この記事のポイント
- メキシコのセメックス社が開発したAIツール「Technical Xpert」は、営業担当者が高速で顧客対応できる支援システムです。
- 「Technical Xpert」は、GPT 4.0技術を活用しており、セメックスの製品群を素早く理解し、顧客に合った解決策を提案します。
- このツールはメキシコでの使用を始めており、グローバルな展開が可能な構造となっています。
監修者プロフィール
坂本 将磨
Microsoft AIパートナー、LinkX Japan代表。東京工業大学大学院で技術経営修士取得、研究領域:自然言語処理、金融工学。NHK放送技術研究所でAI、ブロックチェーン研究に従事。学会発表、国際ジャーナル投稿、経営情報学会全国研究発表大会にて優秀賞受賞。シンガポールでのIT、Web3事業の創業と経営を経て、LinkX Japan株式会社を創業。
建材業界において、営業効率を高める革新的な取り組みが注目されています。メキシコ発、マルチナショナル企業セメックスが開発したAIツール「Technical Xpert」がその先例となっており、営業担当者が迅速に顧客の需要に応える支援を行い、顧客満足度を向上させる鍵となっています。
このツールは、Microsoft Azure OpenAIサービスのGPT 4.0に基づいており、一つのチャットウィンドウからセメックスの豊富な製品群を瞬時にナビゲートし、顧客個々のソリューションを数分で提案することが可能です。
この記事では、その開発秘話と、セメックスがいかにしてAIと提携し、AIアシスタント「Technical Xpert」を活用して営業効率と顧客満足度を飛躍的に向上させたのかを詳しく解説します。
セメックスが提供するAIツール「Technical Xpert」の革新性
セメックスは、営業チームの効率を飛躍的に向上させるAIツール「Technical Xpert」を創出しました。このツールは、Microsoft Azure OpenAIサービスに基づくGPT 4.0を搭載し、チームのチャットウィンドウで利用可能です。
メキシコのオペレーションに触発されて開発されたこのAIアシスタントは、営業チームがセメックスの幅広い製品群を迅速にナビゲートし、顧客に合わせたソリューションを数分で提案できるよう支援します。
顧客のニーズを正確に把握し、技術的な知識が必要な営業シーンでの迅速な対応が可能になることで、企業の営業効率が大きく向上しています。
セメックスの営業チームが直面していた課題とその解決策
セメックスの営業チームは、顧客への迅速かつ詳細な製品情報の提供に課題を抱えていました。複数の製品群とそれらの技術的特性を把握するのは難しく、顧客に最適なソリューションを提案するためには、多くの時間と労力が必要でした。
例えば、従来では複数の人に問い合わせて1時間程度かかっていた情報収集が、「Technical Xpert」を使うことでわずか9秒で完了します。
このAIツールは、営業担当者が必要な情報を素早く取得し、顧客に最適な材料を迅速に提案できるよう支援し、営業チームの機動性を格段に高めています。
「Technical Xpert」の開発過程とその特徴
「Technical Xpert」の開発過程では、セメックスのデータサイエンティストと営業チームが緊密に協力しました。顧客に提供する多数の製品に関する詳細な情報を含む文書やマニュアルがツールに投入され、AIはこれらの情報を学習して訓練されました。
また、新しい材料の開発に伴い、営業担当者が最新の製品を顧客に提案できるように、ツールの更新が簡単に行えるよう配慮されています。このカスタマイズされたツールは4ヶ月をかけて構築され、セメックスの営業担当者が特定の建材の特性を迅速に把握し、顧客に効果的な推奨を行うのに役立っています。
「Technical Xpert」のグローバルな応用可能性と今後の展望
「Technical Xpert」はメキシコで発売されており、営業担当者が顧客との関わりに組み入れていますが、セメックスは同じ運用モデルを世界中で使用しているため、このツールはグローバルに展開することが可能です。
地元の仕様や規制に応じた小さなローカリゼーションが必要になる場合もありますが、高い複製可能性により、他の地域でも迅速に展開できる見込みです。
長期的な効果についてはまだ早期であるものの、ツールが営業担当者と顧客との良好なコミュニケーションを促進し、問題解決に貢献することは明らかです。これにより、セメックスは営業効率の革新を通じて、未来への成長を促進しています。
出典:Microsoft