この記事のポイント
- この記事では「Azure AI Search」の大規模アップデートについて説明しています。
- 新たなアップデートにより、AI検索サービスのスケーラビリティとパフォーマンスが向上しました。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
AI技術の進化によって、大規模データの高速かつ高精度な処理が求められるようになりました。 その解決策の一つとして注目されているのがマイクロソフトが提供する「Azure AI Search」です。
2024年4月4日には、このサービスのスケーラビリティとパフォーマンスを大きく向上させるアップデートが発表され、生成AIアプリケーションの開発と拡張をさらに加速します。 「ベクターインデックスのサイズ」や「ストレージ容量」が大幅に拡張され、インデックス作成やクエリスループットの改善を通じて、大手企業や新興企業が複雑なデータセットを扱う上での課題を克服できる、力強い支援を提供します。
そんな「Azure AI Search」のアップデートによって何が変わるのか、またどのように業務に活用できるのかをご紹介していきます。
Azure AI Searchの大幅アップデート: スケーラビリティとパフォーマンスの向上
2024年4月4日、マイクロソフトはAzure AI Searchの機能強化を発表しました。
このアップデートにより、顧客は追加費用なしでストレージ容量とベクターインデックスのサイズを大幅に増加させることが可能になりました。
具体的には、ベクターインデックスサイズが11倍、総ストレージが6倍、インデックス作成およびクエリスループットが2倍に改善されました。
これにより、ユーザーはどんな規模のデータも速度とパフォーマンスを損なうことなく処理できるようになり、Azure AI Searchを使用する各種生成AIアプリケーションのスケールアップが可能になります。
アップデート内容
大規模RAGベースのアプリケーションを支援するAzure AI Search
Azure AI Searchは、Fortune 500企業の半数以上によって信頼されているエンタープライズ検索システムです。このアップデートにより、OpenAIのGPTやAssistant APIを始めとする製品が、大規模なRAGワークロードに対応します。
ChatGPTは週に1億人の訪問者を受け入れるなど、大量の利用者に耐えうるスケールを実現しています。Azure AI Searchを利用することで、顧客は信頼性の高い検索システムを背景に、多数のユーザーとの相互作用を高品質な体験で提供することができるでしょう。
Azure AI Serch
高度な検索戦略と革新的なアプリケーションの実現
現代の生成AIアプリケーションを構築する上で、複数の検索手法を組み合わせることが重要です。
Azure AI Searchは、ボックスの外でさまざまなアプローチを適用できるようにすることで、開発者がより迅速かつ効果的に目標を達成できるようにします。
ハイブリッド検索とセマンティックランク付を組み合わせることで、ベクトル検索よりも優れた検索性能を実現
例えば、Telus HealthはAzure AI Searchの高度なRAG機能を利用して顧客ケアアプリケーションを提供し、NIQ Brandbankは多ベクター検索を使用してブランドがオンラインプレゼンスを最適化するのを支援しています。
「Azure AI Search では、テキストと画像の埋め込みとセマンティック ランク付けを使用して、最もセマンティック関連性の高い製品を上位に昇格させるハイブリッド マルチベクター検索を使用できます。Azure データ ソースからの運用環境に対応した自動データ インジェストから Azure Machine Learning との統合まで、Azure AI Search はまさに Content Health+ アプリケーションを実現するために必要なものでした。」
—Gabriel Harris PhD、プリンシパルデータサイエンティスト
これらの事例からもわかるように、Azure AI Searchのアップデートは、さまざまな業界でのアプリケーションの革新を可能にしています。
以上のアップデートにより、Azure AI Searchは、生成AIアプリケーションの開発において、より高いスケーラビリティとパフォーマンスを提供することができるようになりました。
これは、大規模なデータセットや複雑な検索ニーズに対応するアプリケーションを構築する企業にとって、重要な進歩となります。
出典:Azure