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AI Overviewとは?仕組みや使い方、SEOへの影響と対策を解説

この記事のポイント

  • AI Overviewは、Google検索でAIが関連情報を要約し、検索結果上部に表示する機能
  • ユーザーは複数サイトを閲覧せずに、複雑な質問の答えを迅速に把握できる
  • 情報の不正確さ(ハルシネーション)や情報源の偏りといったリスクも存在する
  • サイト運営者はトラフィック減の懸念がある一方、引用されれば流入増のチャンスも
  • E-E-A-Tの向上や構造化データ活用など、新たなSEO対策が重要になる

監修者プロフィール

坂本 将磨

XでフォローフォローするMicrosoftMVP

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。


最近、Google検索の結果画面が変わったと感じませんか? 検索結果の上部に、AIが生成した文章が表示される「AI Overview」機能が導入され始めています。
「これは何?」「どうやって使えばいいの?」「自分のサイトへの影響は?」など、多くの疑問が生まれているのではないでしょうか。

本記事では、このGoogle検索の新機能「AI Overview」について、基礎から応用までを徹底的に解説します。
AI Overviewの仕組み、メリット・デメリット、SEOへの影響、そして日本での導入状況や今後の展望まで、幅広く網羅的に説明します。

Google検索のAI Overviewとは?

AI Overviewとは、Google検索においてユーザーが入力したクエリに対して、複数のウェブサイトから情報を抽出・統合し、生成AIが自動的に要約を作成して検索結果の上部に表示する機能です。
従来の検索結果のように、関連性の高いウェブサイトへのリンクをリスト表示するだけでなく、AIがそれらの情報源から重要なポイントを抽出し、整理して分かりやすい文章で提示してくれます。

AI overviewの表示イメージ
AI overviewの表示イメージ

AI Overviewが導入された背景

Googleがこの機能を導入した主な目的は、「検索体験の向上」です。
特に、答えを得るために複数のウェブサイトを閲覧・比較する必要があるような複雑な質問や、計画・調査・比較検討といった検索ニーズに対して、より迅速かつ効率的に情報を提供することを目指しています。

生成AIの技術を活用し、ユーザーが求める情報へよりダイレクトにアクセスできるよう、Google検索を進化させる取り組みの一環と言えるでしょう。
単なる情報検索ツールから、より対話的でユーザーの思考をサポートするパートナーへと進化しようとしています。

AI OverviewとSGE (Search Generative Experience) の違い

「SGE」と「AI Overview」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これらは基本的に同じ機能の異なるフェーズや呼び名を指しています。

  • SGE (Search Generative Experience):
    Googleが2023年5月に発表した、生成AIをGoogle検索に統合する初期の実験プロジェクトの名称です。
    当時は「Search Labs」という実験的なプラットフォームを通じて、一部のユーザーに限定的に提供されていました。

  • AI Overview
    SGEの実験を経て、より広範なユーザーに向けて展開される際の正式な機能名として使われるようになりました。2024年5月に米国で正式ローンチされ、その後他の国や言語にも展開が進んでいます。


つまり、SGEはAI Overviewの実験段階の名称であり、現在私たちが目にするAIによる検索結果の要約機能は「AI Overview」と呼ばれるのが一般的です。

機能の核となるコンセプトは共通していますが、SGEの実験を通じて得られたフィードバックに基づき、表示形式や精度、表示されるクエリの種類などが改善・調整されたものがAI Overviewと言えます。


AI Overviewが表示される仕組み

AI Overviewは、Googleが持つ膨大なウェブ情報と、その情報を学習した大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)によって実現されています。

基本的な仕組みは以下のステップで構成されます。

  1. ユーザーの検索クエリを理解
    まず、ユーザーが入力したキーワードや質問の意図をAIが深く理解します。

  2. 関連情報の検索と評価
    次に、Googleの検索インデックスの中から、クエリに関連性が高く、信頼できる情報源(ウェブページ)を複数特定します。
    Googleは情報の品質を評価するために、長年培ってきたランキングシステムやE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)といった指標も考慮していると考えられます。

  3. 情報の抽出と要約生成
    特定された情報源から、質問に答えるために必要な主要な情報を抽出します。そして、LLMがそれらの情報を統合し、矛盾がないかなどをチェックしながら、自然で分かりやすい文章の要約を生成します。

  4. 引用元リンクの提示:
    生成された要約文には、情報の根拠となったウェブページへのリンクが付与されます。これにより、ユーザーはより詳細な情報や元のコンテキストを確認することができます。


この一連のプロセスは非常に高速に行われ、ユーザーは検索後すぐにAIによる要約を受け取ることができます。

Googleは基盤となるLLMも進化させており、2025年3月には米国で「Gemini 2.0」へのアップグレードが発表され、より高度な応答が可能になっています。

表示されやすい検索クエリ(キーワード)の例

AI Overviewが表示されるキーワードは決まっているわけではありませんが、主に以下のキーワードで出現頻度が高い傾向があります。

クエリの種類 具体例
定義・説明 「〇〇とはどういう意味?」
比較 「〇〇と××の違いは?」
方法・手順 「△△の作り方」「□□を修理する方法」
計画・アイデア 「週末におすすめの東京近郊旅行プラン」「健康的な食事メニューのアイデア」


Googleは、AI Overviewが特に役立つと判断した場合にのみ表示するよう調整しており、単純な事実確認(例:「今日の天気」)やナビゲーショナルクエリ(例:「〇〇(サイト名)」)などでは表示されない傾向があります。


AI Overviewのメリット

AI Overviewの登場は、私たちの情報収集の方法にどのような変化をもたらすのでしょうか?
ユーザー視点での主なメリットを見ていきましょう。

複雑な質問の答えを素早く要約

AI Overview最大のメリットは、複雑な質問や、複数の要素を考慮する必要がある問いに対して、AIが関連情報を整理し、要約された答えを迅速に提示してくれる点です。
例えば、「子育て世帯向けの電気自動車を選ぶ際のポイントとおすすめ車種」といった検索をした場合、従来なら燃費、価格、安全性、補助金、車種ごとのレビューなど、様々なウェブサイトを自分で調べて比較検討する必要がありました。

しかし、AI Overviewでは、これらの要素に関する情報をAIが複数の信頼できるソースから抽出し、「考慮すべきポイント」と「具体的なおすすめ車種(とその理由)」といった形でまとめて提示してくれます。

まさに、情報過多の現代において、必要な情報のエッセンスを素早く掴むための強力なツールと言えるでしょう。

複数サイトを比較検討する手間を削減

前述のメリットとも関連しますが、AI Overviewは複数のウェブサイトに散らばっている情報を一箇所に集約して提示してくれるため、ユーザーが自ら多くのサイトを開いて比較検討する手間を省いてくれます。

例えば、新しいスマートフォンの購入を検討している際に、「最新スマホAとスマホBのカメラ性能、バッテリー持ち、価格を比較して」と検索すると、AI Overviewがそれぞれのスペックやレビューサイトからの情報を基に、比較表のような形式や要点まとめで表示してくれる可能性があります。

AIoverviewの表示例2


もちろん、より詳細な情報や個別のレビューを確認したい場合は、提示された引用元リンクをクリックすれば元のサイトにアクセスできます。
AI Overviewは情報収集の「入口」として機能し、効率的な比較検討をサポートしてくれるのです。

新しい視点やアイデア発見のきっかけに

AI Overviewは、単に質問に答えるだけでなく、関連性の高い情報や、ユーザーが当初意図していなかったような新しい視点・アイデアを提示してくれることがあります。

これは、AIが幅広い情報ソースを学習しており、人間では思いつかないような情報の組み合わせや関連性を見つけ出す能力を持っているためです。

以下に、AI Overviewが新しい発見につながる可能性のある例を挙げます。

  • 趣味のアイデア探し
    「週末にできるインドアな趣味」と検索した場合、単にリストを提示するだけでなく、「DIYキットを使ったミニチュア作りは、創造性と達成感を同時に味わえます」といった具体的な提案や、関連するオンラインコミュニティの情報などを加えてくれるかもしれません。
  • 旅行プランの検討:
    「夏の北海道でおすすめのアクティビティ」と検索した場合、有名な観光地だけでなく、地元の人ぞ知る穴場スポットや、特定の時期にしか体験できないイベント情報などを提示してくれる可能性があります。

  • 学習・調査:
    特定の歴史的事件について調べている際に、その事件に関連する別の出来事や、異なる解釈・視点を紹介してくれることで、より深い理解につながる可能性があります。


このように、AI Overviewは効率化だけでなく、ユーザーの知的好奇心を刺激し、 serendipity(セレンディピティ:偶然の素敵な発見)をもたらす可能性も秘めているのです。


AI Overviewのデメリット

AI Overviewは便利な機能ですが、万能ではありません。利用する上で知っておくべきデメリットや潜在的なリスクも存在します。ここでは主な注意点を解説します。

情報の不正確さ・ハルシネーションのリスク

AI Overviewが生成する情報は、必ずしも常に正確であるとは限りません。
AIモデルは学習データに基づいて回答を生成しますが、その過程で事実に基づかない情報や、文脈に合わない内容を作り出してしまう「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる現象を起こすことがあります。

実際に、2024年5月の米国でのローンチ当初には、「ピザに接着剤を入れるとチーズが剥がれにくくなる」「1日に少なくとも1つの石を食べるべき」といった、明らかに不正確で危険な回答を生成した事例が報告され、大きな問題となりました。
Googleはこれらの問題を受けて迅速に改善策を講じていますが、ハルシネーションのリスクを完全にゼロにすることは現在の技術では困難です。

そのため、AI Overviewで得られた情報は鵜呑みにせず、必ず引用元リンクを確認 したり、他の信頼できる情報源と照らし合わせたりするなど、批判的な視点(クリティカルシンキング) を持って接することが非常に重要です。

特に、健康、金融、安全・(YMYL領域:Your Money or Your Life)に関する情報については、専門家の意見や公式サイトの情報を優先するようにしましょう。

情報源の偏り・多様性の欠如の可能性

AI Overviewは、複数の情報源を統合して要約を生成しますが、その際に参照される情報源が偏っていたり、特定の意見や視点に偏重したりする可能性が指摘されています。
AIが「信頼できる」と判断する基準や、どの情報を優先的に抽出するかというアルゴリズムの特性によっては、少数意見や新しい視点、特定の文化背景からの情報などが反映されにくくなるかもしれません。

例えば、ある社会問題について検索した場合、主流の意見や大手メディアの情報ばかりが要約に使われ、異なる立場からの意見や批判的な視点が抜け落ちてしまう可能性があります。

Googleはアルゴリズムの公平性に配慮していると思われますが、ユーザーとしても、AI Overviewが提示する情報が全てではないことを認識し、必要に応じて引用元を辿ったり、別のキーワードで再検索したりして、多角的な情報収集を心がけることが望ましいでしょう。

Webサイト運営者・SEOへの影響

AI Overviewの登場は、ウェブサイト運営者やSEO(検索エンジン最適化)担当者にとって大きな懸念材料となっています。

AIが検索結果ページで直接答えを提示してしまうことで、ユーザーが従来のオーガニック検索結果(青いリンク)をクリックせずに検索を終えてしまう、いわゆる 「ゼロクリック検索」が増加する可能性 があるためです。

以下は、各検索クエリ(業界別)にAI Overview影響です。全ての領域において

これにより、ウェブサイトへのトラフィック(アクセス数)が減少し、広告収入やコンバージョン(商品購入や問い合わせなど)に悪影響が出るのではないかと心配されています。

一方で、AI Overviewの引用元としてリンクされれば、逆にトラフィックが増加する可能性も指摘されています。
そのため、今後のSEO戦略は、単に検索順位を上げるだけでなく、「いかにAI Overviewに引用されるか」という視点が重要になってくると考えられます。(詳細は後述のSEO対策セクションで解説します。)


AI Overviewの導入状況と今後の展開

AI Overviewは世界中でどのように展開されているのでしょうか?日本での利用状況や、Googleによる今後のアップデート計画について、2025年3月時点での最新情報をお伝えします。

現在の提供国・言語と米国での状況

Google AI Overviewは、2024年5月にまず米国で正式にローンチされました。その後、提供される国と言語は段階的に拡大されています。2024年後半には英国、インドなどが追加され、2025年3月現在では、英語を中心にスペイン語、ポルトガル語など複数の言語に対応し、提供国も増えています。

特に先行している米国では、ローンチ当初の品質問題(不正確な回答など)への対応として、Googleは継続的な改善を行っています。
具体的には、表示されるクエリの種類を絞り込んだり、安全フィルターを強化したりといった対策が講じられています。

さらに2025年3月には、基盤モデルをより高性能なGemini 2.0にアップグレードし、回答の質と速度を向上させたと発表しました。
同時に、利用対象者をティーンエイジャー(13歳から19歳までの若者)にも拡大し、Googleアカウントへのログインも不要にするなど、利用の裾野を広げる動きも見られます。

また、より高度な推論能力を持つ実験的な 「AIモード」 もSearch Labsで導入されるなど、機能強化に向けた動きも活発です。

日本での導入状況・今後の見通し

日本におけるAI Overviewの状況については、「2024年8月15日に正式公開された」と報じられています(同時期にブラジル、メキシコ、韓国、南アフリカなども対象になったとされます)。
これにより、日本語での検索においてもAI Overviewが表示されるケースが出てきています。

ただし、米国のように全てのユーザーに対してデフォルトで広く提供されているというよりは、まだ段階的な展開、あるいは一部のユーザー環境(特定のブラウザやアカウント設定など)での表示が中心である可能性があります。Google Workspaceアカウントでは利用できないといった制限も報告されており、完全な一般普及には至っていない状況と考えられます。「試験運用中」という位置づけを示す情報も見られます。

Googleは今後も対応言語や地域を拡大していく方針を明確にしているため、日本においても今後、より多くのユーザーが安定して利用できるようになると予想されます。具体的なタイムラインは不明ですが、機能の品質改善と並行して、段階的に提供範囲が広がっていく可能性が高いでしょう。今後のGoogleからの公式発表が待たれます。

Googleによる品質改善とアップデートの動向

前述の通り、GoogleはAI Overviewの品質と安全性の向上に継続的に取り組んでいます。ローンチ当初の批判を受け、以下のような改善策が実施・強化されています。

  • 表示トリガーの厳格化:
    特に不正確な情報が深刻な影響を与えかねないトピック(例:健康、金融、安全)や、AIによる要約が適さないクエリ(例:速報性の高いニュース、単純な事実確認)については、AI Overviewの表示頻度を減らす、あるいは表示しないように調整されています。ナンセンスな質問やユーモラスな質問への対応も制限されています。

  • アルゴリズムと安全フィルターの強化:
    有害なコンテンツ(ヘイトスピーチ、危険な行為の助長など)を検出しブロックする仕組みや、信頼性の低い情報源からの引用を避けるアルゴリズムが改善されています。

  • ユーザーフィードバックの活用:
    表示されたAI Overviewに対してユーザーがフィードバックを送る機能があり、Googleはこのフィードバックを品質改善に役立てています。


これらの取り組みにより、ローンチ当初に比べると不正確な回答や不適切な生成の事例は減少傾向にあると報告されています。
しかし、AI技術の特性上、リスクが完全になくなったわけではありません。Googleは今後も継続的なモデルのトレーニング、アルゴリズムの改良、そして新たな安全対策の導入を進めていくものと考えられます。

基盤モデルのGemini 2.0へのアップグレードや「AIモード」の実験も、こうした品質向上と機能強化の一環と捉えることができます。


AI Overviewを無効化・非表示にする方法

AI Overviewの表示を煩わしく感じる、あるいは従来の検索結果だけを見たい、というユーザーもいるかもしれません。
2025年3月現在、GoogleはAI Overviewを完全に無効化するための公式な設定(オプトアウト機能)を一般ユーザー向けには提供していません。

過去にSGE(AI Overviewの実験段階)がSearch Labsを通じて提供されていた時期には、Search Labsの設定画面から機能をオフにすることが可能でした。
しかし、AI Overviewが正式機能として展開されるに伴い、このような簡単なオン/オフ設定は基本的に用意されていません。Googleとしては、AI Overviewを検索体験の標準的な一部として位置づけたい意向があるためと考えられます。

ただし、検索設定やアカウントの種類によっては表示頻度が異なる可能性はあります。また、Googleはユーザーからのフィードバックを収集しており、将来的には何らかのカスタマイズオプションが提供される可能性もゼロではありませんが、現時点では期待しない方が良いでしょう。

その他の方法

公式な方法はありませんが、サードパーティー製の**ブラウザ拡張機能(Chrome拡張機能など)**を利用すると言う手もあります。

これらの拡張機能は、検索結果ページのHTML構造などを解析し、AI Overviewが表示される部分を強制的に非表示にするなどの処理を行います。

ただし、これらの拡張機能の利用には以下の注意点があります。

  • Google非公式: これらのツールはGoogleが提供・推奨しているものではありません。
  • 動作保証なし: Google側の仕様変更(HTML構造の変更など)により、突然動作しなくなる可能性があります。
  • 安全性・プライバシーリスク: 信頼できない提供元からの拡張機能は、マルウェアや不要なデータ収集のリスクを伴う可能性があります。インストールする際は、提供元やレビューをよく確認することが重要です。
  • 自己責任での利用: 利用によって何らかの問題が発生した場合でも、Googleや拡張機能の提供者が責任を負うものではありません。


これらのリスクを理解した上で、どうしても非表示にしたい場合に限り、自己責任で利用を検討する、というスタンスが良いでしょう。
基本的には、AI Overviewが表示されることを前提とした検索体験に慣れていくか、表示されても無視する、といった対応が現実的かもしれません。


AI Overview時代のSEO対策【サイト運営者向け】

AI Overviewの登場は、ウェブサイトへのトラフィックや従来のSEO戦略に大きな影響を与える可能性があります。サイト運営者やコンテンツ作成者は、この変化にどのように対応していくべきでしょうか。

ここでは具体的な対策と考え方を解説します。

AI Overviewはサイトトラフィックにどう影響する?

前述の通り、AI Overviewが検索結果ページでユーザーの疑問に直接答えてしまうことで、従来のオーガニック検索結果へのクリックが減少し、サイトへのトラフィックが全体的に減少するという懸念は現実的なものとなっています。
特に、簡単な質問や定義(いわゆるKnowクエリ・Doクエリ)など、AI Overviewだけで回答が完結しやすいクエリでは、その影響が大きくなる可能性があります。

一方で、AI Overviewは情報の引用元としてウェブサイトへのリンクを表示します。もし自社サイトが引用元として選ばれれば、ユーザーの関心を引きつけ、むしろトラフィックが増加する可能性も指摘されています。
特に、AIの要約だけでは満足せず、より詳細な情報や信頼性の裏付けを求めるユーザーは、引用元リンクをクリックする傾向があると考えられます。

つまり、AI Overview時代のトラフィックは、「AIに答えを奪われる」リスクと、「AIに引用されることで新たな流入を得る」チャンスが混在する状況と言えます。今後のSEO戦略では、この変化にいかに適応し、引用される側を目指すかが鍵となります。また、検索流入だけに依存せず、SNSやメルマガ、ダイレクトアクセスなど、トラフィックソースの多角化を図ることも、リスク分散の観点から重要性を増しています。

AI Overviewに引用されやすいコンテンツ作成のポイント

では、具体的にどのようなコンテンツを作成すれば、AI Overviewに引用されやすくなるのでしょうか?

Googleが公式に明確なガイドラインを示しているわけではありませんが、これまでの専門家の分析やGoogleの基本的な考え方から、以下の点が重要と考えられます。

  • ユーザーの検索意図への明確な回答:
    ユーザーが何を知りたいのか(検索意図)を正確に把握し、その問いに対する直接的で分かりやすい答えをコンテンツ内で提供する。
    特に、質問形式の見出し(H2, H3)とその直下に簡潔な答えを記述する構成は有効と考えられます。

  • 高い品質と信頼性 (E-E-A-T):
    経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)のあるコンテンツは、AIからも高く評価される可能性が高いです。
    独自のデータ、専門家の監修、公的機関の情報引用などを通じて、コンテンツの信頼性を高めましょう。

  • 構造化された分かりやすい文章:
    見出し、箇条書き、表などを効果的に使用し、情報が論理的に整理され、AIが内容を理解しやすいように構成する。専門用語には注釈を加えるなど、読みやすさへの配慮も重要です。

  • 独自性と網羅性:
    他のサイトの情報を単にまとめただけの内容ではなく、独自の視点、分析、具体的な事例、詳細な解説などを加え、付加価値の高いコンテンツを目指しましょう。
    関連情報も網羅し、ユーザーがそのページだけで満足できるような情報量を提供することも有効です。

  • 簡潔さと要約:
    長文コンテンツの場合でも、重要なポイントが冒頭や各セクションの最初に要約されていると、AIが抽出しやすくなる可能性があります。

  • 事実に基づいた正確な情報:
    ハルシネーションのリスクがあるAIだからこそ、引用元となるコンテンツの正確性は非常に重要です。常に最新かつ正確な情報を提供するよう努めましょう。

これらのポイントを意識し、ユーザーにとってもAIにとっても価値の高いコンテンツを作成していくことが、AI Overview時代における重要なSEO戦略となります。

E-E-A-T (経験・専門性・権威性・信頼性) のさらなる重要性

E-E-A-T は、Googleがウェブページの品質を評価する上で重視している概念であり、**Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)**の頭文字を取ったものです。

Googleは、信頼性の低い情報や誤情報がAI Overviewを通じて拡散されることを防ぐため、E-E-A-Tの高いコンテンツを優先的に参照しようとすると考えられます。
AIが生成する回答の信頼性を担保するためには、その元となる情報ソースの信頼性が不可欠だからです。

  • 経験 (Experience):
    実際に製品を使用したレビュー、サービスを利用した体験談、特定の場所を訪れた記録など、実体験に基づいた情報は独自性が高く、価値があると評価されます。

  • 専門性 (Expertise):
    特定の分野に関する深い知識やスキルを持っていることが示されているコンテンツ。専門家による執筆や監修が有効です。

  • 権威性 (Authoritativeness)
    そのトピックにおける第一人者、または信頼できる情報源として認識されていること。他の信頼できるサイトからの被リンクや言及、著者情報(誰が書いたか)の明示などが影響します。

  • 信頼性 (Trustworthiness)
    サイト全体の安全性(HTTPS化)、運営者情報の透明性、情報の正確性、ユーザーからの評価などが含まれます。
    特にYMYL(Your Money or Your Life:人々の幸福、健康、経済的安定、安全に影響を与える可能性のあるトピック)領域では、極めて高い信頼性が求められます。


サイト運営者は、コンテンツ単体だけでなく、サイト全体、そして著者自身のE-E-A-Tを高める努力を継続することが、AI Overviewに引用され、検索エンジンから長期的に評価されるために不可欠です。

構造化データの活用と最適化

構造化データとは、ウェブページの内容を検索エンジンが理解しやすいように、特定の形式(例: Schema.orgのボキャブラリーを使用)でマークアップする記述方法のことです。
例えば、「この記事はレシピであり、調理時間は30分、材料は〇〇と××」といった情報を、人間だけでなく機械(AI)にも明確に伝えることができます。

AI Overviewは、ウェブページの内容を正確に理解し、必要な情報を効率的に抽出する必要があるため、構造化データが適切に実装されているサイトは、AIにとって処理しやすく、引用元として選ばれやすくなる可能性があります。

特に以下のようなタイプの構造化データは、AI Overviewとの関連性が高いと考えられます。

スキーマ (タイプ) 説明 期待される効果(AIO観点)
FAQPage よくある質問とその回答をマークアップ 質問形式クエリへの直接対応、AIによるQ&A抽出の促進
HowTo 特定の手順や方法をステップごとにマークアップ 「〇〇する方法」系クエリでの引用、手順の構造的理解を支援
Recipe レシピ情報(材料、手順、調理時間など)をマークアップ レシピ関連クエリでの詳細情報の抽出促進
Article 記事の著者、発行日、発行元などの情報を提供 コンテンツの信頼性評価支援、情報源の明確化
Product 商品名、価格、レビュー評価、在庫状況などをマークアップ 商品比較クエリでの情報抽出促進、正確な製品情報の提供
Event イベント名、日時、場所などをマークアップ イベント関連クエリでの正確な情報抽出
JobPosting 求人情報(役職、給与、勤務地など)をマークアップ 求人関連クエリでの正確な情報抽出


構造化データは、AI Overview対策としてだけでなく、通常の検索結果でのリッチリザルト表示(星評価やFAQ表示など)にも繋がるため、積極的に導入・最適化を進める価値があります。

Googleの「リッチリザルト テスト」ツールなどを活用し、正しく実装できているかを確認しましょう。
▶︎リッチリザルト テスト

検索意図への深い理解・高品質なコンテンツ提供

結局のところ、AI Overview時代のSEOにおいても最も重要なのは、ユーザーの検索意図を深く理解し、それに対して網羅的で質の高い回答を提供するという、コンテンツ作成の基本原則です。

AIはユーザーの代わりに関連情報を探し、要約してくれる存在であり、そのAIに評価され、引用されるためには、元となるコンテンツ自体がユーザーにとって非常に価値のあるものでなければなりません。

  • 検索意図の深掘り: ユーザーがそのキーワードで検索する背景には、どのような疑問、悩み、目的があるのか? 表面的なキーワードだけでなく、その裏にある潜在的なニーズまで深く考察します。
  • 網羅的な情報提供: ユーザーがそのトピックについて知りたいであろう情報を、一つのページでできるだけ網羅的に提供します。関連情報への内部リンクも効果的です。
  • 高品質なコンテンツ: 正確で、最新で、分かりやすく、独自性があり、読者の疑問や問題を解決できるコンテンツを作成します。単なる情報の羅列ではなく、読者に具体的な価値を提供することを目指します。
  • 読みやすさと体験: 適切な見出し構成、読みやすい文章、画像や図表の活用、モバイルフレンドリーなデザインなど、ユーザーがストレスなく情報を得られるような配慮も重要です。

Mbr>小手先のテクニックに頼るのではなく、ユーザーファーストの視点に立ち、地道に高品質なコンテンツを作り続けることこそが、AI Overviewを含む検索エンジンの変化に対応し、長期的に成功するための最も確実な道と言えるでしょう。


AI Overviewの不正確な情報への対処法

もしAI Overviewが不正確な情報を表示してしまった場合、ユーザーとして、あるいはサイト運営者として、どのように対応すればよいのでしょうか。現時点で考えられる対処法をまとめました。

ユーザーができること

AI Overviewが生成した情報に疑問を感じたり、明らかに間違っていると思われる内容を見つけたりした場合、ユーザーとして以下の行動をとることが推奨されます。

  1. 鵜呑みにしない:
    まず最も重要なのは、AIが生成した情報をそのまま信じ込まないことです。特に重要な意思決定に関わる情報の場合は、必ず裏付けを取りましょう。

  2. 引用元リンクを確認する:
    AI Overviewには通常、情報の根拠となったウェブサイトへのリンクが表示されています。
    これらのリンクをクリックし、元の記事の内容を確認してください。AIが情報を誤って解釈したり、文脈を無視して抽出したりしている可能性があります。

  3. 他の信頼できる情報源で再確認する:
    引用元を確認しても疑わしい場合や、引用元自体が信頼性に欠けると思われる場合は、別の信頼できる情報源(公式サイト、専門機関の発表、評価の高いメディアなど)を探して情報を比較検討してください。

  4. Googleにフィードバックを送信する:
    AI Overviewの表示結果の下部や横には、通常、フィードバックを送信するためのリンクやアイコン(例:サムズアップ/ダウン)が設置されています。
    フィードバック送信ボタン
    フィードバック送信ボタン
    これを利用して、表示された情報が不正確であることや、問題点を具体的にGoogleに報告することができます。ユーザーからのフィードバックは、GoogleがAIモデルを改善するための重要なデータとなります。

これらの行動を通じて、ユーザー自身が誤情報から身を守るとともに、AI Overviewの品質向上に貢献することができます。

サイト運営者(サービス提供者)ができること

自社サイトの情報がAI Overviewによって不正確に引用されたり、あるいはAI Overview自体が自社の製品やサービスについて誤った情報を生成したりした場合、サイト運営者としては歯がゆい思いをするかもしれません。

現時点で直接的にAIの生成内容を修正させる確実な方法はありませんが、以下の対応が考えられます。

  1. 自社サイトでの正確な情報発信を徹底する:
    まず基本となるのは、自社サイトで常に正確かつ最新の情報を提供し続けることです。E-E-A-Tを高め、構造化データを適切に実装するなど、AIがコンテンツを正しく理解しやすいように努めることが、間接的に誤った引用を防ぐことに繋がります。

  2. ユーザー向けに注意喚起や訂正情報を提供する:
    もしAI Overviewによる誤情報が広まっていることが確認された場合、自社サイトの目立つ場所(トップページのお知らせ、関連する記事内など)で、正しい情報や注意喚起を発信することを検討します。

  3. Googleへのフィードバック:
    ユーザーと同様に、サイト運営者もAI Overviewのフィードバック機能を利用して、不正確な情報や自社サイトに関する誤った記述を報告することができます。
    具体的な問題箇所と正しい情報を伝えることで、改善につながる可能性があります。

根本的な解決策がないのが現状ですが、まずは自社の情報発信の質を高め、問題を発見した際には積極的にフィードバックを送ることが、サイト運営者としてできる主な対応となります。


まとめ

Google AI Overviewは、検索体験をより効率的で対話的なものへと進化させる可能性を秘めた、注目の新機能です。複雑な質問に対する要約を素早く得られたり、新たな発見のきっかけになったりと、ユーザーにとって多くのメリットがあります。

一方で、情報の不正確さ(ハルシネーション)のリスク、情報源の偏り、そしてウェブサイト運営者にとってはトラフィック減少への懸念といったデメリットや課題も存在します。特に、ローンチ当初に見られたような不正確な回答の問題は、AI技術がまだ発展途上であることを示しています。

私たちユーザーは、AI Overviewを便利なツールとして活用しつつも、その情報を鵜呑みにせず、批判的な視点を持って情報源を確認するリテラシーが求められます。

サイト運営者やSEO担当者にとっては、AI Overviewの登場は無視できない変化です。 トラフィックへの影響を注視しつつ、単に検索順位を追うだけでなく、**「AIに引用される質の高いコンテンツ」**を作成することが、これまで以上に重要になります。具体的には、E-E-A-Tの向上、検索意図への深い理解、構造化データの活用などを通じて、ユーザーとAI双方にとって価値のある情報を提供し続けることが鍵となります。

AI Overviewは、Googleによる継続的な改善やアップデート、そして基盤となるAI技術の進化とともに、今後も変化していくでしょう。日本での本格的な普及もこれからです。この変化を脅威と捉えるだけでなく、新しい情報提供の形、新しいユーザーとの接点として捉え、柔軟に対応していく姿勢が、これからの時代には不可欠と言えるでしょう。

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坂本 将磨

Microsoft MVP・AIパートナー。LinkX Japan株式会社 代表取締役。東京工業大学大学院にて自然言語処理・金融工学を研究。NHK放送技術研究所でAI・ブロックチェーンの研究開発に従事し、国際学会・ジャーナルでの発表多数。経営情報学会 優秀賞受賞。シンガポールでWeb3企業を創業後、現在は企業向けAI導入・DX推進を支援。

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