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DXとAIの違いは?その関係性や活用事例をわかりやすく解説!

この記事のポイント

  • DXの定義とAIの役割について解説
  • AIがDXの推進にもたらす価値と必要性を分析
  • DXにおけるAIの具体的な活用事例を紹介
  • AIを導入する際のポイントと留意点を解説
  • DXとAIの共進化が導く未来の可能性を考察

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、人工知能(AI)の活用は不可欠です。
AIはDXの実現に大きく貢献し、ビジネスの効率化とイノベーションを加速させます。本記事では、DXとAIの関連性や具体的な活用事例について深く掘り下げ、AIがDXにもたらす価値を明らかにします。

DXの定義から、AIの必要性、導入のポイントまでを網羅し、これからDXに取り組む企業やAIに興味のある方々に有益な情報を提供します。

「そもそもDXについてよく分かっていない」「DXについて包括的に知りたい」という方は、こちらの記事もご覧ください。
➡️DXとは?その定義や必要性、IT化との違いや、実際の事例を徹底解説

DXとは

DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称で、企業や組織がデジタル技術を活用して業務プロセス、企業文化、市場のニーズに応じた製品やサービスを革新し、顧客体験を向上させることを指します。

これにより、企業はより効率的に運営を行い、新たな価値を生み出すことができます。DXは単にテクノロジーの導入にとどまらず、組織全体のマインドセットや運営モデルの変革をも含みます。

DXの目的は、変化する市場環境や顧客の要望に迅速に対応し、持続可能な成長を実現することです。

デジタル化が進む現代において、DXは企業戦略の重要な柱の一つとされています。

経済産業省によるDXへの見解

経済産業省のデジタルガバナンス・コード2.0によると、DXとは以下のように説明されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

また、その中ではDX推進の際に、「データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと」やに「ビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むこと」の重要性が強調されています。

デジタルガバナンスコード(要約版)からDXとはなにか?


AIとは

人工知能(AI)とは、機械やコンピュータが人間のような知能を持ち、学習・推論・知覚・自律的意思決定などの能力を実現する技術の総称です。

データから学び、パターンを認識し、環境に適応することで、様々なタスクを自動化したり、複雑な問題解決を支援したりします。

DXの文脈で見ると、AIは効率化、生産性向上、新たなビジネスチャンスの創出に不可欠な要素であり、企業がよりインテリジェントで、柔軟で、迅速な意思決定を行えるよう支援します。

AI(人工知能)が可能にする機能やタスクをわかりやすく表にまとめてみました。

AIの機能 説明
データ分析と予測 大量のデータからパターンを認識し、未来のトレンドや結果を予測する。 金融市場の動向予測、気象予報
自然言語処理(NLP) 人間の言語を理解し、生成する能力。 チャットボット、音声認識システム、自動翻訳
画像認識 写真や動画から物体、顔、パターンなどを識別する。 セキュリティシステム、医療画像診断、自動運転車
自動化とロボティクス 単純作業から複雑なプロセスまで、機械が人間の介入なしにタスクを完了する。 製造業の自動化、物流、家事の自動化
意思決定支援 データ駆動型のアプローチで、最適な選択肢を提示する。 ビジネスの意思決定、医療、政策決定


この表は、AI技術の主な応用領域と、それぞれがどのような可能性を持っているかを概説しています。
AIの進化はこれらの領域を超え、日々新しい応用が生み出されています。


DXとAIの関連性

ここまで見てきたように、DXが目指すのは、デジタル技術を駆使して企業の業務プロセスや文化、製品・サービスを根本から見直し、革新することです。

そして、AIはキーテクノロジーとして機能します。AIはデータ分析、自動化、顧客体験のパーソナライゼーションといった面で、DXの目標達成を効果的に補助することができのです。

企業がデジタル技術を活用して競争力を高める過程において、AIはプロセスの効率化、意思決定の迅速化、新たな価値創出の源泉となります。

したがって、DXの推進にはAIの統合が不可欠であり、両者は相互に強化し合いながら、企業が持続可能な成長を達成するための基盤を築きます。

要素 AI(人工知能) DX(デジタルトランスフォーメーション)
定義 機械やコンピュータが人間のような知能を持ち、学習・推論・知覚・自律的意思決定などの能力を実現する技術。 企業や組織がデジタル技術を活用して業務プロセス、企業文化、製品・サービスを革新し、顧客体験を向上させること。
目的 データから学び、パターンを認識し、環境に適応することで、タスクを自動化し、複雑な問題解決を支援。 変化する市場環境や顧客の要望に迅速に対応し、持続可能な成長を実現すること。
役割 DXの中核となる技術の一つとして、効率化、生産性向上、新たなビジネスチャンスの創出に貢献。 デジタル技術の全般的な活用を通じて、企業の根本的な変革を促進。
相互関係 AIはDXの推進に不可欠な要素であり、DXの目標達成を効果的に支援。 AIを含むデジタル技術の統合により、企業はよりインテリジェントな運営が可能に。

DX推進の課題とAIの必要性

多くの企業は旧来のビジネスプロセスの非効率性、データ活用の困難さ、市場の変化への対応の遅れなど、DXの推進において様々な課題に直面しています。

AIは、これらの課題に対処するための鍵となります。例えば、AIによるデータ分析は、意思決定の精度を高め、顧客の行動や需要の予測を改善します。
また、自動化により業務プロセスを効率化し、社員がより価値の高い業務に時間を割けるようになります。

AIはまた、新しい顧客体験の創出や革新的なビジネスモデルの提案など、DXを推進する多面的な役割を果たしています。

【関連記事】
➡️DX成功の鍵!デジタル時代の必須技術10選と効果的な活用方法


AI活用によるDX推進の事例

AI活用によるDXを推進して、成功した例を見ていきます。

パナソニックシステムソリューションズジャパンの顔認証ゲート

パナソニックは、日本人帰国者の入国手続きをスムーズにする顔認証ゲートを開発。
このシステムは表情や化粧の変化も認識でき、法務省入国管理局に導入され、入国手続きの合理化を実現しています。

顔認証ゲートは、初めての人や高齢者でも簡単に使える設計が特徴です。

伊藤園のAI画像解析によるお茶の品質推定技術

伊藤園のAI画像解析によるお茶の品質推定技術
参考:伊藤園

伊藤園はAI画像解析を活用し、お茶の品質推定技術を開発。この技術は、専門技術を必要とする官能検査や高コストの成分分析機器に代わるもので、スマートフォンを使って簡単かつ低コストでお茶の品質評価が可能になります。

ゑびや大食堂のDX成功事例

ゑびや大食堂
1912年創業のゑびや大食堂は、DXを導入しデータベース化と経営データの見える化を推進。毎日の来店データ分析により食品ロスを大幅に削減し、効率的な人員配置を実現。販売データに加え気象データなど複数の情報を組み合わせ、予測精度の高いAI開発に成功しました。

ゑびや大食堂のDX成功事例は経済産業省のデジタルガバナンスコードにも記載されています
参考:経産省

実世界のビジネスでみると、AIの応用例は上記の例以外にも、数え切れないほど存在します。小売業界においては、AIは顧客の購入履歴やオンライン行動を分析して個別の推薦アルゴリズムを作り上げ、売上の向上に寄与しています。

製造業においては、予測保全によって設備の稼働率を高め、ダウンタイムを減少させています。
金融業では、AIによる信用評価や不正検知がセキュリティを向上させ、高度な顧客サービスを提供することが可能となっています。これらの事例から、AIがDXを推進し、事業成果を上げる上で欠かせない要素であることがわかります。


AI導入の重要ポイント

AIをビジネスに導入する際には、成功に導くためにいくつかのポイントを考慮する必要があります。

以下、目標の設定、DX人材育成、データの取得・保有・管理の3つの重要ポイントについて見ていきます。
これらをバランス良く進めることで、AI導入の成功率を高めることができます。

目標の設定

AI導入の第一歩は、具体的かつ測定可能な目標を設定することです。ビジネスの現状分析からスタートし、AIを通じて達成したいことを明確にします。

例えば、顧客サービスの自動化、製造プロセスの効率化、あるいは新商品の推薦システムの開発などが目標になり得ます。
目標を設定する際は、それが実現可能であること、ビジネスの成長に直接貢献すること、そして期限を設けることが重要です。

スキルと専門知識のある人材育成

AI技術を効果的に活用するためには、適切なスキルと専門知識を持った人材が必要です。これには、データサイエンティスト、AIエンジニア、プロジェクトマネージャーなど、様々な役割の専門家が含まれます。

内部でこれらのスキルを持つ人材が不足している場合、外部研修やオンラインコースを活用して従業員の能力開発を図るか、専門知識を持つ新たな人材を採用することが考えられます。

重要なのは、チーム全体がAIプロジェクトの意義と目標を理解し、技術的な側面だけでなく、ビジネス戦略的な視点も持つことです。

【関連記事】
➡️DX人材育成のポイント:企業の成功事例を交えてわかりやすく解説

データの取得・保有・管理

AIモデルの学習と精度は、利用可能なデータの質と量に大きく依存します。したがって、適切なデータを確実に取得し、これを保有・管理する体制を構築することが不可欠です。
データの取得には、プライバシー規制やデータ保護の法律を遵守する必要があります。

また、データクレンジングや前処理を行い、分析に適した形式でデータを整理することも重要です。データの管理には、セキュリティ対策を講じ、アクセス権を明確に設定することが求められます。

これら3つのポイントは、AIをビジネスに導入する際の成功の鍵です。
目標の明確化は方向性を示し、適切な人材を確保することで技術的な実現可能性を高め、そして質の高いデータの取得・管理によってAIモデルの性能を最大化させることができます。


DX推進の現状と海外の動向

DXの波は国境を超えて広がり、各地で異なる挑戦がなされています。日本のDX推進は様々な規制や既存のビジネスモデルに縛られる場面も多く、変革が進むスピードは必ずしも速いとは言えません。

これに対して、シリコンバレーをはじめとする海外の多くの地域では、スタートアップ企業が革新を推進し、大胆で迅速なDX実施が見られます。

以下では、海外でのDX成功事例を紹介します。

  1. AppleのDX事例
    Appleは、「Apple Pay」と「Apple Card」を通じてキャッシュレス決済サービスの革新を実現しました。これらのサービスは、利便性と安全性を両立させ、生体認証を使った簡単かつ安全な支払い方法を提供しています。

    特にApple Cardは、デジタルカードの申し込みがiPhoneから可能で、カード番号やセキュリティコードが物理的なカードに記載されていないため、セキュリティ面でのメリットが大きいです。

  2. Le MondeのDX事例
    フランスの夕刊紙「Le Monde」は、2008年にスマートフォンアプリを通じて新聞配信を開始し、デジタル変革に着手しました。
    2018年には、過去10年間に蓄積した購読者データを基に、ユーザー満足度の高いコンテンツを中心に有料記事を提供するサブスクリプションモデルを導入。

    この結果、購読者数が20%増加し、サブスクリプションのコンバージョン率が46%上昇しました。

  3. SpotifyのDX事例
    Spotifyは、サブスクリプション型の音楽配信サービスとして、無料プランでも多くの機能を提供することで急速にユーザーを獲得しました。
    有料プランではオフライン再生や広告なしでの音楽楽しむことが可能で、価格設定の柔軟性やユーザーのニーズに合わせたプラン提供により、幅広い顧客層を獲得しています。

  4. AirbnbのDX事例
    Airbnbは、オーナーと旅行者を繋ぐプラットフォームとして世界中で利用されています。
    宿泊先の予約や支払いを全てオンラインで完結できるシステムを提供し、オーナーには空き家や別荘を収益化する機会を、旅行者にはリーズナブルな価格で多様な宿泊体験を提供しています。このサービスは、伝統的な宿泊業界に変革をもたらし、ユニークな文化体験の提供を可能にしています。

AIの最新トレンドと事例

AI技術は日進月歩で進化を続け、そのトレンドは常に変わり続けています。このセクションでは、ディープラーニング、自然言語処理、コンピュータビジョンなど、現在最も注目を集めているAIの技術トレンドを取り上げます。

ディープラーニング

ディープラーニングは、深層学習とも呼ばれ、多層のニューラルネットワークを用いてデータからパターンを学習する技術です。この分野の最新トレンドには、トランスフォーマーモデルの進化があります。これらは、自然言語処理タスクで顕著な成果を上げており、ChatGPTのようなモデルは文章生成において人間に近いテキストを生成することができます。

また、ディープラーニングは、エネルギー効率の良いモデル設計や、少ないデータから学習できる少数ショット学習、ゼロショット学習の進歩も見られます。

自然言語処理(NLP)

自然言語処理は、人間の言語を理解し、生成するAI技術です。最新トレンドには、感情分析、意図認識、文書要約などの高度なタスクの精度向上があります。

また、多言語モデルの開発も進んでおり、異なる言語間での情報の転移が可能になっています。トランスフォーマーベースのアーキテクチャは、大量のテキストデータからの学習において、以前のモデルよりも優れた性能を発揮しています。

これにより、より自然で人間らしい対話システムの実現が期待されています。

【関連記事】
➡️自然言語処理とは?AIが人間の言語を理解する仕組みをわかりやすく解説

コンピュータビジョン

コンピュータビジョンは、画像やビデオから情報を抽出し解析する技術です。この分野の最新トレンドには、リアルタイムオブジェクト検出、セマンティックセグメンテーション、顔認識技術の精度向上があります。GAN(敵対的生成ネットワーク)の進化により、超高解像度の画像生成や、リアルタイムでのビデオ編集が可能になっています。

また、3Dコンピュータビジョンの進歩により、現実世界の三次元再構築や拡張現実(AR)技術の精度が向上しています。

これらの進歩により、AIは医療、自動運転車、仮想アシスタント、コンテンツ制作など、さまざまな分野での応用が拡大しています。AI技術の急速な進化は、社会やビジネスの変革を加速させると同時に、倫理的な課題やプライバシーの保護といった新たな問題も提起しています。

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➡️知っておきたい!注目のAIのトレンド6選をわかりやすく解説!【2024年】


AI導入の際の具体的なステップ

以下の表は、企業がAIを導入する際のプロセスを段階的に示しており、各ステップでの主要な活動と注意点を明確にしています。
成功への道のりは複雑であるため、これらのステップを慎重に進めることが重要です。

ステップ 説明 キーポイント
ステップ1: ビジネスニーズの特定 企業がAIを導入する目的と解決したい問題を明確にします。 - 目標設定
- 問題の特定
ステップ2: データの準備 AIモデルの訓練に必要なデータを収集し、整理します。 - データ収集
- データクレンジング
ステップ3: モデルの選択と開発 解決したい問題に最適なAI技術やモデルを選定し、初期のモデルを開発します。 - 技術選定
- プロトタイピング
ステップ4: モデルの訓練とテスト 収集したデータを用いてモデルを訓練し、テストデータセットで性能を評価します。 - モデル訓練
- テストと評価
ステップ5: デプロイメントと統合 テストで満足のいく結果が得られたモデルをビジネスプロセスに統合し、実運用を開始します。 - 実装
- システム統合
ステップ6: モニタリングと継続的改善 AIシステムの性能を定期的に監視し、実運用から得られるフィードバックをもとにモデルを改善します。 - パフォーマンス監視
- フィードバックループ


企業におけるAI導入時のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
興味のある方は、ぜひご覧ください。
➡️AI導入完全ガイド!メリットや、導入プロセス、補助金について徹底解説

また、経済産業省が、AI導入のためのガイドブックを発表しているので、参照してみることをおすすめします。

経済産業省:AI導入ガイドブックのラインナップ
経済産業省:AI導入ガイドブック


まとめ: DXとAIの未来

今回は、DXとAIの相互関係と、AIを駆使したDXの必要性や実例について解説しました。
AIの統合は、今後のDX促進に不可欠となるでしょう。ただし、導入そのものを目的とするのではなく、ビジネスモデルに応じた目標に基づいてAIを適用することが、DXの成功につながります

。AIを取り入れたDXの例は日に日に増加しており、自社で導入を検討する際は、これらの事例を綿密に分析し、自社のDX推進をより円滑に進めるための参考にしましょう。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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