この記事のポイント
- この記事では、画像生成AI「Stable Diffusion」の料金体系について解説しています。
- Stable Diffusionを利用するには、主に「Webサービスを使う方法」と「オープンソースモデルを利用する方法」の2パターンがあります。
- 料金プランの選択に迷った際のポイントや、各プランのメリット・デメリットについても詳しく紹介します。
- オープンソースで自分で運用する場合のコストと、それを効率的に管理する方法について解説します。
- 企業サービスを利用するメリットと、どのようなビジネスが最も恩恵を受けるかについても掘り下げます。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
Stable Diffusionは、テキストから高品質な画像を生成できるAIサービスです。基本無料で利用できますが、より多くの機能を利用したい場合は有料プランへの加入や別途料金が必要な場合があります。
しかし、Stable Diffusionの料金体系は複雑で、どのプランを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
この記事では、Stable Diffusionを利用する際の料金体系についてわかりやすく解説します。各サービスの概要や、個人での利用と商用利用時の違いなど、さまざまなケースにおける料金の詳細、および、コストを最適化するためのヒントを提供します。
Stable Diffusionは、あなたの創造性を刺激し、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めたツールです。この記事を参考に、あなたに最適なプランを選択し、StableDiffusionの可能性を最大限に活用しましょう。
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Stable Diffusionの料金体系
前提として、Stable Diffusionの利用方法は、「企業が提供するサービスを利用してStable Diffusionを動かす方法」と「Stable Diffusionをローカル環境で利用する方法」の2種類あります。
ローカル環境で利用する場合は無料で使用できますが、Webアプリ、サービスを利用する場合には、それぞれのアプリごとに料金体系が異なります。
また、Webサービスを利用する場合は、準備不要で手軽に使用できますが、ローカル環境での利用にはいくつか準備が必要です。
それぞれの利用方法の違いや、サービスの比較については以下の記事でまとめています。ぜひあわせてお読みください。
➡️Stable Diffusionの使い方!初心者でもわかりやすく解説
Stable Diffusionの料金:Webサービスを利用する場合
企業が提供するStable Diffusionのサービスは、多岐にわたります。この記事で取り上げるサービスは以下の5つになります。
料金という観点から、それぞれについて確認していきましょう。
Stable Diffusionの全体像や、その仕組みについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
➡️Stable Diffusionとは?その魅力やモデル、プロンプトの例を徹底解説
Stable Diffusion Online
Stable Diffusion Online (参考:Stable Diffusion online)
Stable Diffusion Onlineは、無料でStable Diffusionを利用できるWebサービスです。
入門者向けに設計されているため、ローカル環境での利用に比べて細かな設定はできず、カスタマイズ性は低いです。
また、アカウントの登録時に「クレジット」が付与されます。これはサービスを利用するにあたってのチケットのようなもので、クレジットが無いと画像を生成できません。
クレジットは1日おきに更新されるので、1日の上限を超えて生成したい場合は別途課金が必要となります。
Stable Diffusion Onlineは、「ひとまずStable Diffusionを使ってみたい」という方におすすめです。
Dream Studio
DreamStudioのトップページ (参考:Dream Studio)
Dream Studioは、Stable Diffusionの各種機能を利用でき、商用利用も可能なサービスです。テーマや画像サイズ、出力する際の重みづけなど、画像生成時に詳細設定が可能です。
こちらもクレジット制で、アカウント登録時に25クレジット(画像約125枚分)が付与されます。付与分以上の画像を生成したい場合は、さらなる課金が必要となります。
Dream Studioは、「一通りStable Diffusionの機能を体験してみたい」という方におすすめです。
Mage.space
Mage.spaceのトップページ (参考:Mage.space)
Mage.spaceも、無料でStable Diffusionの各種機能を利用でき、商用利用可能なサービスです。ここまで紹介したサービスと異なり、クレジット制ではありませんが、無料版の場合は使用できるモデル数に制限があります。
モデルを利用すると、画像のテイストを幅広くカスタマイズできます。例えば、「油絵調のモデル」、「アニメ調のモデル」、「特定の女性の容姿のモデル」などが提供されており、それらを利用することで特定のテーマや形に偏りを持たせる形で画像を生成できます。
有料版では使用できるモデル数が増加し、生成画像の表現の幅が広がります。
Hugging Face
Hugging face space Stable Diffusion 2.1 Demo ページ (参考:Hagging Face)
Hagging Faceでは、Stable DiffusionのDemo版が公開されています。こちらも無料で使うことができ、商用利用が可能です。
ただし、提供される機能は限定的で、生成される画像の精度もそれほど高くない点には留意が必要です。このサービスは入門者向けであり、簡単な操作で画像を生成したい方に適しています。
Leonaldo AI
Leonaldo AIのトップページ (参考:Leonaldo AI)
Leonaldo AIは、Stable Diffusionの各種機能の利用に加えて、独自の様々な機能が搭載されています。登録時にはクレジットが付与され、クレジットの上限を超えて画像を生成したい場合は別途課金が必要となります。
現在は、無料プラン、および月額「$12」、「$30」、「$60」の4種類のプランが提供されています(年間契約では20%OFF)。有料プランにすることで画像の非公開化などの機能が利用可能です。
また、Leonaldo AIにはtext to image以外にも、たくさんのクリエイティブな機能が搭載されていて、それらを使用するには有料化する必要がある場合もあります。
以下は書くプランの料金と機能の比較表です。ぜひ参考にしてみてください。
Free プラン | Apprentice プラン | Artisan プラン | Maestro プラン | |
---|---|---|---|---|
料金 | 無料 | 月額「$12」 | 月額「$30」 | 月額「$60」 |
使用可能トークン数 | 1日あたり150トークン | 月8,500トークン | 月2万5,000トークン | 月6万トークン |
画像を非公開にする機能 | × | ○ | ○ | ○ |
新機能への優先的なアクセス権 | × | ○ | ○ | ○ |
同時実行ジョブ数 | 1 | 5 | 10 | 20 |
Stable Diffusionの料金:ローカル環境でStable Diffusionを利用する場合
ここまでは、Stable Diffusionが利用可能なWebサービスについて紹介してきました。
これ以降では、自分のPCで動かす場合の料金について説明していきます。
そこで重要となってくるのが、クラウドサービスです。Stable Diffusionのようなディープラーニングモデルは、計算を効率的に行うために高性能なGPUやメモリを必要とします。
以下は、Stable Diffusionが公式に発表している推奨スペックの図表です。
推奨スペック | |
---|---|
PCの形態 | デスクトップ型 |
OSの種類 | Windows(64bit) |
CPUの性能 | 最新モデルのCore i5~Core i7、Ryzen 5~7 |
GPUの性能 | RTX 30シリーズやRTX 40シリーズのVRAMが12GB以上 |
メモリ容量 | 12GB~32GB |
ストレージ容量 | 512GB以上 |
各Webサービスを利用する際は、GPUやメモリなどの計算資源を企業が担ってくれるため、「自分のPCのスペックを心配せずにブラウザ上でスムーズに作業を進めること」が可能です。
一方で、自分のPCでソフトウェアを運用する場合、これらの計算資源を個人で用意する必要があり、初期投資として数十万円が必要になることがあります。
そこで、自分のPCに十分な計算能力がない場合でも、クラウドサービスを活用することで必要な計算資源をレンタルし、この問題を解決できます。
以下では、そのようなクラウドサービスについて紹介していきます。
【無料|Google Colaboratoly】
Googleが提供するクラウドサービスで、ブラウザからPythonコードを記述、実行できます。
GPUを無料で利用することができるため、こちらを使うことで、パソコンのスペックが足りない問題をクリアすることができます。
しかし、無料版では使用に制限があり、予期せずセッションが終了することや、強いGPUが割り当てられないなどの懸念があります。そのため、長期間の使用や強い計算力の確保には向いていません。
有料版である「Colab Pro」や「Colab Pro+」にアップグレードすることで、より高性能なリソースや長時間の実行時間を得られます。
【無料|Paperspace Gradient】
Paperspaceは、AIと機械学習の開発に特化したクラウドコンピューティングプラットフォームです。Gradientはその中の一サービスで、ディープラーニングモデルのトレーニングと開発を容易にするためのツールとインフラを提供します。
また、Jupyterベースのノートブックインターフェースを通じてアクセスでき、高性能なGPUリソースをレンタルできます。
使用料金は、使用時間が増加するほど高くなります。設定が少し複雑で、初心者の方にはハードルが高いかと思われます。
【有料|Vast.ai】
Vast.aiは、個人や企業がGPUリソースを共有し、レンタルすることができるマーケットプレイスを提供しています。「RTX4090」などのハイスペックなGPUを搭載した仮想PCがオンラインで1時間あたり数十円から提供されており、利用者はニーズに応じてGPUの種類や性能を選択し、時間単位でレンタルすることができます。
比較的安価に高性能GPUをレンタルできるというメリットがある一方、個人間のレンタルサービスである為にセキュリティリスクが無いとは言い切れません。
個人間でのレンタルということは、「GPUを使用するにあたっての処理が、ホスト側に筒抜けになる」ということになります。そのため、レンタル時には機密情報の取り扱いに注意しましょう。
【有料|GPUSOROBAN】
GPUSOROBANは、1時間50円から「RTX A4000級」のサーバーが利用できます。通信料・ストレージの100GB分が無料で利用可能なため、ディスク容量と費用、ネットワーク費用などの従量課金について心配する必要がなく、予算が組みやすい点が特徴です。
【有料|さくらのクラウド】
さくらのクラウドは、2023年度にデジタル庁が募集した「ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」に認定されています。政府共通のクラウドサービスの利用環境として使用されているという実績を持つことから、セキュリティ面で非常に信頼できるサービスと言えます。
初期費用をかけることなく、高性能なGPUをを1日単位で利用できることが特徴です。
各種クラウドサービスの整理
無料で始める場合は、Google Colobがおすすめです。操作方法も簡単で初心者でも扱いやすく、無料でポイントです。
より性能の高いGPU機能が必要な場合は、Google Colobの有料版、Vast.AI、GPUSOROBAN、さくらのクラウドなど、多様な選択肢があります。それぞれの選択肢で料金計算が変わってくるので、それぞれの特徴から使用するサービスの判断をしましょう。
また、商用利用を行う場合は、さくらのクラウドなどセキュリティに信頼がおけるサービスを使用することを推奨します。
Stable Diffsuionの商用利用について
Stable Diffusionは基本的に商用利用が可能ですが、使用するモデルやライセンスによって異なります。オープンソースモデルならば比較的自由に使えますが、商用モデルの場合は料金が発生する可能性がありますので、事前に利用規約を確認することが重要です。
また、商用利用が可能なモデルにおいても、著作権や倫理的な側面への配慮が必要です。
詳しい解説と具体的な利用ガイドラインについては、以下の記事で詳しく説明しています。
➡️Stable Diffusionの商用利用を解説!モデルやライセンス別の確認方法も
まとめ
この記事ではStable Diffusionの料金について解説してきました。記事のポイントをまとめると、以下の通りです。
- Stable Diffusionには大きく2パターンの使い方がある。
- 企業が提供するサービスを利用する場合(パターン.1)は、各サービスごとで料金体系が異なるが、無料利用も可能。
- 自分のPCでStable Diffusionを動かす場合(パターン.2)は、使用するクラウドサービスごとで料金体系が異なるが、無料利用も可能。
いずれの場合も、使用するサービスによって料金や機能が変わるため、自身のニーズと用途に沿ったサービスを見つけることが重要です。この記事が、読者の皆様がStable Diffusionを利用する際のガイドとなれば幸いです。