この記事のポイント
- この記事は、JFEスチール株式会社が自社のSAPシステムをクラウドに移行した事例を紹介しています。
- S-4HANA Cloud Private Cloud Editionを基盤としてMicrosoft Azureを選定し、わずか7ヶ月でクラウド移行を実現しました。
- クラウド化により、ハードウェア保守の問題やソフトウェアの更新遅延が解決され、業務効率が向上しました。
- 移行後、インフラ構築が約2ヵ月で完了し、管理費用の削減とリモートでの迅速な設定変更が可能となりました。
- 社員の満足度は、大量データの迅速な処理能力向上によっても高まりました。
監修者プロフィール
坂本将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
クラウド移行がビジネスの革新をもたらす一例として、JFEスチール株式会社の取り組みが注目に値します。中期経営計画の実現に向け、7ヶ月という速さで自社のSAPシステムをMicrosoft AzureベースのS-4HANA Cloud Private Cloud Editionへ移行しました。本記事では、クラウド化がもたらした効果や、JFEスチールが直面した課題、それらをどのように解決したのかを詳しくご紹介します。老朽化したハードウェアの管理問題、ソフトウェアの更新遅延などの課題を克服し、業務の効率化を実現した同社の事例は、DXを推進する多くの企業にとって有益なヒントになるでしょう。
製造業界のAIおよびDX導入事例をご紹介します。製造業界では、IoTを用いたシステム、ロボット化の技術、ビッグデータを用いた活用が多く報告されています。AIの導入の活用法は、業界ごとに異なり、採用されるシステムも多様です。
この記事を通して 「導入アイデア・あなたに使えるサービス・導入のポイント」 の参考になれば幸いです。弊社ではAI導入の最初の窓口としてAI総合研究所を運営しています。導入のお悩みはご気軽に弊社にご相談ください。
【導入事例概要】
JFEスチール株式会社は、自社で使用していたSAPシステムのクラウド移動をS-4HANA Cloud Private Cloud Edition(PCE)によって行いました。このPCEの基盤としてMicrosoft Azureを選定し7ヶ月という短期間でクラウドの移動を成功させました。
【導入の背景】
JFEスチール株式会社
JFEスチールは2021年~2024年度の中期経営計画に基づき、DX戦略推進を大きなテーマとし、「革新的な生産性向上」「既存ビジネスの変革」「新規ビジネスの創出」に取り組んでいました。この計画に伴い、従来のオンプレミスで稼働していたSAPシステムをクラウド化することで、戦略に沿ったIT改革を進めようと試みました。
【元々の課題】
JFEスチールではSAPを全社基盤として利用していたものの、システムが古くハードウェア保守の問題、定期的なソフトウェアのバージョンアップの必要性、ハード・ソフトのライフサイクル管理の手間が問題となっていました。これらの課題を解決する必要がありました。
【解決策】
クラウド化に当たっては、ハード面の老朽化管理問題を解消し、ソフト面でのバージョンアップと拡張性を実現するため、SaaSサービスRISE with SAPの中でも、Azureを基盤に採用されたPCEを活用することにしました。
【効果】
クラウド移行によってハードウェアの管理を委託し業務やアプリに注力できるようになりました。インフラ構築が約2ヵ月で完了し、管理費の削減にもつながりました。さらにリモートでの迅速な設定変更、大量データの処理などが可能になり社員の満足度も向上しました。
クラウド移行プロジェクトの全貌