この記事のポイント
- この記事は、クボタ環境エンジニアリングにおけるMRデバイス「HoloLens 2」を利用したインフラ保守運用の取り組みを紹介しています。
- 点検作業の効率化と安全性向上を実現する技術「See-Through Walls System(STWS)」の導入により、老朽化したインフラの持続可能な運用を支援しています。
監修者プロフィール
坂本将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
インフラ施設の保守運用に革新をもたらしているクボタ環境エンジニアリングの取り組みに注目です。本記事では、同社が2024年4月から稼働させたMRデバイス「HoloLens 2」による点検合理化技術「See-Through Walls System(STWS)」の導入事例をご紹介します。老朽化進む国内インフラを支えるため、デジタル技術を駆使したクボタの挑戦は、点検効率の向上と予防保全をどのように実現し、保守作業の未来を変えるのか。この詳細を、彼らが直面した課題から解決策、そして得られた効果までを深く掘り下げて解説していきます。インフラの持続可能な運用を目指すすべての方々にとって、貴重な示唆となることでしょう。
ITシステム開発分野に活用できるAIおよびDX導入事例をご紹介します。ITシステム開発の分野では、自社サービスに生成AIを活用する事例、自社効率性の向上の事例が多く報告されています。AIの導入の活用法は、業界ごとに異なり、採用されるシステムも多様です。
この記事を通して 「導入アイデア・あなたに使えるサービス・導入のポイント」 の参考になれば幸いです。弊社ではAI導入の最初の窓口としてAI総合研究所を運営しています。導入のお悩みはご気軽に弊社にご相談ください。
【導入事例概要】
クボタ環境エンジニアリング株式会社の企業ロゴ
3Dモデル化された建物の画面表示です
クボタ環境エンジニアリング株式会社では、MRデバイス「HoloLens 2」を用いた点検合理化技術「See-Through Walls System(STWS)」を開発し、2024年4月より排水機場の点検業務に導入しています。この革新的な技術により、点検作業の効率化と予防保全が進められ、我が国のインフラ保守運用を支えています。
【導入の背景】
既存の排水機場は、高度経済成長期に整備され、老朽化が進んでいます。更新目安後40年のポンプ設備は2030年に約半数に達すると予測されており、人口減少と高齢化が進む中、これらの設備を安定的に運用するためには、デジタル技術の導入が急務でした。
【元々の課題】
施設の老朽化に伴い、保守・運用の効率化が求められていましたが、膨大な点検項目を対面で作業する従来の方法が課題となっていました。また、専門的な作業者の不足や作業中の安全確保も重要なポイントでした。
【解決策】
クボタは、国土交通省の支援のもと、MicrosoftのHoloLens 2を使用したSTWSを開発。点検業務における現実空間とデジタル情報の重ね合わせ、ハンズフリー操作可能なUIを活用し、点検業務を革新しました。
HoloLens 2を使用したSTWSの開発
【効果】
STWSは、点検業務にかかる時間を約25%短縮し、両手が自由に使えるための作業のスムーズ化、安全性の向上などを実現しました。また作業者の作業スピードが向上し、報告書の作成時間も削減されました。