この記事のポイント
この記事は、Perplexityが提供する「Sonar」APIについて詳しく解説しています。
「Sonar」および「Sonar Pro」は、リアルタイムWeb検索を活用した高精度な回答生成が可能です。
導入事例としてZoomやCopy AI、Doximityが紹介されており、ビジネスの多様な場面で活用されています。
料金体系は、Sonar APIが定額制、Sonar Pro APIが従量課金制となっています。

監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
AI技術の進展はビジネスの知識取得に革命をもたらし、特に情報検索では新たな可能性が生まれています。
そこで注目を集めるのが、Perplexityが提供する「Sonar」および「Sonar Pro」APIです。
本記事では、その機能や導入メリット、活用事例、料金体系までを、徹底的にご紹介します。Sonar APIは事実に基づく高精度な回答生成を可能にし、ビジネスにおける正確な意思決定をサポートします。
最新かつ信頼できる情報を求めるすべての企業にとって、今後不可欠なツールとなることを見ていきましょう。
目次
Sonar by Perplexityとは?
「Sonar by Perplexity」は、Perplexityが提供するリアルタイムのWeb検索に基づいた高精度な回答を生成するAPIサービスです。
軽量・高速・低コストな「Sonar API」と、より複雑なクエリに対応し、詳細な調査やマルチステップのタスクに最適な「Sonar Pro API」の2種類を提供しています。
Introducing Sonar: Perplexity’s API.
— Perplexity (@perplexity_ai) January 21, 2025
Sonar is the most affordable search API product on the market. Use it to build generative search, powered by real-time information and citations, into your apps. We’re also offering a Pro version with deeper functionality. pic.twitter.com/CWpVUUKYtW
事実性に関するベンチマークであるSimpleQAにおいて、Sonar Proは85.8、Sonarは77.3という高いスコアを獲得しています。
これは、主要な検索エンジンやLLMを凌駕する結果であり、Sonar by Perplexityが生成する回答の正確性と信頼性の高さを証明しています。
ベンチマークスコア (参考;Perplexity 公式X
Sonar APIとSonar Pro API の違い
Sonar by Perplexityは、用途に合わせて選択できる2つのAPI「Sonar API」と「Sonar Pro API」を提供しています。
ここでは、それぞれのAPIの違いを明確にし、どのようなケースに適しているのかを解説します。
機能比較表
項目 | Sonar API | Sonar Pro API |
---|---|---|
ユースケース | 軽量なQ&A、シンプルな検索 | 複雑なクエリ、詳細な調査、マルチステップタスク |
検索回数/リクエスト | 1回 | 複数回(必要に応じ) |
引用数 | 少なめ | 多め (Sonar APIの平均2倍) |
コンテキストウィンドウ | 127kトークン | 200kトークン |
速度 | 高速 | Sonar APIよりは遅いが、十分高速 |
料金 | 安価 (定額) | Sonar APIより高価 (従量課金、検索回数による変動あり) |
モデル | sonar | sonar-pro |
データプライバシー | 顧客データを用いたトレーニングは行わない | 顧客データを用いたトレーニングは行わない |
セルフサービス | 対応 | 対応 |
対象 | スピードとコストを最適化したい企業 | トップクラスの処理能力と深い理解を求める企業 |
ユースケース別の推奨API
- Sonar API
シンプルなQ&Aシステムや、FAQの自動応答など、軽量で高速な処理が求められる場合に適しています。
例えば、ウェブサイトに設置するチャットボットなどで、ユーザーからの質問に対して、迅速かつ的確に回答を提供することができます。
- Sonar Pro API
より複雑なクエリや、詳細な調査が必要な場合に適しています。
例えば、市場調査レポートの自動生成や、競合分析など、複数の情報源から得られた情報を総合的に判断し、より深い洞察を得たい場合に有効です。
このように、Sonar APIとSonar Pro APIは、それぞれ異なる特徴と強みを持っています。自社のニーズや目的に合わせて、最適なAPIを選択することが重要です。
Sonar by Perplexity の主な特徴
ここでは、Sonar by Perplexityの主要な機能について詳しく解説します。
1. リアルタイムWeb検索
Sonar by Perplexityの最大の特徴は、リアルタイムのWeb検索に基づいた回答を生成できる点です。
従来のAIモデルのように、学習データに依存するのではなく、常に最新の情報を取得して回答を生成します。
これにより、情報の鮮度が重要となるビジネスシーンにおいても、常に最新の動向を踏まえた意思決定を支援することができます。
2. 引用付き回答
Sonar by Perplexityが生成する回答には、情報の根拠となる引用元が明示されます。
これにより、ユーザーは回答の信頼性を確認し、必要に応じて元の情報源を参照することができます。情報の正確性が求められる場面で、特に有効な機能です。
3. 高い事実性
前述の通り、Sonar by Perplexityは事実性に関するベンチマークであるSimpleQAにおいて、非常に高いスコアを記録しています。
これは、Sonar by Perplexityが、事実に基づいた正確な回答を生成することに長けていることを示しています。
4. 高度な情報検索 (Sonar Pro API)
Sonar Pro APIでは、ユーザーのクエリに対して、複数のWeb検索を実行し、それらの結果を統合して回答を生成します。
これにより、単一の検索結果だけでは得られない、より深く、多角的な情報を提供することが可能です。複雑な調査や、専門性の高い情報収集に効果を発揮します。
5. セルフサービスAPIアクセス
Sonar by Perplexityは、API経由で簡単に利用することができます。
開発者は、APIキーを取得し、ドキュメントを参照することで、すぐにアプリケーションに組み込むことが可能です。
6. データプライバシー保護
Sonar by Perplexityは、顧客データを用いてモデルのトレーニングを行いません。
ユーザーのデータは厳重に保護され、プライバシーが侵害される心配はありません。
Sonar by Perplexity の使い方
Sonar by Perplexityを利用するには、まずAPIキーを取得し、APIリクエストを送信する必要があります。
Perplexity APIの利用を開始するにあたり、まずは公式のクイックスタートガイドを参照することをお勧めします。
Perplexity API クイックスタートガイド
このガイドでは、APIキーの取得方法から、簡単なAPIリクエストの例まで、基本的な手順がわかりやすく解説されています。
1.APIキーの取得
APIキーは、Perplexityのウェブサイトでアカウントを作成し、ダッシュボードから取得することができます。
具体的な手順は、クイックスタートガイドの「Initial Setup」のセクションを参照してください。
2.APIリクエストの送信
APIキーを取得したら、APIリクエストを送信して、Sonar by Perplexityの機能を活用することができます。
クイックスタートガイドでは、簡単なAPIリクエストの例が紹介されています。
onar by Perplexity の料金体系
Sonar by Perplexityは、2つの料金プランを提供しています。
- Sonar API: 軽量で高速な処理に適したプランです。入力したトークン量に関わらず定額制の料金体系を採用しています。
- Sonar Pro API: より複雑なクエリや、高度な情報検索に対応したプランです。
ここでは、それぞれのプランの詳細と、料金の計算方法について解説します。
料金比較表
モデル | インプットトークン (100万トークンあたり) | 出力トークン (100万トークンあたり) | 1000回検索あたりの価格 |
---|---|---|---|
Sonar | 1ドル | 1ドル | 5ドル |
Sonar Pro | 3ドル | 15ドル | 5ドル |
Sonar Pro APIの料金詳細 (従量課金制)
Sonar Pro APIは、従量課金制の料金は、以下の3つの要素に基づいて計算されます。
- 入力トークン: 100万トークンあたり3ドル
入力トークンは、「プロンプトトークン(ユーザープロンプト)」と「引用トークン(実行中の検索から処理されたトークン)」で構成されます。
- 出力トークン: 100万トークンあたり15ドル
- 検索クエリ: 1000回検索あたり5ドル
Sonar Pro APIでは、詳細な回答を提供するために、必要に応じてユーザープロンプトに加えて複数の検索を実行します。
例えば、1つのリクエストで3回の検索を行う場合、検索クエリの料金は 0.015ドル ( = 5ドル/1000回 x 3回) となります。
合計金額:
リクエストごとの合計価格は、上記の「入力トークン」「出力トークン」「検索クエリ」の3つの要素の合計金額となります。
Sonar Pro APIは、Sonar APIと比べて、より多くのトークンと検索回数を使用する傾向にあるため、1リクエストあたりの料金は高くなることに注意が必要です。
しかし、その分、より複雑なクエリに対応し、より詳細な回答を得ることができるため、高度な情報検索を必要とする場合には、Sonar Pro APIが適しています。
自社のニーズや利用頻度に合わせて、最適なプランを選択することが重要です。
Sonar by Perplexity の導入事例
ここでは、Sonar by Perplexityを実際に導入し、ビジネスに活用している企業の事例を紹介します。
1. Zoom
ビデオ会議プラットフォームを提供するZoomは、AI機能「AI Companion 2.0」にSonar Pro APIを導入しました。
この導入により、Zoomユーザーは、ビデオ会議を中断することなく、会議に関連する情報をリアルタイムで検索できるようになりました。
例えば、会議中に話題になった製品や企業について、Sonar Pro APIを使ってその場で調べ、情報を共有することができます。
ZoomのAI製品および責任あるAI担当シニアプロダクトマネージャーであるWill Siegelin氏は、「PerplexityはZoomをその4つの壁を越えて知識へと開放する」と述べており、Sonar Pro APIがZoomの利便性向上に大きく貢献していることが伺えます。
導入の背景
Zoomは、Zoom WorkplaceをネイティブAI機能を備えたオールインワンプラットフォームへと変革することを目指していました。
その中で、ユーザーがアプリを離れて別の検索エンジンに移動する代わりに、プラットフォーム内で検索できる機能を求めていました。
しかし、当時のZoom AI Companionは内部ドキュメントからのみ情報を取得しており、外部データにアクセスできないという課題がありました。
導入による効果
Perplexity APIの導入により、Zoomは以下のような効果を得られました。
- ワークフローの効率化: ユーザーは、ビデオ会議を中断することなく、必要な情報をZoom Workplace内で得られるようになり、コンテキストの切り替えを減らし、無駄な時間を大幅に削減。
- 情報検索の高速化: AI Companionが、Perplexityを活用してWeb検索を要約し、引用を事前に提供するため、ユーザーは自分で大量の情報を分類する必要がなくなった。
- ユーザーの信頼獲得: Perplexity APIは柔軟に拡張でき、個人の勤務時間でより多くの責任を引き受け、人々が抱く可能性のある質問に対して「根拠のある回答」を提供。
- データセキュリティの確保: Perplexityは、AIモデルのトレーニングに顧客データを使用しないため、Zoomのユーザーデータは安全に保たれる。
- 誤情報の防止: Perplexityは通常のLLMの幻覚に悩まされる傾向が少ないため、Zoomユーザーは、間違った答えが厳然たる事実として描かれていることを心配する必要がなくなった。
Perplexity APIの導入により、Zoomはユーザーワークフローを全面的に合理化することに成功しました。また、Zoomは、AI検索を早期に実装することで、AIに慣れ始めたばかりのユーザーとの信頼関係を築くことができました。
2. Copy AI
営業およびマーケティングチーム向けのAIライティングツールを提供するCopy AIは、Sonar APIを活用して、ターゲット企業調査の効率化を実現しています。
Copy AIを使うことで、営業担当者は、見込み顧客となる企業について、ウェブサイトやニュース記事などの複数の情報源から、関連情報を迅速に収集することができます。
Sonar APIの導入により、担当者あたり週に8時間の研究時間を削減し、スループットを20%向上させることに成功しました。
3. Doximity
医師向けのソーシャルネットワークサービスを提供するDoximityは、Sonar APIを使って、医師に最新の医学情報を提供しています。
医師は、Doximityのプラットフォーム上で、診療ガイドラインの変更や保険の償還に関する質問など、様々な医学的疑問を投げかけることができます。Sonar APIは、それらの質問に対して、医学雑誌などの信頼できる情報源から、関連する情報を引用付きで回答します。
特に、医療の分野では情報の正確性が非常に重要です。Doximityは、Sonar APIの引用付き回答機能を活用することで、医師に対して、信頼性の高い最新情報を提供し、診療の質向上を支援しています。
これらの事例から、Sonar by Perplexityが、情報検索の効率化、意思決定の迅速化、信頼性の高い情報提供など、様々なビジネスシーンで活用できることがわかります。
まとめ
本記事では、Perplexityが提供する「Sonar by Perplexity」について解説しました。
Sonar by Perplexityは、リアルタイムWeb検索に基づき、高精度で信頼性の高い回答を生成するAPIサービスです。軽量・高速な「Sonar API」と、複雑なクエリに対応する「Sonar Pro API」の2種類が提供されており、ニーズに合わせて選択できます。
AIを活用した情報検索の効率化・高度化を検討している企業にとって、Sonar by Perplexityは、最新性、信頼性、事実性が担保された情報へのアクセスを提供する、非常に有力な選択肢となるでしょう。