この記事のポイント
- この記事では、AIによる音楽生成技術の概要とその利用方法について詳しく紹介しています。
- AI作曲ツールは初心者からプロまで幅広く使われ、時間やコストの効率化に貢献するツールです。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
AIによる音楽創作が可能となった今日、創作者の可能性を広げ、時間やコストを効率化するAI作曲ツールに注目が集まっています。
この記事では、AI作曲ツールの概要、仕組み、さらに選び方からおすすめのツール紹介まで、AIがいかに音楽業界に革命をもたらし、クリエイターの創作活動を支援するかを詳しく解説します。
プロのミュージシャンだけでなく、音楽理論を知らない初心者も、AIの力を借りて独自の楽曲を生成することができるようになり、その活用例はYouTuberやゲーム開発者、広告業界など多岐にわたります。
AI作曲ツールの魅力と活用方法、未来の展望について、あなたの音楽制作の新たなパートナーとしてみていきましょう。
AI音楽生成・AI作曲ツールとは?
AI音楽生成は、人工知能技術を用いて音楽を自動的に作成する技術です。この分野は急速に発展しており、様々な用途で活用されています。
AI音楽生成が注目されている理由は、以下のようなメリットと可能性があるためです。
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効率性と生産性の向上
AIを使えば、人間が作るよりもずっと速く多くの曲を生み出すことができます。
音楽を作る時間や手間が大幅に減るので、制作コストを抑えられるのも大きな魅力です。例えば、BGMが必要な動画コンテンツを大量に制作する場合、AIを使えば短時間で多くのバリエーションのBGMを用意できます。
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クリエイティブ面
AIは膨大な音楽データを分析して、新しいアイデアを与えることが期待されています。
専門知識がなくても、高価な機材がなくても、AIツールを使えば誰でも音楽制作に挑戦できるようになりますね。AIは、人間では思いつかないようなメロディーやハーモニーを生成することもあり、作曲のインスピレーション源としても注目されています。
これらの理由から、AI音楽生成は音楽業界に多大な影響を与え、クリエイターにとって強力なツールとなる可能性を秘めています。
AI音楽生成・AI作曲ツールの仕組み
音楽生成AIは、大量の音楽データを学習して、音楽のリズムやメロディ、ハーモニー、楽器の使い方を理解し、新しい音楽を生成します。AIが音楽を生成する方法には主に以下の技術が用いられています。
音楽生成のプロセス
- ステップ 1: データの学習
大量の音楽データ(MIDIファイルや音楽のオーディオファイル)をAIに与え、楽譜や音符のパターン、メロディ、和音の構造などを学習させます。
- ステップ 2: メロディやリズムの生成
学習したデータをもとに、AIは新しいメロディやリズムパターンを生成します。
これは、RNN(リカレントニューラルネットワーク)やLSTM(長短期記憶)などのモデルを使って、音符の時間的な順序を学習し、新しい音符の列を生成する仕組みです。
- ステップ 3: 楽器の選択・アレンジ
AIは生成されたメロディに対して、楽器の選択やアレンジを行います。特定の楽器の音色や和音の組み合わせを理解し、最適な楽器の音を選んで配置します。
- ステップ 4: 音楽のレンダリング
最終的に、AIは楽器の音やリズムを組み合わせて音楽をオーディオファイルとして出力します。
この過程で、音楽のエフェクトやミックス処理も行われることがあります。
使用される技術の例
- RNN/LSTM
時系列データ(音楽のリズムやメロディ)を扱うためのニューラルネットワーク技術。音楽の時間的なパターンを学習して、新しい音符の列を生成します。
- MuseNet
OpenAIが開発した、最大10の楽器を使用して複雑な音楽を生成できるモデル。多様な音楽スタイルや作曲家の特徴を学習して、様々なジャンルの音楽を作成します。
- Jukedeck
音楽生成プラットフォームで、指定されたテーマやムードに合わせて音楽を自動生成します。
AI音楽生成ツールの選び方
- 目的に合った機能
音楽生成において、プロジェクトに必要な機能を提供しているか確認します。BGM生成、作曲支援、特定ジャンルに特化した生成など、用途に応じたツールを選ぶことが重要です。
- 商用利用のライセンス
商用プロジェクトで利用する場合、生成されたコンテンツのライセンスが商用利用可能か、追加費用が必要かを確認します。
- カスタマイズの柔軟性
音楽のテンポ、キー、楽器編成、曲の長さ、曲の構成など、生成されたコンテンツを自由にカスタマイズできるツールを選ぶと、プロジェクトに合った調整が可能です。
- ユーザーフレンドリーな操作性
音楽制作に不慣れでも使いやすいインターフェースがあるかどうかを確認します。プリセットやテンプレートが充実していると便利です。
- コストとプラン
無料プランやトライアル期間があるか、有料プランの価格が適切かをチェックします。商用利用の際に追加費用が発生する場合も考慮しましょう。
おすすめの音楽生成AI・AI作曲ツールランキング
会社名 | 商品名 | 順位 | サイトリンク | ポイント | 詳細情報 | ||||||||||
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Mubert Inc | Mubert | 2 | 公式サイト | Mubert AIは、音楽生成に特化したAIプラットフォームで、ユーザーがリアルタイムでAIが作曲した音楽を楽しむことができるサービスです。特に、ストリーミングやポッドキャスト、動画制作、アプリ開発者向けに、音楽のライセンスを提供しながら、著作権フリーの音楽を生成します。 | 無料 | YouTubeやTikTok、InstagramなどのSNSで、著作権を気にせずに音楽を使用したいクリエイターやインフルエンサー。MubertのAPIを使用して、アプリ内でリアルタイムの音楽を自動生成したり、ユーザーにパーソナライズされた音楽体験を提供したいアプリ開発者。 | $11.69/mo | $32.49/mo | |||||||
Loudly | Loudly | 3 | 公式サイト | Loudlyは、音楽生成に特化したAIプラットフォームで、ユーザーが指定したジャンルやムード、テンポに応じて新しい音楽をすぐに作成することができます。: Loudlyで生成した音楽は商用利用が可能であり、YouTubeやInstagram、広告、アプリなどのコンテンツに使用することができます。 | 無料 | YouTube動画やライブストリーミングのために、著作権フリーで商用利用可能な音楽を迅速に作りたい人 | $10/mo | $30/mo | |||||||
京都大学研究・開発チーム | CREEVO | 4 | 公式サイト | CREEVO(クリーボ)は京都大学で行っている文化進化の研究のために、一般参加協力型の音楽生成AIです。多くの利用者の評価をもとに新しい自動作曲(作曲AI)モデルが生まれ続けます。 | 無料 | 日本発の音楽生成AIモデルの実験・開発に協力したい方 | ー | ー | |||||||
Aiva Technologies | AIVA | 5 | 公式サイト | AIVA(Artificial Intelligence Virtual Artist)は、音楽を自動生成するAI作曲家で、特にクラシック音楽や映画、ゲームのサウンドトラック向けの楽曲を作成するために設計されています。AIVAを使って完全オリジナルの音楽を制作し、商用利用することも可能です。 | undefined | AIVAの楽譜生成機能を使って、音楽の構造や作曲方法を学びたい方、クラシック音楽を使いたいクリエイターやクラシック愛好者 | $11/mo | $33/mo |
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1位
Runway
文章や画像から動画生成、フレーム補完、顔のぼかし、シーンの自動認識などが可能な統合AIプラットフォーム。無料プランから無制限プランまで複数の料金体系があり様々なニーズに対応可能。
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2位
Mubert
Mubert AIは、音楽生成に特化したAIプラットフォームで、ユーザーがリアルタイムでAIが作曲した音楽を楽しむことができるサービスです。特に、ストリーミングやポッドキャスト、動画制作、アプリ開発者向けに、音楽のライセンスを提供しながら、著作権フリーの音楽を生成します。
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3位
Loudly
Loudlyは、音楽生成に特化したAIプラットフォームで、ユーザーが指定したジャンルやムード、テンポに応じて新しい音楽をすぐに作成することができます。: Loudlyで生成した音楽は商用利用が可能であり、YouTubeやInstagram、広告、アプリなどのコンテンツに使用することができます。
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CREEVO
CREEVO(クリーボ)は京都大学で行っている文化進化の研究のために、一般参加協力型の音楽生成AIです。多くの利用者の評価をもとに新しい自動作曲(作曲AI)モデルが生まれ続けます。
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5位
AIVA
AIVA(Artificial Intelligence Virtual Artist)は、音楽を自動生成するAI作曲家で、特にクラシック音楽や映画、ゲームのサウンドトラック向けの楽曲を作成するために設計されています。AIVAを使って完全オリジナルの音楽を制作し、商用利用することも可能です。
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AI音楽生成ツールの使用例(SunoAI)
ここでは、SunoAIで音楽を作成する方法を、ステップバイステップでご説明します。
1.アカウント作成とログイン
- SunoAIの公式サイトにアクセスします。
- 「Sign Up」ボタンをクリックします。
- Discord、Google、またはMicrosoftアカウントを使ってサインアップします。
2.基本設定
- ログイン後、「Create」ボタンをクリックして作曲画面に移動します。
Createボタンをクリックして作曲画面に移動
3.曲の作成(オートモード)
-
Song Descriptionに曲の説明を入力します(例:「秋のピクニック,友達と過,喜びと期待感」)。
プロンプトを入力し、Createをクリック
-
「Create♬」ボタンをクリックします。
4.カスタムモードでの作成
カスタムモードの作成
- Custom Modeを選択します。
- 以下の項目を設定します:
- Style of Music: 曲のスタイルやジャンルを指定(120文字以内)
- Title: 曲のタイトルを入力
- Lyrics: 歌詞を入力(任意)
- BPM: テンポを設定
- Key: 曲のキーを選択
- Instruments: 使用する楽器を選択
5.曲の生成と編集
- 設定完了後、「Create♬」ボタンをクリックします。
- 生成された2つのバージョンを聴き比べます。
- 必要に応じて、生成された曲を編集します。
6.曲の保存とエクスポート
- 気に入った曲を選択し、保存します。
- 必要に応じて、曲をエクスポートして他のソフトウェアで編集します。
曲の保存とエクスポート
SunoAIを使えば、音楽理論や楽器の知識がなくても、直感的な操作で簡単に楽曲を作成できます。実際に使ってみて、自分なりの作曲スタイルを見つけていくことをおすすめします。
✅SunoAIでの音楽作成についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
Suno AIとは?無料のAI音楽生成サービスの使い方、料金を徹底解説
AI総合研究所では、AI・DXに関する有益な情報を日々発信しています🙌
音楽生成AIの活用事例
AI音楽生成は、すでに様々な分野で活用されており、その可能性はますます広がっています。
ここでは、代表的な活用事例をいくつかご紹介します。
BGM制作: YouTube動画やポッドキャスト、プレゼンテーションなどのバックグラウンドミュージックを、簡単かつ迅速に作成できます。
ゲーム音楽: ゲームのシーンや雰囲気に合わせた音楽を自動生成し、ゲーム開発の効率化と表現力向上に貢献します。
オリジナル楽曲制作: AIの支援を受けて、自分だけのオリジナル曲を制作できます。作曲の知識がなくても、アイデアを形にすることが可能です。
作曲支援ツール: メロディーやコード進行の生成をAIに任せることで、作曲プロセスを効率化し、新たなインスピレーションを得られます。
広告音楽: 商品やサービスのイメージに合わせた広告用音楽を、短時間で作成できます。
環境音楽: 店舗やオフィスの雰囲気に合わせた環境音楽を自動生成し、空間演出に活用できます。
これらの事例からわかるように、音楽生成AIは、プロのミュージシャンだけでなく、YouTuberやゲームクリエイター、広告制作会社など、様々な分野で活用可能なことがわかります。
【Suno】
AI is full of surprises and I love it!
— Gizem Akdag (@gizakdag) September 17, 2024
I created the first frame with Midjourney, and Runway made the characters dance perfectly in my first attempt.
I added music using Suno (I thought I was writing a prompt, but turns out I was writing the lyrics). Then I merged it all in… pic.twitter.com/kn2mko7sdU
KNEW IT WASN'T YOU
— starhand (@Starhand_io) September 21, 2024
the best, most danceable AI music video you will watch in the next hour, and the best AI song you will hear in the next 15 minutes, guaranteed [or yr $$ back]
starring: birdthings
lyrics: starhand
music: suno
images: runway + midjourney + leonardo pic.twitter.com/bK6p5GaWzq
C3PO x Childish Gambino 🤖 👑
— Eckler by Design ✦ (@daniel_eckler) April 11, 2024
100% AI (Official Music Video)@openAI + @runwayml + @suno_ai_ + @resembleai + @fable_motion + @midjourney + @topazlabs pic.twitter.com/V4M2llq8LD
【Mubert】
This video was created entirely with AI. ChatGPT wrote the script and shot list, ElevenLabs did the voiceover, Mubert made the background music, and the video was generated with Gen2, MidJourney, LeiaPix and Genmo.
— Matt Wolfe (@mreflow) April 25, 2023
Tomorrow I'm dropping the step-by-step tutorial on YouTube. pic.twitter.com/C5tY448Zfb
BGMにはMubertで生成した音楽が使用されています。
【Loudly】
Primary genre: Downtempo
Genre blend: House
Energy: Normal
Instrument: Drums, Bass, Synth, Keys, Percussion, Vocals
【AIVA】
Influence/D minor/Custom Ensemble/4/4 Time Signature/Auto pacing
クラシック系の場合AIVAに強みがあります。
【CREEVO】
AI音楽生成に関するよくある質問
AI音楽生成ツール利用時のよくある質問
1.AI音楽生成ツールの商用利用は可能ですか
多くのAI音楽生成ツールは、商用利用が可能です。ただし、利用するツールやサービスによってライセンスや使用条件が異なるため、各ツールの利用規約やライセンス契約を確認しましょう。
2.プライバシーとセキュリティの対策について教えてください。
AI音楽生成ツールを使用する際、特にクラウドベースのサービスを利用する場合は、プライバシーとセキュリティ対策が重要です。
使用するサービスがどのようにプライバシーとセキュリティを保護しているか、必ず公式の利用規約を確認してください。
3. 音楽生成でよく使われるAIモデルは?
音楽生成には、主に以下のようなAIモデルが使われます
- RNN (Recurrent Neural Network): 時系列データの処理に優れたモデルで、メロディーやリズムの生成に適しています。
- LSTM (Long Short-Term Memory): RNNの一種で、より長い時間範囲のパターンを学習できるため、複雑な曲の生成に向いています。
- Transformer: 近年注目されているモデルで、大量のデータを効率的に学習でき、高品質な音楽生成が可能です。
- VAE (Variational Autoencoder): 音楽の特徴を抽出し、新しい音楽を生成するのに使われます。
これらのモデルは、それぞれ異なる特徴を持っているため、作りたい音楽のスタイルや用途に合わせて使い分けられています。
まとめ
AI音楽生成ツールは、クリエイターや企業にとって生産性を大幅に向上させる強力なツールです。AI技術の進化により、専門知識がなくてもプロフェッショナルな音楽を簡単に作成できるようになり、さまざまな業界での活用が期待されています。
選ぶ際は、目的に合った機能、商用利用のライセンス、カスタマイズ性、使いやすさ、価格とプランを考慮することが重要です。
AI音楽生成は、BGMやオリジナル楽曲の制作に役立ち、時間やコストを節約しながら、質の高いクリエイティブを可能にします。今後、AI音楽生成技術はさらに進化し、音楽制作の現場に革新をもたらすことが期待されます。