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AIのレベルを分類別にわかりやすく解説!活用事例についても紹介

この記事のポイント

  • この記事はAIについてのレベル別の能力と活用事例について説明しています。
  • 各レベルの特徴とその社会での応用事例を分かりやすく解説しています。
  • Level1からLevel4までのAIレベルがあり、それぞれが独自の能力と応用分野を持っています。
  • AI技術は機械学習や深層学習など複数の学習パターンを用いて進化が進んでいます。

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

AI(人工知能)技術は、21世紀における技術革新の中核をなす分野として、その重要性がますます高まっています。
日々進化するAIは、私たちの生活の質を向上し、ビジネスプロセスを変革し、新たな価値創造の可能性を広げています。

この記事では、AIの基本から特徴、学習パターン、種類、そしてレベルに応じた機能分類に至るまでを解説します。
また、実際にAIがどのように社会やビジネスで活用されているのか、その具体的な事例を取り上げて紹介し、さらには急速に発展するAI技術が未来にどんな影響を及ぼしうるのかを探ります。

AIの進歩がもたらす未来のビジョンや産業革命におけるAIの役割など、わくわくするような未来予想図をこの記事で展開していきます。

AIのレベル

ここでは、AIをタスクレベル知能レベル技術レベル の3つの観点から詳しく解説していきます。

タスクレベル

最初に、タスクの実行能力に基づくAIの2つの主要な形態、特化型人工知能(ANI)と汎用人工知能(AGI)について解説します。

特化型人工知能(ANI)

特化型人工知能(ANI)とは、特定のタスクや領域に特化した人工知能システムを指します

ANIの例
  • ゲームAI:チェスや囲碁など特定のゲームをプレイするために設計されたAIプログラム。
  • 機械翻訳システム: Google翻訳やDeepLのように、言語間の翻訳を行うAI。
  • 音声認識システム:SiriやGoogleアシスタントのように、人の話す言葉をテキストに変換するAI。


特化型人工知能(ANI)と汎用人工知能(AGI)の特徴をまとめると、以下のようになります。

特化型人工知能(ANI) 汎用人工知能(AGI)
概念 人間の知能を完全に模倣し、様々なタスクや領域に適用できる能力を持つことを目指す 特定のタスクや領域に特化した人工知能システム
範囲 特定のタスクや領域 広範なタスクや領域
学習能力 新しいタスクに適応するために再プログラミングが必要 経験から学習
エンパシー 他者の感情や考慮しない 共感する能力を持つ

汎用人工知能(AGI)

汎用人工知能とは、人間の知能を模倣し、様々なタスクや領域に適用できる一般的な知能を持つ人工知能のことです。

AGIの例

汎用人工知能(AGI)の例は、まだ研究中であり、現在の技術水準ではまだ存在しません。

話題のChatGPTや他の生成AIは、現時点では特化型人工知能(ANI)の一種ですが、AGIの実現に向けた一歩と見なすことができます。

特化型人工知能(ANI)と汎用人工知能(AGI)の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
➡️AI(人工知能)の種類は?その分類・仕組みから、メリットや活用例も解説


知能レベル

続いて、AIの知能レベルに基づく分類で、強いAI(Strong AI)と弱いAI(Weak AI)の2つの種類を紹介します。

強いAI (Strong AI)

一般的にAIについて考える際、多くの人が思い浮かべるのは「強いAI」の概念です。
強いAI(Strong AI)とは、人間と同等またはそれ以上の知能や認識能力を持つ人工知能を指します。

強いAIの例

現時点で人間と同等またはそれ以上の知能や認識能力を持つAIは存在しません。
フィクションの世界で登場する、自身で考え行動するロボットが強いAIの例と言えます(ドラえもんはStrong AIの良い例ですね)。

弱いAI(Weak AI)

弱いAI(Weak AI) は特定の知的処理タスクのみを行い、人間の知性の一部分を代替できるAIです。

弱いAIの例
分類 特徴
対話型AI ChatGPT・Geminiなど 会話の流れや文脈に基づいて応答を生成。
画像生成AI DALLE-3・Stable Diffusionなど テキストから画像を生成。
AI融合型の検索エンジン Google(SGE)・Bing(Copilot)など 特定の検索クエリに基づいて情報を収集し、
ユーザーに提供。
スマートスピーカー Amazon Echo・Google Homeなど 音声コマンドに反応し、音声認識や返答を行う。


これらの人工知能は、人間の知性を必要とする自然言語処理や画像生成などの特定のタスクを実行します。


技術レベル

最後にAIの技術レベル別に2つのAIの種類、機械学習深層学習(ディープラーニング)について解説します。

以下の図はAIと機械学習深層学習(ディープラーニング)の関係性をまとめた表です。
AI
AI・機械学習・深層学習の関係性(出典:総務省)

AI、機械学習、ディープラーニングの3つの関係を図にすると、AIが最も広義の概念であり、その中に機械学習とディープラーニングが含まれるという関係があります。

機械学習

機械学習は、コンピューターシステムがデータから学習し、経験に基づいて自動的にパターンを識別したり、意思決定を行ったりすることができる技術の一種です。

機械学習には大きく分けて3種類の学習方法があります。

学習方法 特徴 使用例
教師あり学習 正解ラベル付きのデータを使用してモデルを訓練する 手書き数字の分類、住宅価格の予測など
教師なし学習 正解ラベルがなく、データの構造やパターンを発見する クラスタリング、次元削減、異常検知など
強化学習 エージェントが報酬を最大化するように学習する ゲームプレイ、ロボット制御、金融取引など
機械学習のメリット
  • データからパターンを自動的に学習する
    ルールを事前にプログラムする必要がなく、データからパターンを抽出し学習することが可能。
  • 大規模なデータ処理
    大量のデータを処理して効率的な予測モデルを構築できる。
  • リアルタイムでの解析
    リアルタイムでデータを解析し、予測や意思決定を行うことが可能。


身近な例としては、迷惑メールフィルターや**製品推薦システム(レコメンドAI)**が挙げられます。

迷惑メールフィルターは、「ユーザーが迷惑メールとしてマークしたり、迷惑メールフォルダーに移動したメールのパターンを学習」し、将来的に同様のメールを自動的にフィルタリングします。
製品推薦システムは、「ユーザーの過去の行動や好みを分析し、その情報に基づいて個々のユーザーに適した製品やコンテンツを提案」します。

このように、機械学習は日常生活の中で幅広く広く活用されています。

【関連記事】
➡️レコメンドAIとは?その仕組みや種類、活用例を紹介!

深層学習(ディープラーニング)

深層学習(ディープラーニング)とは人工知能(AI)の一分野であり、特に機械学習の一種です。

身近な例としては、音声認識アプリ画像認識システムがあります。

音声認識アプリは、「ユーザーの発話をテキストに変換するため」に深層学習アルゴリズムを使用し、さまざまな音声パターンを学習して、正確な認識を実現します。
画像認識システムは、「写真や動画などのデータから物体や特徴を識別するため」に深層学習を利用し、自動車の検知や顔認識などの応用に役立ちます。

非構造化データ(画像や動画、音声など)に対する高度な処理と分析を行うことができ、私たちの生活をさらに便利で快適なものにしてくれる可能性を秘めています。

非構造化データとは?

非構造データをわかりやすく説明すると、整理されていない、フォーマットの統一がないデータのことです。
日常生活で出会う多くの情報-たとえば、SNSの投稿、電子メール、写真や動画、音声録音などがこれに当たります。

具体的には、以下のようなデータが非構造化データに該当します。

カテゴリ
文書 メール、レポート、契約書、議事録、提案書、見積書、請求書など
画像 写真、イラスト、図表、ロゴ、アイコンなど
動画 ビデオ、映画、アニメ、CMなど
音声 電話録音、会議録音、インタビュー、音楽など
センサーデータ 温度、湿度、気圧、位置情報など
ソーシャルメディアデータ 投稿、コメント、いいね、シェアなど

【関連記事】
➡️機械学習とディープラーニングの違いをわかりやすく解説!-->


AIの活用事例

AIは、私たちの日常生活やビジネスの多岐にわたる分野で活用されており、これにより私たちの仕事や暮らしに驚くべき変化をもたらしています。以下では、身近な場所で見られるAI技術と、ビジネスでの具体的な事例を紹介します。

身の回りのAI技術

私たちの身の回りには、すでに多くのAI技術が溶け込んでいます。

以下は、皆さんが使ったり目にしたりしたことがあるであろう身近なAI技術の例です。

  • スマートフォンのアシスタント機能
  • 自動翻訳
  • 商品のパーソナライズされたおすすめ
  • セキュリティシステムでの顔認証技術
  • 自動車の運転支援システム


私たちの日常生活は、想像以上にAIによって支えられています。 現代では、安全で便利な生活を送るためには、AIが欠かせない存在となっています。

ビジネスにおける活用事例

ビジネスの世界ではAIがさらに多様な形で応用されています。

事例⓵ 製造業

製造業では、品質管理の自動化やスマートファクトリーの構築により、効率化と生産性の向上が図られています。

自動車の製造、販売などを行うマツダは太陽光発電所を導入しました。導入の際の太陽光パネルの運用管理にはAIを活用し、異常検知システムが導入された。これにより、発電効率の最大化と効率的な運用管理が実現され、異常検知においても精度が向上している。

参考:MAZDA
https://blog.mazda.com/archive/20230721_01.htmlhttps://blog.mazda.com/archive/20230721_01.html

事例⓶ 金融業界

金融業界では、AIによる不正取引の検出や個人のクレジットスコアリングなどが行われています。

住信SBIネット銀行はAIを使ったマーケティングを進化させ、独自の方法でAIを導入・運用開始しました。複数のAIを使い、過去のメール配信や顧客の利用状況を学習させ、顧客のニーズを理解しています。

参考NEOBANK(住信SBIネット銀行株式会社)

事例⓷ 健康医療分野

健康医療分野では、AIを用いた症状検索サービスが医師や患者をサポートし、病気の早期発見に貢献しています。

症状検索エンジンであるユビーは、症状を入力することで関連する医学的情報を提供します。

このサービスは利用者が自身の症状に関する情報を探す際に役立ち、ユーザーが経験している症状を入力すると、それに関連する可能性のある疾患や健康情報を提供し、医療専門家の意見を提供します。

参考:ユビー

このように医療サービスと患者を繋げるAIにより、一般的な健康上の問題に関する情報を容易に入手できるようにすることで、医療情報のアクセスを改善します。


急速に進化するAIの未来

AI技術の急速な進化は、社会の様々な側面に大きな変化をもたらす可能性を持っています。近未来のAIは、今日私たちが目にしているものをはるかに超えた能力を有すると期待されており、ここではその未来像とその影響について検討します。

シンギュラリティについて

シンギュラリティとは、AIが人間の知的能力を超える時点を指し、その後はAIの進歩速度が人間の予測を超えるとされる概念です。

Imperial College Londonのコンピューティング学科の認知ロボット工学の教授のマレー・シャナハン氏は、The Technological Singularity" という文献の中でシンギュラリティについて以下の様に述べています。

The technological singularity, when humans are overtaken by artificially intelligent machines or cognitively enhanced biological intelligence, could present both an existential threat and an opportunity for humanity to transcend its limitations.
人間が人工知能機械や認知的に強化された生物学的知能に追い越されるとき、シンギュラリティは、人類の実存の脅威であると同時に、人類がその限界を超える機会となる可能性があります。

参考:MIT Press Direct

シンギュラリティが起こると、AIは自己進化して新しいAIを生み出し、科学技術は計り知れない速度で発展し始める可能性があります。
そのような時代には、教育、就労、経済、倫理などあらゆる分野で根本的な変化が求められるでしょう。

次世代の産業革命におけるAIの役割

AI技術は産業革命を加速し、第四次産業革命とも呼ばれる新しい産業時代の中核を成すと考えられています。
これにより、自動化最適化が従来のあらゆる工程に導入され、更なる生産性向上が図られます。


この急速な進化により、AIは人類の未来においてより良きパートナーとなることが期待されますが、同時に倫理的観点安全性への配慮も必要になります。

例えば、AIの進化により、ホテルの受付や工事現場の従業員、英会話講師など、様々な職業が変容しています。
AIの導入により、これらの職業がより効率的に行われ、生産性が向上することが期待されますが、この変化は同時に、雇用の不安や個人のプライバシーの懸念を引き起こす可能性もあります。

AIによる効率的な未来を実現するためには、技術革新と社会システムの発展が不可欠です。

【関連記事】
➡️AIの発展による問題は?その利点や社会に与える影響、なくなる仕事を解説


まとめ

この記事ではAIの種類をタスクレベル知能レベル技術レベル の3つの観点から詳しく解説し、AIの活用方法から、将来の予測まで幅広くお話ししました。

AIは単に一括りにできるものではなく、タスクレベルで見れば、画像認識や自然言語処理など、さまざまな用途に応じた特化型AIから、複数のタスクをこなす汎用型AIまで様々です。知能レベルでは、単純な反応や予測から、複雑な問題解決や学習能力を持つものまで幅広くあります。さらに、技術レベルにおいても、機械学習や深層学習など、さまざまな技術が組み合わさってAIが構築されています。

このようなことから、AIの進化と普及は、シンギュラリティや倫理的観点からの懸念もありますが、私たちの生活をより便利で効率的なものに変えることは間違いないと言えるでしょう。

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坂本 将磨

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