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DX推進にかかる費用とは?具体的な予算配分や国からの補助金を解説

この記事のポイント

  • この記事はDX推進のための予算配分と人材育成の重要性について説明しています。
  • DX推進には継続的な予算配分と長期的な取り組みが必要です。
  • 効果的なDX推進のためには、デジタルツールの導入だけでなく、人材育成と組織文化の変革が重要です。
  • 補助金や助成金の活用がDX推進を支援している現状があります。

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、今日の企業が直面する最も重要な取り組みの一つです。
しかし、成功への道のりは単に技術資産の導入に留まらず、適切な予算配分や、人材の能力向上、組織文化の変革まで多岐にわたります。

本記事では、DXの課題と機会、効果的な予算計画の立案、人材育成の不可欠な役割とその実践方法に焦点を当てて解説します。
DX推進のための予算配分をどのように計画すればよいのか、どのような点が成功の鍵となるのかを明らかにし、組織がデジタル時代における競争力を持続的に高めていく方法をご提案いたします。

各企業がDXを推進する際の有益な指南となるよう、具体的な予算の数値例や++補助金・助成金の活用方法**、また人材のスキルを向上させるための戦略も合わせてご紹介します。

DX推進のための予算配分とは

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社は、2023年に「DX・デジタル人材育成トレンド調査2023」を行いました。
本調査は、自社のDX・デジタル人材育成に関与、もしくは関与する予定の企業の経営者・会社員1,000名を対象にしたものです。

DX推進の年間予算
DX推進の年間予算 (参考パーソルプロセス&テクノロジー株式会社|DX・デジタル人材育成トレンド調査2023)

「DX人材」・「デジタル人材」の育成関連の年間予算としては**年間予算について、最も多かったのは「5,000万円以上~1億円未満」の範囲で、割合は13.6%**でした。

次いで、「1,000万円以上~5,000万円未満」が13.2%、「1億円以上~3億円未満」が12.3%という結果で、「1,000万円以上~3億円未満」が全体の中で最も多い傾向が見られます。

従業員数別に見ると、「5,000人~9,999人」および「10,000人以上」の企業では、年間予算が3億円以上の割合が2割を超えています。

DX予算の位置付け


PwCの調査によると、日本企業が実施している全社DXに関して、「十分な成果が出ている」と答えた企業は約12%で、2022年と比べてわずかに増加しています。
「何らかの成果が出ている」と回答した企業を合わせると、約70%がDXの取り組みで成果を上げていることになります。

DX予算の位置付け
DX予算の位置付け (参考PwC)


注目すべき点は、全社DXで成功している日本企業、つまり「十分な成果が出ている」と回答した企業が、他の企業と比較して、DX予算を独立した形で原資を確保し、運用していることです。
これにより、予算未達や他の投資による予期せぬ支出の影響を受けにくくなるためです。

また、成功した企業ほど、全社DXに取り組む期間が長く、5年以上が70%近くを占めています。逆に、「十分な成果を挙げられていない」と回答した企業は、取り組み期間が短く、今後の取り組みが重要とされています。

つまり、DXの成功には、継続的に全社変革に取り組み、5年以上の期間にわたって投資を続けることが重要なポイントと言えます。


DX推進にまつわる費用

また、DX推進にかかる費用は、企業の規模や具体的な計画内容によって異なります。

ここでは一般的なガイドラインとして、各段階におけるおおよその予算配分と内訳を示します。

DXの段階
DXの段階


DX推進は段階的に行われ、第一段階は「デジタイゼーション」、第二段階は「デジタライゼーション」、最終段階は「デジタルトランスフォーメーション」となります。以下でそれぞれの費用を見ていきましょう。

デジタイゼーション (Digitization)

デジタイゼーションは主に情報をアナログ形式からデジタル形式へ変換する過程を指します。
例えば、紙の文書をスキャンしてデジタルファイルに変換したり、勤怠管理をWebベースで行うなどが含まれます。

デジタル化する業務内容によりますが、導入には概ね50万円から200万円の費用がかかると見積もられます。

デジタイゼーションの具体例

  • 顧客管理システムの導入
  • デジタルインボイスシステムの導入
  • 勤怠管理システムの導入
  • 書類の電子保存


この過程は情報のデジタル化に重点を置いており、効率化やアクセスの容易さを提供しますが、基本的なビジネスプロセスや戦略自体は変わりません。

デジタライゼーション (Digitalization)

デジタライゼーションはデジタル技術を活用してビジネスプロセスを変革する過程です。
この段階では、デジタル技術を使って業務を効率化し、顧客体験を向上させ、新しい価値を生み出します。

たとえば、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を導入して事務作業を自動化したり、オンライン会議ツールを活用してリモートでの商談を行ったりすることがこれに該当します。

導入コストは業務改革の規模や内容によりますが、100万円から3,000万円程度が目安です。

デジタライゼーションの例

  • クラウドベースのCRMシステムの導入
  • RPAによる事務作業の自動化
  • IoT技術を利用したスマート工場の実現
  • ロボットを活用した倉庫作業の効率化
  • デジタルマーケティングツールを使用した顧客エンゲージメントの強化


ここでの目的は、デジタルデータと技術を用いてビジネスの運営を改善し、生産性や柔軟性を高めることです。

デジタルトランスフォーメーション(DX)

デジタルトランスフォーメーションは、組織全体のビジネスモデルや文化をデジタル技術を使って根本的に変革する過程です。

例えば、フィンテックの進展による電子マネー決済や、自動運転車、バーチャルメイクサービスの導入がこのカテゴリに入ります。
これら新しい製品やサービスの開発には、1,000万円から1億円以上の投資が必要とされます。

デジタルトランスフォーメーションの例

  • 電子マネー決済システム
  • 自動運転技術の開発
  • 遠隔医療サービス
  • バーチャルメイクサービスの導入
  • AIを活用したカスタマーサポートの自動化


デジタルトランスフォーメーションは、組織がデジタル時代に適応し、長期的な成長とイノベーションを目指すために不可欠です。


DXにおける具体的な予算配分の事例


Fabeee株式会社は、DX推進において補助金/助成金を活用したことがある企業の経営者・役員110名を対象に、DX推進の補助金/助成金活用に関する実態調査を実施しました。

この調査によると、DX推進で活用できる補助金/助成金として「IT導入補助金」が56.4%で最多となりました。

申請してる補助金または助成金の種類
申請してる補助金または助成金の種類 (出典DX推進の補助金/助成金活用に関する実態調査


これは、多くの企業がデジタルツールやシステムの導入に際して財政的なサポートを求めており、この種の補助金がDX推進の初期段階で重要な役割を果たしていることが考察できます。

IT導入補助金が支持される理由として、「デジタル化がもたらす効率化や生産性向上が直接的なビジネスの成長に寄与すること」が考えられます。

補助金または助成金の申請して獲得できる金額
補助金または助成金の申請して獲得できる金額 (出典DX推進の補助金/助成金活用に関する実態調査)

また、DX推進を推進している企業で補助金または助成金の申請によってどの程度予算を獲得できているのかを調査した結果としては「100万円未満」が18.2% で最多となっています。

企業側では、補助金や助成金を利用したデジタル変革計画の策定と実施を進めることが重要です。

補助金や助成金をただ受け取るだけでなく、これらの資金を戦略的に活用して、長期的な競争力の強化やビジネスモデルのイノベーションを目指す事が期待されるでしょう。

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人材育成とDX推進

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、単に技術を導入するだけではなく、その技術を最大限に活用してビジネスプロセスを改善し、イノベーションを推進することを目的としています。

この目的を達成するためには、技術だけでなく、これを扱う人々のスキルと理解が不可欠です。

内部人材の育成
内部人材の育成 (出典:pwc)


「目指すべきDX人材獲得に向けた育成計画・研修制度が整備されているか?」という設問に対して、DXに対して十分に取り組みの成果を上げた企業とそうでない企業を比べると、依然としてその差が大きいことが見て取れます。

したがって、企業がDXにおいてより高い満足度を得るためには、人材育成、プロセスの再設計、組織文化の変革など、継続的かつ多面的なアプローチが求められます。

ここでは人材育成によるメリットについて解説します。

1.スキルギャップの解消

新技術を導入する際、従業員がそれを効果的に使用できるようにするためには適切な訓練が必要です。
スキルギャップを埋めることで、投資のROI(投資収益率)を最大化し、技術導入の遅延や失敗のリスクを減少させます。

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【具体的な戦略】

スキル評価の実施
各従業員の現在の技術スキルを評価し、必要なスキルセットとのギャップを明確にします。

  • スキル別プログラム
  1. スキルギャップに基づいてカスタマイズされたトレーニングプログラムを開発し、具体的な技術領域に焦点を当てます。
  2. オンライン学習マネジメントシステムを導入し、従業員が自発的に学べるリソースを提供します。
  3. 短時間で完了できる小規模な学習モジュールを提供し、忙しい業務の合間にも学習を続けられるようにします。


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2.組織文化の変革

DXは組織全体の文化変革も伴います。従業員が新しい技術と変化に対して前向きになるよう、変革を支援し推進する文化を育成することが重要です。

【具体的な戦略】

  • リーダーシップのサポートトップダウンで変革の意義とビジョンを共有し、従業員の参加を促します。
  • DXにおける積極的な参加と貢献を評価し、報酬システムやキャリア進展の機会と連携させます。


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3.イノベーションの促進

教育された従業員は、新しいアイデアを生み出しやすく、問題解決能力が高まります。
これにより、DXを通じて新しいビジネスモデルやサービスを開発する基盤が形成されます。

【具体的な戦略】

  • 定期的なブレインストーミングセッションやイノベーションワークショップを開催して、創造的なアイデアの生成を奨励します。
  • 異なる部署の従業員が協力し、多様な視点から問題解決を図れるチームを組織します。


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まとめ

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、単に技術を導入するだけでなく、企業文化の変革、プロセスの再設計、そして何よりも人材の能力向上が必要です。
成功への鍵は、技術投資と同じくらい、従業員のスキル開発に力を入れることにあります。本記事では、DXの推進における予算の重要性とその効果、また人材育成がDX成功の要となる理由を掘り下げました。

効果的なDX推進には、目的意識を持った予算配分と、技術的スキルだけでなく、変革を推進する文化とイノベーション精神を育むための継続的な教育と支援が不可欠です。

今後も、技術の進化に合わせて組織と個人が同時に成長していくためには、戦略的な人材育成と資金投資が求められます。
これらの取り組みが結集することで、企業はデジタル時代において真に競争力のあるビジネスモデルを構築することが可能となります。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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