に機械学習モデルを構築、トレーニング、デプロイできるよう支援します。

  • Azure (Microsoft Azure)
    Azure Machine Learning studioを通じて、コードフリーからコードベースの環境まで幅広くカバー。

  • GCP (Google Cloud Platform)
    GoogleのAutoMLやTensorFlowを使用した高度な機械学習とデータ処理オプションを提供。

各プラットフォームの長所と短所を理解し、プロジェクトの要件に最適なものを選択する方法を学ぶ。

AIフレームワーク(TensorFlow、PyTorch、Chainer)の比較

  • TensorFlow
    Googleが開発したオープンソースの機械学習ライブラリ。大規模なデータセットに適しており、カスタマイズ性が高い。

  • PyTorch
    Facebookによって開発された別の人気のあるオープンソース機械学習ライブラリ。研究者に人気で、動的計算グラフが特徴。

  • Chainer
    日本発のフレームワークで、Define-by-Runアプローチを採用している。研究開発に向けて柔軟性が高い。

それぞれのフレームワークの利点と制限を理解し、プロジェクトの要件に合わせて選択できるようになる。

ビジネス事例研究(日本企業のAI導入成功例と失敗例)

  • 日本企業におけるAI導入の成功例と失敗例を研究し、どのような要因が成功に影響を与えたか、またはどのような課題が失敗につながったかを学ぶ。

  • 具体的な事例としては、小売業界での顧客行動予測システムの導入成功例、製造業での品質管理自動化システムの導入失敗例などを調査。


AIと倫理・社会的影響の理解

責任のあるAI
責任のあるAI参考:Microsoft

AIを勉強した後は利用する場面が訪れます。AIを活用するときには、その倫理的な使用と社会への影響に関する理解と配慮が不可欠です。

責任あるAIの実現には、以下の6つの主要原則を基盤とした取り組みが不可欠です。
これらの原則は、AIシステムの設計、開発、運用において倫理的かつ持続可能な利用を保証するための指針となります。

1. 公平性

AIシステムは、すべての人を平等に扱い、個人の特徴に基づく差別を防止する必要があります。同じ条件下では同じ推奨や決定を提供することが求められます。

2. 信頼性と安全性

AIシステムは、さまざまな条件下でも確実かつ安全に、一貫した動作を行うことが必要です。これにより、利用者との信頼関係を築くことができます。

3. プライバシーとセキュリティ

個人情報や機密情報を保護し、プライバシーを尊重することが求められます。また、AIシステムは不正な攻撃や侵害に耐えられる堅牢なセキュリティを備えているべきです。

4. 包括性

AIシステムは、すべての人にとって利用可能であり、利便性を提供する必要があります。インクルーシブデザインの実践により、潜在的な排除障壁を特定し、それに対処することで、より多くの人々に利益をもたらすエクスペリエンスを設計します。

5. 透明性

AIシステムは、どのように決定を下しているかが明確で、理解しやすいものでなければなりません。特に、人々の生活に重大な影響を与える決定を伴う場合、その仕組みを説明可能にすることが重要です。

6. アカウンタビリティ

AIシステムとその開発者は、生成された結果やその影響に対して説明責任を果たし、必要に応じて責任を取る姿勢が求められます。

これらの原則は、AIの戦略立案や計画から実装に至るまで、AI導入の全プロセスに組み込まれるべきです。AIシステムを管理・統制する際には、常にこれらの原則を指針とし、倫理的で信頼性の高いAI活用を確保しましょう。


まとめ

AIの勉強方法とその重要性についてご紹介してきましたが、AI技術が急速に進化し、私たちの生活や仕事に深く関わっていく中で、ただ技術を学ぶだけではなく、その社会的な影響や倫理的な側面にも目を向けることが重要です。

学んだ知識を実生活や職場でどのように活かしていくかを考え、積極的にチャレンジしていくことが、求められます。
それでは、AIの学習と実践において、皆さんが大きな成功を収めることを心から願っています!

どんどん実践していきAIを身近にしていきましょう。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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