研究、製薬分野に活用できるAIおよびDX導入事例をご紹介します。研究、製薬分野の分野では、大規模なデータ、組み合わせをAIを用いて研究効率を加速する例が多く報告されています。AIの導入の活用法は、業界ごとに異なり、採用されるシステムも多様です。
この記事を通して 「導入アイデア・あなたに使えるサービス・導入のポイント」 の参考になれば幸いです。弊社ではAI導入の最初の窓口としてAI総合研究所を運営しています。導入のお悩みはご気軽に弊社にご相談ください。
【導入事例の概要】
産業技術総合研究所(産総研)、東京工業大学(東工大)、国立情報学研究所が主宰するLLM-jpは、産総研のAI橋渡しクラウド(ABCI)を活用し、世界トップレベルの性能を持つ大規模言語モデル(LLM)の開発に着手しました。
この取り組みにより、日本初のオープンで高い透明性を持つ日本語LLMが構築され、日本のAI技術の研究開発及び産業競争力の強化に寄与することを目指しています。
AI橋渡しクラウドの紹介動画
【導入の背景】
AI技術は産業の中核技術として広く認識されており、特に労働人口減少問題への対策や大規模データの利活用において重要な役割を果たしています。
米国企業OpenAIによるChatGPTの登場以来、流暢な対話が可能な言語モデルに世界が注目し、その適用範囲の広がりを目の当たりにしました。
しかし、適用範囲の広がりと共に、言語モデルの構築過程の透明性や国産化の必要性が日本では特に強調されています。
【元々の課題】
産総研をはじめとする日本の研究機関や企業は、国内外の研究開発競争に直面しており、特に言語処理AIの分野での国内外の技術格差が課題でした。その上、海外で開発されるLLMを利用する際には、権利侵害や情報漏えいのリスクが懸念されていました。
日本語データに強い、安心して使える国産LLMの需要が高まっていたのです。
【解決策】
この課題に対する解決策として、日本発の大規模言語モデルの構築が提案されました。
産総研、東工大、LLM-jpの3者が協力し、ABCIを使用して、GPT-3と同等の規模である1750億のパラメーターを持つLLMを開発することで、国産のオープンAI技術を提供しようとしています。これには、言語データの創出も含まれています。
東工大と産総研の共同研究
【効果】
この共同プロジェクトによる効果は多岐にわたります。第一に、日本独自のLLMによって、国内のAI産業が抱える課題の解決および産業のグローバルな競争力が向上し、二次的な効果として教育や医療などの社会的課題の解決に利用することができます。
また、言語モデルの構築プロセスが透明化されることで、安心・安全な利用が可能になります。さらに、日本語データに特化したモデルによって、日本語の処理能力が飛躍的に向上することも期待されています。
今後は、ABCIを始めとする計算資源を活用しながら、日本の英知を結集して世界トップレベルの性能を持つLLMの構築を目指します。構築された国産LLMは、LLM-jpを通じて公開され、産業界や学術界で広く活用されることが期待されています。
この取り組みは、日本のAI技術の発展と普及に大きく貢献するものであり、生成AIの基盤となる大規模言語モデルの国産化という重要な一歩を踏み出すものです。