この記事のポイント
- ChatGPTは高度な言語処理能力を活かし、個人のレベルや目的に合わせた英語学習を可能にする
- 英作文の添削、文法解説、日常会話やロールプレイを通じた英会話練習など、多様な学習方法を提供
- ユーザーのニーズに沿った学習体験、多様な表現の学習、即座のフィードバックなど、多くのメリットがある
- 効果的な活用のために、自身の英語レベル(CEFR)を提示し、プロンプトを工夫することが重要
- 文脈の誤解や最新情報への対応の限界など、ChatGPTの特性を理解した上での利用が必要
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
ChatGPTの活用法として、特に今話題となっているのが英語学習のツール、メンターとしての活用です。
本記事では、ChatGPTを使って英語のリスニング力やスピーキング力を高める方法について、具体的な例を交えながら詳しく解説します。
英作文の添削、英文法の解説、日常会話やロールプレイを通した英会話練習など、ChatGPTならではの効果的な学習方法を紹介しています。
さらに、自身の英語レベルに合わせた学習計画の立て方や、ChatGPTを活用する際の注意点にも触れています。
これから英語学習を始める方も、新しい学習ツールを探している方も、ぜひChatGPTを活用して英語力アップを目指してみてください。AIと共に学ぶ新時代の英語学習を、この記事を通して体験してみましょう。
最新モデル、OpenAI o1(o1-preview)について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください⬇️
OpenAI o1(ChatGPT o1)とは?その特徴や使い方、料金体系を徹底解説!
目次
ChatGPTは英語学習に最適
ChatGPTは、その高度な言語処理能力と会話機能を活かし、教育分野、特に英語学習において大きな注目を集めています。
いつでもどこでも、手軽にアクセスできるスマホアプリを通じて、ユーザーは自由な時間に学習を進めることができます。
さらに、AIの高度な言語処理能力を活用することで、個人のレベルや目的に合わせたオーダーメイドの英語学習が可能になります。
まるで常に先生がそばにいるかのようなサポートを受けながら、ChatGPTを活用して日常的な英語学習を充実させることができるのです。
ChatGPTの英語学習での使い方
ここでは、具体的にどうChatGPTを用いて英語学習を進めていくのかを、「プロンプト例」と「実際のChatGPTとの会話」をお見せしながら紹介していきます。
英語長文を作成してもらう
ChatGPTに頼めば、目的に合わせた難易度、文量の英語の長文読解の問題を作成してもらうことができます。
例えば、以下のようにChatGPTにお願いしてみます。
#命令書:
あなたは高校三年生に向けて英語の長文読解の問題を作成している講師です。
以下の制約条件をもとに、英語の長文読解の文章と、その文章に即した問題を5問作成してください。
#制約条件:
・文章の文字数は500words程度
・問題の難易度は中程度
・適度に難しい単語を使って文章を作成してください
・文章の内容は環境問題にしてください。
そうすると、以下のように、文章と問題を出力してくれます。
もちろん、解答と解説を教えてというだけで、丁寧な解答解説を行ってくれます。
英作文の添削をお願いする
ChatGPTは、英作文の添削にも活用できます。英語資格試験の勉強やビジネスメールの作成など、様々な場面で役立ちます。
例えば、以下のようにChatGPTに英作文の添削をお願いしてみましょう。
以下の文章は私が作成した〇〇に関する英作文です。英語の文法的、構造的な間違いがあれば、それを指摘してください。
すると、ChatGPTは、以下のように文法的な誤りを指摘し、より適切な表現を提案してくれます。
ChatGPTによる添削
このように、ChatGPTの添削機能を活用することで、英語資格試験の対策やビジネスメールのクオリティ向上に役立てることができます。
自分の英作文を投稿し、ChatGPTからのフィードバックを得ることで、英語力の向上を目指しましょう。
【関連記事】
➡️ChatGPTを英文校正に活用する方法やプロンプトをわかりやすく解説
英文法の解説をしてもらう
英語学習の過程で、理解が難しい文法事項に遭遇することは珍しくありません。そんな時は、ChatGPTに助けを求めてみましょう。
例えば、英語学習者から質問が多い「完了形」について、以下のようにChatGPTに尋ねてみます。
英語の文法に関する質問です。
完了形についてわかりやすく教えてください。
するとChatGPTは、完了形の基本的な使い方や具体的な例文を交えながら、以下のように詳しく解説してくれます。
ChatGPTの説明は、文法事項の本質を捉えており、初学者にもわかりやすい言葉で表現されています。
また、様々なシチュエーションを想定した例文が提示されるため、文法事項の実際の使われ方を理解することができます。
このように、ChatGPTを活用することで、自分のペースで効果的に英文法を学ぶことができるのです。わからない文法事項があれば、遠慮なくChatGPTに質問してみましょう。
AIによる丁寧な解説は、きっとあなたの英文法理解を深めるでしょう。
ChatGPTで英会話の練習をする方法
ChatGPTの音声会話機能を活用することで、効果的な英会話練習が可能です。
ここでは、ChatGPTを使った英会話練習の方法をいくつか紹介していきます。
スピーキングのお題を出してもらう
英会話の練習を始める際、何について話せばいいのかわからないという人は多いでしょう。そんな時は、ChatGPTにスピーキングのお題を提供してもらいましょう。
ChatGPTにスピーキングのお題を出してもらうには、以下のようなプロンプトを使います。
あなたは私に英語の指導をしているネイティブの英語教師です。
あなたは今、私の英会話の練習を手伝っています。
条件に従って、スピーキングのお題を提示してください。
#条件
・お題を5つ提示してください。
・それぞれのお題に対して具体的な質問を三つずつ用意してください。
このプロンプトを入力すると、ChatGPTは条件に応じて5つのお題を提示し、それぞれのお題に関する3つの具体的な質問を用意してくれます。
提示されたお題と質問に従って、自分の考えや経験を英語で話してみましょう。質問に答えながら話を展開していくことで、より自然な会話の流れを練習することができます。
また、話している内容について、ChatGPTからフィードバックをもらうこともできます。
言い回しや表現を指摘してもらう
ChatGPTは、ユーザーが話した内容や書いたテキストを分析し、より自然で適切な言い回しや表現を提案してくれます。
例えば、「映画がとても気に入った」という意味を英語で伝えたい場合、多くの学習者は "I like the movie very much." と言うかもしれません。
しかし、ChatGPTに相談すると、より自然な表現として "I really enjoyed the movie." や "That movie was fantastic!" などの提案を得られるでしょう。
このようなフィードバックは、ネイティブスピーカーが実際に使うような表現を学ぶ上で非常に有益です。ChatGPTの提案を参考にすることで、単に文法的に正しいだけでなく、「状況に応じた自然で流暢な英語表現」を身につけることができます。
例えば、誰かに感謝を伝えたい場合の英語表現について、ChatGPTに以下のように質問してみます。
誰かに感謝を伝えたいときの英語表現をそのニュアンスも含めていくつか教えてください。
すると、ChatGPTは状況に応じた様々な感謝の表現とそのニュアンスを、以下のように説明してくれます。
ChatGPTが提示する表現は、フォーマルな場面からカジュアルな場面まで、幅広い状況に対応しています。また、それぞれの表現が持つニュアンスの違いについても丁寧に説明されているため、状況に応じて適切な表現を選ぶことができます。
日常会話やロールプレイを行う
ChatGPTを使った英会話のロールプレイは、実践的な英語学習に大変効果的です。
ここでは、ChatGPTとのロールプレイを通して英会話力を向上させる方法を、ステップバイステップで解説します。
- シナリオ選定
まず、「ロールプレイのシナリオ」を選びます。日常会話、ビジネスシーン、旅行時の会話など、様々な状況を想定してみましょう。
- 役割の設定
次に、あなたとChatGPTの役割を決めます。
例えば、あなたが顧客役、ChatGPTが店員役といった具合です。
- 会話の開始
役割とシナリオが決まったら、いよいよロールプレイを開始します。あなたが英語で話しかけると、ChatGPTがその役割に応じて返答してくれます。
- フィードバックの活用
会話を通じて、自分の英語表現や文法についてChatGPTにフィードバックを求めることもできます。
これにより、言語学習の質をさらに高めることが可能です。
以下は、「レストランでの会話をテーマにしたロールプレイ」のプロンプト例です。
#命令文
以下の条件に基づいて、私と英会話のロールプレイを行ってください。
#条件
シナリオの選定:
わたしは海外のレストランにいます。メニューを見ているが、いくつかの料理の内容がよくわからないため、詳細を尋ねたいと思っています。
役割の設定:
わたしの役割: 顧客
ChatGPTの役割: レストランのウェイター/ウェイトレス
会話の開始:
わたし: 「Hello, do you have any recommended dishes on this menu?」
会話の終わり:
わたし: 終了します
それでは始めます。
Hello, do you have any recommended dishes on this menu?
このプロンプトを入力すると、ChatGPTは設定された役割に基づいて、以下のように会話を進めてくれます。
ChatGPTとのロールプレイでは、実際の会話を想定したやり取りを通して、生きた英語表現を学ぶことができます。また、会話の中で自然に文法や語彙の理解を深めることもできるでしょう。
ロールプレイを終えたら、ChatGPTに「自分の英語表現や文法についてフィードバック」を求めてみましょう。AIによる的確なアドバイスは、あなたの英語力をさらに磨く手助けとなるはずです。
ChatGPTを英語学習に活用するメリット
ChatGPTを英語学習に取り入れることで、多くのメリットを享受できます。
ここでは、特に重要な5つのポイントについて詳しく解説します。
ユーザーニーズに沿った学習体験
ChatGPTは、初心者から上級者まで、学習者のレベルに合わせた効率的な学習を可能にします。
- 初心者
基本的な語彙や日常会話に焦点を当てた学習ができます。 - 中級者
複雑な文法構造や専門的な語彙にチャレンジできます。 - 上級者
高度なトピックについてのディスカッションや、エッセイライティングの技術を磨くことができます。
2. 多様な表現の学習
ChatGPTを使えば、日常会話からビジネス英語、アカデミックな文章まで、幅広い表現を学ぶことができます。
自分の目的に合わせてChatGPTに質問することで、英語表現の幅を広げていきましょう。
3. 即座のフィードバック
ChatGPTは、文法や発音の間違いを即座に指摘し、正しい形を教えてくれます。
いつでもどこでもすぐに質問に答えてくれるので、時間や場所を気にせず、自分の好きなタイミングで効果的に学ぶことができます。
4. 会話形式での楽しい学習
ChatGPTは、まるで友達や先生と会話しているような形式で、様々な話題について英語を使う練習ができます。
間違いを恐れずに英会話を練習でき、一人ではなく誰かと一緒に学んでいるように感じられるため、モチベーションの維持にもつながります。
5.ただ英語を学ぶのではなく、英語で〇〇を学ぶ
ChatGPTを使えば、英語を学ぶだけでなく、英語を用いて様々な情報に触れることができます。科学記事の要約や、英語圏の文化、芸術、歴史など、幅広いトピックについて英語で学びましょう。
以上のように、ChatGPTを英語学習に取り入れることで、個々のニーズに合わせた効率的な学習、多様な表現の習得、即座のフィードバック、楽しい会話形式での練習など、様々なメリットを享受できます。
ChatGPTを上手に活用して、英語力を効果的に向上させましょう。
ChatGPTを英語学習に利用する際のポイント
ChatGPTは英語学習者にとって非常に強力なツールですが、その機能を最大限に活用するためには、いくつかの重要なポイントを理解しておく必要があります。
ここでは、ChatGPTを用いた英語学習で特に注意すべき点について解説します。
自身の英語レベル(CEFR)を提示する
ChatGPTで英語学習を始める際は、まず自分の英語レベルをChatGPTに明確に伝えることが重要です。これにより、ChatGPTはあなたのレベルに合った内容を提供することができます。
英語レベルを伝える際は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を使用するのがおすすめです。CEFRは、「語学学習者の言語運用能力を6段階(A1〜C2)で示す国際的な指標」です。
例えば、「私は現在CEFR B1レベルです」と伝えることで、ChatGPTはあなたの英語力に適した課題やアドバイスを提供してくれます。
また、自分のレベルに合わせた学習計画を立ててもらうこともできます。
以下は、そのプロンプト例です。
私は現在CEFR B1レベルの英語能力です。
3ヶ月後にCEFR B2レベルの英語の単語力を身につけるための学習計画を立てて下さい。
一ヶ月ごとに具体的に計画を立ててください。
このプロンプトを入力すると、ChatGPTは以下のようにあなたのレベルに合わせた3ヶ月間の学習計画を提案してくれます。
このように、自身の英語レベルをChatGPTに明示することで、よりパーソナライズされた英語学習が可能になります。レベルに合わせた課題や学習計画に取り組むことで、効率的にスキルアップを図ることができるでしょう。
プロンプトを工夫する
ChatGPTとの対話において、質問の仕方はChatGPTの出力精度に大きな影響を与えます。明確かつ具体的なプロンプトを用意することで、より質の高い回答を得ることができます。
例えば、「友達とのカフェでの会話を演じてほしい」といった漠然としたリクエストではなく、「中学3年生の同級生とのカフェでの会話を、比較的簡単な日常レベルの英語で模擬したい」と具体的に指定することで、ChatGPTはあなたのニーズにより適した回答を生成できます。
また、効果的なプロンプトを設計するには、プロンプトエンジニアリングの手法が役立ちます。
プロンプトエンジニアリングとは、AIモデルからより良い応答を引き出すために、入力するプロンプトを最適化する技術です。
以下は、プロンプトエンジニアリングの代表的な手法です。
- ロールプレイ
ChatGPTに特定の役割を割り当て、その視点から回答させる方法。
- ステップバイステップ
複雑なタスクを小さなステップに分割し、順を追って説明するようChatGPTに指示する方法。
- 例示
ChatGPTに回答のフォーマットや構成を例示し、それに沿った出力を求める方法。
また、ChatGPTに期待する出力形式を指定することも効果的です。「中学生でもわかるように説明してください」「講義形式で解説してください」など、回答の形式をプロンプトに含めることで、より目的に沿った回答を得ることができます。
これらの手法を活用し、タスクに応じた最適なプロンプトを設計することで、ChatGPTの出力精度を大きく向上させることができます。
【関連記事】
➡️プロンプトエンジニアリング完全ガイド!ChatGPTで使える例文も紹介
ChatGPTを英語学習に利用する際の注意点
ChatGPTはその特性上、利用時にいくつか注意すべき点があります。
ここでは、ChatGPTを活用する際に特に気をつけておきたい点について解説します。
文脈の誤解
ChatGPTは、長い会話や複雑な文脈を完全に理解することが難しい場合があります。特に、複数回のやり取りを重ねる場合、過去の発言や細かいニュアンスを見落としたり、誤解したりする可能性があります。
そのため、ChatGPTを利用する際は、重要な学習ポイントや文脈を明確に伝え、必要に応じて繰り返し確認することが大切です。曖昧な表現を避け、できるだけ具体的かつ簡潔に伝えるように心がけましょう。
最新情報への対応の限界
ChatGPTは、最終的なトレーニングデータまでの情報しか持っていません。そのため、最新のスラング、流行語、または文化的なイベントに関する情報を提供することが苦手です。
特に、現代の言葉遣いや表現を学ぶ際には、この限界が学習の妨げになる可能性があります。ChatGPTだけに頼るのではなく、他の最新の情報源も併用することが重要です。