この記事のポイント
- この記事は富士フイルムビジネスイノベーションのデジタル転換事例について紹介しています。
- 伝統的なオフィス機器メーカーからDXに転換し、AIとMicrosoft Azureを使い業務の効率化を図りました。
- 具体的な取り組みとして、入金消込業務にAIを導入し、月間10万件を超える作業負荷を軽減しました。
- 入金消込AIの導入後は、作業工数の削減に成功し、デジタルトランスフォーメーションが進展しました。
- 導入効果により、社内でも効率化への意識が高まり、プロセス見直しが進んでいます。
監修者プロフィール
坂本将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
デジタル時代の加速と共に、産業のデジタル転換がますます重要性を増しています。本記事では、そんな中で大きな変革を遂げた富士フイルムビジネスイノベーションの業務効率化への取り組みにフォーカスを当てます。長年、オフィス機器メーカーとしての地位を築いてきた同社が、どのようにしてデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、月間10万件を超える入金消込業務にAIを導入し、Microsoft Azureクラウド基盤を活用して業務を効率化したのかを詳しく解説していきます。本概要では、その課題と解決策、そして達成された効果について見ていきます。
製造業界のAIおよびDX導入事例をご紹介します。製造業界では、IoTを用いたシステム、ロボット化の技術、ビッグデータを用いた活用が多く報告されています。AIの導入の活用法は、業界ごとに異なり、採用されるシステムも多様です。
この記事を通して 「導入アイデア・あなたに使えるサービス・導入のポイント」 の参考になれば幸いです。弊社ではAI導入の最初の窓口としてAI総合研究所を運営しています。導入のお悩みはご気軽に弊社にご相談ください。
富士フイルムのデジタル転換と業務効率化の導入事例
【導入事例概要】
富士フィルムビジネスイノベーション
デジタル化の波が加速する現代で、富士フイルムビジネスイノベーションは、伝統的なオフィス機器メーカーからDXを支援するソリューション企業へと、事業構造を大胆に変革しました。入金消込業務にAIを導入し、業務効率化とデジタルトランスフォーメーションを実現するプロジェクトに着手し、Microsoft Azureを中心としたクラウド基盤を構築しました。
【導入の背景】
富士フイルムビジネスイノベーションは1962年の創業以来、紙に情報を複写するビジネスで成長してきましたが、紙媒体の減少とデジタル化の加速により、事業モデルの転換が求められていました。
【元々の課題】
特に月間10万件を超える入金と120万件の請求書処理を担う入金消込業務は、極めて負荷の高い作業であり、処理過多で専任担当者だけでは対応しきれない状況でした。顧客名や金額の確認等、ベテラン社員の経験に依存する部分もあり、効率化の期待される課題となっていました。
【解決策】
富士フイルムは全社的なヒアリングと業務再検討を行い、入金消込AIプロジェクトを発足。Microsoft Dynamics 365を基幹システムに導入し、Azure上でカスタマイズしたAIを開発。RPAを介し、Dynamics 365と連携し、業務DXを実現しました。
Microsoft Azureを中心とした入金消込AI
【効果】
入金消込AIの導入により、自動消込が可能な入金データを大幅に増加させ、作業工数を削減しました。手動で行うべき作業の時間も短縮され、バックオフィス業務の効率化とデジタルトランスフォーメーションが一層進みました。これにより、社内でもプロセス見直しに積極的に取り組む文化が根付きつつあります。
入金消込AIプロジェクトの効果-