この記事のポイント
- 本記事では、AI技術、特にディープラーニングに関わるG検定の概要を丁寧に解説しています。
- G検定は、AI分野のジェネラリストとしての基本的な知識と実用的なスキルが問われる資格試験です。
- 合格には平均約30~40時間の勉強が推奨され、公式教材や問題集、オンラインリソースなどが利用可能です。
- 合格者にはコミュニティ「CDLE」へのアクセスが許され、情報交換やネットワーキングを通じてさらなるスキルアップが図れます。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
人工知能(AI)の知識を深めたい方や、これからAI技術を学ぶことを考えている方にとって重要な資格が、「G検定」です。
AI技術の基礎から最新の動向、法的・倫理的な問題まで網羅した内容となっており、ディープラーニングの基本知識を始め、その実用に関する理解を証明するものです。
本記事では、一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施するこの「G検定」について、詳しい情報を提供します。
G検定の取得によるキャリア形成上のメリットや、AI技術者としてのスキルアップに繋がる理由、学習教材や合格後のコミュニティについても触れていきます。
AI分野でのキャリアアップを望む方や業務にAIを取り入れたいと考えている組織の皆さんは、ぜひ参考にしてください。
目次
G検定とは
G検定(ジェネラリスト検定)は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施している資格試験です。AI技術全般、特にディープラーニングに関する基礎知識や実用における知識と能力を証明することができます。
ディープラーニングは、機械学習の一種であり、AI技術において重要な役割を果たします。
この技術は、様々なAIアプリケーションでの利用に不可欠であり、そのため、G検定はディープラーニングに関する知識の基礎から、ビジネスへの活用や実践的な応用に至るまで、広範な理解を問います。
G検定を取得するメリット
G検定の受験者は、AI分野のジェネラリストとして必要な知識とスキルを証明することができ、AI関連企業への就職や転職、キャリアアップに役立ちます。
また、企業にとっても、G検定合格者を採用することで、AI技術の導入や活用を進めるための人材確保につながります。
以下に、G検定を取得するメリットをそれぞれ解説します。
ディープラーニングに関する包括的な知識を取得できる
G検定は、ディープラーニングをはじめ、AI技術の基礎知識から最新の動向、法的・倫理的な側面に至るまで、幅広い範囲の知識を問う試験です。
これにより、ディープラーニングの基礎から実用に至るまでの知識を体系的に身につけられます。
特に、ディープラーニング関連の商品やサービスの営業・マーケティングに関わる職種や、AIプロジェクトのマネジメントに関わる職種において、この包括的な知識は実務に活かされます。
キャリアアップや就職・転職に有利
AI技術者の不足により、AI関連の知識やスキルを持つ人材の需要が増えています。G検定を取得することで、AIやディープラーニングに関する知識があることを証明でき、AI関連企業への就職や転職が有利になります。
また、G検定を取得している人材を優遇する企業が増えており、就職活動や転職活動での書類選考免除などのメリットもあります。
DX推進や組織全体のレベルアップに貢献
企業の取り組みとしてG検定を取得することで、デジタル技術に関する視野が広がり、AI技術の導入や活用に関する議論が社内で活発化します。
これにより、DX推進や組織全体のデジタルスキルの向上が期待でき、意思決定のスピードアップや各部門の連携強化が進みます。
G検定合格者を中心に、AIやディープラーニングに関する知識を社内で共有・活用することで、企業の競争力強化につなげることができるでしょう。
G検定の試験概要
G検定についての大まかな概要を以下の表にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
概要 | ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する。 |
資格名称 | G検定 |
認定団体 | 一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA) |
試験日程 | 通常年3,4回 |
受験資格 | 制限なし |
受験費用 | 一般:13,200円(税込) 学生:5,500円(税込) 受験日から2年以内の方は半額で受験可能 (一般:6,600円、学生:2,750円) |
受験会場 | オンライン実施(自宅受験) |
試験時間 | 120分 |
出題問題 | 知識問題(多肢選択式・220問程度) |
出題範囲 | 人工知能(AI)とは(人工知能の定義) 人工知能をめぐる動向 人工知能分野の問題 機械学習の具体的手法 ディープラーニングの概要 ディープラーニングの手法 ディープラーニングの社会実装に向けて 数理・統計 |
合格基準 | 非公開 |
合格率 | 65%程度 |
公式サイト | https://www.jdla.org/certificate/general/ |
G検定の申込方法は、JDLAの公式サイトから行います。受験料の支払い後、受験票がメールで送付され、試験当日はオンラインシステムにログインして受験します。
試験結果は、試験実施日から約1ヶ月後に、JDLAのマイページで確認できます。
G検定の出題範囲
出題範囲のそれぞれについて簡単に説明します。
出弾範囲に関連するAI総合研究所の記事を掲載しているので、ぜひ学習の導入にお使いください。
人工知能(AI)とは(人工知能の定義)
AIの定義やその分類、AI効果、AIとロボットの違いなどを理解します。
また、人工知能研究の歴史、1次ブームと2次ブーム、機械学習とディープラーニングの関係についても学びます。
人工知能をめぐる動向
AI技術の動向や社会におけるAIの役割を理解します。
AI技術の発展によるビジネス、法的・倫理的観点、AIの社会への影響や課題について考察します。
人工知能分野の問題
AI研究で議論されている問題や、AI技術の実現可能性について学びます。
フレーム問題、シンボルグラウンディング問題、シンギュラリティなど、AIの課題について理解します。
機械学習の具体的手法
教師あり学習、教師なし学習、強化学習などの基本的な理論や手法を学びます。
アルゴリズムやモデルの評価方法、分類問題や回帰問題などの課題についても理解します。
ディープラーニングの概要
ディープラーニングの仕組みや構造、モデルの評価や解釈性について学びます。
ニューラルネットワークや畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、生成モデルなどのディープラーニングの手法についても学びます。
ディープラーニングの手法
ディープラーニングの手法やテクニックについて学びます。
オートエンコーダ、勾配降下法、活性化関数、深層生成モデルなどの手法や、ディープラーニングの最適化方法についても学びます。
ディープラーニングの社会実装に向けて
AI技術の社会実装に関する法的・倫理的な観点、プロジェクトの進め方、データ収集や加工、実装から運用・評価に至るまでの流れを学びます。
数理・統計
機械学習やディープラーニングにおける最適化のための数学基礎知識や統計学の基礎知識を学びます。
統計検定3級程度の内容や微分、最適化に必要な数学知識を理解します。
G検定合格に必要な勉強時間、教材
合格者の平均勉強時間は大体30~40時間程度です。
学習に使用する教材としては、例えば以下のようなものが挙げられます。
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公式テキスト
公式テキスト
-
最短突破 ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 問題集
最短突破 ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 問題集
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徹底攻略ディープラーニングG検定ジェネラリスト問題集
徹底攻略ディープラーニングG検定ジェネラリスト問題集
その他の教材
- AI白書2022
- YouTube動画
- Study-Alの模擬問題
これらの教材を効果的に活用し、出題範囲をしっかりと理解することが合格への近道です。
特に、公式テキストと問題集を中心に学習を進め、不明点はオンラインリソースで補完するのが良いでしょう。
また、模擬問題で実践的な問題解答の訓練を積むことも重要です。
G検定合格者コミュニティ「CDLE」
合格後にアクセスできるコミュニティ、「CDLE(Certified Deep Learning Engineer)」は、合格者同士の情報交換やネットワーキングの場として非常に役立ちます。
コミュニティに参加することで、AI分野の最新のトレンドや技術情報を共有し合い、お互いのスキル向上やキャリアアップに繋がる情報を得ることができます。
また、CDLEではオンラインイベントや勉強会なども開催されており、継続的な学習の機会が提供されています。
G検定合格後は、ぜひCDLEに参加し、AI分野のスペシャリストとしてのスキルアップを図っていきましょう。
興味のある方は、以下の公式サイトをご覧ください。
➡️CDLE
まとめ
本記事では、G検定に関する情報を全般的に解説しました。
G検定は、AI分野におけるジェネラリストとしての知識を証明する重要なステップであり、合格者にはキャリア形成や学習指針を提供する多くの恩恵があります。
G検定の出題範囲は広く、合格には体系的な学習が必要不可欠ですが、適切な対策を行えば十分合格可能なレベルです。公式テキストや問題集を中心に学習を進め、オンラインリソースや模擬問題で知識を補完・定着させることが重要でしょう。
合格後は、CDLEへの参加を通じて、AI分野のスペシャリストとしてのスキルアップを図ることができます。AI技術の理解を深めたい全ての人々にとって、G検定は価値のある資格であると言えます。
AI分野でのキャリアアップを目指す方は、ぜひ挑戦を検討してみてください。