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Pythonを使ったチャットボットの作り方を解説!サンプルコードも紹介

この記事のポイント

  • この記事はPythonを使用したチャットボット作成の解説をしています。
  • チャットボット作成には「運用目的の明確化」と「プラットフォームの選定」が重要です。
  • ルールベースチャットボットとAIチャットボットの2種類に分けられ、それぞれ異なる特徴があります。
  • 具体的なPythonコードを使い、Google ColaboratoryとAzure OpenAI Serviceを用いた簡単なチャットボット作成方法を紹介しています。
  • Pythonを使うことのメリットとして、プログラミングの容易さ、豊富なライブラリ、充実したコミュニティなどが挙げられています。

監修者プロフィール

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。


チャットボット開発においてPythonを選ぶメリットとして、プログラミングの容易さ、豊富なライブラリ、充実したコミュニティなどが挙げられます。

しかし、使用言語だけでなく「運用目的の明確化」と「プラットフォームの選定」も忘れてはいけません。さらに、ルールベースとAIベースの2種類のチャットボットの特徴を理解することも欠かせません。

本記事では、Google ColaboratoryとAzure OpenAI Serviceを用いた簡単なチャットボット作成方法を、Pythonコードを交えて紹介しています。

これからチャットボット開発を始める方や、Pythonを使ってチャットボットを作成したい方にとって、本記事が実践的なガイドとなることを願っています。解説を参考に、自分の目的に合ったチャットボットを作成し、ユーザーとのコミュニケーションを円滑化させましょう。

Pythonを使ったチャットボットの作成方法

昨今ChatGPTの到来ともに話題になるチャットボットですが、個人で作成することも可能です。

その方法は様々あるのですが本記事ではpythonというプログラミング言語を用いたチャットボット作成方法をご紹介します。

pythonを使ったチャットボットイメージ

チャットボットとは

チャットボットは、人間とのやり取りを再現するソフトウェアプログラムです。利用者が文章や声による問いかけや指示を出す際、チャットボットは自動で反応を返します。

このシステムは、AI技術の一部である自然言語処理(NLP)や機械学習(ML)を根底に持っています。

【関連記事】
➡️チャットボットとは?その仕組みや種類、導入メリットを徹底解説!


チャットボット作成時に抑えておくべきポイント

チャットボット作成イメージ

では、早速チャットボット作成の手順を見ていきましょう。
Pythonでチャットボットを開発する前に、まず押さえておくべきポイントが2つあります。

  • 運用目的を明確にすること
  • プラットフォームを選定すること

    この2点は、チャットボット開発の成功に大きく影響します。それぞれの項目について、詳しく解説していきます。

運用目的を明確にする

チャットボットを導入するにあたっては、まず運用目的を明確にすることが重要です。その目的としては、例えば以下のような例が挙げられます。

  • 顧客サポート: よくある質問に自動で回答し、サポートチームの負担を軽減します。

  • 製品やサービスの案内: ユーザーに対して、製品やサービスに関する情報を提供し、購買につなげます。

  • エンゲージメントの向上: エンターテインメント性のあるインタラクションを通じて、ユーザーの関与を深めます。


目的に応じて、チャットボットの性格、応答の種類、そして必要な機能が異なるため、このステップは非常に重要です。

フレームワークの選定

次に、チャットボットをどのプラットフォーム上で運用するかを決定する必要があります。これも様々な運用法が考えられますが、その主な例は以下の通りです。

  • ウェブサイトやアプリ: 自社のプロダクト内に組み込むことで、ユーザー体験を向上させることができます。

  • ソーシャルメディアプラットフォーム: Facebook MessengerやWhatsAppなど、既にユーザーが利用しているプラットフォーム上での運用は、アクセシビリティを高めます。

  • SlackやMicrosoft Teamsなどのビジネスツール: ビジネス向けのチャットボットは、チームの生産性を向上させるためにこれらのプラットフォーム内で利用されることが多いです。

このように、プラットフォームを選定する際には、目的とターゲットオーディエンスに最適な選択をすることが重要です。

チャットボットの種類を決める

チャットボットと一口に言っても、実際にはチャットボットは大まかに2種類に分けられます。具体的には、ルールベースのチャットボットAIチャットボットです。ここでは、それぞれの特徴を解説していきます。

ルールベースのチャットボット

ルールベースのチャットボットは、あらかじめ設定されたルールやシナリオに基づいて応答します。これらのチャットボットは、特定のキーワードやフレーズに対して、設定された応答を返すようにプログラミングされています。

ルールベースチャットボットの主な特徴は以下の通りです。

  • 予測可能性: 応答はあらかじめ定義されたルールに基づいているため、同じ入力に対しては常に同じ応答をします。

  • シンプルさ: 複雑なAI技術を必要とせず、特定のタスクや目的に対して効率的に設計することができます。

  • 制限された対話能力: ユーザーの入力が予め定義されたパターンやキーワードと一致しない場合、適切に応答することが難しい場合があります。

AIチャットボット

AIチャットボットは、機械学習(ML)や自然言語処理(NLP)などのAI技術を利用しています。これらのチャットボットは、ユーザーからの入力を理解し、学習を通じてその応答を時間とともに改善していきます。

AIチャットボットの主な特徴は以下の通りです。

  • 学習能力: AIチャットボットは大量のデータから学習し、会話の文脈を理解する能力を持ちます。これにより、ユーザーの質問やコメントに対してより関連性の高い、個別化された応答を提供できます。

  • 柔軟性: 固定されたスクリプトに依存しないため、さまざまな質問や未知の問いにも対応可能です。

  • 自然言語処理: ユーザーの言葉を理解し、自然な会話を生成する能力があります。これにより、人間とより自然に対話することが可能になります。


本記事では上記2種類のうち、AIチャットボットの簡単な実装方法を紹介します。


Pythonでチャットボットを作成するサンプルコード

Pythonを使用してチャットボットを作る過程には、さまざまなやり方が考えられます。

今回紹介する開発には、Google Colaboratoryを使用します。

また、Azure OpenAI Serviceを用いてGPT-4を使用し、簡単なチャットボットを作っていきます。まずは、自身のAzureのモデルのAPIキーとエンドポイント、バージョンやモデル名を確認してください。

【Azure OpenAIキーの取得方法はこちら】
➡️Azure OpenAI APIキーの取得方法と利用手順をわかりやすく解説!

以下が実際のコードになります。

#必要なライブラリのインストール
!pip install --upgrade openai
!pip install pandas openpyxl

#APIキーとエンドポイントの取得
from google.colab import userdata
api_key = userdata.get("api_key_content")
endpoint = userdata.get("endpoint_content")

#必要なモジュールのインポート
import os
from openai import AzureOpenAI

#AzureOpenAIへのアクセス
client = AzureOpenAI(
    api_key = api_key,
    api_version = "2023-07-01-preview",
    azure_endpoint = endpoint
)

# ユーザーからの質問を取得
user_input = input("質問を入れてください: ")

# AIモデルへのリクエスト
response = client.chat.completions.create(
    model = "gpt-4",
    messages = [
        {"role":"system", "content": "Assistant is a large language model trained by OpenAI."},
        {"role":"user", "content":user_input}
    ]
)

# レスポンスの表示
print("\n",response.choices[0].message.content)


事前に確認しておいた頂いたものは、以下の名前でコード中に組まれています。

バージョンとモデル名はコード中にそのまま記載していますが、「APIキー」と「エンドポイント」はセキュリティの観点から、Google Colaboratoryのシークレット機能を使用し、そこに記述することをおすすめします。

シークレット機能シークレット機能

画像のように、コラボラトリーの「左のタブにある鍵マーク」がシークレット機能です。そこに名前とご自身に与えられている値を入力することで、呼び出すことができます。

コード中の「#APIキーとエンドポイントの取得」の部分がこの呼び出し部分に該当します。

実際に実行すると諸々の情報が表示された後に、最終的に以下のように表示されます。

実行時1実行結果その1

ここに質問を入力して確定すると答えが返ってきます。

実行時の2実行結果その2

対話型のチャットボットを作成する

上記で紹介したサンプルコードは、「1つの質問に足して1つの回答ができる」チャットボットです。そのため、ChatGPTのように連続した会話はできません。

事前に質問した内容を記憶したい場合には履歴を保存することで対話の履歴を覚えた会話が可能になります。

会話を毎回手動で記憶させ、AIに文脈を理解させて対話を図る

自分がした会話をresponseのmessagesの中に手動で入れていくことで、AIはmessagesの中を考慮しながら会話するようになります。具体的には、以下のように毎回手動で質問と答えを入れていきます。

messages = [
  {"role":"system", "content": "Assistant is a large language model trained by OpenAI."},
  {"role":"user", "content":"本初子午線はいくつ?"}
  {"role":"assistant", "content":「本初子午線」とは、経度の基準となる子午線のことで、国際的にはグリニッジ子午線が本初子午線として採用されています。本初子午線の経度は0度です。これを基準に、東経と西経が決定され、経度180度の線が国際日付変更線となります。本初子午線は、イギリスのロンドン近郊のグリニッジ天文台を通っており、世界の時計(時刻)の標準である協定世界時(UTC)の基準ともなっています。}
  {"role":"user", "content":user_input}
]

会話を毎回自動で記憶させ、AIに文脈を理解させて対話を図る

プログラムの実行間で手動で入力せずに、対話の履歴を保持するという方法も考えられます。

流れとしては、「実行→質問と結果をテキストファイルに保存→次回実行時に保存したテキストファイルを読み込む」といった具合です。

連続で質問ができるようにする

質問ごとに実行するのではなく、一度の実行で好きなだけ質問ができるようにするという工夫も考えられます。具体的には、以下のように質問の入力から回答の出力部分までをまとめます。

ただし、対話をしているように見えて実際には質問ごとに独立して会話しているので、文脈を踏まえさせたい場合は、先に紹介した2つのうちどちらかと組み合わせる必要があります。

while True:
    user_input = input("質問を入力してください (終了するには 'f' を入力):")
    if user_input == 'f':
        break
    response = client.chat.completions.create(
    model = "gpt-4",
    messages = [
        {"role":"system", "content": "Assistant is a large language model trained by OpenAI."},
        {"role":"user", "content":user_input}
    ]
)
    print("\n",response.choices[0].message.content,"\n")

Pythonでチャットボットを作成するメリット

Python言語を使用することでチャットボットの開発において享受できるメリットは多岐にわたります。そのために、Pythonはチャットボット開発における選択肢として非常に人気のある言語であり続けています。

以下に、Pythonを利用することによるメリットをいくつか挙げてみます。

プログラミング難易度がやや低い

Pythonはその易しさから「プログラミングの学習初心者に最適な言語」とも称されています。

チャットボット開発においてもこの特性は大きなメリットとなり、複雑な処理を必要とする機械学習のアルゴリズム自然言語処理の実装を比較的容易に行うことができます。

ライブラリが充実している

Pythonは、「データサイエンス」や「機械学習」など、自然言語処理の分野で使用される多くの強力なライブラリを備えています。

例えば、「nltk」や「spaCy」「tensorflow」をはじめとするライブラリを利用することで、開発時間を大幅に短縮させながらも、高度な機能を持つチャットボットを構築することができます。

コミュニティとサポートが豊富

Pythonは世界中で広く使われているため、非常に活発なコミュニティが存在します。チャットボット開発においても、オンラインフォーラムやQ&Aサイト、GitHubなどでは豊富な情報交換が行われています。

これにより、開発中に遭遇する問題の解決策を見つけやすく、また新たなアイデアを得ることができます。

さらに、多くのオープンソースプロジェクトやチュートリアルが利用可能であり、これらのリソースを活用することで、初心者から上級者までが効率的に学習し、開発を進めることができます。

Pythonでチャットボットを作成する場合の注意点

Pythonでのチャットボット開発は多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点も理解しておく必要があります。これらのポイントを予め把握し、適切な準備と対策を講じることが重要です。

パフォーマンスとスケーラビリティ

Pythonは動的型付け言語であり、その実行速度はコンパイル言語に比べて遅い場合があります。大規模なチャットボットを動作させるときやスケーラビリティが重要となるときには、この点を考慮する必要があります。

メンテナンスとアップデート

チャットボットは、一度開発が完了したら終わりではありません。継続的なメンテナンスとアルゴリズムのアップデート、ユーザーからのフィードバックを反映するための作業が続きます。

Pythonでチャットボットを作成するよりも、プロダクト導入をした方が良い場合もある

開発プロジェクトの時とコストを考慮すると、自作のチャットボットをPythonで一から作成するよりも、市場に出ているプロダクトの導入を選択する方が合理的な選択となる場合があります。

しかし、カスタマイズの自由度、特定のニーズへの対応、学習と実験の機会を重視すれば、Pythonでの開発が適している場合もあります。

例えばChatGPTのGPTsやCopilot Studioの利用もおすすめです!

【関連記事】
➡️Microsoft Copilot Studioとは?使い方や料金、活用事例を徹底解説!


まとめ

本記事では、Pythonを使ってチャットボットを作る際に必要な事前準備や実際の作り方、またメリットや注意点について解説しました。
Pythonはその汎用性と拡張性に富んだプログラミング言語であり、チャットボット開発においてもその力を発揮します。初心者から上級者まで、幅広い開発者にとってアクセスしやすいPythonは、チャットボットを作る上での優れた選択肢の一つです。

ぜひこの記事を参考にして、自分の目的に合った最高のチャットボットを作ってみてください。

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監修者

坂本 将磨

Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。

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