この記事のポイント
- この記事にはコマツ産機のAIを活用した予知保全システムの導入例が紹介されています。
- Azure AIを用いて計画的なメンテナンスを実現し、突発的な故障リスクとメンテナンスコストの削減に貢献しています。
監修者プロフィール
坂本将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
製造業界における設備の予期せぬ故障は、生産ラインの止まりという大きなリスクを伴います。この問題に対処するため、コマツ産機株式会社では、先進的なAI活用予知保全システムを導入しました。このシステムは、マイクロソフトのクラウドプラットフォームAzureおよびAzure AIを活用しており、機器の劣化を予測し、計画的なメンテナンスを実現します。これにより、突発的な故障による停止リスクを減少させ、メンテナンスコストの削減にも寄与しています。本記事では、同社がどのようにシステムを導入し、どのような成果を挙げたのかを詳細に解説していきます。
製造業界のAIおよびDX導入事例をご紹介します。製造業界では、IoTを用いたシステム、ロボット化の技術、ビッグデータを用いた活用が多く報告されています。AIの導入の活用法は、業界ごとに異なり、採用されるシステムも多様です。
この記事を通して 「導入アイデア・あなたに使えるサービス・導入のポイント」 の参考になれば幸いです。弊社ではAI導入の最初の窓口としてAI総合研究所を運営しています。導入のお悩みはご気軽に弊社にご相談ください。
導入事例概要
コマツ産機株式会社は、製造設備の部品が故障する前にそれを予測して修理できるシステムを導入しました。
このシステムは、Azure AIを使って、部品がどれくらい使えるかを予測し、計画的なメンテナンスを可能にします。これにより、問題が起きる前に対策を打つことができるようになりました。
コマツ産機の遠隔監視システム説明図
コマツ産機の遠隔監視システム説明図
導入の背景
コマツ産機株式会社のロゴデザイン
コマツ産機は石川県金沢市に本社を置き、自動車メーカーなどに機械を提供しています。
これまでは、機械が故障してから修理をする「事後保全」が主な対応方法でした。定期的にメンテナンスを行い事前に故障に対処する「定期保守」には限界がありました。
そこで、デジタル技術を使った「予知保全」が必要とされました。
元々の課題
故障前の部品交換ではまだ使用できるものも交換対象となる無駄があり、メンテナンス費用の増大を招いていました。
製造設備の部品故障は、製造ラインの稼働停止をもたらします。稼働停止してしまっては大きな損失が生まれてしまうため、この損失を回避するために保全業務の効率化が不可欠でした。
製造ライン イメージ
解決策
予知保全システムの導入により、センサーレスでデータを活用し部品の劣化予測が可能になりました。
特に大型サーボプレス機に焦点を絞り、Azure Machine Learningなどを駆使して劣化部位の特定、残存寿命計算を実施しています。これにより計画的なメンテナンスが行えるようになりました。
効果
コマツ産機株式会社の方々
サーボプレス機のデータを用いた劣化状態の定量的把握により、部品交換頻度を最適化することができました。
これがトヨタ自動車のような大手客にとっての計画的保守とコスト削減を可能にしました。今後は中小型機種や他部品に対する拡大も予定されています。